2023 年
富士通株式会社

富士通、グローバル 12.4 万人超の社員が利用するデータ活用プラットフォームを構築し、データドリブンによる未来予測型経営へ変革

2 万 7,000 人

データ活用基盤の利用者数

約 140 部門

データ活用基盤の利用部門数

3 か月

グローバル商談パイプライン管理のサービスリリース期間

チェンジマネジメントの加速

セントラルレポーティングの実現

概要

2020 年より、全社 DX プロジェクト『Fujitsu Transformation(フジトラ)』を推進する富士通。同社はデータドリブン経営の実現に向けてグローバル 4 リージョンが利用するデータ活用プラットフォームをアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に構築し、2022 年 4 月から稼動開始しました。すでにグローバル商談パイプライン管理サービスを 3 か月でリリースして日次のデータ更新を実現するなど、社内カルチャーの変革が始まっています。

課題 | データドリブン経営に向けて、全社のデータ活用プラットフォームである OneData を構築

「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスに掲げる富士通。2021 年に立ち上げた『Fujitsu Uvance(ユーバンス)』ではサステナブルな世界の実現に向けて、社会課題の解決にフォーカスしたビジネスを推進しています。「Fujitsu Uvance の重点注力分野には 2030 年の社会を想定したクロスインダストリーのバーティカル 4 分野と、それらを支えるテクノロジーケイパビリティーのホリゾンタル 3 分野を定めており、そのうちの 1 つがデータドリブンと働き方改革からなる『Digital Shifts(デジタルシフト)』です」と、Solution Service Strategic 本部 Co-Headの青柳一郎氏は語ります。

データドリブン経営は、『フジトラ』の主要テーマにもなっています。その具体的な施策『OneFujitsu』プログラムで、4 つのリージョン・グループの経営、業務プロセス、データ、IT の標準化と、1 機能 1 システム(OneERP+、OneCRM など)の実現を目指しています。「未来の予測が難しい VUCA 時代は、これまでの経験や知見に基づいた対応だけで生き残ることはできません。ファクトベースで経営を実践し、将来を見据えた未来予測型経営へ変革することがデータドリブンの狙いです」(青柳氏)

2021 年にはあらたな組織であるデータアナリティクスセンター(DAC)を立ち上げた他、データ利活用のためのプラットフォーム整備を推進する『OneData』を開始。ビジネスマネジメント本部 データアナリティクスセンター長の池田栄次氏は「DAC は経営や現場に近いところでデータの利活用を推進し、OneData の徹底活用に加え、社内のカルチャー変革やデータ人材の育成をリードする役割を担っています」と説明します。

プロジェクト推進にあたり、課題に挙がったのが全社横断的なデータの活用です。従来は事業部やグループ単位のデータウェアハウスにデータが分散していたため、全社共通のプラットフォーム構築が不可欠でした。デジタルシステムプラットフォーム本部 Enabling Technologies シニアディレクターの土井慶之氏は「分析業務を効率化し、これまで見えてこなかった事業部門ごとの関連性を発見することが狙いです」と語ります。

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AWS にはデータ活用プラットフォームのグローバル展開に向けた強力なサポート力、あらゆるデータを管理・分析するためのスケーラビリティや他社とのパートナーシップの広さも期待しています”

青柳 一郎 氏
富士通株式会社 Solution Service Strategic 本部 Co-Head

ソリューション | データ収集から活用まで一貫したアーキテクチャを AWS で実現

富士通は、データ活用プラットフォームの構築に AWS を採用。主要クラウドサービスを比較する中で着目したのが、オーケストレーション機能の AWS Lake Formation でした。

「データセキュリティを重視した際、アクセス制御を行う権限管理機能とモニタリング機能を持つ AWS Lake Formation のようなサービスは他社になく、選定の決め手となりました」(土井氏)

2021 年 7 月から開始した OneData プロジェクトは、2022 年 4 月にデータ活用プラットフォームの構築を終えて主に日本国内グループ向けに提供を開始。まずはデータドリブンの検討が先行していたマーケティングや内部監査など 3 部門からスモールスタートしました。

