投稿日: Jun 1, 2018
ニューラルネットワーク実装のための Python ベースの深層学習フレームワークである Chainer 対応も開始
(東京、2018 年 6 月 1 日発表)Amazon.com, Inc. の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(AWS)は本日、Amazon SageMaker を東京リージョンで提供開始したことを発表しました。Amazon SageMaker は、開発者やデータサイエンティストが自社の機械学習モデルを容易に構築、学習、展開、管理できる、フルマネージドサービスです。また、AWS はこれまですでに MXNet や TensorFlow といった深層学習フレームワークにも対応していましたが、本日 Python ベースの Chainer にも対応したことを発表しました。
これまで、機械学習の実装は複雑で、大いに試行錯誤を強いられ、専門のスキルが求められました。開発者やデータサイエンティストはまず、データを視覚化し、変換、事前処理を施すことで、アルゴリズムが使用できるフォーマットに置き換え、機械学習のモデルを学習させていきます。シンプルなモデルでも、学習には膨大なコンピュート能力と多くの時間が必要で、企業が行う場合には、専門チームを雇用し、複数の GPU 搭載サーバーにまたがり学習環境を管理しなくてはなりません。アルゴリズムの選択や最適化に始まり、モデルの精度に影響を及ぼす数百万のパラメーターの調整に至るまで、学習のあらゆる段階で、多くの手作業や推測で行う作業が必要になります。また、学習したモデルをアプリケーションに展開するには、アプリケーション設計や分散システムに関する様々な専門スキルが求められます。データセットと変数が増えるのに伴い、モデルが古くなり、このプロセスを反復する必要があり、新しい情報を学習し、進化するために継続的に再学習しなければなりません。これらの作業には、多くの専門知識と、膨大なコンピュート能力やストレージ、多くの時間が必要になります。このように、これまでは多くの開発者にとって機械学習は手の届かないものでした。
Amazon SageMaker は、機械学習プロセスの各段階の手間のかかる作業と推測で行う作業を取り除くフルマネージドサービスです。プレビルドの開発ノートブック、ペタバイト規模のデータセット向けに最適化された一般的な機械学習アルゴリズム、自動的なモデルチューニング機能を提供することで、モデルを容易に構築し、学習を行うことができます。また、モデルの学習と、モデルを利用した予測のための推論を実行するインフラストラクチャのプロビジョニングと管理を自動化することで、学習プロセスを劇的に簡素化し、高速化します。
Amazon SageMaker により、開発者は以下のことが可能になります。
- パフォーマンスに最適化されたアルゴリズムで機械学習モデルを容易に開発
Amazon SageMaker のフルマネージド機械学習ノートブック環境により、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)に保存しているデータを容易に検証、視覚化し、一般的なライブラリやフレームワーク、インターフェースを使用して変換することができます。Amazon SageMaker には最もよく使用されるディープラーニングアルゴリズムが含まれ、標準的な実装に比べて最大 10 倍高速に実装できるように最適化されています。開発者は好きなアルゴリズムを選択し、データソースを特定するだけで、後は Amazon SageMaker が必要なドライバーとフレームワークをインストールし、構成してくれます。また、TensorFlow や Apache MXNet とのネイティブ統合に加えて、本日、Python ベースの Chainer に対応しました。Amazon Elastic Container Registry(ECR)上のコンテナにアップロードすることで、必要なフレームワークやアルゴリズムを指定することもできます。
- 高速かつフルマネージドな学習
Amazon SageMaker により、モデルを簡単に学習させることができます。Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)インスタンスの種類と数量を選択し、データの場所を指定するだけで、後は Amazon SageMaker が自動的に分散コンピュートクラスタをセットアップし、学習を行い、Amazon S3 に結果を出力し、終了したらクラスタを解体してくれます。
- ワンクリックで学習モデルを展開
Amazon SageMaker は、高いスループットで低遅延の予測をし、複数のアベイラビリティゾーンにまたがって Amazon EC2 インスタンスが自動的に拡張されるアプリケーションのための、インスタンスのローンチ、モデルの展開、セキュアな HTTPS エンドポイントの設定を自動で行います。また、A/B テストのネイティブサポートも提供します。一度、学習モデルを稼働した後は、機械学習インフラストラクチャの管理に関連する手間のかかる作業をなくし、ヘルスチェックの実施、セキュリティパッチの適用、その他のルーティンメンテナンスを自動で実施してくれます。
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA) AIシステム部部長 山田憲晋氏は「弊社では、「インターネット × AI を活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」というビジョンを掲げ、ゲーム、オートモーティブ、ヘルスケア、スポーツなど多種多様な事業分野での AI 活用を推進しています。現在も、人工知能の分野で20年以上、大規模な投資を行ってきた Amazon の技術をベースに開発された AWS の GPU インスタンスを活用して、機械学習のモデル開発および推論部の実装を行っています。この度、Amazon SageMaker が東京リージョンでも利用可能に、また多数の弊社 AI 研究開発エンジニアが活用している Chainer に対応したことを歓迎します。これにより、弊社の機械学習システムをより簡便にし、AI 研究開発エンジニアが機械学習モデルの研究開発にフォーカスすることが可能になることを期待しております」と述べています。
