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ネイティブキャンプ、オンライン英会話の基盤に AWS を採用。会員に最適なトークテーマの提案に生成 AI のサービスである Amazon Bedrock を活用し、講師の負荷を軽減
オンライン英会話サービス事業
概要
課題・ソリューション・導入効果
課題
会員数の急増に伴って高まる講師の負担緩和
オンラインレッスンに特化した英語をはじめとした語学学習サービスを展開する株式会社ネイティブキャンプ。2015 年にサービスを開始して以来、豊富な学習コンテンツを活用して、個人、法人、教育機関といった幅広い層にレッスンを提供し、すでにユーザー数は 270 万人を突破(2024 年 11 月現在)。国内最大級のオンライン英会話サービスへと成長しています。
同社の執行役員 CTO を務める大西さくら氏は、進化を続ける同社のサービスについて次のように話します。
「レッスンの回数は無制限、予約不要の定額制で好きなタイミングで利用できるのがネイティブキャンプの特徴です。"世界の 80 億人の人と話そう。Talk to 8 billion people around the world."というミッションを掲げ、2024 年 4 月には外国人を対象にした日本語会話プラットフォームもリリースしました。現在は手話を含め、中国語、韓国語などの 5 言語への対応を目標にサービスの拡充を進めています」
サービスの開始当初から、同社のグローバルな言語交換プラットフォームを支えてきたのがアマゾン ウェブ サービス(AWS)です。AWS を採用した当時の状況について、IT 基盤部 シニアエンジニアの中村惇二氏は次のように振り返ります。
「海外の外国人講師と国内の会員が映像で会話する当社のサービスでは、安定したネットワークインフラの確保が必須の要件となりますが、従来型のオンプレミスシステムでは設備の調達や運用で大きな負担が発生します。当社のサービス立ち上げ当時、東京リージョンを開設していた AWS であれば、文教市場向けにサービスを提供する当社の顧客情報の管理においても安全だと考えました」
もう 1 つ、同社にとって大きな課題となっていたのが、コロナ禍を機に会員数が急増したことに伴う講師のレッスン準備工数の増大でした。同社では教材を使用するレッスンも提供していますが、会員は教材を使わずに講師と自由に会話するスタイルも選ぶことができます。この場合、講師は個々の会員に応じたトピックを考えなければなりませんが、1 日に数十レッスンも対応することもある講師にとってはこのことが負担となり「本来の英会話の指導に集中できない」という声が上がっていました。そこで、講師の負担軽減とレッスン品質の向上を両立させるべく、AI の活用を検討することにしました。
ソリューション
セキュリティとプライバシーを確保し、柔軟なカスタマイズも可能な Amazon Bedrock
常に最新技術のキャッチアップに取り組むネイティブキャンプでは、教育現場における AI の可能性にも早くから着目していました。実際、現在の教育界において AI には将来の課題を解決する重要な技術としての大きな期待が寄せられています。こうした背景もあり、同社もかねてから AI 活用の研究と検証を進めてきましたが、そこで避けて通れないのがセキュリティとプライバシーの確保という課題でした。
「会員と講師の間で交わされる会話や教育現場での利用など、当社のサービスでは極めて機密性の高いデータを扱います。AI プラットフォームの選定においては、長年にわたって運用してきた AWS の信頼性、セキュリティやガバナンス面での確実性などを総合的に評価して、Amazon Bedrock の採用を決定しました。Amazon Bedrock がISO、SOC、HIPAA などのさまざまなコンプライアンス基準の対象であることを活用して、包括的なデータ保護とプライバシーの確保に取り組みました。これにより、顧客である法人や教育機関が求める厳格なデータ管理の要件に対応することができました」(中村氏)
さらに、Amazon Bedrock の柔軟なカスタマイズ性も大きな決め手となりました。
