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2024 株式会社リクルート

リクルート、Amazon Connect によって事業特性に合わせたコールセンターを構築。応答時間の短縮と約 5 割のコスト削減を実現

マッチング&ソリューション事業

概要

人材・住宅・美容・結婚・旅行・飲食など、さまざまな情報を求める個人ユーザーと企業が出会う場を創出する株式会社リクルート。ミッションである「まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。」を実現するマッチングをビジネスの主軸に事業を展開する同社にとり、顧客との直接的な接点であるコールセンターは重要な役割を担っています。そのコールセンターの DX 化を、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の Amazon Connect で実現しました。
A banner featuring the Recruit company logo and slogan with a person standing against a scenic sky background, used for a case study.

課題・ソリューション・導入効果

課題

体制に合わせてカスタマイズされたコンタクトセンターを構築して業務とコストを適正化

リクルートが提供するサービスは多岐にわたります。就職と転職に関する複数の求人情報サイトや、不動産に関する総合情報サイト『SUUMO』、国内最大級のヘアサロン・リラク & ビューティーサロン検索・予約サイト『ホットペッパービューティー』、日本最大級のグルメ情報総合サイト『ホットペッパーグルメ』など多くの事業を展開しています。

こうした各種のサービスにおいて、個人のお客様に対するお問い合わせ対応や、その中から課題を抽出しサービス改善に活かすこと、企業のお客様に対して売り上げ向上やブランディング等の提案活動、原稿制作・修正、問い合わせ対応などのサポート活動を行うコールセンターが欠かせません。しかし、従来のコールセンターの運営には、アナログかつ非効率的な業務が多かったといいます。

「2018 年ごろまでは、コールセンターの IT 導入がそれほど進んでいませんでした。スタッフは固定電話を使用しており、通話の情報を可視化することは困難でした。また、特定の顧客に複数のスタッフが対応した場合の情報連携も煩雑でした。そういった課題に対して部署横断でのコールセンター高度化プロジェクトが立ち上がり、クラウド PBX* 導入を推進していました」と、DX 化プロジェクトを担当した ICT 統括室 販促・ SaaS CIT グループのグループマネージャーは語ります。

そこで、コールセンターに敷かれた複数の電話回線を集約し、内線同士の接続や外線と内線の接続を行うためのクラウド PBX を導入しました。その結果、システムで取得した正確な架電ログによる事実に基づいた運営ができるようになり業務改善が進みました。一方で、さらに顧客体験を改善できるポイントも見つかりました。顧客からの電話を受け付けた後、顧客管理システム(Salesforce)の情報を参照してから担当者につなぐ仕組みであったため、待ち時間が発生するケースもありました。これらの課題を解決するには、コールセンター業務の体制に応じた個別要件を満たすためのシステム開発が可能なサービスを用いる必要がありました。

* Private Branch eXchange の略。IP 電話などの外線の発着信や内線電話の接続を制御する構内交換機のこと。

ソリューション

Amazon Connect により柔軟性の高いシステム構築を実現

そこでリクルートが着目したのは、AWS が提供するクラウド型コンタクトセンターサービス Amazon Connect です。このサービスは他のシステムとの連携が容易であり、キャパシティプランニングが自動的に行われます。また、従量課金制であり長期契約やライセンス料の前払いも必要ありません。

システム構築において、リクルートは Amazon Connect の高いカスタマイズ性を活用して、効率的な受電システムを実現しました。

「顧客からの架電をトリガーに AWS Lambda が起動し、電話番号や自動音声応答システムでの押下ボタンなどを検索条件として用いて、顧客管理システムから担当オペレーターの情報を取得。そのスタッフへと優先的に電話をつなぐ対応をします。これにより、顧客は電話に応答があるまで待たされる時間が短くなり、スタッフは顧客管理システムの顧客情報をすぐに参照できるようになりました」(システム構築担当者)

そして、より高品質・高効率な顧客接点を実現するため、AWS 認定ソフトウェアである AI 音声認識システム AmiVoice へ API 連携し、通話内容の文字起こしも実現しました。文字起こしデータは顧客管理システムの活動履歴への記載や応対品質向上のために活用されています。これら各種コンポーネントの採用基準において大切にしたのは、マネージドサービスであること。インフラの運用にかかる工数を最小限に抑えています。

