9 か月
開発期間
5 分の 1 以下
一般的な開発規模比較
2 万台
クラウドカメラの総設置台数
8,000 件
USEN Cameraの契約店舗数
概要
創業ビジネスのBGMサービスに留まらず、サイネージ、通信サービス、POSレジ、キャッシュレス、セルフ・オーダーサービスといった店舗向けDXサービスを推進する株式会社USEN。顧客数は飲食店を中心に全国で約 80 万件に達しており、同社はグループ会社であるUSEN Camera Solutionsとともに、防犯・監視カメラ『USEN Camera』において、ストリーミング動画サービスの Amazon Kinesis Video Streams を活用し、長時間録画ができるクラウド録画プランを提供しており、開始から 約2 年でクラウドカメラの総設置台数は 2 万台、契約店舗数は 8,000 件に達しています。
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背景 | 安価に提供できるクラウド録画サービスの開発
同社が展開する防犯・監視カメラ『USEN Camera』は、遠隔で専用端末やパソコンから店舗の様子を確認・監視ができる防犯カメラの機能と、AI カメラで来店客属性を収集・分析する機能をワンストップで提供するサービスです。
「防犯・監視カメラとしての特徴は 4 つあり、1 つめは店舗運営を重視した UI/UX、2 つめは低遅延機能によるストレスのないライブ映像、3 つめはIP制限や権限管理などのセキュリティ機能、4 つめはハードウェアとクラウド保存サービスを低価格で提供することにあります」と語るのは、開発統括部部長の野村拓史氏です。
USEN Camera では約 7 日間の録画が可能な SD カード録画プランと、店舗からの声をもとにサービス化した 360 日間まで録画が可能なクラウド録画プランを用意しています。
「IP カメラの需要の高まりにより、過去の映像を見るための録画機能が求められるようになりました。しかし、従来の方法では記録媒体の経年劣化や記録装置を破損されるリスクがあるため、近年ではクラウド録画に注目が集まっています。そこで、規模の小さな店舗でも利用していただけるように安価に提供できるクラウド録画サービスの開発を決断するに至ました」(野村氏)
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「通常であれば 2 年ほど要するクラウド録画システムの大型開発を Amazon Kinesis Video Streams の活用により 9 か月に短縮できました。開発人数の規模も一般的な開発手法と比べて 5 分の 1 以下に収めることができました」
野村 拓史 氏
株式会社USEN 開発統括部 統括部長
ソリューション | マネージドサービスを活用し、スピード開発
低料金でかつ業務利用に耐えうる堅牢性を担保できるクラウド録画プランの実現を目指した同社は、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の利用を検討し、AWS IoT Core と Amazon Kinesis Video Streamsによる開発を決めました。
「クラウドカメラサービスをゼロからスクラッチ開発する場合、かなりの予算と人的リソースが必要になります。AWSの各サービスを利用することで、それらの基礎技術をゼロから開発する必要がなく、設計ガイドラインや技術面のサポートも充実しているため、少人数かつ低価格でスピード開発ができることが一番の採用理由でした」(野村氏)
コスト面でも初期投資が不要で、録画データを保存するストレージや通信トランジットの費用も従量課金が可能なことから、ビジネスリスクを最小限に抑えながらサービスを開始できる点も評価しました。すでに同社の他のサービスでも AWS を利用していたことから、ユーザーの認証システムを共有でき、サービス間のインテグレーション性が高くなることも選定の要因となりました。
クラウド録画の開発は 2021 年 6 月から始まり、2022 年 3 月に終えて早期にフィールドでのテスト販売を開始することができました。カメラデータをリアルタイムかつセキュアにクラウドと連携するところでは MQTT 形式でのデータ転送が可能な AWS IoT Core を利用し、クライアント証明書を使った認証を行っています。クラウド録画には、フルマネージドの Amazon Kinesis Video Streams を活用することでスピード開発を実現しました。
2024 年 3 月にはクラウド録画に加えて、低遅延の映像伝送に向けて、P2P 通信により音声やビデオなどをリアルタイムにやり取りする WebRTC を利用した超低遅延な映像配信を実現しました。
「ユーザーがライブ映像を見る際、通常の通信では遅延が発生します。これがユーザーのストレスになります。そこで、1 秒以内の遅延でライブ映像が見られるように WebRTC 技術とのハイブリッドサービスを立案しました」(野村氏)
