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中外製薬、DX 戦略の中核に生成 AI を据えて業務革新を推進 Amazon Bedrock を活用して 6,000 人が利用する 生成 AI アシスタントを 2 か月で開発
製薬
概要
課題・ソリューション・導入効果
ビジネスの課題
デジタルトランスフォーメーション推進と生成 AI
中外製薬では、中長期の DX 戦略として「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を掲げ、戦略を実現するためのリード役をデジタルトランスフォーメーションユニットが担っており、全社横断でのソフト面・ハード面の基盤構築、研究開発をはじめとする各ビジネス部門の DX 支援や DX による共創を推進しています。アマゾン ウェブ サービス(AWS)を中核とした全社クラウド共通基盤「Chugai Cloud Infrastructure(CCI)」では、すでに数百のシステムが稼働しており、現在 85% 以上のシステムがクラウド上で稼働しています。
「当社は 2025 年に創業 100 周年を迎えます。生命関連企業である製薬企業として、国内外の法規制に準拠し、安全性と有効性に優れた医薬品を提供するように努めています。この変化が激しい時代において、私たちの想いを実現するにはデジタルトランスフォーメーション(DX)が欠かせません。特に生成 AI は、変革を牽引する強力なドライバー技術の一つと考えています」と、参与デジタルトランスフォーメーションユニット長の鈴木貴雄氏は語ります。
ソリューション
Chugai AI Assistant の内製開発と特徴
DX 推進の次のフェーズとして、中外製薬はアジャイル開発手法を活用した内製開発にチャレンジするとともに、同社はコアとなる基盤技術の一つとして生成 AI の利活用を推進しています。全社員向けの生成 AI 共通基盤である Chugai AI Assistant は、同社で初めてアジャイル開発手法を導入し、内製開発を行ったプロジェクトです。中外製薬は、AWS のコンサルティングサービスであるプロフェッショナルサービスがプロジェクトの成功に大きく寄与したと評価しています。
アプリケーションエンジニアとして同社初のアジャイル開発に携わった、デジタル戦略推進部 アジャイル開発推進グループの尾形遥介氏は、「中外製薬社員とプロフェッショナルサービスのメンバーでスクラムチームを組み、1 週間単位のスプリントで計画とレビューを行い、2 か月の開発期間で Chugai AI Assistant をローンチしました。プロフェッショナルサービスは、技術に精通したエキスパートが多く、さまざまなサポートを受けられるのが魅力です。プロジェクトを進める中で自身の成長を実感しています」と、高く評価しています。
また、本プロジェクトのインフラエンジニアであるデジタル戦略推進部 アジャイル開発推進グループの山田真也氏は、「中外製薬は最先端の多様な技術的な選択肢から、最適な技術を選んで導入したいというニーズを常に持っています。プロフェッショナルサービスは、要件にマッチした最適な技術を提案・導入することができます。質の高い Well-Architected に則った構成であることから、非常に安定して稼働しています。プロフェッショナルサービスのメンバーは非常に親身で、当社の内製開発においてもチームの一員として壁を感じることなく、活躍してくれています。プロフェッショナルサービスがあれば、さまざまなビジネスニーズに応えられると感じています」と述べています。
Chugai AI Assistant は全社クラウド共通基盤である CCI 上に構築されており、中核となるソリューションとして Amazon Bedrock を採用しています。
「当社のCCIは AWS がメインであり、私たち内製開発チームも AWS のスキルを持ったスタッフが多いため、AWS を中心に使うことが望ましいと考えました。Amazon Bedrock は多様な LLM(大規模言語モデル)を組み合わせることが可能で、めまぐるしく進化を遂げていく生成 AI 技術をうまく活用できるプラットフォームであると考えました。プロフェッショナルサービスの支援が強力なことも、Amazon Bedrock の活用を決断したポイントの一つです」と、本プロジェクトのプロダクトオーナーであるデジタル戦略推進部 アジャイル開発推進グループ 課長の田畑佑樹氏は振り返ります。
