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2025 ヤンマーホールディングス株式会社

ヤンマーホールディングス、社内の生成 AI 活用を拡大。統合ナレッジ検索で社内に蓄積された情報を広く共有し、効率向上と技術継承の課題に挑む

製造業

概要

農機・建機で知られるヤンマーホールディングス株式会社は、DX 推進の一環として生成 AI に着目。国内外問わずグループ全体の DX コミュニティからアイデアを募ってさまざまな検討を重ね、Amazon Bedrock と Amazon Kendra を活用した統合ナレッジ検索基盤を構築しました。社内の膨大な技術資料や手順書を生成AI で検索・活用して業務効率を高めるとともに、ベテランのノウハウ継承といったビジネス課題の解消や新サービスの創出にも取り組んでいます。

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課題・ソリューション・導入効果

ビジネスの課題

社内のナレッジ活用とベテランの技術継承

農業機械、建設機械、マリン、エンジンなど多様な事業を展開する総合機械メーカーのヤンマーホールディングス。近年は製品販売から「コト売り」への転換を経営課題に掲げ、農業分野では高齢化による人口減少に対しスマート農業の推進やロボット技術を活用した営農支援アプリケーションなどを提供しています。

こうしたデジタル技術活用を推進するなかで、同社は 2021 年~2022 年ごろに全社デジタル戦略を策定し、AI を活用した生産性向上と価値創出を進めてきました。そして現在は、2024 年 4 月に設立された AI 戦略推進部を中心にさまざまな取り組みが行われています。

同社では、本社の DX 部門の人材だけでは全社に波及する展開が困難と判断し、デジタル技術に興味のある人材が参加する『DX コミュニティ』を組織しました。国内だけでなくグローバルグループ全体でのコミュニティを通じて、ビジネス現場でも AI を使えるよう活動しています。「このコミュニティ活動で強いニーズとして浮上したのが、社内の膨大なドキュメントの有効活用でした。製品の使い方や不具合の対処法といった資料が豊富にありながら、担当者がうまく活用できる形になっていなかったためです。熟練者には経験と知見がありますが、新入社員や経験の浅い担当者にとっては情報の検索・活用が困難で、ナレッジ再利用が難しい状況でした」と、AI 戦略推進部 部長の山根寛司氏は振り返ります。

生成 AI 活用については、先行して技術検討を始めていたクラウドプロバイダー環境がありましたが、アマゾン ウェブ サービス(AWS)でも Claude などさまざまなモデルが使えるようになっていたため、2023 年 12 月頃から並行して評価を開始。環境構築にあたっては、AWS パートナーの株式会社ジェーエムエーシステムズ(以下、JMAS)の支援を受けました。「JMAS にはさまざまな相談をさせていただき、非常に対応力がありスピード感もあったため継続してお願いすることにしました」と山根氏は語ります。そして、2024 年 3 月に AWS 上での検索拡張生成(RAG)開発を正式決定しました。

ソリューション

Amazon Bedrock と Amazon Kendra による統合ナレッジ検索基盤の構築

ヤンマーホールディングスが構築した統合ナレッジ検索基盤では、Amazon Bedrock が生成 AI 機能を提供し、Amazon Kendra が社内文書の検索・インデックス機能を担っています。既存の業務フローを変更することなく利用可能な設計が特長で、普段利用している社内の情報共有基盤にドキュメントを保存すると、自動的にそれらを読み込み、生成 AI で検索・活用可能な状態にします。ユーザーはチャットから自然言語で質問を入力することで、関連文書をもとに生成された回答と参照元リンクを同時に取得できます。AI 戦略推進部の齊藤裕太氏は「埋もれている社内のナレッジを検索する、属人化している業務をマニュアル化してチャットで活用するなど、経験の浅い社員でも、あたかもベテラン社員に教えてもらいながら仕事ができているような状態を目指しました」と語ります。

システム構築は約 3 週間で完了。JMAS は迅速な構築とあわせて、セキュリティと柔軟な拡張性を特に重視。多様な部署での利用拡大を想定し、部署ごとの要件に対応できる設計と堅牢なセキュリティを実装しました。また、内製化を見据えて、社内で手軽に試せる環境整備と迅速な対応により、効果的なスキルトランスファーを実現しています。

Amazon Kendra の利用では、効率的な開発のためデータ整理に注力しました。「一般的な RAG システムの開発では検索側で複雑な工夫に取り組むと試行錯誤が続いてしまいます。Amazon Kendra は非常にシンプルな構成のため、元データの変換に集中することで効率的に開発を進めることができました」と、AI 戦略推進部の柴田智弘氏は語ります。

