投稿日: Dec 10, 2021

ビル、工場、産業設備、製造ラインなど実社会のシステムのデジタルツインを短期間で容易に構築可能な新サービスにより、運用効率の向上とダウンタイムの削減を実現するアプリケーションの構築を支援

Carrier、シーメンス、アクセンチュアなどの企業・パートナー各社が AWS IoT TwinMaker を活用

※本プレスリリースは、2021 年 11 月 30 日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳版です。

(ラスベガス - 2021 年 11 月 30 日発表) 本日、Amazon.com, Inc. の関連会社である Amazon Web Services, Inc.は、AWS re:Invent において、開発者がビル、工場、産業設備、製造ラインといった実社会のシステムのデジタルツインを短期間で容易に構築できる新サービス、AWS IoT TwinMaker を発表しました。デジタルツインとは実社会の物理的なシステムを仮想空間に再現したもので、実環境のデータによって定期的にアップデートされ、表現対象の物体の構造、状態、動きをコピーします。AWS IoT TwinMaker により、開発者は機器のセンサーやビデオカメラ、業務アプリケーションなど複数のソースから取得するデータを容易に統合でき、そのデータを組み合わせることで、実環境をモデル化したナレッジグラフを作成できます。AWS IoT TwinMaker の導入により、多くの企業がデジタルツインを利用して実社会のシステムをミラーリングするアプリケーションを構築し、運用効率の向上とダウンタイムの削減が可能になります。なお、AWS IoT TwinMaker を利用するための先行投資や手数料は必要なく、利用する AWS サービスの費用のみです。AWS IoT TwinMaker の利用を開始するには、以下のウェブサイトにアクセスしてください。aws.amazon.com/jp/iot-twinmaker/

多くの企業は、機器センサー、ビデオカメラ、業務アプリケーション(社内のリソース計画システムやプロジェクト管理システムなど)といったソースから、自社の機器や設備に関する膨大な量のデータを収集・処理しています。そして、企業はこうしたデータソースを組み合わせて、物理システムの仮想空間における再現(デジタルツイン)を作り出し、事業運営のパフォーマンスのシミュレーションと最適化につなげたいと考えていますが、デジタルツインの構築と管理は、高度な技術力を有する企業であっても簡単ではありません。デジタルツインの構築には、たとえばセンサー機器の時系列データやカメラの動画フィード、業務アプリケーションのメンテナンス履歴まで、多様なソースから収集した異なるタイプのデータを手動で連携する必要があります。さらに、接続されたすべてのデータに共通のアクセス環境を提供し、データソースと物理環境をひもづけるナレッジグラフを作成する必要があります。そのうえ、デジタルツインの完成には、物理システム(ビル、工場、設備、製造ライン)の 3D 仮想表現を構築し、この 3D のビジュアルオブジェクトに実環境のデータを重ね合わせる必要があります。実環境のシステムを仮想的に表現し、リアルタイムのデータが得られれば、企業は工場のオペレーターやメンテナンス技術者が使用するアプリケーションを構築し、機械学習や分析を活用し、物理システムの実際の運用パフォーマンスといった、ビジネスに有用なインサイトを抽出できます。このような作業が必要となるため、これまで大半の企業では業務効率化にデジタルツインを導入できずにいました。

AWS IoT TwinMaker は、はるかに短い期間で容易に実環境システムのデジタルツイン構築を可能にします。開発者は AWS IoT TwinMaker を機器センサーやカメラの動画フィード、業務アプリケーションなどのデータソースに接続することで、デバイス、製造設備、業務プロセスのデジタルツイン構築をすぐに開始できます。AWS IoT TwinMaker には、AWS IoT SiteWise、Amazon Kinesis Video Streams、Amazon S3 用のコネクタが組み込まれているため(または環境に合わせて Amazon Timestream、Snowflake などのデータソース用にコネクタを追加することも可能)、幅広いソースからデータを容易に収集できます。AWS IoT TwinMaker では、連携したデータソース間の関係を組み合わせて理解するナレッジグラフが自動で作成され、デジタルツインはモデル化済みのシステムから取得したリアルタイムの情報で常に最新の状態にアップデートされます。既存の 3D モデル(CAD、BIM ファイル、点群データなど)を直接、 AWS IoT TwinMaker にインポートすれば、容易に物理システム(ビル、工場、設備、製造ラインなど)の 3D ビジュアルオブジェクトを作成し、ナレッジグラフのデータを 3D ビジュアルオブジェクトに重ね合わせた、デジタルツインの構築も可能です。デジタルツインが作成されれば、開発者は Amazon Managed Grafana 用の AWS IoT TwinMaker プラグインを使用して、工場のオペレーターやメンテナンス技術者が設備と製造機械の監視/点検に利用するデバイス上にデジタルツインを表示させるウェブベースのアプリケーションを構築できます。たとえば、金属加工工場の設備センサーからのデータを、稼働中のさまざまなマシンを撮影したリアルタイムの動画データとこのマシン群のメンテナンス履歴に関連付けて、工場のデジタルツインを作成できます。温度のしきい値が超過するなど、現場で異常発生が検出されると工場オペレーターに警告アラートを通知して、異常ステータスをリアルタイムのボイラーの映像と合わせて工場の 3D ビジュアルオブジェクトに表示させるルールを設定すれば、オペレーターはボイラーが故障する前に予防措置を取るという即座の判断が可能になります。AWS IoT TwinMaker により、多くの企業がデジタルツインを活用して実環境のシステムをシミュレーションするアプリケーションを構築し、運用効率の向上とダウンタイムの削減が可能になります。