「社内のナレッジベースとして RAG システムの構築を検討していた際、ベクトルデータベースをどう構築するかが課題になりましたが、Amazon Bedrock なら既存の PDF データから容易に生成することができます。不適切な応答を回避するためのガードレール機能もシンプルなコードで実装でき、データの前処理や周辺コンポーネントの準備もマウスのクリックだけで完了できる点も画期的です。必要に応じて PoC を実施し、迅速かつ安全に AI を導入できるのは Amazon Bedrock の最大のメリットです」(大西氏)
導入効果
生成 AI による支援で講師の負担を軽減し、多彩で高品質なレッスンを実現
同社が Amazon Bedrock を活用して開発したのが「AI トピックサジェスト機能」です。この機能は、会員の年齢や職業などのプロフィール情報を基に、おすすめのトークテーマを瞬時に提案してくれます。例えば、小学生であれば「将来の夢」「夏休みの自由研究」などのトピックがレッスン中に表示されます。
開発を共に手掛けるネイティブキャンプエドテック株式会社システム開発部 CTO Lester Ag Lastimosa Padul 氏は、次のように語ります。
「現在、この機能を使用できるレッスンでは、講師が 1 レッスン中に平均 3.2 回ほど AI トピックサジェスト機能を活用してレッスンを行っていますが、『レッスン中のストレスがなくなり、発音や文法の指導に集中できるようになった』という評価の声が届いています。日本の文化に精通していない外国人講師に対して、日本の会員にパーソナライズされた質問を提案してくれる点は大きなメリットです」
AI トピックサジェスト機能の構築は比較的容易で、初期の PoC は 1~2 週間程度、実装は 1~2 か月ほどで完了できたといいます。
「AWS は優れた拡張性と信頼性を備えており、ハードウェアの運用管理が不要であることに加えて、技術情報が体系的に整備されています。また、高度な AI プラットフォームでありながらインフラ担当者の負担が増加することもありません。障害が発生した場合でも、AWS のサポートによって迅速な解決ができる点も安心です。そのため、当社では少人数でインフラを安定的に運用できる理想的な環境が実現しています」(中村氏)
同社では、サービス品質向上や業務改善のため、Amazon Bedrock のさらなる活用に取り組んでいます。具体的には、メールでの問い合わせに対する一次応答に Amazon Bedrock を導入したことで、対応スピードは大幅に向上しています。これにより、サポートチームの人員を増やすことなく、対応件数を 120% まで拡大することに成功しています。
今後、英語以外の多言語対応を計画している同社にとって、講師陣の拡充や強化が重要な課題となります。ここでも Amazon Bedrock を活用した採用プロセスの効率化や自動化、さらには講師向けトレーニングの強化を検討しています。また、レッスンで使用する教材については、テキストや画像を多用する特性上、マルチモーダル AI を活用した製作支援や自動製作も視野に入れています。
「複数の領域で Amazon Bedrock を活用する当社では、画像や音声処理をはじめとするマルチモーダル AI の発展にも注目しています。AWS には、今後もこうした最新の技術を活用した親身なサポートを期待しています」(大西氏)
必要に応じて PoC を実施し、迅速かつ安全に AI を導入できるのは Amazon Bedrock の最大のメリットです
大西 さくら 氏
株式会社ネイティブキャンプ 執行役員 CTO株式会社ネイティブキャンプ
「世界の 80 億人の人と話そう。Talk to 8 billion people around the world.」をミッションに掲げ、2015 年にオンライン英会話サービスをスタート。回数が無制限のレッスン、予約不要の定額制が人気となり、ユーザー数 270 万人、講師数 1 万 3,000 人(2024 年 11 月現在)を超える国内最大級のサービスへと成長。2024 年 4 月にスタートした海外向けの日本語レッスンのほか、手話・中国語・韓国語へのサービス拡大も進めている。
取組みの成果
- 120%:カスタマーセンターのメール対応数の向上
- 3.2 回:1 レッスン平均の AI トピック生成の支援回数
- 講師のストレス軽減
- レッスン品質の向上
本事例のご担当者
大西 さくら 氏
中村 惇二 氏
Lester Ag Lastimosa Padul 氏
福冨 翔 氏
四條 章太 氏