お客様事例/ホームセンター事業、建築職人向け小売、建材卸売など

2023 年
コーナン商事株式会社

コーナン商事、基幹システムや POS システムなど IT システムの全体をクラウド移行

データ収集基盤も整備し、さらなる価値提供へ

IT 投資効果の向上

店舗運営の効率化

インフラ状況の把握が容易に

概要

ホームセンターやリフォーム、EC サイトなど多様な事業を展開するコーナン商事株式会社。売上規模の拡大や財務体質強化の一環として、2019 年ごろから IT システムをクラウドに移行することを決定し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を選定しました。さらに基幹システムの更改時期に合わせ、商品情報データや店舗 POS システム、事業別の各種 IT システムなどのクラウド化を推進。IT への投資効果を高めながら、データ活用・分析のための基盤も整備しています。

コーナン商事株式会社

ビジネスの課題 | デジタル基盤整備に向け IT インフラのクラウド化を決断

1978 年、近畿圏のホームセンターの草分けとして誕生したコーナン商事。DIY やガーデニング需要に応えながら着実にビジネスを全国規模に拡大して、2021 年度にはグループ 500 店舗を達成。現在はキャンプ用品専門店やリフォーム事業、EC サイト、建築関係者向け小売事業や会員制建築資材の卸売業など、多面的な展開をしています。長期ビジョン『New Stage 2025』の実現に向けて 2021 年に策定した第 3 次中期経営計画では、商品開発や店舗業務の効率化、店舗のデジタル化などの戦略を策定 / 実行しています。

同社の社内システムや通信ネットワークのインフラの維持管理から新システム開発のサポートを行ってきたシステム企画部は現在、各種システムのインフラをクラウドに移行するプロジェクトを推進しています。

「クラウド利用について検討を始めたのは 2019 年ごろです。それ以前も検討はしましたが、投資対効果に懸念があって見送っていました。各部門からは、事業の変化に応じたシステムの改修要望が寄せられていましたが、基本的に外注していた従来システムの保守費用などもあり、投資を拡大することは困難でした」と語るのはシステム企画部 副部長の亀井学氏です。

また、長期ビジョン達成を支えるシステム見直しを進言したことをきっかけに IT に深く関わることになったとデジタル戦略室長の前川宏明氏は語ります。「IT 投資について、ほかの小売事業者のクラウド活用方針などもリサーチし、また基幹システムの更改の時期も控えていましたので、当社も IT 改革をしていくなら社内で中心となってベンダーを選定する方向に切り替えました。いまある基幹システムのデータをクラウドへ移し、その資産を活かしながら攻めのデジタル活用をするほうが投資対効果を得られると考えたのです。AWS を選んだのは、基幹システムも含めた運用実績が豊富で、当社で使用していた商用データベースも利用できるからです」

同社は 2020 年ごろから基幹システムのクラウド移行を開始。加えて商品情報や売上・在庫データを集約するデータレイクや、リフォーム事業などのシステムを次々と AWS 上に展開していきました。「AWS は多くのシステムベンダーが取り扱えるので、システム構築を並行して実施できました」と亀井氏は語ります。社内ネットワークからクラウド環境への接続には AWS Direct Connect を利用し、Amazon EC2Amazon RDSAWS Lambda などで構成したシステムはマルチ AZ 構成で冗長性を確保。同社は 2022 年 11 月現在、20 種ほどのシステムのうち 9 種のシステムを AWS に移行しています。その他のクラウドも利用しているほか、残りのシステムもリプレース時のクラウド化を検討中です。

kr_quotemark

Amazon CloudWatch によるリソース管理ができるようになったことで、システム処理を自分たちのものとして理解し、この先の運用や予測を行うという意識改革につながっています”

亀井 学 氏
コーナン商事株式会社 システム企画部 副部長

ソリューション | POS システムのクラウド化も実現し、効率的な販売データの管理・活用を実現

AWS に移行したシステムの中には、約 430 店舗を擁するホームセンター「コーナン」の約 4,000 台近い POS レジの仕組みもあります。従来の POS は店舗ごとに販売データを管理、日次で集計してデータを統合していました。また、他のシステムとの連携がなされておらず、販売データをうまく活用できていませんでした。そこで選んだのが AWS 上で動作できる NEC 提供の小売業向け POS ソリューション『NeoSarf/POS』です。亀井氏は「新たな POS には各店の POS 用サーバーを統合することと、AWS 上で動作するという要件を設定しました。以前は各店舗に POS 用サーバーを設置していましたが、クラウド化によりその必要はなくなり、新店を出店する際もサーバーの購入費の削減や作業のスピードアップが可能となりました。レジの操作画面がわかりやすいことも重視しました」と選択理由を語ります。レジ端末の入れ替えは入念な計画のもと実施され、店舗の販売データをリアルタイムに集約できる環境が整備されました。

