投稿日: Dec 26, 2022

AWS の顧客がデータクリーンルームを作成し、元になるローデータを保護しながらビジネスパートナーとのコラボレーションを行って、新たなインサイトを生成できるよう支援

Amazon Ads、Fox Corporation、Omnicom メディアグループの Annalect など、AWS の多数の顧客やパートナーが AWS Clean Rooms を採用予定

※本プレスリリースは、現地時間 2022 年 11 月 29 日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳版です。

(ラスベガス、2022 年 11 月 29 日発表)Amazon.com, Inc.(NASDAQ:AMZN)の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(AWS)は 11 月 29 日、re:Invent において、新たなアナリティクスサービスである AWS Clean Rooms を発表しました。このサービスは、あらゆる業界の企業が、基本的なデータを共有したり開示したりすることなく、簡単かつ安全に自社のデータセットを統合して分析やコラボレーションを行えるよう支援します。AWS の顧客企業は、AWS Clean Rooms によって、数分のうちにセキュアなデータクリーンルームを作成して、AWS クラウド上で他の企業とコラボレーションを行い、広告キャンペーンや投資判断、臨床研究など、さまざまな分野で独自のインサイトを生成することができます。AWS Clean Rooms には、クエリの制御や出力制限、ロギングなど、機密データを保護するためのデータアクセス制御や、暗号化コンピューティングツールが搭載されています。詳しくは、以下のウェブサイトをご確認ください。
aws.amazon.com/clean-rooms 

さまざまな業界の企業が、自社データを外部のビジネスパートナーのデータで補完して、ビジネスの全体像を把握したいと考えるようになっています。たとえば広告業界では、ブランド企業やメディア出版社およびそのパートナーは、さまざまなチャネルやアプリケーションに保管されたデータセットを活用して、自社が展開するキャンペーンの有効性を高め、消費者のエンゲージメントを強化する必要があります。同時に、こうした企業は機密性の高い消費者の個人情報を保護するため、ローデータの共有はできるだけ減らすか、完全に排除したいと考えています。そのために、ユーザー情報が含まれるデータのコピーを外部のパートナーに提供する際には、不正利用防止のための契約を結んでいる場合もあります。データクリーンルームは、複数の関係者間でお互いのローデータを見ることができない保護された環境を実現し、データの統合や解析をできるようにすることで、この課題を解決できるようにします。しかし、クリーンルームの構築は容易ではなく、複雑なプライバシー管理や、関係者それぞれのデータを保護するための専用ツールが必要な上、分析ツールのカスタマイズに数カ月の開発期間を要します。新たなコラボレーションが追加されたり、別の種類の分析が必要になると、開発にさらに時間をかけなければならなくなります。そうなると、企業は何度もデータをコピーして、自社のコントロール外にあるストレージ環境にアップロードしなければならず、コストに加えて、機密性の高い情報が外部に漏れるリスクも高まります。企業はデータの移動は可能な限り抑えたいと考えており、そのために通常はコラボレーションを減らすことになり、新たなビジネスインサイトを生み出す機会を逃すことにもなります。

AWS Clean Rooms は、AWS のお客様と外部ビジネスパートナーが、元になるそれぞれのデータを開示することなく、簡単にデータセットを共有して分析やコラボレーションが行えるようにする新サービスです。お客様は AWS Clean Rooms を利用して、数分で独自のデータクリーンルームを作成し、数回のクリックで集合データセットの分析を開始できます。コラボレーションを行いたい相手は、AWS マネジメントコンソールから簡単に選択でき、利用するデータセットや、関係者に対する制限事項の設定も行えます。AWS Clean Rooms では、すでに AWS を利用している企業であれば、データを AWS 環境以外に持ち出したり、別のプラットフォームにローディングし直すことなく、簡単にコラボレーションをすることが可能です。クエリ実行の際は、AWS Clean Rooms はデータを格納されている場所で読み取り、搭載された分析ルールを適用してデータ全体でコントロールが維持できるようにします。また、AWS Clean Rooms は、クエリ制御、クエリ出力制限、クエリログなど、構成可能なデータアクセス制御のセットを幅広く提供するため、企業は各クリーンルームの関係者が実行するクエリに対する制限をカスタマイズできます。AWS Clean Rooms には高度な暗号化コンピューティングツールも含まれており、厳格なデータ処理ポリシーに準拠するために、クエリが処理されている間もデータを暗号化しておくことができます。

AWS の AWS アプリケーション担当バイスプレジデントである Dilip Kumar は、次のように述べています。「お客様からは、広告やメディア、金融サービス、ライフサイエンスの分野で、もっと安全、安心に外部パートナーとのコラボレーションが行えるようにしたいという声があります。しかし、そのために必要なデータは、異なる外部パートナーに属するさまざまなデータストアやアプリケーションに分散しています。AWS Clean Rooms は、お客様と外部パートナーが、AWS 上でより良いデータ分析やコラボレーションが行えるようにするためのサービスです。AWS Clean Rooms を提供することにより、複数の企業がもっと簡単かつ安全に結合したデータセットを共有し、分析を行い、単独では得られない新たなインサイトを生成できるようにします。AWS Clean Rooms を利用すれば、データの安全性を高めながら、より効率的に広告キャンペーンのインサイトを生成できるようにしたり、投資データの分析を行ったり、お客様はさまざまなタスクでコラボレーションを行うことができます」

