複数拠点で稼働しているファイルサーバーをはじめとした複数の業務システムを AWS 上に統合
安定運用を実現するとともに、情報システム担当者の負荷を軽減

2021

総合 AI(AV × IoE)システム企業として、プロジェクタースクリーンやデジタルサイネージなどの製造、販売を手がける株式会社オーエス。同社はオンプレミス環境のサーバー老朽化に伴い、分散管理していたファイルサーバーや業務システムをアマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行しました。これにより、トラブル対応からの解放や BCP 対策の強化を実現。特にファイルサーバーをフルマネージド型ファイルストレージサービスの Amazon FSx for Windows File Server にしたことで、ファイル容量を 50% 以下に削減し、運用負荷を軽減しています。

AWS 導入事例  | 株式会社オーエス
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以前はファイルサーバーへの多重書き込みでファイルが壊れることがありましたが、現在はそれがなくなりました。また、Amazon FSx for Windows File Server の重複排除機能をオンにした結果、使用率を 50% 以下まで削減することができ、容量にも余裕が生まれました

北村 太郎 氏
株式会社オーエス
経営戦略部 情報戦略課

ハードウェア障害が業務に影響を及ぼす

さまざまな AV システムの構築や製品開発を手がけるオーエスは、企業・教育施設・公共施設・商業施設などの総合設計・施工などに実績を持つ総合 AI(AV × IoE)システム企業です。“キモチをカタチに”をコーポレートスローガンに、人々の暮らす社会の基盤や経済活動に貢献する企業を目指しています。「近年では、スクリーンの技術をさまざまな分野に発展させ、手巻き型のソーラーシートや、オフグリッドストリートライトなど、IoT 技術を組み合わせた環境配慮型商品を数多く手がけています」と語るのは、営業本部 広報戦略課の土井直行氏です。

同社の業務を支えるシステムは、大阪本社、東京、兵庫の 3 か所に分散配置している 30 台以上のサーバーで運用してきました。しかし、使用している中で既存サーバーに障害が発生する事態に陥りました。経営戦略部 情報戦略課の北村太郎氏は次のように語ります。
「既存環境は、旧式のサーバー OS が中心の状況でした。また、複数の拠点にサーバーを配置しているために、サーバーの再起動も現地担当者の立会が必要な状態でした。そこで、事業継続性の確保、ファイルサーバーの最適化、バックアップ環境の刷新、Active Directory の最新化、監視環境の構築を目的に既存環境をリプレースすることを決断しました」

豊富なマネージドサービスを評価して AWS を採用

検討した 2020 年 3 月当初は、オンプレミスでの再構築と大阪本社へのサーバー集約を前提に進めていました。しかし、オンプレミスではコストが想定以上にかかることが判明し、改めてクラウドサービスを含めて再検討した結果、AWS への移行を決定しました。
「物理的に社内にサーバーを置くことは、BCP の観点から好ましくないと考え、コスト面や運用面を考慮してクラウドを採用しました。AWS を選んだ理由は、マネージドサービス等のサービスが豊富にあることです。また、一部既に社内でも導入実績があり、加えて私も前職で AWS を使って大規模なサービス基盤の開発を手がけた経験がありました。AWS はネームバリューも高く、数多くの企業が採用していることから、パートナー企業も扱いやすいと判断したことも理由のひとつです」(北村氏)

時代に合致した IT 投資の指向を持った経営層には、内部データは出さないという条件のもと、BCP の観点、クラウド移行のトレンド、AWS の実績を示し、移行方針の理解を得たといいます。
システムの移行プロジェクトは、基本構成の設計などを経て、2021 年 1 月から本格的にスタート。3 月にかけて構築と検証を行い、2 か月間で移行しました。今回の移行対象は、勘定奉行シリーズ(会計、人事・勤怠管理、経費管理)、グループウェア、アンチウイルスのソフトウェア、Active Directory サーバー、
ファイルサーバー、情報共有用の Web サーバーを加えた 8 種類です。そのうち、ファイルサーバー以外は Amazon EC2、ファイルサーバーは Amazon FSx for Windows File Server に移行しました。
「Amazon FSx for Windows File Serverは、あるウェビナーでその存在を知り、コスト削減と運用負荷軽減のメリットに感銘を受けて採用を決断しました。導入時は大阪、東京、兵庫の 3 か所に分散しているファイルサーバーを集約して最適化するために、フォルダー構成を再設計しました」(北村氏)

