投稿日: Dec 13, 2022

複雑でダイナミックな 3D シミュレーションを実現し、百万以上のオブジェクトを配置したシステムのモデル作成、現実世界における迅速なアウトカムの予測、没入型のトレーニングスペースの創造が可能なフルマネージド型コンピュートサービス

ロッキード マーティン、 Duality Robotics、uCrowds など、AWS の多数の顧客およびパートナーが AWS SimSpace Weaver を導入

※本プレスリリースは、現地時間 2022 年 11 月 29 日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳版です。

(ラスベガス – 2022 年 11 月 29 日発表)Amazon.com, Inc.(NASDAQ:AMZN)の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(以下、AWS)は 11 月 29 日、AWS re:Invent において、大規模な空間シミュレーションの開発、運用、実行を支援するフルマネージド型のコンピュートサービス AWS SimSpace Weaver を発表しました。AWS SimSpace Weaver を活用することで、多数のデータポイントを持つダイナミックなシステムのモデル(都市全体の交通パターン、会場における群衆の流れ、工場のレイアウト等)を作成する上で必要な空間シミュレーションを展開し、シミュレーションを利用して物理空間の可視化、没入型トレーニングの実施など、さまざまなシナリオからの洞察を得ることで、十分な情報を得た上で意思決定を行うことが可能となります。AWS SimSpace Weaver によって、お客様は百万以上のエンティティ(実体)がリアルタイムにインタラクションを行うことができるシミュレーションを実行し、これまでより洗練された環境を構築しながら、クラウドでの大規模な空間シミュレーションの展開に必要な期間を短縮することができます。また、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)のインスタンスのプロビジョニングに加え、ネットワークやコンピュートインフラストラクチャの運用管理も行うため、AWS SimSpace Weaver を利用するお客様はシミュレーションの設計と、複数のクライアントによる現在の状況の観察だけに集中することができます。AWS SimSpace Weaver のご利用には先行投資や手数料は不要で、利用した分のコンピュートサービスの料金のみお支払いいただきます。ご利用は、以下のウェブサイトにアクセスしてください。aws.amazon.com/simspaceweaver

現在、交通、ロボティクス、公共の安全など、さまざまな業界で、ダイナミックに 3D を利用するシミュレーションモデルを作成し、現実世界で起こりうる結果を把握して可視化したり、没入型の空間でトレーニングを行う必要性が高まっています。たとえば、道路封鎖の実際の影響を把握するために、お客様はさまざまなルート上で封鎖する道路の組み合わせを想定して、シミュレーションを行うことができます。このような複雑な空間シミュレーションを行うには、既存の限界を超える大量のコンピュートリソースが必要になります。また、すべてのコンピュートインスタンスを通じて数百万というオブジェクトを統合し、相互にやり取りできるよう空間シミュレーションを拡張していくプロセスは非常に困難です。シミュレーションおよびそのコンポーネントをいくつものパーツに分割し、一貫した時刻で各パーツのシミュレーションを継続したうえで、環境全体および複数のユーザーの間で関連データを複製する必要があります。こうした問題の解消には長年の投資が求められるうえ、専用のハードウェアが必要になる可能性があります。そのため、コストがかかり過ぎて資金的に最も余裕のある企業しかこのようなシミュレーションを行うことができない状況です。さらに、空間シミュレーションは追加したコンピューティング能力のサイズや密度も活用できるようプログラムされなければならないため、コンピューティングの構成や利用方法に詳しい専門チームも必要になります。その結果、お客様はシミュレーションロジックの高度化について妥協せざるを得ず、自社では基本的なシナリオの検討に限定し、特に慎重な取り扱いが求められたり、コストのかかる問題などの機微な問題については、単なる推定の範囲に留めるしかありません。

AWS SimSpace Weaver は、現実世界に近い実験を行うことのできる、複雑で大規模な空間シミュレーションを実行し、没入型のトレーニング空間を可視化することのできるフルマネージド型コンピュートサービスです。AWS SimSpace Weaver は、人や車、信号、道路など、百万以上の移動するオブジェクトが、それぞれの動きやプロパティをすべてリアルタイムで相互に作用させることができます。実際の都市と同様、シミュレーションはそれ自体に広範な「世界」を内包しています。お客様は AWS SimSpace Weaver のソフトウェア開発キットを利用して独自のシミュレーションコンテンツを組み込んだり、Unity や Unreal Engine 5 などのサードパーティツール用のビルトインインテグレーションを使用して、シミュレーションのアプリケーションを構築することできます。シミュレーションを導入する準備ができると、AWS SimSpace Weaver は自動的に環境を設定し、最大 10 個の可用性の高い低遅延の Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)インスタンスをネットワーク接続されたクラスタに接続して、インスタンスを通じてシミュレーションを分散します。その後、AWS SimSpace Weaver はネットワークとメモリ構成を管理し、すべてのインスタンスにわたりデータの複製と同期を行ったうえで、複数の同時接続ユーザーがリアルタイムでシミュレーションを操作することのできる統合された単一のシミュレーションを作成します。これにより、企業はシミュレーションの設計に専念し、パフォーマンスの観察、シミュレーションから得られた知見に基づいてシナリオを準備したり、ビジネスの意思決定を行ったりすることに注力することができます。従量課金型の AWS SimSpace Weaver は拡張性と弾力性を備え、空間シミュレーションのための高額なハードウェアも、シミュレーションを運用管理するための人材を新たに採用する必要もありません。AWS SimSpace Weaver は、様々な組織が簡単に、複雑で没入型の 3D 体験を実行し、大規模なシナリオの検証や可視化を行えるようにします。

