顧客との信頼を支える新たな IT 資産管理システムをオンプレミスの 10 分の 1 のコストで AWS 上に構築
事業拠点の拡張やリモートワーク対応にも大きな効果

2021

石油分野をはじめとするプラントを中心に、機械設計のスペシャリストとして多くのエンジニアリング企業を支え続ける株式会社九州機設。近年における事業領域の拡大や新たな海外拠点の設立、またコロナ禍に伴うリモートワーク対応の中で同社にとって課題となっていたのが、顧客に納品する設計データなどを扱うクライアント PC などの IT 資産管理でした。その解決策として、同社はエムオーテックス株式会社が提供する IT 資産管理システム「LanScope Cat」を AWS クラウド環境上に実装。オンプレミスと比べて 10 分の 1 のコストで新たな IT 資産管理基盤を構築するとともに、顧客との信頼を支えるセキュリティやデータガバナンスの強化を実現しました。

AWS 導入事例  | 株式会社九州機設
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AWS という安定したクラウド上で新たな IT 資産管理システムを構築できたことで、業務の信頼性が向上したことに加えて、ハードウェアの管理負荷からも解放され、限られた人的リソースをより重要な業務にシフトできるようになったことは大きな成果です

加治 耕二 氏
株式会社九州機設
代表取締役社長 

拠点の拡張、リモートワーク対応に伴ってますます重要になる PC などの IT 資産管理

ガソリン、鉄、プラスチック、化学繊維、医薬品など、私たちの暮らしを支えるさまざまな製品を生み出すプラントの機械設計をコア事業として、多くの顧客から高く評価される株式会社九州機設。同社が手がけるプラントの約 6 割は海外であり、その活躍の場は ASEAN 諸国やアメリカ、ヨーロッパなど世界各国に広がっています。

「この数年、設計図の納品は紙から電子データに移行し、当社のお客様であるゼネコンやメーカー各社も多くがクラウドを活用するようになっています。こうした環境の中で、当社においても機密性の高いデータのセキュリティ対策を踏まえたクラウド活用を推進し、数年前には基幹システムの SaaS 移行を完了しました」と語るのは、同社の代表取締役社長を務める加治耕二氏です。

2021 年にはミャンマーに現地法人の設立を予定するなど、順調に事業を拡大する同社にとって次の課題となったのは、社内のクライアント PC などの IT 資産管理でした。この点について、総務課 課長の由良信明氏は次のように話します。
「海外の拠点拡張以外にも、今後は国内におけるサテライトオフィスの設置も考えていることから、PC などの IT 資産管理はますます重要になります。そのような背景から、数年前から IT 資産管理システムの導入の検討を行ってきましたが、コロナ禍の影響で 2020 年 4 月から当社の約 20 名の設計技術者が在宅で業務を行うことになり、急務の課題となりました」

オンプレミスの 10 分の 1 のコストで新たな IT 資産管理基盤を AWS 上に構築

いくつかのベンダーから提案を募ったところ、九州機設が求めるソフトウェアとしての要件に最も適していたのが、エムオーテックス株式会社が提供する IT 資産管理システム「LanScope Cat」でした。しかも、AWS のテクノロジーパートナーでもある同社の「LanScope Cat」は、AWS クラウド環境上でも多くの稼働実績があります。総務課 IT 担当の中井健太郎氏は、選定の経緯について次のように説明します。
「政府や大企業が導入している点を踏まえても、AWS は安定性や拡張性、またセキュリティ面での信頼性といった点では問題ないと考えていましたが、一方でコストが割高になるのではないかという不安がありました。しかし、オンプレミスを前提とした見積もりが機器のコストだけで約 170 万円であったのに対して、Amazon EC2 インスタンスなどにかかるコストは月額で 1 万 7,000 円程度でした。また、私たちは中堅・中小企業ということもあって、人的なリソースが限られています。その点について AWS の担当者とも話をしたところ、さまざまなアドバイスをもらえたことから運用上の不安も払拭することができました」