Chugai AI Assistant の特徴の一つとして、統一されたプラットフォームから複数の LLM を切り替えて使用できることが挙げられます。「LLM ごとに生成 AI のプラットフォームが乱立すると、ユーザー視点ではアクセシビリティの観点で不便になり、開発側の視点でも開発負荷が高くなってしまうことが想定されました。Chugai AI Assistant という一つのプラットフォームで複数の LLM を使い分けられるという特長は魅力的であり、また、現在においてもユーザーニーズを反映した週次のリリースを継続できています。例えば、プロンプトテンプレートの充実など UX 改善に取り組んでいます。加えて、Amazon Bedrock はリリース当初からオプトアウトの設定によって再学習を禁止する作りにできたことも、機密性が高い業務でもユーザーが安心して生成 AI を活用することに繋がった大きなポイントです」と、尾形氏は語ります。
導入効果
全社員の 8 割が 生成 AI 活用、RAG の多様な効果も大いに期待
Chugai AI Assistant の利用者は、2024 年 10 月時点で 6,000 人に達しています。現時点では、 Claude 3.5 Sonnet の人気が高く、ドキュメント作成やアイデア出しに活用されています。また、LLM が稼働するシンプルな Chat アプリ以外にも、Retrieval Augmented Generation(RAG)技術を Chugai AI Assistant に導入しており、社内データを活用した複数のユースケースで活用されています。例えば、治験計画届出後の照会対応における回答案の作成業務においては、従来、人の手による類似質問・類似事項の網羅的検索や回答案の作成に多くの時間を要するといった課題がありました。
RAG 技術を活用することで回答案のドラフトを短時間で作成できることから、担当者の業務サポートができ、約 57% の業務削減効果を得ることができました。RAG 技術の活用により、業務の属人化解消や、業務品質の担保、従業員の負荷軽減といった多様な効果が期待されています。
中外製薬のデジタルトランスフォーメーションをリードする鈴木氏は、生成 AI を活用してどのような価値を生み出すかが重要と強調します。「従来の生成 AI 活用は、業務効率化や生産性向上がメインでした。生成 AI は、自らの想いを新しいアイデアへ昇華したり、隠れた暗黙知を活用できたりと、革新を起こすことのできる技術だと確信しています。製薬企業の創薬研究・臨床開発・製造・販売の各領域で、さまざまなイノベーションを創出することができると考えています。AWS は、私たちのビジネスに寄り添ってくれるパートナーであり、今後もともに歩んでくれると期待しています」(鈴木氏
AWS の生成 AI サービス は中外製薬のイノベーションを支える中核となる技術です。製薬業界に精通したメンバーによる手厚いサポートを提供、AWS はビジネスに寄り添ってくれる重要なパートナーです
鈴木 貴雄 氏
中外製薬株式会社 参与 デジタルトランスフォーメーションユニット長アーキテクチャ
中外製薬株式会社
取組みの成果
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約 6,000 人 - Chugai AI Assistantを展開、全社員の約 80% にあたる約6,000 人が活用中
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約 57% - 社内データを RAG 技術で活用し、一例として約 57% の業務削減効果を実現
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AWS のサポートでアジャイル開発を推進、週次のリリース、スプリントを継続中
本事例のご担当者
鈴木 貴雄 氏
田畑 佑樹 氏
尾形 遥介 氏
山田 真也 氏
PDF版
ご利用中の主なサービス
Amazon Bedrock
Amazon Bedrock は、単一の API を介して AI21 Labs、Anthropic、Cohere、Meta、Mistral AI、Stability AI、および Amazon といった大手 AI 企業からの高性能な基盤モデル (FM) を選択できるフルマネージドサービスで、セキュリティ、プライバシー、責任ある AI を備えた生成 AI アプリケーションを構築するために必要な幅広い機能を提供します。