AWS でテクノロジーを統括するバイスプレジデントである Bill Vass は、次のように述べています。「これまで、お客様が空間シミュレーションの規模を拡大したいと思っても、シミュレーションの精度は自社の持つハードウェアの性能に見合ったものにしなければならず、そこから学べることの有用性には限界がありました。AWS SimSpace Weaver をご利用いただくことで、お客様はシミュレーションのためのインフラストラクチャの運用管理にかかる負担を軽減し、大規模なシミュレーションの実行を簡素化し、自社の差別化に向けたコンテンツの作成や、シミュレーション開発の拡大に集中できるようになります。大都市圏の人口シミュレーションや、大陸をまたぐ物流オペレーションの追跡、スマートシティの取り組みに向けた現実世界のデジタルツインの構築など、目的がどのようなものであれ、AWS SimSpace Weaver を活用することで、お客様は膨大な分散型シミュレーション環境を作成することができます」

AWS SimSpace Weaver は AWS 上で大規模なシミュレーションを実行する前に、開発者のパーソナルなハードウェアで空間シミュレーションを無償で繰り返しテストできるよう企業にローカルな開発環境を提供します。ローカル環境には、AWS SimSpace Weaver と同様の API も使用されているため、顧客企業はコードに一切手を加えることなく、自社で作成したシミュレーションをクラウドに移行することができます。AWS SimSpace Weaver は米国時間11月29日より、米国東部(オハイオ)、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、アジア太平洋(シンガポール)、アジア太平洋(シドニー)、欧州(フランクフルト)、欧州(アイルランド)、欧州(ストックホルム)で一般提供を開始し、近日中に他の AWS リージョンでも提供を開始する予定です。

エピックゲームズ(Epic Games) はインタラクティブ エンターテイメントのリーディング カンパニーであり、3D エンジン技術のプロバイダーです。同社の Unreal Engine は、ゲーム開発から建築、自動車のビジュアライゼーション、映画やテレビのリニアコンテンツ制作、放送やライブイベントの制作、トレーニングやシミュレーションなどのリアルタイムアプリケーションまで、制作のためのあらゆる機能を備えた包括的な制作ツール群です。Epic Games の Unreal Engine 担当バイスプレジデントである Nathan Thomas 氏は、次のように述べています。「これまで開発者は、シミュレーションの開発に際して、規模と忠実性のいずれかについて妥協を強いられてきましたが、今回、現実世界の人やオブジェクトの量をより正確に反映した環境を構築できるようになりました。Unreal Engine 5 と AWS SimSpace Weaver のパワーを組み合わせることによって、お客様は当社の City サンプルプロジェクトのインタラクティブな通行人を 100 万人以上に拡大することができます。これにより、開発者は新たなレベルのリアリズムを備えた大規模なデジタルツインやシミュレーションを開発できるようになります」

ロッキード マーティン(Lockheed Martin) は、セキュリティおよび航空宇宙産業のグローバル企業であり、先端技術システム、製品やサービスの研究、設計、開発、統合、および維持を中核業務としています。同社の Skunk Works 部門のバーチャルプロトタイピンググループは、高度なビジュアライゼーション、モデリングおよびシミュレーション、ヒューマンコンピュータインターフェースといった機能を提供することを目的に設立されました。Lockheed Martin のバーチャルプロトタイピングエンジニアである Wesley Tanis 氏は、次のように述べています。「実際に現実世界に反映することのできる、信頼できるインサイトをシミュレーションから獲得するために、私たちは現実世界のスケールでシミュレーションを行えるようにする必要があります。大規模なシナリオのシミュレーションには非常に時間がかかるため、これまでは同時にインタラクションが行えるのはごく少数のユーザーに限られていました。AWS と共同で、サンフランシスコ地震の復興デモを開発しました。このデモでは、緊急対応者がどのように救援活動を組織化できるかを示しています。これと併せて、大陸スケールで 100 万以上のオブジェクトをほぼリアルタイムでシミュレートできるようになり、自然災害を含め、状況に応じてさまざまなシナリオを想定し、準備体制や実行計画を強化するための実世界の洞察を得ることができました」