リクルートはこのシステム移行にあたって、AWS への移行推進プログラムであるMigration Acceleration Program を活用。さらにコールセンターへの大規模なシステム導入の前のタイミングでエンタープライズサポートプランにも加入しました。これにより、お客様専任のテクニカルアカウントマネージャーに直接相談してシステムのレビューを受け、改善につなげました。

「コールセンターのようなリアルタイムで顧客との直接の接点を担う部門においては、万が一システムに不具合が生じるとお客さまに多大なるご迷惑をおかけしてしまいます。そのため、私たちの構築したアーキテクチャについては事前に AWS の専門家にレビューいただき品質を担保することで自信を持ってシステム移設を実現できました」(システム構築担当者)

導入効果

担当者接続までの時間を半分以下に短縮。ナレッジを蓄積・横展開してコールセンターをアップデート

リクルートでは Amazon Connect によって構築した新システムを、段階的に各領域のコールセンターへと適用していきました。本記事ではそれらの事例のうち、業務の生産性向上のため部署内の体制を大きく変えたビューティー(美容)領域の導入事例について取り上げます。

ビューティー領域では、2023 年夏から 12 月中旬までをシステムの試験的な導入期間とし、同年 12 月中旬からは全面的にコールセンターへとシステムを展開しました。

「受電の仕組みを改善したことで、電話の待機時間が短くなり顧客満足度の向上につながっています。ビューティー領域では 13 万 7,000 を超えるサロン様にご契約いただいているのですが、もともとは受電専任のスタッフがかかってきた電話番号をもとに顧客管理システム上で企業情報を調べ、それから担当者につなぐというフローでした。そのため、お客様と担当者がつながるまでに数分を要していましたが、その業務を自動化できたことは非常に大きな変化でした。そして、先行導入期間の数値をもとにした見立てでは、変動要素はあるものの、旧来のクラウド PBX を使用していた頃と比べてシステムのコストが最低でも 3 割から 5 割ほど下がるという試算をしています」(ビューティー領域クライアントサクセス担当者)

また、「誰がどのタイミングでどの顧客と話していたか」を簡単に可視化できるようになったため、コールセンターの稼働状況のモニタリングや業務効率の改善につながりました。

システム構築担当者は今後のビジョンと要望を次のように話します。

「現在、リクルート社内では今回メインでお話ししたビューティー領域だけではなく、複数の領域に Amazon Connect を導入しています。各部門では業務要件が異なることも多いため、私たちは全社共通組織としてナレッジを蓄積・横展開することで、効果的にコールセンターをアップデートしていきたいです。Amazon Connect はモバイルでの利用や複数スタッフへの電話の一斉鳴動が可能になると、今にも増して活用の幅が広がると思うので、今後の機能改善に期待しています。また、音声だけではなく、非対面チャンネルとして、WEB 会議、SMS やチャットなどを統合し、より高品質・高効率な顧客接点を実現していくことを目指しており、さらなる機能追加を期待しています」

Logo of Recruit, featuring a stylized blue 'R' and the word 'RECRUIT' in uppercase letters.
Amazon Connect の魅力は、事業の特性に沿ってカスタマイズができることや、他社サービスも含めた連携の容易さです。また、担当チームやサポートの品質の高さも改善を考える際に役立っています

株式会社リクルート

ICT 統括室 販促・ SaaS CIT グループ グループマネージャー

株式会社リクルート

1960 年、「大学新聞広告社」として創業。2012 年に持株会社体制へ移行し、マッチング&ソリューション事業を統括する株式会社リクルートと 7 つの事業会社に分社化。2021 年、事業会社と統合して新生リクルートが発足。現在、「Follow Your Heart」「まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。」をビジョン・ミッションにクライアントとユーザーを結ぶマッチング事業や SaaS 型業務支援事業を展開する。

取組みの成果

  • 約 13.7 万件
    ビューティー領域が抱えるサロン数
  • 約 5 割削減
    旧クラウド PBX と比較したインフラコスト
  • 約 5 割短縮
    従来の接続方法と比較した場合の担当者への接続時間