山根氏は、システム全体の設計思想について次のように語っています。「技術者だけでなく、最終的にはビジネスユーザーにも広げたいので、テクニカルなことを気にせずに使える仕組みにしたいと考えました。現在は営業、生産、開発など多様な職能の方が使っています。開発プロセスについてもシンプルさを保つことが重要で、AWS の環境ならすぐに試せて評価でき、続けるかどうかをすぐに判断できました」

導入効果

各所で業務効率の向上を実現、暗黙知継承の重要な基盤に

ヤンマーホールディングスでは 2024 年 3 月から統合ナレッジ検索の本格的なトライアルを開始。DX コミュニティから 80 以上のテーマを創出し、すでに多くの実務に応用されています。「非常に広い部門で利用されており、エンジン事業やトラクター事業などでの品質管理、製造関係、コンタクトセンター、お客様対応など多様な部門で活用されています」(齊藤氏)

具体的な効果として、社内内規検索のテーマでは顕著な成果が確認されています。エンジン事業の内規検索では、従来の社内情報共有基盤での検索が困難だった内規を RAG システムに連携させることで、1 人当たり月 20 分の検索時間短縮を実現。ユーザー数も 60 数人に増加し、全体で月 1,200 分程度の効果を創出しています。その他、エネルギーシステム事業でのマニュアルや対応履歴活用により月 100 分のカスタマーサービス時間の短縮、エンジン開発事業での過去設計資料活用では 1 人当たり月 20 分の効果が出ています。

属人化解消など数値に現れない定性的な効果はさらに大きく、「専門的な質問でも適切な回答が出て、かつ参照した文書のリンクから、回答の正確性の確認ができるため、非常に高い評価を得ています」と齊藤氏は語ります。また、柴田氏はカスタマーサービスでの利用について「新しく入ってきた方にとってはかなりこのシステムが役立っています。経験の浅い人から『おかげで適切な回答に行き着きました』といった声も寄せられています」と手応えを語ります。

統合ナレッジ検索基盤の活用は組織全体に好影響をもたらすと、山根氏は戦略的意義を強調します。「日本の人口が減少する中で、人材の採用が困難になるとともに、ベテランの技や知見の継承が経営課題になっています。今回の取り組みは、単に生成 AI で社内のナレッジを見つけるだけではなく、ベテランの暗黙知も受け継がれるようにすることで事業継続の 1 つのキーになっていくと考えています。また、生産性向上にもつながります」

今回のプロジェクトで継続的な伴走支援を行った JMAS については「AWS に関する技術力が高く、ストレスなく対応いただいて非常にありがたく思っています。問題が発生した際も、さまざまな代替案を提案いただきました」と山根氏は評価しています。

ヤンマーホールディングスの今後の展望は、生成 AI の可能性を顧客への価値提供につなげることです。「現在は業務プロセス改革的な DX で生成 AI に取り組んでいますが、これを新たなサービスにつなげたいと考えています。AWS のさまざまな機能を活用して、お客様に直接価値を届ける取り組みに挑戦していきたいです」(山根氏)

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ベテランの技や知見の継承という経営課題に対しては、単に生成 AI で社内のナレッジを見つけるだけではなく、ベテランの暗黙知も受け継がれるようにすることで事業継続の 1 つのキーになっていくと考えています

山根 寛司 氏

ヤンマーホールディングス株式会社 AI 戦略推進部 部長

ヤンマーホールディングス株式会社

大阪市に本社を構える産業用機械・エネルギーシステムの大手メーカー。1912 年の創業以来、ディーゼルエンジンを核とした農業機械、建設機械、マリンエンジン、環境再生事業などを展開。「A SUSTAINABLE FUTURE ―テクノロジーで、新しい豊かさへ。―」をブランドステートメントとして掲げ、グローバル展開と技術革新によって持続可能な社会の実現を目指している。

AWS アドバンストティア サービスパートナー: 株式会社ジェーエムエーシステムズ(JMAS)

2013 年から AWS パートナーとしてコンサルティングやクラウド移行、データ分析、AI/IoT などに幅広く対応・実績を持つ企業。近年では生成 AI の導入・活用のサポートに力を入れており、AI 活用×データドリブンなサービス「JMAS セキュア AI プラットフォーム」の提供などで企業の DX 推進を支援している。

取組みの成果

  • 20 分/月:社内内規の検索にかかる時間の短縮(エンジン事業)
  • 100 分/月:カスタマーサービスおける時間短縮(エネルギーシステム事業)
  • グループ全体の多様な部門で生成 AI を活用
  • 属人化解消と新人教育支援による組織力向上

本事例のご担当者

山根 寛司 氏

Missing alt text value AI 戦略推進部 部長

齊藤 裕太 氏

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柴田 智弘 氏

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