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AWS ソリューション紹介

Amazon WorkSpaces のコストを最適化しよう! 2024 年アップデート版

2024-04-02 | Author : 鈴木 大樹

はじめに

本記事は、2022 年 1 月に公開されたブログ「仮想デスクトップのコストを最適化 ! Amazon WorkSpaces Cost Optimizer を試してみる」の 2024 年アップデート版です。この記事では、Amazon WorkSpaces の実行モードを最適化するための AWS ソリューションを紹介しました。

その後、このソリューションにアップデートがありました。AWS Organizations への対応が追加されました。今までは、それぞれのアカウントでこのソリューションをデプロイしなければなりませんでした。今回のアップデートにより、マルチアカウント環境において 組織の root アカウントが ハブとなり、コスト最適化や Amazon CloudWatch による使用状況のログを一元的に管理できるようになりました。

本記事では、前回の記事を踏まえつつ、アップデートによって変更されたアーキテクチャの解説やマルチアカウントへのデプロイ方法を追加した記事となっています。


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「Amazon WorkSpaces Cost Optimizer」を試してみる

さて、昨今、多くの企業や組織でリモートワーク (テレワーク) が急速に広まっておりますが、みなさまの中には、リモートワークを実現するために、Amazon WorkSpaces を利用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか? Amazon WorkSpaces は、フルマネージド型仮想デスクトップサービスであり、月額課金 (AlwaysOn) または時間料金 (AutoStop) の実行モードが提供されているため、利用状況に応じて、最適な実行モードを選択すること可能です。

利用時間によってどちらの実行モードのコスト効率が高いかは、使用するバンドルによって異なりますが、おおよその目安として、月に 80 時間以上 WorkSpaces を起動する場合には、月額課金 (AlwaysOn) の方が安くなる傾向にあります。しかしその一方で、「全ユーザー分の利用状況を確認し、最適な実行モードを選択するのは難しい」という声を管理者の方からよく伺います。

そのような方のために今回、 WorkSpaces の使用状況をモニタリングし、コストを最適化するのにも役立つソリューションを紹介していこうと思います。

それでは、「Amazon WorkSpaces Cost Optimizer」がどんなソリューションなのか見ていきましょう!

A Japanese-language graph comparing hourly and monthly pricing for AWS WorkSpaces. The graph shows usage time versus cost, with a visual break-even point at approximately 80 hours. A manager figure is shown thinking about the difficulty of optimizing costs while monitoring usage daily.

Amazon WorkSpaces Cost Optimizer とは

「Amazon WorkSpaces Cost Optimizer」は、個々の WorkSpaces の使用状況を分析し、最もコスト効率の高い実行モード (時間課金または月額課金) に自動変更するソリューションです。

実行モードの変更について

本ソリューションをデプロイすると、 WorkSpaces の利用時間をモニタリングし、デプロイ時に指定したしきい値と比較することで、表のような実行モードの変更を自動で行います。 また、 WorkSpaces の使用状況はモニタリングしたいが、実行モードの自動変更を行いたくない場合には、「ドライランモード」でデプロイし、その結果をもとに手動で変更を実施可能です。これにより、事前に本ソリューションが推奨する変更内容を評価および分析することができます。

使用している AWS サービスは?

AWS ソリューションは CloudFormation テンプレートが提供されています。本ソリューションをデフォルトのパラメータで実行すると、以下のアーキテクチャがデプロイされます (AWS Organizations を使用しない場合は、ハブアカウントと書かれているアーキテクチャがデプロイされます) 。

  1. ハブテンプレートは、24 時間ごとに Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) タスクを呼び出す Amazon EventBridge ルールを作成します。

  2. Amazon ECS タスクは、AWS Directory Service にポーリングして、特定の AWS リージョンで Amazon WorkSpaces に登録されているすべてのディレクトリのリストを収集します。

  3. 次にタスクは、時間課金モデルである各 WorkSpaces の合計使用量をチェックします。WorkSpaces が月間使用量のしきい値を満たしている場合、このソリューションは個々の WorkSpace を月額課金に変換します。

  4. 月末に、タスクは月額課金モデルの各 WorkSpaces の合計使用量をチェックします。WorkSpaces が月間使用量のしきい値を満たしていない場合、ソリューションは、次の月の初めに個々の WorkSpaces を月額課金から時間課金に変換します。

