投稿日: Dec 9, 2020
Amazon HealthLake により、ヘルスケア企業はクラウド上であらゆるデータの保存、変換、分析が可能に
Cerner、Ciox Health、コニカミノルタプレシジョンメディシン、Orion Health などの顧客企業が Amazon HealthLake を採用
(シアトル発、2020 年 12 月 8 日発表)Amazon.com, Inc.(NASDAQ:AMZN)の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(AWS)は、「AWS re:Invent」にて、U.S. Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996(HIPAA: 1996 年制定の医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に対応した、ヘルスケア・ライフサイエンス業界向けのサービス、Amazon HealthLake を発表しました。Amazon HealthLake は、組織全体にわたってサイロ化されたデータや多種多様なフォーマットのデータを、一元化された AWS データレイクに集約し、機械学習を活用して自動的に標準化します。臨床情報のそれぞれの構成要素を特定し、標準化されたラベルでイベントをタイムラインビューでタグ付け、また、インデックス化します。これによって、情報の検索が容易になり、すべてのデータを医療情報交換の標準規格である HL7 Fast Healthcare Interoperability Resources(FHIR)のフォーマットに構造化することで、患者個人の健康や公衆衛生の状況を包括的に把握できます。Amazon HealthLake を利用することで、クエリ処理、分析、機械学習の実行が容易になり、新たに標準化されたデータから有意義な価値を引き出せるようになります。医療機関、製薬企業、臨床研究者、保険者などは、Amazon HealthLake を利用し、医療データの傾向や異常を特定し、病状の進行状況、臨床試験の有効性、保険料の正確性、その他多くの用途に関し、従来よりも正確な予測を行うことができるようになります。詳細については、https://aws.amazon.com/jp/healthlake/ をご覧ください。
機械学習が浸透するなか、多様な業種の企業は、自社のデータに機械学習を適用することで、有意義なビジネス価値を見出そうとしています。ヘルスケア業界ではオペレーションの改善と患者ケアの向上に向けて機械学習が活用されており、3M、Anthem、アストラゼネカ、ブリストル マイヤーズ スクイブ、Cerner、フレッドハッチソンがん研究センター、GE ヘルスケア、インフォア、ファイザー、フィリップスなどの AWS の顧客は、膨大なデータの中からより多くの価値を引き出すため、クラウドと機械学習を利用しています。ヘルスケア企業・機関では、家族歴や臨床所見から診断、投薬に至るまで日々膨大な量の患者情報が生成されており、患者の健康状態を包括的に把握するため分析や機械学習を活用し、ケアの向上、公衆衛生の傾向分析、業務効率の改善に取り組んでいます。しかし、臨床情報は複雑であり、周知の事実として、データはサイロ化され、不完全かつ非互換で、複数の場所に分散したオンプレミスシステムに保存されています。こうしたデータのすべてを集約し、HL7 FHIR のフォーマットに変換することは、構造化データの標準化という目標に向けた第一歩ですが、データの大部分は構造化されていない状態にあり、すべてのデータを理解してクエリ処理できるようにするには、時系列でのタグ付け、インデックス化、構造化が必要です。一部のヘルスケア企業・機関は、非構造化データ(例:病歴、医師のコメント、医用画像レポート)の変換や、臨床情報(例:診断、処方、治療)のタグ付けのプロセスを自動化するため、ルールベースのツールを構築していますが、異なるシステムを横断したデータの標準化が必要なことや、ツールが表記のゆれ、誤字脱字、文法ミスなどを汲み取ることができないことから、こうしたソリューションは往々にして、有効に機能していません。汎用の光学文字認識(OCR)ソフトウェアを用いてデータソースを処理する企業もありますが、こうしたツールには有効な処理に必要な医学の専門知識が欠けているため、医療従事者による手作業でのデータ入力に頼らざるを得ず、デジタル化のプロセスには追加コストがかかります。データの集約化・構造化が可能な場合も、データの関係性を明らかにし、傾向を見極め、正確な予測を行うには各企業・機関で独自の分析および機械学習アプリケーションを構築する必要があります。こうした作業のすべてを行う際のコストや運用の複雑さは、大半の企業・機関にとって非常に高額な費用を要するため、その結果、大多数は、患者や地域社会の健康を向上させるためにデータを活用するという機会を活かしきれていないのが現状です。
