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モデルケースとして、グループの DX 戦略の加速に貢献
AWS との定例会によるクラウド推進移行体制の構築
概要
ダイセーグループの一員として、物流事業を展開するダイセーロジスティクス株式会社。グループの DX 戦略に則り、アマゾン ウェブ サービス(AWS)へのシステム移行を決定しました。ところが、移行にあたり何から始めたらいいかわからないという課題が顕在化。そこで、AWS IT トランスフォーメーションパッケージライト(ITX Lite)を活用し、スムーズな移行を実現しました。この取り組みがモデルケースとなり、グループ全体の DX 戦略の土台作りに貢献しています。
ビジネスの課題 | 物流の DX 推進に向けクラウド移行をどう進めるか戸惑う
関東を拠点に食品輸送、共同配送、3PL(Third Party Logistics、荷主の物流業務を荷主や運輸会社以外の第三者が包括的に受託するサービス)、アパレル物流の 4 つの物流サービスを提供するダイセーロジスティクス。同社がクラウド移行に踏み切った背景には、ダイセーグループ全体の DX 戦略がありました。
「物流業界はドライバーの時間外労働上限規制(物流の 2024 年問題)や恒常的なドライバー不足などで危機的な状況にあり、ビジネス環境の変化に対応するためには DX の推進が不可欠です。そこでダイセーグループは、2021 年に専門機関の DX 研究所を立ち上げ、新たなアプリやデジタルサービスを提供する“攻めの DX”と、基幹システムを内製化・共通化する“守りの DX”を打ち出しました」と語るのは、執行役員で情報システム担当の鈴木崇嗣氏です。
しかし、グループにとって DX 戦略は初めての試みであることから、まずは取り組みの土台となるモデルケースを作ることを決定。白羽の矢が立ったのがダイセーロジスティクスでした。「当社は、グループ全 43 社の中でも中心的な事業会社の 1 社です。10 名ほどの情報システム部門の要員を擁し、推進体制も整っていることからモデルケースに選ばれました」(鈴木氏)
同社は、モデルケースとして何を作るかではなく、どう作るかに焦点を当て、クラウド活用の考え方やクラウド移行の進め方を一通り体験し、成功パターンをグループ全体で共有する方針としました。クラウドサービスはグループの一部で採用実績のある AWS に決定したものの、クラウド移行に初めて取り組むにあたって、何から始めればいいか検討がつきませんでした。
複雑かつ多くのシステムが稼働する中、ITX Lite の活用により既存環境の見える化とクラウドの適合性の評価を実現し、クラウド移行の迅速な意思決定を行うことができました”
鈴木 崇嗣 氏
ダイセーロジスティクス株式会社 執行役員 情報システム担当
ソリューション | ITX Lite を活用し、定例会と定期的な勉強会を経て AWS クラウド に移行
そこで同社では、 クラウド移行をスムーズに進めるため、AWS に相談した際に提案された中堅・中小企業向けの移行支援プログラム『IT トランスフォーメーションパッケージライト(ITX Lite)』の採用を決めました。
AWS ではクラウド移行を評価、準備、移行の 3 フェーズで包括的にサポートしています。特に人材、知識、経験の不足に悩む中堅・中小企業向けの ITX Lite では、3 フェーズの包括支援はそのままに、お客様の負荷を軽減したパッケージを提供しています。評価フェーズでは現行システムの棚卸から、現状の課題の洗い出しや移行手順を推奨します。準備・移行フェーズでは課題に合わせた人材育成プランや技術支援も行います。
移行プロジェクトは、ダイセーロジスティクスの情報システム部と DX 研究所からのメンバーで構成された 3 名体制で 2022 年 8 月からスタート。AWS との月 1 回の定例会(オンライン)において、進め方の提案、構築のアドバイス、進捗のレビューなどを受けながら進めていきました。並行してクラウド移行の基礎知識を学ぶ AWS コアサービス勉強会をメンバー全員で受講し、さらにはプロジェクトメンバーのコアメンバー2 名が AWS のエキスパートからアーキテクチャについて学ぶクラスルームトレーニングを受講しました。