  5. Amazon ECS タスクは、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケットに結果をアップロードします。
     

AWS Organizations のメンバーアカウントでも Cost Optimizer を利用する場合

  1. スポークテンプレートは、AWS Lambda 関数を呼び出して、ハブアカウントの Amazon DynamoDB テーブルにスポークアカウントとして登録するカスタムリソースを作成します。

  2. Amazon ECS タスクは、WorkSpaces を管理するために、各スポークアカウントに AWS Identity and Access Management (IAM) ロールを想定しています。

アーキテクチャ図

コスト試算の例

AWS CloudFormation でデプロイすると、規模感がわからず、利用料が不安・・という方も多いと思います。そこで、コスト試算をご紹介します!このソリューションを実行するために発生する AWS サービスのコストは、このソリューションが監視する WorkSpaces の数によって異なります。

例えば、 1000 個の WorkSpaces を対象に、バージニア北部リージョンにてデフォルト設定で本ソリューションをデプロイした場合、1 日あたり発生するコストは、約 0.167 USD ( 月額約 5 USD ) です。

※ これには、 AWS Lambda、 Amazon CloudWatch、および AWS Fargate、Amazon S3 の料金を含まれておりますが、個々の WorkSpaces のコストは含まれておりません。

※ 2024 年 2 月時点での試算です。

コスト試算の詳細やその他の試算例については、実装ガイド のコストページに記載がございますのでご参照ください。

デプロイ方法・設定方法

AWS CloudFormation スタックの作成 ~シングルアカウントでデプロイする場合~

それでは早速、AWS ソリューションをデプロイしていきましょう。ここでは、シングルアカウントでデプロイする場合について説明していきます。シングルアカウント・マルチアカウント問わずハブテンプレートを使う必要があるため、まずはハブアカウントをデプロイしていきます。

AWS コンソールで起動

本ソリューションにて使用する CloudFormation テンプレートを実行するために、 Amazon WorkSpaces Cost Optimizer のランディングページにアクセスします。
「AWS コンソールで起動する」を選択します。
AWSコンソールでのデプロイオプションを日本語で説明したインターフェース画像。AWSコンソールまたはAWS IQエキスパートを使ってソリューションをデプロイする手順が表示されています。

スタックの作成

CloudFormation が起動し、スタックの作成の画面が表示されます。デフォルトで「バージニア北部」リージョンが選択されているため、ソリューションを展開するリージョンに変更します。 (今回は東京リージョンに変更)

前提条件 - テンプレートの準備」、「テンプレートの指定」は変更せずにそのまま「次へ」を選択します。

Screenshot of the AWS CloudFormation stack creation template interface displayed in Japanese, showing the configuration steps for creating a stack, with the Tokyo region selected. The interface includes options to specify the template source using an Amazon S3 URL.

スタックのパラメータ設定

スタックの名前を入力

スタックの名前」に任意の名前 (例:WorkSpacesCostOptimizer) を入力します。

Screenshot of the AWS WorkSpaces Cost Optimizer stack name input screen in Japanese, showing 'WorkSpacesCostOptimizer' entered as the stack name.

VPC を作成

次に「パラメータ」では、まず AWS Fargate コンテナがデプロイされる VPC を設定します。 VPC は新規で作成するか、既存の VPC 上に構築するかを選択できますが、今回はデフォルトの設定のまま新規に VPC を作成します。

Screenshot showing the AWS Fargate parameter selection interface in Japanese, with an option to create a new VPC by selecting 'Yes' (default).

VPC パラメータ設定

ソリューションをデプロイする VPC は WorkSpaces が接続する VPC と同一にする必要はないため (接続性も不要)、既存のオンプレミス環境や VPC と IP アドレスが被らないように、必要に応じて CIDR の値を変更した上で、 VPC の新規作成からご検討頂ければと思います。もし既存の VPC を利用する場合には、インターネット接続可能な VPC をご選択ください。

Screenshot of the AWS Fargate VPC and subnet CIDR block configuration interface, displaying Japanese instructions about changing CIDR values to avoid conflicts with existing on-premises environments or IP addresses.

テストパラメータ設定

テストパラメータ (Testing Parameter) の設定では、ドライランモードの設定有無などを設定します。

実行モードを自動変更しない場合は、「Yes」、自動変更する場合は、「No」を選択します。今回はデフォルト設定のままドライランモードに設定します。

Screenshot of AWS testing parameters interface with instructions in Japanese, highlighting the 'Launch in Dry Run Mode' option set to 'Yes' to confirm only analysis results without making any automatic changes.