Amazon HealthLake は、医療機関、保険者、製薬企業などを対象に、すべての患者データを一元管理し、そのデータを価値あるものにするサービスであり、これによりヘルスケア企業・機関は、患者の健康と公衆衛生に関し、より正確な予測を立てることができるようになります。この新しいHIPAA対応サービスを利用することで、企業・機関は保存、タグ付け、インデックス化、標準化、クエリ処理、機械学習を適用し、クラウド上にあるペタバイト規模のデータを分析できます。また、医療データをオンプレミスのシステムからクラウド上のセキュアなデータレイクへと容易に複製することができ、多様なフォーマットの患者記録は自動的に標準化されます。Amazon HealthLake は、医療用語を理解できるようトレーニングされた機械学習を使用し、臨床情報のそれぞれの構成要素を特定・タグ付けし、イベントをタイムラインビューでインデックス化し、標準化されたラベル(処方、症状、診断、治療等)をデータに付加することで、医療データを容易に検索できるようにします。例えば、「血圧の高い患者にコレステロールを低下させる医薬品を使用して、昨年どのような効果があったか」といった質問に対して、迅速かつ正確に答えを見つけることが可能です。これを行うには、標準的な病状リストから「高コレステロール」を、治療メニューから「経口薬」を、「血圧」構造化フィールドから血圧値を選択することで、患者リストを作成できます。次に、期間、性別、年齢などの属性を選択し、リストの精度を高めることができます。さらに Amazon HealthLake はヘルスケア企業・機関の全データを HL7 FHIR の業界標準フォーマットに自動的に構造化します。そのため、こうした情報は医療機関やサードパーティアプリケーション間で簡単・セキュアに共有でき、ヘルスケア企業・機関同士がより効果的に連携できる一方、患者は自分の医療情報に自由にアクセスできるようになります。
AWS の Amazon Machine Learning 担当バイス・プレジデントのスワミ・シバスブラマニアン(Swami Sivasubramanian)は、次のように述べています。「近年の電子カルテの台頭により、医療データのデジタル化は爆発的に進んでいるものの、機械学習などの技術を使って医療データから価値を引き出すことは依然として困難であり、さまざまな障壁があると、多くの組織から聞いています。ヘルスケア企業・機関は Amazon HealthLake を利用することで、クラウド上の医療データの変換に必要な時間をこれまでの数週間から数分間に短縮できるため、ペタバイト規模のデータでもセキュアに分析できます。これは、ヘルスケアの可能性を根底から再発明するものであり、患者個人と社会全体に、より個別化された予測可能な治療を提供するという業界全体の目標に向けて、私たちは大きく前進することができます。」
すべてのデータを集約、ラベル付け、インデックス化、構造化することで、顧客にとっては、クエリ処理、分析、機械学習の使用が容易になり、データを理解可能な形式にできます。インタラクティブなダッシュボードを作成する Amazon QuickSight や、カスタムの機械学習モデルを容易に構築、トレーニング、デプロイするための Amazon SageMaker など、AWS の他の分析サービスや機械学習サービスと Amazon HealthLake を併用することも可能です。例えば、ヘルスケア企業・機関は Amazon SageMaker の Jupyter Notebook テンプレートを使用し、診断予測、再入院の可能性、手術室の利用予測など、一般的なタスクの分析を迅速かつ簡単に実行できます。ヘルスケアならびにライフサイエンス企業・機関は Amazon HealthLake を使用し、患者の健康と公衆衛生の全体像を把握し、分析と機械学習によって洞察を導き出し、これまで不明瞭だった関係性や傾向を見出すことができます。
グローバルなヘルスケアテクノロジー企業である Cerner Corporation は、データを利活用してイノベーションを加速することで課題を解決することに注力しています。ヘルスケアの進化を通じて、臨床とオペレーションのアウトカム向上、臨床医の燃え尽き症候群の解消、健康の公平性向上を推進しています。Cerner の公衆衛生部門シニアバイスプレジデントであるライアン・ハミルトン(Ryan Hamilton)氏は、次のように述べています。「私たち Cerner は、クラウドの提供、機械学習、AI を通じ、ヘルスケアの未来の変革に取り組んでおり、AWS との協力を通じて新世代のヘルスケアイノベーションを加速する立場にあります。そして、その発端となるのがデータです。Amazon HealthLake の提供開始により、多種多様なソースから患者データを迅速に読み取り、データを変換して高度な分析を行うことで、新たな洞察を引き出し、公衆衛生における我々の多くの取り組みに役立てることができると非常に期待しています。」
コニカミノルタプレシジョンメディシン(KMPM)は、より正確な疾患の予測、検出、そして最終的には治療を目指すプレシジョン・メディシン(個別化医療)の発展に貢献するライフサイエンス企業です。コニカミノルタ株式会社の専務執行役ヘルスケア事業本部長、また KMPM の会長兼 CEO である藤井 清孝氏は次のように述べています。「KMPM は、病理、画像、遺伝子情報を含む膨大な医療データを処理するマルチモーダルプラットフォームを構築しています。Amazon HealthLake への参画によって、当社はこのマルチモーダルアプローチの真価を発揮し、データから、診断や創薬に有用な新たな因果関係や兆候を発見することができるでしょう。データサイエンティストと開発者で構成される当社の先端科学者チームは、こうしたデータの統合、階層化、構造化をより迅速に行い、臨床医や製薬パートナーが真のプレシジョン・メディシン推進に必要な洞察を導き出すことができると期待しています。」