500 万 MAU
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概要
映像配信サービス『Lemino(レミノ)』を提供する株式会社NTTドコモは、2023 年 4 月のサービス開始にあたり、配信基盤をアマゾン ウェブサービス(AWS)の AWS Media Services やマネージドサービスで再構築しました。新たな映像配信基盤は、ボクシングの世界戦など注目度の高いライブ配信を支え、ユーザーの獲得に貢献。アクティブユーザー数(MAU)は、サービス開始から 3 か月で約 7 倍の 500 万に達しました。
ビジネスの課題 | ライブ配信の拡大に向け、映像配信基盤を再構築
NTTドコモの『Lemino』は、2015 年から提供していた『dTV』をリニューアルする形で誕生した映像配信サービスです。「ユーザーインタフェースを大幅に刷新し、“胸キュン”、“ワクワク”といった“感情”をキーワードにコンテンツを検索したり、フォローユーザーが評価するコンテンツを検索したりと、コミュニケーションを強化したサービスに生まれ変わりました」と語るのは、スマートライフカンパニー 第一プロダクトデザイン部 映像サービス担当部長の宮里系一郎氏です。
Lemino の開始にあたり、システム課題となっていたのが、ライブ配信のサービス基盤と、アプリケーションのバックエンドシステムでした。既存のライブ配信はオンプレミス環境で運用していたために制限があり、容易に本数を増やすことができませんでした。アプリケーションのバックエンドシステムは、すでに AWS 上で運用していたものの、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)や Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)を利用したアーキテクチャで、大規模配信の際にはAmazon RDSのインスタンスサイズの変更に停止を伴い、運用工数とコストの観点で課題がありました。そこで同社は、大規模なライブ配信に対応し、安定したサービス提供を実現する映像配信基盤を再構築することにしました。
「dTV は数百万ユーザーの利用がありましたが、ドコモの新サービスとして、dアカウントのユーザーが流入してきてもサービス提供できるように数千万人の利用に耐えられる配信基盤の実現を目指しました。そのために、AWS のマネージドサービスで作り直すことにしました」(宮里氏)
何百万のアクセスに対して、リソースに余力を持ちながら安定的に映像配信サービスを提供できていることが AWS による配信基盤再構築の最大の効果です"
宮里 系一郎 氏
株式会社NTTドコモ
スマートライフカンパニー
第一プロダクトデザイン部
映像サービス担当部長
ソリューション | AWS のマネージドサービスでスケーラブルなライブ配信環境を構築
同社は、ライブ配信のサービス基盤に AWS Media Services を採用しました。スマートライフカンパニー 第一プロダクトデザイン部 映像サービス 第一技術開発担当課長の大橋峰延氏は「dTV では運用オペレーションが煩雑で、障害発生時の切り分けにも苦労していましたが、AWSに統一することで一気通貫でのオペレーションが実現し、運用工数も削減することができました。また、ライブのたびに必要となる定形的な配信環境構築作業は、エンジニアが関与しなくてもライブ担当者だけでAWS Media Servicesを簡単にデプロイできる仕組みを AWS の API を使って構築し、複数の同時ライブ配信に対応する環境を整えることができました」と語ります。
また、小規模のライブ配信では、常にエンジニアが会場で対応できるわけではありません。そこで、電源を入れるだけで AWS と接続ができ、小規模な会場でも配信設備側でエンコードのコントロールができる安価で高品質/安定した配信が可能な専用ハードウェアの AWS Elemental Link もあわせて導入しました。これにより、ライブ会場にエンジニアが訪問する必要がなくなり、ライブ単体のコスト最適化を実現しました。
構築には、AWS Elemental MediaConnect、AWS Elemental MediaLive、AWS Elemental MediaPackage を活用。大規模配信時は複数のアベイラビリティゾーン(AZ)を活用した冗長設計を取り入れたことに加え、東京リージョンの障害に備えて、海外リージョンや大阪リージョンに配信機能を切り替えられるマルチリージョンでの冗長化も行いました。 コンテンツデリバリーネットワーク (CDN) もマルチ CDN 構成とし、必要なときだけ他の CDN を追加で組み込めるようにすることで、高効率に大規模な配信にも対応できるアーキテクチャとしました。