価格パラメータ設定

価格パラメータ (Pricing Parameters) の設定では、 各バンドルごとに自動変更のしきい値を設定します。

WorkSpaces は使用するリージョンやバンドルによって料金が異なるため、本ソリューションではバンドル (バリュー、スタンダード、パフォーマンスなど) ごとにそれぞれしきい値を設定します。デフォルトのしきい値は時間単位および月単位の請求損益分岐点の近くに設定されていますが、実際に使用されるリージョンやバンドルに応じて最適なしきい値は変わる可能性があるため、以下の計算式を用いてバンドルごとの損益分岐点を算出し、パラメータを変更することでしきい値を調整できます。 (なお、しきい値超過のチェックは 24 時間間隔で実施されることを考慮し、算出した損益分岐点よりも少し少ない値に設定するのも良いかと思います。)

しきい値の計算式: (月額課金 - 時間料金の固定分) ÷ 時間料金の従量課金分

例)  東京リージョンの Windows パフォーマンスバンドル (ルートボリューム: 80 GB, ユーザーボリューム: 10GB) の場合・月額課金: 59.00 USD・時間料金: 10.00 USD/月 + 0.61 USD/時間しきい値:  (59.00 - 10.00)  ÷ 0.61 ≒ 80.32 時間→ PerformanceLimit のセルに 80 と入力
Screenshot showing AWS WorkSpaces pricing parameters for bundle type limits, with text in Japanese and input fields for Value, Standard, Performance, Graphics, Graphics Pro, Power, and Power Pro instance limits.

[ 参考 ] その他の機能

[ 参考 ] 今回特に設定は変更しませんが、以下の機能も提供されています。

  • 対象とする WorkSpaces のリージョンを制限する機能 (空欄の場合、全リージョンを対象)
  • 1 ヶ月間使用されなかった WorkSpaces を削除する機能 (ドライランモードで分析結果のみ確認することも可能) 

※その他各パラメータの詳細については、 実装ガイド をご参照ください。

Screenshot showing the AWS WorkSpaces settings for specifying a list of AWS Regions to scan and the option to terminate unused workspaces not used for a month, with 'No' selected for termination.

Multi account deployment

パラメータの設定が終了したら、ページ下部の「次へ」を選択します。[Multi account deployment] については、後述の [参考] マルチアカウントでデプロイする方法 でご紹介いたします。今回は空白のまま「次へ」を選択します。

Screenshot of the AWS user interface for multi account deployment, showing input fields for Organization ID and Account ID in English with Japanese placeholder text, and navigation buttons in Japanese.

スタックオプション

スタックオプションの設定も、デフォルトのままページ下部の「次へ」を選択します。

Screenshot of the AWS CloudFormation stack options interface displayed in Japanese, showing rollback settings, notification options, stack creation options, and navigation buttons.

IAM リソース作成の承認

レビューを下へスクロールし、「 AWS CloudFormation によって IAM リソースが作成される場合があることを承認します。」 にチェックを入れ、「 スタックの作成」を選択します。
Screenshot showing the AWS CloudFormation confirmation screen for acknowledging creation of IAM resources, with interface text in Japanese and a highlighted checkbox.

スタック作成完了

スタックの作成が成功したことを確認します。作成完了までに 5 分程度かかります。
Screenshot of the AWS WorkSpaces Cost Optimizer interface showing a 'CREATE_COMPLETE' status with a timestamp of 2021-12-13 17:34:15 UTC+0900.

実行結果を確認する

しきい値超過のチェックは、ごと日 23:00 GMT に実行され、実行結果は S3 バケットに保存されます。

実行結果を確認するには、まず先ほど作成した CloudFormation スタックの「出力」タブから、 BucketName の値をコピーします。

Screenshot of the AWS WorkSpaces Cost Optimizer output tab in the Japanese management console, highlighting how to copy the S3 bucket name created by the solution.