データ集約の目的は、データ連携によるさらなる効率化や価値の創造です。従来の基幹システムはデータを溜めていくことが得意ではなく、業務運用のために整理されたデータを扱っていました。販売レシート 1 枚単位という細かい粒度での情報管理や分析が困難でした。そこで AWS 上にデータレイクを構築し、API によってさまざまなデータを取り出せる仕組みを構築。「データレイクの活用については稼働後のこの 2 年ほど、AWS の担当者から勉強会を隔週で開催してもらい、協力会社とともに参加しています」(前川氏)

導入効果 | 運用 / コスト負担軽減とデータレイク構築でデジタル活用を加速へ

クラウド移行後の効果について亀井氏は、機器の調達や運用・監視の負担軽減と意識の変化を挙げます。「クラウド化によって調達業務の負荷は最小限になり、Amazon CloudWatch によって自分たちでリソース監視ができるようになりました。外注先に運用状況を後追いで知らせてもらう形から、メトリクスやダッシュボードを使って見たいときに CPU の稼働率などを見られるようになりました。システム処理を自分たちのものとして理解し、この先の運用や予測を行うという意識改革につながっています」

なお、同社のシステム部門は従来「システム部」という名称で保守運用を主に行っていましたが、これからはデジタル化戦略のためのシステムを企画・構築をするという意味で「システム企画部」と名称を変えました。AWS の導入によって物理ハードウェアの調達や運用などの附帯業務が軽減され、まさに企画業務に集中できるようになっています。前川氏も、数年ごとの基幹システム更改に費やしてきた労力を軽減できることを歓迎しています。「すべてのシステムのクラウド移行はまだ終わっていませんが、数年ごとのシステム更改の費用が発生しなくなれば、他のシステムへの投資が可能です。これまでトータルな投資対効果の面で採用ができなかったシステムも承認を得やすくなるでしょう」

クラウド移行による基盤整備は、これまで難しかった業務処理の改善につながっています。例えば従来は電話やファクス、紙の書類によって手続きしていた店頭でのリフォーム費用の売上計上処理を、AWS 上に展開した新しい POS システムとリフォームシステムのデータ連携によって、自動で計上できるようになりました。現在、EC サイトを再構築中ですが、これも POS と連携させる予定です。さらにコーナン商事では、AWS で構築したデータレイクを活用してデータ連携・分析を推進していく方針です。前川氏は、「すべての経営活動を『お客様視点』に転換する戦略を実行しています。そのためには、数値の分析やお客様が求めるサービスの強化が必要で、それを可能にするシステムを企画していきたいです」と語ります。亀井氏も「お客様のニーズを実現する手段として、データ基盤は強力な武器となります。これからも AWS のサポートを得ながら、新しい技術に挑戦していきたいです」と語るように、コーナン商事のデータ活用はさらなるビジネスの進化へとつながっていきます。

カスタマープロフィール: コーナン商事株式会社

ホームセンター「コーナン」の運営のほか、建築職人向け小売事業や会員制建築資材の卸売業を展開。2022 年 8 月現在、グループで 521 店舗を展開し、長期ビジョン「New Stage 2025」では、ありたい姿を「誰からも愛される、日本を代表する住まいと暮らしの総合企業」と定めている。その実現のためにプライベートブランド開発やデジタル変革に注力し、顧客への提供価値向上・店舗業務の効率化に努めている。

亀井 学 氏

亀井 学 氏

前川 宏明 氏

前川 宏明 氏


AWS プレミアティア サービスパートナー

日本電気株式会社

NEC は、AI や IoT などさまざまなテクノロジーを活用したデジタルトランスフォーメーションにより、安全・安心で効率・公平な都市実現を支える NEC Safer Cities と、人・モノ・プロセスをバリューチェーン全体で共有し新たな価値を生み出す NEC Value Chain Innovation の提供に取り組んでいる。AWS プレミアティア サービスパートナーに認定されている実績、経験を活かし、お客様のデジタルトランスフォーメーションの実現をサポートしている。

日本電気株式会社

ご利用中の主なサービス

Amazon RDS

Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) は、クラウド内でデータベースのセットアップ、運用、およびスケールを簡単に行うことのできるマネージド型サービスの集合体です。

詳細はこちら »

AWS Lambda

AWS Lambda は、サーバーレスでイベント駆動型のコンピューティングサービスであり、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、事実上あらゆるタイプのアプリケーションやバックエンドサービスのコードを実行することができます。

詳細はこちら »

Amazon Aurora

Amazon Aurora は、組み込みのセキュリティ、継続的なバックアップ、サーバーレスコンピューティング、最大 15 のリードレプリカ、自動化されたマルチリージョンレプリケーション、および他の AWS のサービスとの統合を提供します。

詳細はこちら »

AWS Direct Connect

AWS Direct Connect クラウドサービスは、AWS リソースにつながる最短のパスです。ネットワークトラフィックは転送中に AWS グローバルネットワークに残り、公開インターネットにアクセスすることはありません。

詳細はこちら »

今すぐ始める

あらゆる業界のさまざまな規模の組織が AWS を活用してビジネスを変革し、日々ミッションを遂行しています。当社のエキスパートにお問い合わせいただき、今すぐ AWS ジャーニーを開始しましょう。