その後、2020 年 7 月から約 1 ヶ月間で行った試験運用での良好な結果を受けて、AWS クラウドを基盤とした「LanScope Cat」の正式採用を決定した同社では、10 月から本番環境の構築に着手し、11 月から無事に運用を開始しています。

導入パートナーとしてこのプロジェクトを支援したエムオーテックス株式会社の下準平氏は「新たな投資に見合った価値を引き出そうという九州機設様の熱意にクラウドならではのメリットも加わって、短期間での導入を実現することができました。数多くの中堅・中小企業様にご採用いただいている『LanScope Cat』ですが、その中でも AWS を活用した今回のプロジェクトは、貴重なモデルケースになると考えています」と話します。

業務の信頼性の担保と同時に人的リソースのシフトも可能に

LanScope Cat を導入する以前、九州機設では PC などの IT 資産管理を Excel で作成した管理台帳で行っていました。しかし、そこで管理されていたのはコンピュータ名、利用者、IP アドレスといった基本情報が中心で、新たな PC を購入した際や何かのイベントが発生した際にだけ更新するという運用でした。
「お客様に納品する設計データなどを扱う PC は、本来であればセキュリティ要件も含めて、すべてで同等の環境が維持されていなければいけません。LanScope Cat を導入した現在は、CPU やメモリ、OS やインストールしたアプリケーションのバージョンといった最新情報を一元的に把握することができます。また、誰がいつ、どのデータを操作したかといった情報もすぐにわかることで、お客様との取引を支える業務の信頼性が担保されるようになりました」(由良氏)

同様に加治社長も、経営的な視点での効果について次のように評価します。
「そもそも業務を支えるシステム運用は、サーバーの管理も含めて人手に依存することは望ましくありません。今回、AWS という安定したクラウド基盤上で、新たなIT資産管理システムを構築できたことでハードウェアの管理負荷から解放され、限られた人的リソースをより重要な業務にシフトできるようになったことは大きな成果です」

顧客に納品する CAD データなど重要な業務資産のクラウド移行も検討

今後について、九州機設では次なるクラウド活用の課題として、CAD データなどのデータ管理を挙げています。本社の建屋は 3 棟あり、現在はそれぞれにネットワークストレージが設置され、物理的なケーブルを介してアクセスできる環境が構築されています。しかし、テレワークの恒常化やさらなる拠点の増設を考えると、これらの業務データはクラウド上に移行し、物理的な拠点の制約に縛られない環境を整備していく必要があります。

「すでにストレージサービスも利用していますが、転送速度などのパフォーマンスは十分ではないため、マネージド型のファイルサーバーAmazon FSx for Windows Server を使えば BCP の観点からも有効であることから、現在移行の検討をしています」(中井氏)

事業の成長段階に応じて、セキュリティや IT 資産管理の品質を高めていくことは必然的な課題です。AWS の活用によって、その実現に向けた第一歩を踏み出した九州機設。加治社長自身が「AWS の本格的な活用はまだ始まったばかりですが、私たちのような中堅・中小企業の業務課題、経営課題の解決策として、AWS の技術には今後も期待を寄せています」と話す通り、AWS のクラウドソリューションはこれからも同社の事業の成長において、大きな貢献を果たしていくはずです。

加治 耕二 氏

由良 信明 氏

中井 健太郎 氏


カスタマープロフィール:株式会社九州機設

  • 設立年月:1979 年 1 月
  • 従業員数:77 名
  • 事業内容:化学及び製鉄プラントの機械、装置、設備の設計など

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 社内 PC のリアルタイムな状況把握
  • Excel を利用していた PC 管理台帳が不要に
  • ハードウェアの管理負荷の解消
  • 限られた人的リソースをより重要な業務にシフト
  • CAD データを格納するファイルサーバーの移行も検討

AWS テクノロジーパートナー

エムオーテックス株式会社 (MOTEX Inc.)

「Secure Productivity」をビジョンとして掲げ、組織の IT 活用における安全と生産性の両立を追求するソフトウェアメーカー。サイバー攻撃、内部不正のリスクから組織を守り、IT 活用による組織の生産性を高めるプロダクト、サービスの企画・開発・販売からサポートまで一貫して提供している。


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