S3 バケットを選択

Amazon S3 のマネジメントコンソール画面にアクセスし、検索フィールドに先程コピーした BucketName の値入力し、対象の S3 バケットを選択します。

Amazon S3 コンソールで、WorkSpaces コスト最適化用バケット名(workspacescostoptimizer-costoptimizerbucket-18smhj7un89e3)を検索・表示している画面。赤枠で入力箇所を強調し、手順を説明する日本語ガイドが含まれています。

CSV をダウンロード

分析結果は、実行した日付に基づいてフォルダが階層構造で作成されますので、今日の日付のフォルダに移動した後、「aggregated_daily.csv」をチェックし、「ダウンロード」を選択します。

Amazon S3 コンソールで、WorkSpaces コスト最適化用バケット名(workspacescostoptimizer-costoptimizerbucket-18smhj7un89e3)を検索・表示している画面。赤枠で入力箇所を強調し、手順を説明する日本語ガイドが含まれています。

CSV ファイルを確認

ファイルを開くと分析結果を確認でき、 WorkSpaces ごとに「当月の利用時間の累計」、「設定されたしきい値」、「実行モードの変更情報」、「現在の実行モード」、「変更後の実行モード」などの情報を確認できます。

ドライランモードをオフ (「Launch in Dry Run Mode」を「No」) にしてデプロイした場合、該当する WorkSpaces の実行モードが 「変更後の実行モード (New Mode)」の内容に自動変更されます。

Amazon WorkSpaces の利用時間(Billable Hours)がしきい値(Usage Threshold)を上回ると、自動で課金モードが「AUTO_STOP」から「ALWAYS_ON」に切り替わる例を示す日本語の表。重要な行と切り替え条件が赤枠・赤文字で強調されている。

[ 参考 ] 実行モードが実際に自動変更されることを確認 / 検証する方法

ここまでで本ソリューションの活用イメージを掴んで頂けたのではないでしょうか。
一方、試しに実行モードが自動変更されることを確認 / 検証しようとすると、しきい値を超えるまで WorkSpaces を利用する必要があったり、しきい値超過のチェックが次に実施されるまで待つ必要があったりします。

すぐに実行モードの自動変更を確認 / 検証したい場合には、まず実行モードの自動変更のしきい値を少ない値「1」に変更してデプロイし、次に WorkSpaces を 1 時間以上利用した後に、本ソリューションにてデプロイされる Lambda 関数を手動実行することにより、実際に実行モードが自動変更されることをすぐに確認できますので、その方法もご紹介します。

事前準備:WorkSpaces の作成

事前準備として、 Standard バンドルの WorkSpaces を AutoStop (時間課金) モードで 1 台作成します。

WorkSpaces の作成手順の詳細は割愛しますが、WorkSpaces の概要やデプロイ手順については、以下の資料をご参照ください。

Screenshot of the AWS WorkSpaces Console in Japanese, showing the AutoStop execution mode option highlighted.

AWS CloudFormation スタックの作成

デプロイ時のパラメータをデフォルトから以下のように変更し、本ソリューションをデプロイします。

  • ドライランモード:オフ (default:オン)

  • Standard バンドルのしきい値:1 (default:81) ※ 今回は動作確認用に例外的に少ない値に変更

なお、今回動作確認用に新しく作成する WorkSpaces 以外に、既に Standard バンドルの WorkSpaces が存在する場合、既存の WorkSpaces の実行モードを変更される可能性があります。その場合には、ドライランモードをオンにしてデプロイし分析結果のみご確認頂くか、既存の WorkSpaces に以下のタグを付与することで実行モードの自動変更対象から除外することできますので、その設定をした上で動作確認を行なってください。

  • キー:Skip_Convert

  • : (任意の値) 

ドライランモードとStandard バンドルのしきい値の設定画面

Screenshot showing AWS testing parameters with dry run mode settings and Japanese instructions. The image highlights the selection of 'No' with a red arrow and provides guidance in Japanese about verifying analysis results without performing automatic conversion by selecting 'Yes (default)'.

Screenshot showing AWS WorkSpaces pricing parameters ValueLimit and StandardLimit with Japanese instructions on changing StandardLimit to '1' for immediate verification of automatic conversion.

Lambda 関数を手動実行する

動作確認のために、まずは本ソリューションでデプロイされた Lambda 関数を一度手動実行して結果を確認します。

作成した CloudFormation スタックの「リソース」タブから、「CostOptimizerCreateTaskFun」の文字列を含む方の Lambda 関数を選択します。

Screenshot of the AWS WorkSpaces Cost Optimizer interface showing a list of Lambda functions with status 'CREATE_COMPLETE,' search field with 'Function' entered, and descriptions in Japanese.

