ラーニング・パターンの中から自分に合った学習スタイルを探そう
Author : 吉田 慶章
builders.flash 読者の皆さん ! こんにちは ! シニアテクニカルトレーナーの吉田慶章です。
私は今まで builders.flash では「学び」に関する記事を書いてきました。金澤さんとの対談を記事にしてもらったこともあります。
- ラーニングパスを活用して効率的に学び始めよう !
- ハンズオンの「腹落ち問題」を改善する 5 Tips
- 初学者にもわかりやすい「名前」って何だろう ?
- 「この本が私を育てた!」「この本に早く出会いたかった!」エンジニアとしての個人的バイブルを語る (技術書編)
- エンジニアとしての個人的バイブルを語る (ソフトスキル編)
今回は「学び」に対する「スタイル」や「振る舞い」として「ラーニング・パターン」を紹介したいと思います。そして、私自身を自己分析しつつ「活用しているパターン」と「うまく活用できていないパターン」も紹介します。
Here We Go ===┌(・_・)┘
ラーニング・パターン
「ラーニング・パターン」とは、自律的で創造的に学ぶ方法を「計 40 種類」の「パターン」としてまとめたものです。以下に一覧を載せます。「パターン」の中には研究活動や論文執筆など、学生生活での「学び」が例として載っていることもありますが、技術を学ぶデベロッパーとしての「学び」でも十分に読み替えて活用することができます。私自身はこの「ラーニング・パターン」がとても好きで、自分に合った学習スタイルを確立するための参考にしています。
- No.0「学びのデザイン」
- No.1「学びのチャンス」
- No.2「つくることによる学び」
- No.3「学びをひらく」
- No.4「まずはつかる」
- No.5「まねぶことから」
- No.6「教わり上手になる」
- No.7「アウトプットから始まる学び」
- No.8「外国語の普段使い」
- No.9「学びのなかの遊び」
- No.10「学びの竜巻」
- No.11「知のワクワク!」
- No.12「量は質を生む」
- No.13「身体で覚える」
- No.14「言語のシャワー」
- No.15「成長の発見」
- No.16「動きのなかで考える」
- No.17「プロトタイピング」
- No.18「フィールドに飛び込む」
- No.19「鳥の眼と虫の眼」
- No.20「隠れた関係性から学ぶ」
- No.21「広げながら掘り下げる」
- No.22「創造への情熱」
- No.23「右脳と左脳のスイッチ」
- No.24「小さく生んで大きく育てる」
- No.25「魅せる力」
- No.26「書き上げたは道半ば」
- No.27「ゴール前のアクセル」
- No.28「学びの共同体をつくる」
- No.29「偶有的な出会い」
- No.30「ライバルをつくる」
- No.31「はなすことでわかる」
- No.32「教えることによる学び」
- No.33「断固たる決意」
- No.34「自分で考える」
- No.35「目的へのアプローチ」
- No.36「捨てる勇気」
- No.37「フロンティア・アンテナ」
- No.38「セルフプロデュース」
- No.39「突き抜ける」
引用 : ラーニング・パターン (Learning Patterns)
ラーニング・パターンの探し方
- ラーニング・パターンの読み方
- ラーニング・パターンを探す
詳しくはサイトに載っていますが、それぞれの「パターン」は以下の構成でまとまっています。「パターン・ランゲージ」の一種と言えますね ! よって、自分自身の状況や課題に最適な「パターン」を見つけると良いでしょう。
- 問題 (Problem)
- フォース (Forces)
- 解決 (Solution)
- アクション (Actions)
- 関連パターン (Related Patterns)
また「パターン」の探し方もいろいろあります。「計 40 種類」を順番に読んでも良いでしょうし、全体像から探すのも良いでしょう。
引用 : ラーニング・パターンの全体像
そして「自分の状況に応じて探す」という探し方もあります。それぞれの「パターン」を使うべき状況ごとにまとまっていて、探しやすいです。特に「FOR GOAL SETTING (目的に向けて取り組むとき)」と「AT DEAD END (行き詰まりを感じるとき)」は私自身も何度も体験している状況です。当てはまる方も多いのではないでしょうか。
- AT BEGINNING (何かを始めるとき)
- FOR GOAL SETTING (目的に向けて取り組むとき)
- IN ACTIVITY (活動しているとき)
- FOR OUTPUT (アウトプットを生み出すとき)
- AT DEAD END (行き詰まりを感じるとき)
ちなみに、私は「ラーニング・パターン」の Twitter アカウントをフォローしています。毎日「パターン」がツイートされるので、今までうまく活用できていなかった「パターン」を再認識することができます。自分自身の成長によって、活用できる「パターン」も変わってきますよね !