AWS IoT 担当ゼネラルマネージャーである Michael MacKenzie(マイケル・マッケンジー)は、次のように述べています。「多くのお客様がデジタルツインを使った業務やプロセスの改善に期待していますが、デジタルツインやさまざまなユースケースのためのカスタムアプリケーションを作成する作業は複雑かつコストがかさむため、多くの場合、取り組みにくいものです。AWS IoT TwinMaker には、異種混在のソースデータへの接続、物理環境のモデル化、空間的な背景を持つデータの可視化など、多くのお客様がデジタルツインに求める機能が組み込まれています。本日発表した AWS IoT TwinMaker により、より多くのお客様が産業用機器、設備、プロセスの全体像を把握し、すべてのオペレーションをリアルタイムに監視/最適化することが可能になります」

AWS IoT TwinMaker は、本日より米国東部(北バージニア)、米国西部(オレゴン)、アジアパシフィック(シンガポール)、欧州(アイルランド)でプレビュー版が提供されており、今後、対応する AWS リージョンを追加予定です。

Carrier Global は、健康的で安全、持続可能でインテリジェントなビルディングとコールドチェーンのソリューションを提供するリーディングカンパニーです。同社のデジタルおよびクラウド担当シニアディレクターである Dan Levine(ダン・レヴィン)氏は次のように述べています。「現在当社が掲げる目標は、冷暖房空調設備(HVAC)や冷蔵設備にとどまらず、健康的で安全な、持続可能なインテリジェントビルの開発にも及んでいます。当社の Abound プラットフォームでは、多様なシステムやセンサーから建物のパフォーマンスデータを集約し、お客様にコネクテッドな空間に関するリアルタイムな情報を提供しています。このプラットフォームを強化し、建物のデジタルツインを所有者や運営者に提供することは、当社にとっての最優先事項でした。しかし、その機能を自社開発することは非常に困難で、多大なコストと時間もかかることが予想されました。AWS IoT TwinMaker は、当社の Abound プラットフォームの技術戦略を大幅に加速する重要なイネーブラーになると考えています。AWS IoT TwinMaker の活用により、当社の開発チームはデジタルツインデータの抽象化やソリューションへの 3D ビジュアライゼーションの追加といった負荷の高い作業から開放され、お客様のビジネスの差別化につながる成果を迅速に生み出すことに集中できるようになります」

シーメンスは、設計、製造、サービス業務向けの包括的なデジタルツイン構築に向けたソフトウェアを提供するリーディング企業です。Siemens Digital Industries Software のインダストリーマーケティング&ストラテジー担当シニアバイスプレジデントである Brenda Discher(ブレンダ・ディッシャー)氏は、次のように述べています。「AWS と協力し、当社の Xcelerator ポートフォリオと、新しい AWS IoT TwinMaker サービスを含む AWS サービスとの連携を拡大できることを嬉しく思います。今回のコラボレーションにより、開発者はローコード、ビジュアライゼーション、シミュレーション、インダストリアル IoT のための当社の豊富なアプリケーションサービスに、AWS IoT TwinMaker やその他の AWS サービスを組み合わせることで、最もシンプルなユースケースから複雑なユースケースまで、拡張性のあるデジタルツインソリューションの構築が可能となります。当社のオープンエコシステムの一環として、今回の AWS とシーメンスの協力関係の拡大は、当社が提供するサービスの幅を広げ、お客様のデジタルトランスフォーメーションを加速させる新しいデジタルツインソリューションの提供につながるものです」

アクセンチュアは、デジタル、クラウドおよびセキュリティ領域において卓越した能力で世界をリードするプロフェッショナル サービス企業です。アクセンチュアのインダストリーX デジタル マニュファクチャリング&オペレーションズ担当グローバルテクノロジーリードである Maikel van Verseveld(マイケル・ヴァン・ヴェルセヴェルト)氏は次のように述べています。「製造業のデジタルトランスフォーメーションは、断片的でサイロ化され、構造化されて産業データがもたらす課題に直面し、多くの概念実証をスケールできないままでいる企業にとって大きなチャンスとなります。当社のお客様がデジタルマニュファクチャリングへの取り組みを開始し、規模を拡大していくためには、このような課題に迅速に対応できるツールが不可欠です。AWS IoT TwinMaker を利用することで、異種の IT ならびに OT システムから、データに基づき、より詳細かつリアルタイムな製造オペレーションのデジタルツインを簡単に作成できるうえ、エンドユーザーはより適切な判断を行い、オペレーションを最適化できます。当社は Accenture AWS Business Group を通じて、AWS IoT TwinMaker の活用を開始しており、この製品がお客様にもたらす価値に期待しています」

INVISTA は、Koch industries の子会社で、繊維、樹脂、化学原料中間体の世界的な大手メーカーです。INVISTA のオペレーションイノベーション担当バイスプレジデントである Jerry Grunewald(ジェリー・グルネワルド)氏は次のように述べています。「当社は長年にわたり AWS と緊密に連携し、強力なアナリティクスとデータサイエンスの機能を構築して、製造業務をサポートし、製品やプロセスを改善するための新たな手法を探ってきました。現場の担当者は、工場からの操作通知やアラートに効率的に対応する必要がありますが、機器の情報は複数のシステムに分散しています。AWS IoT TwinMaker を使用することで、製造業務のデジタルツインを Connected Worker アプリケーションに構築し、分散した情報を、実環境を表す統合ビューに取り込むことができます。これにより、現場作業の生産性と効率性が向上し、環境と安全性のパフォーマンスをサポートしながら、従業員の専門知識をさらに活用することで、お客様への提供価値創造に向けたより優れた方法を発見できるようになりました」