AWS では今後数カ月のうちに、新たな ID 検証・照合(名寄せ処理)機能を導入して、分散したチャネルに存在する顧客の記録を、複雑なワークフローを構築して維持することなく、企業が照合して紐づけできるようにします。AWS の顧客企業は、ルールベースの手法と機械学習モデルを活用した、事前設定済みの柔軟な ID 検証・照合機能を利用して、アプリケーション間で消費者とのインタラクションを正確にリンクし、ユニークなユーザー ID に紐づけできるようになります。ID 検証・照合機能によって、企業は消費者とのインタラクションの統合したビューを作成できようになります。たとえば、広告キャンペーンを手がける企業は、最新のイベント(広告クリック、カート離脱率、購入等)を広告やマーケティングのアプリケーション(広告購入プラットフォーム、ロイヤルティプログラム、e コマースシステム等)に取り込んで、より良質で有効な消費者エクスペリエンスを創出することができます。クリーンルームで他のパートナーとコラボレーションを行いたい企業は、自動化された ID 検証・照合のワークフローを使って、すべてのデータセットを通じて共通のユーザー ID を特定でき、データを簡単に統合できるようになります。

AWS Clean Rooms は単体でも、広告代理店や広告テクノロジー会社、ブランド、メディアパブリッシャー向けに、広告やマーケティングキャンペーンの効果を高める包括的なソリューションセットである AWS for Advertising and Marketing の一部としても利用できます。AWS for Advertising and Marketing には、プライバシーを強化したデータコラボレーション、広告インテリジェンスや測定、オーディエンスや顧客データの管理、リアルタイム広告、顧客エクスペリエンス等のソリューションが含まれています。AWS for Advertising and Marketing の詳細については、以下のウェブサイトをご確認ください。
aws.com/advertising-marketing

AWS Clean Rooms は 2023 年初めに、米国東部(オハイオ)、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、アジアパシフィック(ソウル)、アジアパシフィック(シンガポール)、アジアパシフィック(シドニー)、アジアパシフィック(東京)、欧州(フランクフルト)、欧州(アイルランド)、欧州(ロンドン)、欧州(ストックホルム)で利用可能になります。

Amazon Marketing Cloud(AMC)は、Amazon Ads が提供する安全でプライバシーが保護されたクリーンルームアプリケーションで、数千のマーケティング担当者のカスタム分析やクロスチャネル分析をサポートしています。ビルダーが AMC の API を利用して独自のプロダクトを作成する一方で、アナリストは Amazon Ad コンソールを通じて利用できるユーザーインターフェースで対応することができます。Amazon Ads の広告効果測定部門のバイスプレジデント、Paula Despins は、次のように述べています。「現在の広告業界においては、マーケティング担当者が自社のシグナルに対するコントロールを強化できるようにすると同時に、Amazon Ads からのシグナルと連動して分析できるようにすることが非常に重要になっています。社内で AMC のコンピュート基盤を AWS Clean Rooms に移行することによって、マーケティング担当者はデータを AWS 環境から持ち出すことなく、AMC で独自のシグナルを使えるようになります。これによって、マーケティング担当者は自社のシグナルが簡単に管理できるようになり、AMC チームはブランドのための新機能の構築だけに集中することができます」

Fox Corporation はスポーツ、ニュース、エンターテインメントのコンテンツを制作し、広告と共に配信する大手企業です。Fox Corporation のデータおよびコマーシャルテクノロジー担当シニアバイスプレジデントである Lindsay Silver 氏は、次のように述べています。「当社の広告クライアントにとって、メディア支出を最適化して、深く差別化された当社のデータソースを最大限に活用する方法を判断するのは、困難な場合があります。当社には、エンターテインメント、スポーツからニュースまで、月間視聴者数が数億にも達するコンテンツポートフォリオがあります。AWS Clean Rooms は簡単かつ安全に AWS Cloud でデータコレボレーションを実現して、当社の広告クライアントが消費者データを保護しながら、Fox のあらゆるブランドや画面を通じて新たなインサイトを引き出せるようにしてくれます」

Omnicom Media Group の Annalect は、有力マーケティングエージェンシーとして、ブランドがデータやテクノロジー、分析を活用してより良い成果を出せるよう支援しています。Annalect のチーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)である Anna Nicanorova 氏は、次のように述べています。「現在、マーケティング担当者とそのパートナーにとっては、データアセットを結合し、コラボレーションを通じてパーソナライズした顧客エクスペリエンスを提供し、そのマーケティング効果を測定することは、ますます困難になってきています。AWS Clean Rooms によって、Annalect は広告主がメディアパートナーや広告会社と安全にコラボレーションを行って、データの安全が守られるよう、データへのアクセス制御について計画、有効化、測定が行えるようになります。AWS Clean Rooms は、お客様にプライバシーを強化したコラボレーションツールを提供して、より効果的にマーケティングの成果を高められるよう支援するという、Annalect の目標をサポートしてくれています」