クラウド録画サービスを新規開発するにあたり、自社の開発管理担当者 2 名と、WEB Front2名+バックエンド2名というり少数精鋭の体制で開発し、最小限の工数と期間で開発完了することができしました。
「実績のある Amazon Kinesis Video Streams を利用することで、PoC の時間はほとんど取らずに本番開発に移行できました。導入ガイドラインが整っているだけでなく、AWS の担当者には親身に相談に乗っていただき、設計段階のアーキテクトレビューで事前に問題点を洗い出すことができました」(野村氏)
アーキテクチャ
導入効果 | 安定稼働と業務負荷軽減が評価され、設置台数は 2 万台超
2022 年 3 月にクラウド録画プランを追加して以降、クラウドカメラの総設置台数は約2 年間で 2 万台を超え、契約店舗数は 8,000 件に達しています。導入以降でクラウド起因による障害は発生しておらず、営業及び契約店舗からも高評価を得ています。
「コロナ禍以降、店舗のスーパーバイザー(SV)を中心にリモートワークが増えました。遠隔操作で複数店舗の状態がわかる USEN Camera はリモートワークのお客様にも好評で、SV の業務負荷軽減に貢献しています。その他、店舗の従業員の応対や動線を録画データで確認することで、サービスの改善や人手不足の解消に役立てている事例も増えています」(野村氏)
AWS IoT Core と Amazon Kinesis Video Streams を中心とした AWS のサービス活用は、開発期間の大幅な短縮と効率的な開発に貢献しました。
「通常であれば 2 年ほど要する大型開発を 9 か月に短縮できたのは AWS のおかげです。開発人数の規模も一般的な開発手法と比べて 5 分の 1 以下に収まりました。オンプレミスと比べてインフラの初期投資もかからず、コスト面でもインパクトがありました。人材育成の面でもプロジェクトに若手メンバーを参加させたことでアーキテクチャに対する視野が広がり、新たなサービスの開発に活かせるようになりました」(野村氏)
今後は、USEN Camera だけにとどまらず、 POS レジをはじめとする他の店舗 DX サービスとのインテグレーションの加速が課題で、すでに POS レジとの連携による防犯機能や、動態検知と連動した従業員の勤怠管理機能などの開発が進んでいます。カメラサービスについては、2024 年 10 月に WebRTC を使った廉価版の LIVE VIEW がリリースされ、より多くのユーザーが防犯・監視カメラを導入しやすくなりました。
店舗 DX サービスとしては、AWS を用いて開発したサイネージサービスを 2024 年 9 月にリリースしました。サイネージサービスとカメラの相性は抜群で、顧客の属性分析から店舗に流す映像を選択することも可能になります。
IP カメラを筆頭にさまざまなエッジデバイスを開発、提供している同社では、クラウドとローカルサーバーのハイブリッドサービス化も検討中です。
「店舗には通信が途切れてもサービスを継続したい、ソフトウェアをアップデートしたいといったニーズがあります。こうした声に応えるためもクラウドとローカルのハイブリッド化は今後の構想にあり、それを実現する AWS IoT Greengrass に期待しています」(野村氏)
カスタマープロフィール:株式会社USEN
1961 年に有線放送として創立。2005 年に商号を USEN に変更。現在、店舗DXとして来店客向け空間演出ソリューション、スタッフ向け業務効率化ソリューション、通信基盤ソリューションを提供し、コンサルティングなどのサポート事業も手がける。2024 年 7 月にはグループで展開しているカメラソリューションサービス事業を集約し、USEN Camera Solutions を設立。
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ご利用中の主なサービス
Amazon Kinesis Video Streams
Amazon Kinesis Video Streams を使用すると、分析、機械学習 (ML)、再生、およびその他の処理のために、接続されたデバイスから AWS へ動画を簡単かつ安全にストリーミングできるようになります。
AWS IoT Core
AWS IoT Core は、インターネットに接続されたデバイスから、クラウドアプリケーションやその他のデバイスに簡単かつ安全に通信するためのマネージド型クラウドサービスです。
Amazon Cognito
Amazon Cognito を使用すれば、ウェブアプリケーションおよびモバイルアプリに素早く簡単にユーザーのサインアップ/サインインおよびアクセスコントロールの機能を追加できます。
Amazon CloudFront
Amazon CloudFront は、データ、動画、アプリケーション、および API をすべて開発者にとって使いやすい環境で、低レイテンシーの高速転送により世界中の視聴者に安全に配信する高速コンテンツ配信ネットワーク (CDN) サービスです。
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