私が活用しているパターン
さっそく、私が「活用しているパターン」を 3 種類紹介します。
No.7「アウトプットから始まる学び」
まずは No.7「アウトプットから始まる学び」です。
日々新しい技術を学んだり、手を動かして検証をしながらインプットをすることを心掛けていますが、断片的な理解に留まってしまうことがあります。そこで、アウトプットを意識してテックブログ (私はテックブログを書くのが大好きです !) を書いたり、個人メモを書いたりすることで、その過程で自分自身の理解のあやふやなところや論理的な飛躍があることに気付けたりします。このように、アウトプットを前提に習慣的なインプットとアウトプットをする学習スタイルを確立できています。
No.21「広げながら掘り下げる」
次に No.21「広げながら掘り下げる」です。
学びたい技術はたくさんありますし、とことん理解を深めたいとも思いますが、現実的には全てを学ぶことはできません。しかし、だからと言って学ぶことを諦めてしまうのももったいないと思っています。そこで、最初はとにかく「広く浅く」勉強をすることが多いです。最初はその技術領域の全体を把握することもできないため、以前の記事で紹介した「ラーニングパス」を活用したり、関連する書籍を斜め読みしたりします (目次や索引だけを見ることもあります)。そして、技術領域の全体像を何となく把握してから、気になったところを一歩一歩深く掘り下げていく学習スタイルです。No.24「小さく生んで大きく育てる」にも関連していますね !
一歩一歩進めていくという観点では「小さな習慣」という書籍が好きで何度も読んでいます。冒頭に載せた対談記事でも紹介しています。おすすめです!
No.32「教えることによる学び」
最後は No.32「教えることによる学び」です。
今はテクニカルトレーナーとして「教えること」を仕事にしていますが、前職のときにもハンズオンイベントを企画したり、社内勉強会で LT をしたり、誰かに技術を教える (伝える) ことをきっかけにして学びを深めることが多いです。LT 駆動学習と言えるでしょうか。
特に現在のテクニカルトレーナーという仕事では「どうやって説明をしたらお客様の理解を深められるだろうか ?」という観点で学んだり、「どんな質問が出てくるだろうか ?」という観点で学んだりすることで、自分自身の理解や観点を見直すことができる「学びほぐし」に繋がっていると感じます。よって、No.7「アウトプットから始まる学び」とはまた違った学習スタイルも確立できるようになりました。「教えることは最高の学習である !」は私がよく言っているフレーズです !
私がうまく活用できていないパターン
自己分析をしつつ「うまく活用できていないパターン」を知ることができるのも「ラーニング・パターン」の良さではないでしょうか。最後は私が「うまく活用できていないパターン」を紹介します。
No.6「教わり上手になる」
私は No.6「教わり上手になる」をうまく活用できていないと思います。
自分で調べながら学ぶことはできますが、実体験としていつでも効率的に学べているとは思いません。トライアンドエラーを繰り返したり、Yak Shaving をすることもデベロッパーとしてはとても重要だと思いますが、詳しい人に教えてもらった方が、より価値のあるトライアンドエラーになることもあると思います。
教えてもらう前にできる限り自分で調べようと心掛けているのですが、その比重が強いのかもしれませんね ! 場合によってはフットワークを軽く、すぐに教えてもらうのも重要であると「ラーニング・パターン」から気付かされました。
まとめ
今回の記事では、自律的で創造的に学ぶ方法として「ラーニング・パターン」を紹介しました。そして、私自身を自己分析しつつ「活用しているパターン」と「うまく活用できていないパターン」も紹介しました。
次回の記事では builders.flash で一緒に「How to be a Developer」カテゴリーの記事を執筆している西村さんにインタビューをして「活用しているパターン」と「うまく活用できていないパターン」を教えてもらおうと思います ! お楽しみに !
筆者プロフィール
吉田 慶章
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
AWS トレーニングサービス本部 シニアテクニカルトレーナー
ウェブエンジニア/プログラミング講師などの経験から AWS テクニカルトレーナーに。教えることを本職とし、効果的な学習メソッドを考え続けている。教えることは最高の学習である。Keep on Learning 👍
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