お客様事例/教育機関

2024 年
学校法人 佐藤栄学園

佐藤栄学園、各校で個別管理していたサーバーを AWS 環境に移行

教員の負担を軽減しながら学園内の情報連携を促進

教員による ICT 管理負担の軽減

機微情報の安全な管理

システム更改の工数、費用の削減

学校間の情報共有の促進

概要

小学校から大学、専門学校まで 9 つの教育機関を運営する佐藤栄学園は、早期のタブレット導入やオンライン授業など先進的で多様な学習環境を提供しています。以前は、校務支援システムなどの ICT 基盤を各校でそれぞれ管理していたため、担当教員の負担が課題でした。そこで、順次アマゾンウェブ サービス(AWS)環境に移行を進め、インフラ管理を外部委託することで教員が教育に集中できるようにするとともに、学園内の連携を強化して教育環境の高度化に取り組んでいます。

学校法人 佐藤栄学園

課題 | 各校の教員による ICT 管理の負担軽減

佐藤栄学園は、埼玉県内に 9 つの系列校を有する教育機関です。建学の精神「人間是宝」のもと校訓「今日(こんにち)学べ」を掲げ、確かな学力と自立した人間形成を目指した教育を展開しています。系列校の 1 つであるさとえ学園小学校では、水族館やプラネタリウム、広大な農園など、幅広い体験のなかから突破力を身につける体験型教育に取り組んでいます。また、文部科学省の GIGA スクール構想が開始される前からタブレットやオンライン学習環境を導入し、1 人 1 台のタブレットを空気のような存在として活用促進するなど、コロナ禍などの困難な状況のなかでも教育環境の充実を進めてきました。

児童・生徒たちのタブレットは宿題や保護者への連絡ツールとしても活用され、教員同士のコミュニケーションもデジタルツール上で展開されています。しかし、基盤となる ICT インフラ環境には課題がありました。「学園全体に ICT 担当の部署がなく、各校に設置されたサーバーの管理はコンピュータに詳しい先生方が担当者となり、授業の合間を縫って対応していました。故障の対応や 5 年ごとのシステムの更新時も、先生方からサーバーやネットワークの事業者に依頼して運用・保守を行っていました」と語るのは、佐藤栄学園 法人本部 総務部 課長の齊藤実氏です。

そこで学園はこのような管理業務の負荷を軽減し、教員が教育に集中できる環境を整えるため、ICT 管理を統合する方針を定めました。2022 年にさとえ学園小学校と栄東中学・高等学校が既存サーバーの保守期限を迎えることから、学園本部のシステムと合わせてクラウドへの移行を計画。「クラウドなら機器の管理面での負担が軽減され、精神的な安定性も得られると考えました」(齊藤氏)

2021 年ごろからクラウドへの移行計画を進め、複数の事業者に相談して比較検討した結果、NTT東日本への依頼を決定します。さとえ学園小学校で ICT 機器の管理を担当し、今回のクラウド移設の中心的存在となった教員の山中昭岳氏は「NTT東日本の提案は、私たちが設定した基準をクリアしていただけでなく、総合的な評価でも抜きん出ていました。新しいテクノロジーを教育に取り入れていきたいという思いもあり、将来的に役立つ先端技術の提供も期待しました」と選定の理由を語ります。

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先生が子どもたちに対して学びを進める形ではなく、子どもたち自ら課題を見つけていく環境を整え、時代に先行する形で真の『教育 DX』を実現していきたいです"

山中 昭岳 氏
学校法人 佐藤栄学園 さとえ学園小学校 科長

ソリューション | 各拠点から閉域網を通じてAWS 環境にアクセス

NTT東日本の提案は、各校に設置してある校務支援システム等のサーバーを AWS 上に移行し、学園統合ネットワーク基盤から閉域網でダイレクトに利用するというプランでした。採用理由について齊藤氏は、「AWS は公共機関やさまざまな企業での採用実績があり、日本国内にも耐障害性の高いデータセンターがあることも重視しました。また、各校で契約しているシステム開発事業者が異なりますので、今後クラウド化を進めるなかで技術者を確保しやすい点でも AWS がよいと、NTT東日本からもアドバイスいただきました」と語ります。

新たな環境構築に関して佐藤栄学園の要件は、第一にセキュアな環境であること、第二に安定して稼働することです。校務支援システムでは生徒の成績など機微情報を扱います。セキュリティを確保するため、インターネットから分離された閉域網「Managed SD-WAN」で結ばれ、AWS 環境へは閉域網から AWS Direct Connect を通じてアクセスする「クラウドゲートウェイ クロスコネクト」が採用されました。デバイスに対しては不審な行動を検知する EDR のソフトウェアを採用し、NTT東日本のセキュリティオペレーションセンターから監視します。

