AWS のコスト最適化支援施策の活用で懸念事項を払拭
コスト 40% 減・生産性 30% 向上の試算により 1,000VM・120 サービスのフルクラウド化を決断

2022

コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を運営するアイスタイルは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を EC サイトのオフロードなどに活用しています。オンプレミスシステムの限界と将来的な市場やビジネスの変化を鑑みれば、フルクラウド化が望ましいものの、コストの増大が懸念されていました。そこで AWS のコスト最適化支援施策を活用し、既存環境のコスト最適化と移行後のコスト削減・生産性向上を試算したところ、高い効果が得られることを確認。提示されたアクションプランに則ってクイックに 10% のコスト削減に成功。全面移行にも踏み切りました。

AWS 導入事例  | 株式会社アイスタイル
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コスト最適化支援施策で詳細な数値が得られ、実際に数字どおりの効果が得られました。AWS は手厚いサポートも魅力で、信頼できるパートナーです。プロフェッショナルの力を借りながら、新しいチャレンジに取り組んでいきたいと考えています

近藤俊太郎氏
株式会社アイスタイル
T&C開発センター センター長 兼 VPoE

日本最大級コスメ・美容の総合サイト

大人気でシステム負荷が課題に

アイスタイルは、化粧品に関する生活者情報をデータベース化して企業のマーケティング活動を支援する目的で 1999 年に設立し、クチコミやブログなどを提供するコスメ・美容の総合サイト「@cosme」をオープンしました。現在は、コスメ・美容に関する情報を提供するだけでなく、公式通販「@cosme SHOPPING」やリアル店舗「@cosme STORE」を運営しています。

「@cosme」は、他のユーザーが商品の良いところも悪いところも率直に書いたレビューを、自分と似た肌質や年齢の人などの条件で検索して参考にしたり、いま人気のコスメをランキング形式でみたりしながら、自分に最適なコスメ・美容を探し、気になる商品を購入できる点が特徴です。登録会員数は約 700 万人、商品情報は約 40 万アイテムを数え、日本最大級のコスメ・美容の総合サイトとして高く評価されています。
「当社では、『@cosme』に参加しているユーザーやブランドの期待へどのように応えていくか、どのようにビジネスをサポートしていくかという点に主眼を置いてサービスを提供しています。バックエンドは先端 IT を活用しつつ、ユーザーには常に利用しやすいサービスを心がけています」と、アイスタイル T&C開発センター センター長 兼 VPoE の近藤俊太郎氏は語ります。

「@cosme」はオープン以来、順調に連続的な成長を続けてきました。しかし近年、消費者や市場の環境が急激に変化する中、“非連続”な事象が多発するようになってきました。例えば、3 年前に始めた EC のスペシャルイベント「@cosme BEAUTY DAY」では、限定アイテムや予約販売などのサービスが人気を博し、イベントのたびにスパイクアクセスが生じます。また、EC サイトの需要が伸び、アクセス数が急激に増大しています。このほかにも化粧品ブランドなどとの連携で、先行発売や独占販売などを実施するケースが増え、そのたびに急増するアクセスに対処する必要がありました。

そこで、アイスタイルは長期的なコストの削減と人的リソース不足への対応を目的に、クラウド化を検討。まずは EC サイトのオフロード用として AWS を利用することを決断しました。

クラウドの活用によって、スパイクアクセスを問題なくさばけるようになりました。しかし、当時のバックエンドのオンプレミスシステムには依然として高い負荷がかかっていました。そのため同社は、フルクラウド化を強く意識するようになりました。

コスト最適化支援施策でフルクラウド化への道が開ける

アイスタイルでは、AWS を用いてシステムをフルクラウド化したときのコストを自社で試算しました。しかし、そこでは予算に見合った数字には至らず、移行を諦めかけていました。

「AWS は柔軟で使いやすく、急激なピークであっても余裕をもって対処できる魅力があります。フルクラウド化できれば理想的ですが、当社の試算ではかなり高額になってしまいました。その後、AWS が提供しているコスト最適化支援施策によって既存環境のコスト最適化と移行後のコスト削減・生産性向上の効果を詳細に試算できることを知りました。そこで、IT 資産全体のコスト最適化を図れるのであれば、フルクラウド化も実現できると考えました」とアイスタイル T&C開発センター 副センター長 兼 CTO の松田進也氏は振り返ります。