その他、1 台のサーバーに複数のシステムが相乗りする環境からの DB の分離、Web サービスの集約、業務への影響を最小限に抑えたシステム移行などのハードルを乗り越えてプロジェクトを完遂しました。

重複排除機能によりファイルサーバーの使用率を 50% 以下に削減

AWS への移行後はサーバー障害もなくなり、システムは安定稼働を続けています。情報システム担当者の時間やリソースを既存システムの改善や新規システムの企画開発などに割けるようになりました。ファイルサーバーのパフォーマンスも大幅に向上したといいます。
「以前はファイルサーバーへの多重書き込みでファイルが壊れることがありましたが、現在はそれがなくなりました。また、Amazon FSx for Windows File Server の重複排除機能をオンにした結果、使用率を 50% 以下まで削減することができ、容量にも余裕が生まれました」(北村氏)

ユーザーの満足度も高く、事業推進部 WEB戦略課の山内孝幸氏は「ファイルサーバーに GB クラスの大容量データを保存する際も、途中で止まることがなくなり、不安要素も解消されました。AWS 上に構築して先行利用していた Web サーバーでもサーバーダウンは一度もなく、大容量データも従来の半分の時間でダウンロードができます」と語ります。

AWS のマルチ AZ 構成や、強化したバックアップ環境により、 オンプレミスの懸念事項だった BCP 対策も実現し、事業継続性も確保されました。
「マルチ AZ 構成により、万が一のトラブルでも復旧が容易になりました。移行直後に発生したトラブルでは、インスタンスの再起動で即座に復旧ができ、その効果を実感しています。これまで東京と大阪間で実施していたバックアップも、ネットワークの問題で十分に取得できませんでしたが、AWS 環境上ではしっかり取得できるようになり、リスクが軽減されました」(北村氏)

コア事業に AWS の IoT 関連サービスや機械学習サービスの活用を視野に

今後は、オンプレミスにある基幹システムを始めとするほぼすべてのシステムを AWS 上に移行するプロジェクトを、2022 年 9 月の終了を目途に進行中です。

AWS のサービスの新たな活用としては、事務系の社員を対象としたクライアント端末のクラウド利用に向けて、デスクトップサービスの Amazon WorkSpaces の導入を検討しています。さらには、オーエスのコア事業として展開している総合 AI (AV × IoE)領域においても、AWS の IoT 関連サービスや機械学習サービスの活用を視野に入れています。土井氏は「製品の IoT 化は、当社の事業における成長分野でもありますので、商品開発部門とも情報を連携しながら、新たな活用を考えていきます」と語ります。

情報システム部門の要員がわずか数名の体制で、グループ全体のシステム構築・運用から、ネットワーク環境の整備、PC ・電話機・複合機の管理まで、さまざまな業務をこなす必要がある同社において、クラウドの活用は業務の効率化や事業継続対策に大きな貢献を果たしています。

北村 太郎 氏

山内 孝幸 氏

土井 直行 氏


カスタマープロフィール:株式会社オーエス

  • 設立: 1953 年 4 月 23 日
  • 資本金: 4,608 万円
  • 事業内容:1953 年にスクリーンメーカーとして事業を開始。教育現場や企業研修などで使用される映像用スクリーンから、広告やショップの情報を伝達するためのデジタルサイネージ(電子看板)まで、さまざまな AV システムの構築や製品開発、製造、販売を行う。

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • サーバー運用からの解放
  • 運用負荷の軽減による情報システム部員の他業務への集中
  • ファイルサーバーのパフォーマンス向上
  • BCP 対策の実現

ご利用中の主なサービス

Amazon FSx for Windows File Server

Amazon FSx for Windows ファイルサーバーは、業界標準のサーバーメッセージブロック (SMB) プロトコルを介してアクセスできる、信頼性が高くスケーラブルな完全マネージド型のファイルストレージを提供します。

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Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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Amazon S3

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。

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