AWS 環境内では、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)に校務支援システムを配備しました。山中氏は「校務支援システムの操作手順が変わると先生方が混乱するため、以前と同じ操作方法で利用できるようにしていただきました」と語ります。さらに、教員が学校の外からも校務支援システムにアクセスできるセキュアな環境も用意し、働き方改革につながっています。なお、ICT 基盤の一元故障受付/切り分け/故障対応など、NTT東日本と学園本部が連携して学園統合 ICT 基盤の保守運用を担っています。

導入効果 | 学園内のデータを集約し、新しい教育の規範づくりを目指す

2022 年 8 月にさとえ学園小学校、栄東中学・高等学校のクラウド移行が完了し、サーバーを管理していた教員の負担は大幅に削減されました。「以前は成績表をつける時期になると、アクセスが集中してサーバーがダウンすることもありました。私たち ICT 担当がベンダーに依頼をして復旧するまで、成績処理をお待たせしてしまうこともあったのですが、現在はそのような心配もなくなりました。機微情報の扱いも含め、教員がストレスなく安心して仕事できるようになっています」(山中氏)

また、2023 年度中には学園本部のサーバーもクラウドに移行予定です。「5 年に 1 度のシステム更改が今後なくなるので、いままでかかっていた費用や工数が削減できると期待しています。また、さまざまなデジタル技術の導入の過程で、これまでの事務処理の煩雑さや二重作業が明らかとなりました。クラウド化を中心にこれらの問題を削減し、教員の業務の余裕を確保したいと考えています」(齊藤氏)

教育現場はテクノロジーの導入が遅れがちとされていますが、佐藤栄学園は以前から先進的な技術を取り入れています。たとえば、オンライン授業システムの導入によって、体調が悪いときは無理に登校せずリモートで授業に参加できるなど、柔軟に学べる環境を用意しています。今回のクラウド導入による教員の環境整備もその一環ですが、NTT東日本とは、先端技術を取り入れたさらなる教育の取り組みを実施していく予定です。2023 年 4 月に最新テクノロジーを用いた次世代教育協創に向けた連携協定を締結し、第一弾として睡眠の質を可視化するスリープテックを活用した「眠育 DX」の取り組みを進めています。

佐藤栄学園では今後、各校のシステム基盤を AWS 環境に集約していくなかで、情報共有や連携がより盛んになることも期待されています。

将来展望について、山中氏は次のように語っています。「教員の負担が減り、余裕が生まれることで、新しい教育方法が提供できるようになります。NTT東日本と取り組む眠育 DX をはじめ、新しいテクノロジーを取り入れた教育をさらに推進したいと考えています。当学園は小学校から大学まで各種教育機関の連携ができることが強みですので、ICT 基盤がクラウドによって連携することで、新たな学びのつながりを強化していきたいです。さらには、先生が子どもたちに対して学びを進める形ではなく、子どもたち自ら課題を見つけていく環境を整え、時代に先行する形で真の『教育 DX』を実現していきたいです。当学園の取り組みが全国のモデルとなり、日本の教育の新しいスタンダードとなるよう広めていければと考えています」

組織概要
学校法人 佐藤栄学園

昭和 46(1971)年に埼玉県から学校法人として認可を受け、現在は埼玉栄中学・高等学校、栄東中学・高等学校、花咲徳栄高等学校、栄北高等学校、さとえ学園小学校、平成国際大学、専門学校埼玉自動車大学校の 9 校を擁している。一人ひとりを宝の原石ととらえ教育によって磨き上げる建学の精神「人間是宝」のもと、個々の能力を最大限に伸張させ、心の教育において、個性を尊重しつつ、敬愛と感謝の心を養い自立した人格の形成を目指している。

齊藤 実 氏

齊藤 実 氏

山中 昭岳 氏

山中 昭岳 氏


AWS 公共部門パートナー

東日本電信電話株式会社

AWS のリセールやクラウド環境の構築、24 時間 365 日の運用サービス、AWS への閉域ネットワークサービスなど、クラウド利用に必要なサービスを総合的に提供する AWS アドバンスドコンサルティングパートナー。各県域の身近な担当者が、お客さまの課題に寄り添い、最適なソリューションを提供し、ビジネスの成功をリードしている。   

東日本電信電話株式会社

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