まず AWS Cloud Financial Management(CFM)を用いて、稼働中の既存環境について分析したところ、ダウンサイジングできる余地があり、Amazon EBS gp3 への移行やリザーブドインスタンス/セービングプランの適用拡大など、単純な変更でクイックに 10% のコスト削減が可能であることがわかりました。AWS からは、クイックな施策に加えて、段階的に取り組むべき具体的なアクションプランが提示されました。

アイスタイルでさっそく取り組んだところ、翌月の費用で確かに 10% の削減効果が得られました。現在も、アクションプランに則った最適化を継続しており、提示された効果がしっかり発揮されているとのことです。

全面移行の決め手になったのは、AWS のクラウドエコノミクスです。これは、既存のオンプレミス環境を AWS へ移行したときのインフラの費用やオペレーションの効率性を細かに計算し、コスト削減効果や生産性向上効果を移行前に正確に算出できるサービスです。その結果、AWS Migration Acceleration Program(MAP)を併用して移行すれば、約 40% のコスト削減と、30% の生産性向上効果が期待できることがわかりました。
「手元でコストを試算するのは非常に困難で、単純な計算しかできず、あいまいで表層的な結果しか出てきません。しかし、AWS のレポートは非常に細かく、正確な数値で効果を示してくれるため、安心感がありました」(松田氏)

開発チームや人材の強化を図り快適で新しいサービスを創出

アイスタイルでは、AWS を全面的に活用することで、開発チームにも変化が出はじめています。スタッフはクラウド技術の活用に積極的で、トレーニングやハンズオンで AWS を学び、システムの本質から理解して守備範囲を広げています。AWS は、セキュリティを含めて用意されているものを素早く利用できるところが魅力で、「挑戦や改革に対するハードルが下がった」と高く評価しています。
「AWS は、導入時の取り組みのときも、親身になってサポートしてくれました。導入前ですら非常に手厚く、運用開始後も継続的な支援を提供してくれます。当社は最初から内製にこだわってきましたが、AWS のようなプロフェッショナルといっしょに取り組むことで、新しいチャレンジに集中できる環境を手に入れられたと実感しています」(近藤氏)

 アイスタイルでは、ビジネスの基盤となる IT インフラをフルクラウド化したことで、さまざまな取り組みが可能になると考えています。5 年、10 年ではなく 1 ~ 2 年の短いスパンで、ニーズや市場に合わせて大胆に変えていけること、事業の幅を広げていけることが、最大のメリットだと、近藤氏は述べます。
 「AWS にはさまざまなサービス・機能が用意されており、積極的に活用したいと考えています。AWS で新しいことができるようになれば、エンジニアも楽しいと思います。今後も開発チームや人材の強化に努めて、快適で新しいサービスを創出していきたいと考えています」(近藤氏)

近藤 俊太郎 氏

松田 進也 氏


カスタマープロフィール:株式会社アイスタイル

  • 設立: 1999 年 7 月
  • 資本金: 47 億 5,600 万円(2021 年 6 月末日現在)
  • 従業員数: 1,009 名(連結、2021 年 6 月 末日現在)
  • 事業内容:美容系総合ポータルサイト『@cosme(アットコスメ)』の企画・運営、関連広告サービスの提供

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 設定等の見直しでクイックに 10% のコスト削減
  • 既存環境の移行で 40% のコスト削減、30% の生産性向上
  • 3 ヶ月間の取り組みで IT 資産全体の最適化効果を試算

ご利用中の主なサービス

AWS Migration Acceleration Program (MAP)

AWS Migration Acceleration Program (MAP) は、移行の工程に取り組む企業が、既存のワークロードをアマゾン ウェブ サービスに移行することで、ビジネス上のさまざまなメリットを得られるよう作成されました。MAP はコンサルタントサポート、トレーニング、サービスクレジットを提供するために始めたもので、クラウドへの移行のリスクを軽減し、強固な運用基盤を構築し、移行の初期コスト軽減の役に立つことを意図しています。

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Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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Amazon Aurora

Amazon Aurora は、MySQL および PostgreSQL と互換性のあるクラウド向けのリレーショナルデータベースであり、従来のエンタープライズデータベースのパフォーマンスと可用性に加え、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率性も兼ね備えています。

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Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。

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