アーキテクチャは、サーバーレス / マネージドサービスを基本に、データ収集から加工処理、分析、オーケストレーション、データレイク、活用ツールまで AWS のサービス中心に構成。グローバル展開を見据えてインフラ構築はコード化(IaC)してサービス変更やユーザーへの払い出しを自動化しています。

構築時は AWS プロフェッショナルサービスにアーキテクチャの構成から AWS Lake Formation の使い方、セキュリティ等までアドバイスを受けながらプロジェクトを進めました。

「最終的にグローバル展開して約 12.4 万人の全社員が利用するには、数多くのシステムを連携させる必要があります。しかし、社内の AWS のスキル保持者が限られ、また、グローバル展開の経験も十分でない状況から、AWS プロフェッショナルサービスを利用することを判断しました。OneData をリリースした後もユーザーへの教育支援、活用のサポートなどで継続的に支援をいただきながら社内展開を進めています」(土井氏)

アーキテクチャ

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導入効果 | チェンジマネジメントが進み、データ利活用が活発化

2023 年 5 月時点でデータ活用基盤の利用部門は約 140 まで増え、利用者は約 27,000 人に達しています。データ連携システムは約 40、ダッシュボードは約 250、データカタログも約 250 と大幅に拡大。DAC を中心としたプロジェクトチームは、利用者拡大に向けて粘り強く啓蒙活動を展開し、ポータルサイトで成功事例を紹介するなど浸透を図ってきました。その結果、社内ではチェンジマネジメントが進み、各部門におけるデータ活用の動きが活発化しています。「データを使いたい、BI ツールを使いたいといった問い合わせが 2022 年度だけで 100 件以上あり、現場の意識は確実に高まっています。利用者がより自由にデータ活用ができるスキルを習得する機会を提供することで、全社的なデータドリブンの戦略とアラインしながらも、各部門がセルフで機動的にデータ活用に取り組めるようにすることがこれからの課題です」(池田氏)

ユースケースはさまざまですが、営業部門における商談のパイプライン管理、SI 部門におけるエンジニアのリソースアサインメント、ハードウェア保守部門における保守部品配置の最適化などに利用され、業務の効率化に貢献しています。中でも大きな成果として現れているのが、グローバル商談パイプラインの管理です。データ活用プラットフォームである OneData 上に 3 か月でサービスをリリースし、月次のデータ更新を日次のデータ更新に短縮。現場ではデータを見ながら主要アカウントに対して効果的なマネジメントを実践しています。

「日次でパイプラインの更新状況を追いかけることで判断のスピードが速くなり、対策が立てやすくなりました。セントラルレポーティングを実現し、グローバル 4 リージョンを横断的かつ一貫性を持ったビューで見られるメリットも大きく、データに基づく先を見通した判断、アクション実行へとシフトしています」(池田氏)

今後は GDPR への対応など、海外リージョンの個別要件に対応しながらグローバル展開を加速させ、富士通グループの約 12.4 万人すべてがデータ利活用できる環境を整備していく予定です。データ活用プラットフォームについても、AWS の新しいデータ管理サービス Amazon DataZone を活用してより利用しやすいデータの実現を目指し、組織の枠を越えたデータ活用やセルフサービス化を進める方針です。また、将来の見通しや未来予測に向けて AI/ML によるデータ利活用の高度化や Amazon SageMaker Studio の導入も見据えています。

「AWS にはグローバル展開に向けたサポート力と、あらゆるデータを管理・分析するためのスケーラビリティと安定性に期待しています。富士通ではパートナーシップの拡大も重要なファクターであり、他社サービスとの接続性強化も進めていきます」(青柳氏)

カスタマープロフィール: 富士通株式会社

世界をリードする DX パートナーとして、サービスソリューション、ハードウェアソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューションの事業セグメントで、幅広い領域のサービス、ソリューション、プロダクトを提供。国内外あわせて約 12.4 万人のグループ社員が、世界 100 か国の顧客の DX 実現をサポートしている。2022 年度の売上収益は 3 兆 7,137 億円、IT サービス分野では国内1 位、世界で 10 位の売上高を誇る。

青柳 一郎 氏

青柳 一郎 氏

池田 栄次 氏

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