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CAD/CAM を含む 10 台の社内サーバーを AWS に全面移行
サーバールームの廃止と安定運用の実現とともに
わずか 1 名の情シス担当者の管理負荷を劇的に軽減
2020
1963 年の創業以来、大阪府高石市に本社を構え、鋼板の切断・加工および販売を中核事業として成長を続ける髙砂金属工業株式会社。社内に 10 台のサーバーを設置し、各種システムを運用してきた同社にとって継続課題となっていたのが、5 年毎のリプレースで発生する多額のコストと、1 名の担当者に集中する管理負荷でした。そこでアマゾン ウェブ サービス(AWS)に着目した同社は、導入パートナーのターン・アンド・フロンティアの支援を通じて、CAD/CAM を含むほぼすべてのシステムをクラウドへ移行。サーバールームの廃止や空調コストの削減と同時に、多くの中堅中小企業の課題である管理負荷の劇的な軽減に成功しています。
![AWS 導入事例 | 髙砂金属工業株式会社 AWS 導入事例 | 髙砂金属工業株式会社](https://d1.awsstatic.com/case-studies/jp/takasago_bg.48a626fd848371f1baeb44bc3c14799d7dea6d54.png)
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クラウドは人的リソースが限られた中堅中小企業こそがいち早く導入して、その恩恵を受けるべきだと考えています。移行プロジェクトでは、やりたいことができるかどうか自由に何度も試すことができました。それができるのは AWS の柔軟性があってこそです
楠瀬 博之 氏
髙砂金属工業株式会社
総務経理部 業務課 課長
サーバールームを撤去する!社内サーバーのクラウド移行を決断
建築鉄骨に用いられる鋼板の切断(NC ガス切断、プラズマ切断、レーザー切断など)を主力事業とし、溶接 H 形鋼(建築鉄骨の梁)の製作、鉄道の橋桁や各種鋼製構造物の製造を行う髙砂金属工業。工場は大阪府内に 3 ヶ所、岐阜県内に 1 ヶ所あり、北海道の事務所を含めた全 5 拠点で、約 80 名の従業員が日々の業務に励んでいます。
同社がシステムのクラウド移行を検討することになった背景には、社内から物理サーバーを一掃し、オンプレミス環境で発生するコストと運用負荷の軽減という中堅中小企業ならではの切実な課題がありました。総務経理部 業務課 課長の楠瀬博之氏は、次のように振り返ります。
「AWS に移行する以前は、社内に 10 台の物理サーバーがあり、本社に設置したサーバールームで運用していました。これらのインフラは 5 年に 1 度のサイクルでリプレースが必要で、毎回 1,000 万円程度のコストが発生していました。無事に稼働に至っても、その後の運用負荷が変わることはなく、5 年後には再度検討する時間も必要となります。この周期が無駄ではないかと感じたオンプレミス環境といかにして決別するかが、クラウドの検討を始めた最大の動機でした」
同社の IT 管理者は、楠瀬氏ただ 1 人です。各種システムの保守に加えて、全拠点で 100 台近くの PC の管理、さらに工場内の機械類のメンテナンス、ネットワークインフラの構築と運用など、さまざまな管理をしなければならないことを考えると、この課題がいかに切実であったかは想像に難くありません。
トライ&エラーの繰り返しが可能な AWS ならではの柔軟性
髙砂金属工業がクラウドという選択肢を意識し始めたのは、2012 年に参加した経営者向けセミナーがきっかけでした。ここでクラウドに強い関心を持った同社の副社長と共に、楠瀬氏はあらためてターン・アンド・フロンティアが主催するセミナーに足を運びます。その後、社内メールやスケジュール管理などをクラウド化するトライアルを実施し、一定の成果が確認できたことから、副社長の英断によってクラウド導入が決定します。
「新しいことに積極的にチャレンジする社風もあり、関西圏の同業者の間ではクラウド採用は早かったと思います。最終的に AWS を選択したのは、多くの国内実績とパートナーの知見の広さからです。またクラウドの導入ではネットワークの問題が避けて通れませんが、当社ではインターネット VPN を構築済みだったことから、この点でのハードルは低かったです」(楠瀬氏)
社内システムのクラウド移行に際しては、すでに AWS での稼働実績があったBI ツールからスタートし、2013 年 9 月に完了。その後は生産管理システム、販売管理システム、建材管理システムなどの移行に着手し、2018 年までに溶断用の CAD/CAMシステムも含め予定していたすべてのシステム移行を終えることができました。
「AWS への移行は、すべてがスムーズに進んだわけではありません。当社がやりたいことをすべてパートナーに伝えた上で、その中で提案を受けたやり方について、実際に安定稼働するかどうか、サーバーのスペックは十分か、パフォーマンスに問題はないかなど、トライ&エラーを繰り返しました。移行の時期も既存システムの更新に合わせて計画的に実施するのではなく、次回の更新までの 5 年間の中で試してみて、ダメなら以前の物理サーバーに戻る選択肢も持っていたので、自由に試すことができました。これができたのも、必要な時に必要な時だけサーバーを立てて、自社にとっての最適解を何度でも試してみることができる、AWS ならではの柔軟性があったからこそです」(楠瀬氏)
サーバー運用の激務から解放され TCO の大幅な削減に成功