テストイベントの実施

Lambda の画面に遷移したら、「 テスト」タブを選択し、「 名前」に任意の名前 (例:TestEvent) を入力した後、「 テスト」を選択します。
Screenshot of the AWS Lambda console showing the process of creating a test event, with interface text in Japanese. The image highlights the entry of a test event name and sample JSON event data.

テスト成功の確認

テストが成功したことを確認します。
Screenshot of a Japanese success message showing 'Execution Result: Success (Log)' with an expandable 'Details' section, displayed in a green-bordered box.

分析結果の確認

分析結果を確認すると、 WorkSpaces が作成されたばかりの段階では利用時間が発生していないため、実行モードに変更はなく、時間料金 (AutoStop) のままになっていることが確認できます。
A screenshot of an AWS WorkSpaces usage and billing table in Japanese, displaying columns such as WorkspaceID, Billable Hours, Usage Threshold, Change Reported, Bundle Type, Initial Mode, New Mode, Username, Computer Name, Directory ID, Workspace Terminated, and Tags.

再実行と分析結果確認

次に、WorkSpaces がしきい値で指定した 1 時間以上起動したのちに、再び Lambda 関数を実行し、再度分析結果を確認します。

そうすると、 Change Reported に「ToMonthly」が記録され、実行モードが月額課金 (AlwaysOn) に変更されていることが確認できます。

A screenshot of a table displaying AWS WorkSpaces billing mode change information in Japanese, including columns for usage hours, billing mode, change details, bundle type, user information, and status.

WorkSpaces コンソールでの確認

Amazon WorkSpaces のマネジメントコンソール画面 にアクセスすると、実行モードが月額課金 (AlwaysOn) に自動変更されていることが確認できます。

Screenshot of the AWS WorkSpaces console in Japanese, highlighting the AlwaysOn running mode for a WorkSpace instance.

[ 参考 ] マルチアカウントでデプロイする方法

参考として、マルチアカウントでデプロイする方法についてご紹介します。マルチアカウントでデプロイすることのメリットは、例えば部署ごとにそれぞれのアカウントで WorkSpaces を利用している場合でも、 Cost Optimizer を使って一元的に管理できる点になります。
まるちあか
ここからは、AWS Orgnizations が作成されていることを前提として進めていきます。

Resource Access Manager の設定

まず、 Resource Access Manager のコンソール画面 にアクセスし、左側のナビゲーションバーで「 設定」をクリックします。
Screenshot of the AWS Resource Access Manager side menu with settings, displayed in Japanese.

AWS Organizations との共有設定

次との共有を有効にする: AWS Organizations」にチェックを入れ、設定の保存をクリックします。
Screenshot of AWS Resource Access Manager settings page in Japanese, showing the option to enable sharing with AWS Organizations selected and the 'Save settings' button highlighted.

CloudFormation スタックの作成 (マルチアカウント)

続いて、冒頭で作成した AWS CloudFormation スタックの作成 ~シングルアカウントでデプロイする場合~ と同様の手順で CloudFormation スタックを作成します。

今回はシングルアカウントとマルチアカウントの作成方法の違いを紹介するため、以降の説明ではバージニア北部リージョンでスタックを作成します。

AWSコンソールの日本語UIにおける、スタックの詳細指定画面のスクリーンショット。『バージニア北部』リージョン選択が強調されている。

スタックの名前を入力 (マルチアカウント)

スタックの名前」に任意の名前 (例:WorkSpacesCostOptimizerMultiAccount) を入力します。
AWS CloudFormationのスタック作成画面で、スタック名に「WorkSpacesCostOptimizerMultiAccount」と入力されている日本語のインターフェースのスクリーンショット。

AWS Organizations ID と管理アカウント ID の取得

ページ下部に 「 AWS Organizations ID (組織 ID)」と「 AWS Organizations の管理アカウントのアカウント ID」を入力する箇所があるので、 AWS Organizations のコンソール画面 を別タブで開き、「 組織 ID」 と「 管理アカウントのアカウント ID」 を取得しておきます。
Screenshot of the AWS Organizations account management interface in Japanese, displaying organizational units and account structure for centralized account management.