データベースについてはすべての機能を Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) で実現するのではなく、Amazon Aurora PostgreSQL と Amazon Aurora MySQL に加えて、Amazon DynamoDB、Amazon DynamoDB Accelerator (DAX) 、Amazon OpenSearch Service などワークロードに応じて使い分けることでスケーラビリティ向上とコスト最適化を両立しています。DB の使い分けは、秒間リクエスト数が数万を超えるアプリケーションコンテナのバックエンドに Amazon DynamoDB、コンテンツデータやユーザーコミュニケーション用のデータは Amazon OpenSearch Service を活用して検索機能に活用しています。スマートライフカンパニー 第一プロダクトデザイン部 映像サービス 第二技術開発担当課長の工藤暁生氏は「従来は、急激なアクセス増の際に Amazon RDS や Amazon Aurora の接続上限がボトルネックとなっていました。リクエストのスパイクに耐える必要がある処理には、フルマネージドで行えるAmazon DynamoDB を採用しました」と語ります。
アーキテクチャ
導入効果 | サービス開始から 3 か月で 500 万のアクティブユーザーを獲得
アーキテクチャを全面刷新したLemino では、注目度の高いコンテンツを次々とライブ配信し、大規模アクセスに対して安定した実績を残しました。充実したコンテンツが評価され、Lemino の MAU は、サービス開始から 3 か月で約 7 倍の 500 万に達しています。
「何百万のアクセスに対して、リソースに余力を持ちながら安定的に映像配信サービスを提供できていることが最大の効果です。従来環境では、アーキテクチャの制限で時間をかけて段階的にしか増やせなかったリソースも、新アーキテクチャでは短時間にリソースの拡張/縮退ができるため、コスト効率も向上しています」(宮里氏)
ライブ配信の最大チャンネル起動実績も 30 に達し、2024 年には最大 50チャンネルまで拡張する予定で、ライブ配信の規模はさらに拡大する見込みです。
「ライブ配信は、毎日複数のコンテンツを配信していますが、AWS Media Services 、マネージドサービスのおかげでエンジニアにかかる負荷は従来の 10 分の 1 程度となり、高付加価値を生むサービス開発に注力できるようになりました。AWSは弊社への長年の支援を通して、ドコモの配信基盤を熟知しているので、ソリューションアーキテクト(SA)による適宜適切な技術支援、テクニカルアカウントマネージャー(TAM)による大規模イベントのリスク軽減支援/ケース対応支援 などを得ることができて感謝しています」(大橋氏)バックエンドシステムについても可用性が大幅に向上し、アプリケーションエラーによるユーザー影響がほとんど発生しなくなりました。
「新環境では一部のタスクがダウンしてもサービス全体に影響を及ぼすことがなくなり、運用負荷も軽減されました」(工藤氏)
Leminoで残された課題は、ライブ配信におけるターゲティング広告の挿入です。そこで現在、AWS Elemental MediaTailor を活用して広告挿入機能を実装中で、これにより収益への貢献を図る考えです。
「今後も引き続きアーキテクチャの改善を続けながら、何百万人のユーザーに喜ばれる映像サービスを提供していきます。AWSには引き続き、さらなる技術支援を期待しています」(宮里氏)
カスタマープロフィール:NTTドコモ
1992 年 7 月 1 日より営業開始。2022 年 5 月、NTTグループのNTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを子会社化。2022 年 7 月には金融・決済、映像・エンタメ、メディカルなど非通信領域を担う「スマートライフカンパニー」が発足した。
宮里 系一郎 氏
大橋 峰延 氏
工藤 暁生 氏
ご利用中の主なサービス
AWS Media Services
AWS Media Servicesにより、クリエイティブなお客様は、ハードウェアやレンダリングファームの管理に費やす時間を減らし、作成とコラボレーションにより多くの時間を費やすことができます。
AWS Elemental Link
AWS Elemental Link エンコードデバイスは、カメラや動画制作機器などのライブ動画ソースをクラウドに接続します。
Amazon DynamoDB
Amazon DynamoDB とは、ハイパフォーマンスなアプリケーションをあらゆる規模で実行するために設計された、フルマネージドでサーバーレスの key-value NoSQL データベースです。
Amazon OpenSearch Service
Amazon OpenSearch Service を使用すると、インタラクティブなログ分析、リアルタイムのアプリケーションモニタリング、ウェブサイト検索などを簡単に実行できます。
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