現在、Amazon EC2 によるサーバー数はテスト環境も含めて 4 台で、移行時の棚卸しを踏まえて 6 つのシステムが AWS 上で稼働しています。ファイルサーバーのデータバックアップにはオブジェクトストレージの Amazon S3 を利用しています。同社におけるクラウド運用について、ターン・アンド・フロンティアの大久保哲也氏は次のように説明します。
「Amazon EC2 は、時間起動によって朝から夜までの稼働とし、夜間の時間帯はサーバーを落とすことでコスト削減を図っています。CAD/CAM システムは、リモートデスクトップ接続で利用ができるようにネットワークを構築した点もポイントです」
現在、システムの利用者は全拠点で約 70 名ですが、AWS に移行してからインフラに起因するトラブルは一切発生しておらず、安定稼働を続けているといいます。
「AWS のサーバー運用コストをオンプレミスと 5 年間で単純比較すると、AWSのほうが高額になります。しかし、サーバールームのスペース、24 時間 365 日稼働させていた空調コスト、保守運用にかかる膨大な管理工数などの削減を考えると、TCO は大幅に低減しています。私自身もインフラ管理以外にも多くの業務を抱えており、この激務から解放されたことで、業務過多の状況から脱することができました」(楠瀬氏)
またハードウェアに縛られない AWS は、地理的な制約の解消にも貢献しています。AWS に移行後は、大阪と岐阜に分散している工場、また北海道の事務所のどこからでも同じシステムを利用することができます。このことは中長期的な BCP(事業継続計画)対策にもつながるだけに、同社では高く評価しています。
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AWS が人的リソースの限られた中堅中小企業にもたらす価値
今後について髙砂金属工業では現在、クライアント PC のクラウド化を検討しており、Amazon WorkSpaces への移行に向けて一部でテスト利用を開始しています。業務システムのフロント側を一新して、ユーザーがより使いやすいシステムへと進化させていくほか、ビッグデータの分析に向けて BI ツールの Amazon QuickSight への移行も検討しています。
「これまでの経験を通じて、クラウドは人的リソースが限られた中堅中小企業こそがいち早く導入して、その恩恵を受けるべきだと考えています。何か不安がある場合は、まずは身近な AWS のパートナーに相談してみるのが一番ではないでしょうか。当社もターン・アンド・フロンティアから AWS に関する多くのアドバイスをいただきました。どんな要望に対しても基本的に“できる”こと前提に考えて、前に進んでいくためのパートナーの存在は重要です」(楠瀬氏)
関西圏の同業者に先駆けて AWS を採用し、課題の解決に取り組んできた同社のクラウド活用は、日本の製造業を支えるすべての中堅中小企業にとって貴重なモデルケースとなるはずです。
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楠瀬 博之 氏
カスタマープロフィール:髙砂金属工業株式会社
- 代表取締役:宮﨑吉ニ
- 資本金:1,600 万円
- 設立年月日:1963 年 7 月 25 日
- 売上高:約 70 億円(2019 年 7 月期)
- 従業員数:約 80 名(2020 年 7 月末現在)
- 事業内容:鋼板の切断・加工 および材料の販売、 溶接 H 形鋼(建築鉄骨の梁)の製作、鉄道工事桁・異形コラムなど各種鋼構造物の製造
AWS 導入後の効果と今後の展開
- サーバールーム、空調コスト、保守運用にかかる工数など、TCO の大幅な削減
- サーバーのトラブル対応など管理負荷からの解放
- 拠点間の地理的制約の解消、事業継続計画(BCP)対策の実現
- クライアント PC の Amazon WorkSpaces への移行を検討
- BI ツールの Amazon QuickSight への移行を検討
APN アドバンスド コンサルティングパートナー
株式会社ターン・アンド・フロンティア
AWS 東京リージョン開設に先行して、2008 年から AWS の導入支援と運用サポートを開始。導入から運用支援までクラウド活用を包括的にサポートする cloud link を展開し、2014 年には関西に本社を置く企業としては初の APN アドバンスド コンサルティングパートナーに認定される。SIer からエンドユーザーまで関西を中心に全国で 400 社以上のサポート実績を有する APN パートナー。
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ご利用中の主なサービス
Amazon EC2
Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。
Amazon EBS
Amazon Elastic Block Store (EBS) は、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) と共に使用するために設計された、スループットとトランザクションの両方が集中するどんな規模のワークロードにも対応できる、使いやすい高性能なブロックストレージサービスです。
Amazon S3
Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。
Amazon Virtual Private Cloud
Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) では、AWS クラウドの論理的に分離されたセクションをプロビジョニングし、お客様が定義した仮想ネットワーク内の AWS リソースを起動することができます。