「定例会の中でこれまでクラウド移行が進まなかった要因は、移行を推進する組織体制が構築できていなかったことと、クラウド移行のスキル・人材不足にあることが明確になりました。プロジェクトが始まり、AWS から示された宿題に対し、3 名のプロジェクトメンバーが毎月正面から向き合っていくことで、クラウド移行の推進チームとして機能することができました。勉強会についてもリスキリングの場となり、クラウド人材の不足を補うことができました」(鈴木氏)
クラウド移行に際しては、定例会において社内で稼働している倉庫管理、運送管理などの業務システムや、販売管理、会計などの管理系システム、さまざまな Excel ファイルなど 100 以上のシステムを洗い出して一覧表を作成しました。その後、一覧表に優先順位や懸念事項などの項目を追加しながらディスカッションを重ね、AWS での運用に対する適合度、移行の難易度・優先度を分類。そこから“ 適合度が高く、難易度が高い” システムを抽出し、2 つのモデルケースで移行を実施しました。
モデルケースの 1 つめは、オンプレミス環境で稼働中のシステムを AWS 上にそのまま移設(リフト)するパターンとして IT 資産管理ソフトを選択し、システム環境の構築手順や運用ルールを標準化。2 つめは、AWS 上で新たなアプリを開発するパターンとして、Excel で作成していた車両管理台帳をアプリ化し、すべてのユーザーがアクセスできるようにしました。「ITX Lite において、最も有効だったのはシステムの洗い出しの工程でした。この考え方がグループ展開を進めて行くうえで、非常に価値の高いものになりました」(鈴木氏)
導入効果 | 停滞していたクラウド移行が加速し、社内にノウハウが蓄積
ITX Lite のプログラムは 2023 年 3 月に完了しました。同社にとって ITX Lite を採用した最大の価値は、停滞していたクラウド移行が前に進んだことにあります。
「複雑かつ多くのシステムが稼働する中、既存環境の見える化とクラウドの適合性の評価を実現し、クラウド移行の迅速な意思決定を行うことができました。同時に、ダイセーグループ 43 社が DX 戦略に取り組むためのモデルケースを構築することができました」(鈴木氏)
クラウド化によりコスト削減も実現し、システム構築時の初期コストは 5 年換算で 40% 削減できると試算しています。サーバー環境の構築に要するリードタイムも、オンプレミスの 2 か月から 2 週間程度に短縮できると見込んでいます。
同社は、その後も自社でクラウド移行を進め、2023 年 8 月時点で 1 つシステムを AWS 上にリフトし、5 つのアプリを AWS 上で新規開発したほか、新たにレガシーシステムの AWS 移行も開始しています。
AWS 移行のプロジェクトは、ダイセーグループがグループ全体で実施している『ダイセー DX 革命コンテスト』で特別賞を獲得しました。AWS Summit Tokyo 2023 で鈴木氏が発表した事例発表講演の模様とともにグループの社内報で取り上げられ、DX 戦略の土台を作った成果としてグループから大きな反響が寄せられました。
現在、グループ全体のクラウド移行は、DX研究所が主体となって行っており、今後は、ダイセーロジスティクスのモデルケースをベースに、AWS 移行のノウハウをグループ全体で共有していく計画です。
「これまでの取り組み中で、クラウド人材の育成と、ガイドラインの策定という 2 つの課題が見えてきました。そこで、クラウド人材を育成する勉強会やトレーニングをグループ全体に展開することや、システム環境やフレームワークをグループで標準化するガイドラインの作成などの DX 戦略に取り組んでいきます。AWS には引き続き、クラウド化を加速させるための支援とクラウド人材の育成面での支援を期待しています」(鈴木氏)
企業概要 : ダイセーロジスティクス株式会社
貨物自動車運送・倉庫事業を中心に、自動車整備事業・中古車販売事業から、電気工事事業、リサイクル事業、インターネット事業、食品事業まで幅広く事業を展開するダイセーグループの事業会社。東京都文京区に本社を置き、関東を拠点に食品輸送、共同配送、3PL、アパレル物流の 4 事業を展開。
鈴木 崇嗣 氏
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