組織 ID と管理アカウント ID の入力

CloudFormation スタック作成のタブに戻り、「組織 ID」 と「管理アカウントのアカウント ID」を入力し、「次へ」をクリックします。

以降は スタックのパラメータ設定 の手順と同じで CloudFormation をデプロイします。

Screenshot of the AWS interface for multi account deployment, showing fields to enter the Organization ID and the Management Account ID, with a highlighted next button. Some information is redacted for privacy.

スポークテンプレートスタックのデプロイ

続いて、Organizations のメンバーアカウントでスポークテンプレートスタックをデプロイします。AWS アカウントを Organizations のメンバーアカウントに切り替えた後、こちらのリンク をクリックします (実装ガイド のスポークテンプレートは 2024/4/1 現在、実行できないためドキュメントのリンクを使用します)。

その際、root アカウントと同じリージョンであることを確認しておきます (今回はバージニア北部リージョンを使用)。

以降は、デプロイ方法・設定方法 と同様の手順でデプロイしていきます。
これでメンバーアカウントでも Cost Optimizer を使えるようになりました。

メンバーアカウントの利用状況も、分析結果の確認 と同様の手順で確認できるようになっています。

Screenshot of the AWS CloudFormation console in Japanese, showing the stack details input screen for WorkSpaces Cost Optimizer configuration. The interface includes fields for stack name, hub account information, and logging level.

リソースの削除方法

Amazon WorkSpaces Cost Optimizer により作成されたリソースは、AWS CloudFormation のマネジメントコンソール画面 から「削除」を選択することで削除できます。

削除する場合には、root アカウント・メンバーアカウントの両方で削除してください。

Screenshot of the AWS CloudFormation console in Japanese, highlighting the 'WorkSpacesCostOptimizer' stack with a CREATE_COMPLETE status. The image shows a solution for automatically optimizing the cost of Amazon WorkSpaces, version 2.4.1.

S3 バケットの削除

Amazon S3 のマネジメントコンソール画面 にアクセスし、検索フィールドに、このソリューションのスタック名を入力すると、本ソリューションでデプロイされた S3 バケットが表示されますので、削除します。

Amazon S3 管理コンソールで WorkSpaces Cost Optimizer 用のバケットを検索し、選択および削除する手順を示した日本語の操作ガイド画面。

CloudWatch ログの削除

次に、 Amazon CloudWatch のマネジメントコンソール画面 にアクセスし、検索フィールドに、このソリューションのスタック名を入力すると、本ソリューションでデプロイされたロググループが表示されますので、削除します。

Screenshot of the AWS CloudWatch Log Groups interface in Japanese, showing how to search for and select the WorkSpacesCostOptimizer log group. Japanese annotations indicate steps such as entering the stack name, selecting the log group, and deleting the log group.

まとめ

今回の記事では「Amazon WorkSpaces Cost Optimizer」ソリューションの概要や使い方を紹介しました。CloudFormation を用いてデプロイするだけで、WorkSpaces の使用状況を分析し、コスト効率の高い実行モードに自動変更できることをご理解いただけたのではないかと思います。

AWS ソリューションは日々アップデートされており、例えば 2023 年 4 月から 2024 年 4 月の間には、4 度のアップデートがされています。アップデートされた際には、アカウントにデプロイしているソリューションもアップデートして、新機能をぜひ試してみてください!

本ソリューションを活用される際には、Amazon WorkSpaces Cost Optimizer の 実装ガイド もご一読頂ければと思います。

筆者・監修者プロフィール

Portrait of a young Asian man in a light shirt against a solid black background.

筆者プロフィール

鈴木 大樹
2023 年 4 月に入社したソリューションアーキテクト。好きなサービスは Amazon Aurora です。趣味は筋トレ、フットサルで、猫が好きです。猫と暮らすためにペット可の物件に引っ越したものの、迎えられず 1 年が経過しました。
A person smiling with a snowboard on a snowy mountain, wearing a winter jacket. The scene features a winter landscape with snow and a colorful sky in the background.

監修者プロフィール

山澤 良介
ソリューションアーキテクトとして、業種業態を問わず様々なお客様を支援させて頂いています。
前職では主にネットワーク案件を担当していたため、好きなサービスは、AWS Direct ConnectとAWS Transit Gatewayです。
休日はスノーボードが大好きなので、シーズン中は毎週スキー場に行っているほか、オフシーズン中もオフトレ施設に行っています。