株式会社Preferred Networks 代表取締役副社長 岡野原大輔氏は「弊社では交通システム、製造業、バイオヘルスケアのエリアを重点事業領域として、社会にとって重要な分野の進歩を実現すべく、様々な技術の専門家を集め、お互いの専門性を融合させた強力なチームを形成しています。深層学習フレームワークの "Chainer" は弊社の技術者がコアとなり開発を行っておりますが、この度 Amazon SageMaker が Chainer をサポートすることを歓迎いたします。これにより、広範囲の技術者に対して簡便な開発環境が実現できるようになり、グローバルの技術進歩に貢献することを願っています」と述べています。
東京大学大学院 中山英樹准教授は「中山研究室では、画像・映像・自然言語を横断するさまざまなマルチメディアの認識・理解を自動的に行うための基礎技術の開発を行っています。 これには、各種メディアを扱うための素性(特徴量)抽出や、大規模なデータを有効に利用するための機械学習・データマイニング手法の開発などが含まれます。機械学習の開発環境として GPU 搭載のワークステーションやサーバーを利用していますが、その運用と保守に手間と時間がかかっていました。運用、保守の負荷を低減、使いたい時に使いたいだけ利用することができ、セキュリティ面でも安心な AWS は、その点で研究室に最適です。この度、Amazon SageMaker が TensorFlow、MXNet に加え、新たに Chainer に対応、また東京リージョンでも利用可能になったということで、ぜひ活用し、よりよい研究成果につなげていきたいと考えています」と述べています。
スマートニュース株式会社 浜本階生氏は「世界中の膨大な情報を日夜解析し続けるアルゴリズムと、スマートデバイスに最適化された快適なインターフェースを通じて、SmartNews は、良質な情報を一人でも多くの人々に届けていきたいと考えています。機械学習の開発から学習・推論まで、Amazon SageMaker のフル活用を検討しており、この度、東京リージョンで利用可能になるということで、一連のプロセスのさらなる最適化が可能になります。また、現在は TensorFlow で Deep Learning を用いた記事分類を行っておりますが、Chainer への対応によって弊社エンジニアの選択肢が増え、今後の適用領域も拡大していくことを期待しています」と述べています。
dely株式会社 CTO 大竹雅登氏は「弊社では "70 億人に 1 日 3 回の幸せを届ける" をサービスミッションとして、レシピ動画サービス『kurashiru [クラシル]』を提供しています。2017 年末時点で累計 1000 万 DL を超える規模になりました。適切なコンテンツを、適切なタイミングで、適切なユーザーに配信するシステムを作るためには機械学習技術の活用が必須であると考え、Amazon SageMaker を本番導入しました。この度、Amazon SageMaker が東京リージョンで利用可能になることで、同じく東京リージョンで運用している弊社アプリケーションサービスとの連携がスムーズになることを歓迎します」と述べています。
Amazon SageMakerの詳細については、 https://aws.amazon.com/jp/sagemaker をご覧ください。
アマゾンウェブ サービスについて
アマゾンウェブ サービス(AWS)は 12 年の間に、世界で最も包括的かつ幅広く採用されたクラウドプラットフォームになっています。AWS は、米国、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、インド、アイルランド、日本、韓国、シンガポールおよび英国の 18 の AWS リージョン、1 つのローカルリージョンと 55 のアベイラビリティーゾーン(AZ)で、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキング、アナリティクス、マシンラーニング、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、モバイル、セキュリティ、ハイブリッド、アプリケーションディベロプメント、デプロイメントおよびマネージメントに関する 125 種類以上の十分な機能を有するサービスを提供しています。AWS のサービスは、アジリティを高めながら同時にコストを削減できるインフラエンジンとして、急速に成長しているスタートアップや大手企業、および有数の政府機関を含む数百万以上のアクティブなお客様から信頼を獲得しています。AWS の詳細については以下のURLをご参照ください。https://aws.amazon.com/
Amazon.comについて
Amazon は 4 つの理念を指針としています。競合他社ではなくお客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、そして長期的な発想です。カスタマーレビュー、1-Click 注文、パーソナライズされたおすすめ商品機能、Amazon プライム、フルフィルメント by Amazon(FBA)、アマゾン ウェブ サービス(AWS)、Kindle ダイレクト・パブリッシング、Kindle、Fire タブレット、Fire TV、Amazon Echo、Alexa などは、Amazon が先駆けて提供している商品やサービスです。
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