投稿日: Nov 2, 2016
このたび Amazon Simple Email Service(Amazon SES)は、E メールのバウンス、苦情受信、送信済み、拒否をトラッキングできる、粒度が細かいメトリックスの提供を開始しました。従来、Amazon SES は AWS アカウントレベルで E メールのメトリックスを提供してきましたが、今後はデベロッパーの皆様自身が定義した特性に基づいてメトリックスにアクセスできます。たとえば、特定の E メールキャンペーン、特定の受信者群など、実際の業務オペレーションや分析用途において重要な意味がある側面から E メール送信のメトリックスをトラッキングできます。また、そのメトリックスを Amazon CloudWatch や Amazon Kinesis Firehose に公開することもできます。
粒度の細かい E メール送信メトリックスを設定するには、まず、設定セットを作成して E メールの特性を定義します。設定セットを作成する際には、E メール送信メトリックスの公開先(Amazon CloudWatch または Amazon Kinesis Firehose)と、その公開先の必要に応じた付加情報を指定します。その後は、E メールを 1 件送信するごとに、その E メールに適用する設定セット名、タグ名、タグ値を指定します。Amazon SES 用のタグを指定する方法は、お使いの E メール送信インターフェイスによって異なります。API 呼び出しで名前/値ペアを指定する形式と、E メールヘッダーとして E メールに含める形式があります。一例を挙げると、SF ジャンルでミレニアル世代(1980 年代半ば~ 2000 年前後生まれ)向けの書籍を宣伝する E メールには、campaign/book、genre/sci-fi、generation/millennial などといった名前/値ペアが指定されると考えられます。
タグはデベロッパーが独自に定義でき、E メール送信メトリックスは、実際の業務オペレーションや分析に役立つあらゆる目的のために活用できます。たとえばオペレーション向けメトリックスの場合、E メール送信メトリックスを Amazon CloudWatch に公開し、Amazon CloudWatch の設定で、書籍キャンペーンの苦情率が 5% を超えたらアラームを作動させるといった使用方法が考えられます。また、分析向けメトリックスの場合、E メールにキャンペーン ID と顧客 ID のタグを付け、Amazon Kinesis Firehose の設定で、E メール送信メトリックスのストリームを Amazon Elasticsearch Service に送り込むことなどが考えられます。これを Kibana などの分析プラットフォームと組み合わせれば、キャンペーン E メールのエンゲージメントメトリックス(宣伝対象の書籍を購入した顧客数など)をほぼ即座に算出できます。
タグを独自に定義する手間をかけられない場合も、Amazon SES の自動タグ付け機能を使えば、粒度が細かいメトリックスのメリットを享受できます。自動タグ付けされる情報は、設定セット名、送信者 E メールアドレスのドメイン名、呼び出し元の発信 IP アドレス、Amazon SES の発信 IP アドレス、呼び出し元の IAM 識別情報です。
Amazon SES E メール送信メトリックスの使用を開始するには、Amazon SES コンソールを開いて設定セットを作成するか、Amazon SES 開発者ガイドで詳細情報をご覧ください。