投稿日: Apr 17, 2023
- デジタル人材が、日本の年間 GDP に推定 約 164.3 兆円 貢献
- 日本の企業・団体の 61%が、今後 5 年のビジネスでデジタル人材が極めて重要になると回答する一方、45%が必要な人材を見つけるのは困難と回答
- 日本航空、カシオ計算機、日立建機、三菱 UFJ ニコスなどの お客様が、AWS を活用してデジタル人材の育成とビジネス成果の実現に取り組む
Amazon.com, Inc. の関連会社であるアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、その関連会社も含み総称して「AWS」)は本日、データ分析、クラウドアーキテクチャ設計、ソフトウェア開発などのデジタルスキルを活用する日本の労働者が、日本の年間国内総生産(GDP)に推定 1 兆 7,000 億米ドル(約 164 兆 3,000 億円)の貢献をしていることを示す新たな調査結果を発表しました。これは、デジタルスキルを活用する労働者が得る賃金が、同程度の学歴のデジタルスキルを活用しない労働者と比較して、51%高いことに起因しています。
AWS が米ギャラップに委託し、作成した新調査レポート「APAC デジタルスキル調査:テクノロジー人材がもたらす経済効果とは」では、デジタルテクノロジーに明るい労働力の育成が、個人、組織、経済全体にもたらす価値の大きさを調査しました。日本では、約 3,000 人(2,796 人)の就業中の社会人と約 1,000 人(974 人)の雇用主を対象に、官民の多様な産業・組織で調査しました。本調査では、基礎的なデジタルスキルを、電子メール、文書作成、その他のオフィスソフトウェア、ソーシャルメディアを使用できる能力と定義、また、中程度のデジタルスキルをドラッグ&ドロップによるウェブサイトデザイン、トラブル発生時の対応、データ分析などをできる能力とし、高度なデジタルスキルは、クラウドアーキテクチャの設計や管理、ソフトウェアやアプリケーションの開発、人工知能(AI)、機械学習と分類しました。
高度なデジタルスキルを有する人材やデジタル、クラウドテクノロジーを活用する企業・団体は、より高いビジネス成長とイノベーションを実現しています。本調査によると、事業の大半でクラウドを活用する日本の企業・団体の 41%が、安定した売上成長(年間成長率 10% 以上)を達成と回答しているのに対し、一部または全くクラウドを活用していない企業のその割合は 22%となっています。また、クラウドを活用する日本の企業・団体(49%)は、一部または全くクラウドを活用していない企業(25%)と比較して、過去 2 年間に新製品や改良品を上市するなど、イノベーションにおいて約 2 倍の進展度を示しています。
多くの企業・団体が将来の採用への備えにも取り組んでいます。本調査では、AI、エッジコンピューティング、量子コンピューティング、ブロックチェーン、暗号通貨を含む 10 の先端テクノロジーについても調査しました。日本の雇用主の 39%が、これらの技術のうち少なくとも 1 つが将来のビジネスにおいて一般的に使用するテクノロジーとなると回答し、5G が 21%で最も高い割合となりました。一方、日本の雇用主の 26% は複数の先端テクノロジーが、また 3%は 10 の先端テクノロジーすべてが将来的にビジネスのスタンダードになると考えていると回答しました。
米ギャラップ プリンシパル・エコノミスト ジョナサン・ロスウェル(Jonathan Rothwell)博士は、調査結果について次のように述べています。「日本では、人々の働き方から暮らし方に至るまで、急速にデジタル化が進んでいます。本調査は、デジタルスキルが個人、組織、マクロ経済の各レベルで日本に計り知れない経済価値をもたらすことを示しています。今後 10 年間で、より多くの企業・団体が IT システムをクラウド化し、新たなテクノロジーが登場するなか、デジタルは膨大な数の新しい雇用を生み出すことになるでしょう。日本がデジタル経済において競争力を得るチャンスは、現在および将来のイノベーションを支える強固で高度なスキルを持つ労働力を育成できるかどうかにかかっています」
企業や政府機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)が世界中で加速するなか、デジタル人材ーに対する需要は今後も堅調に推移すると考えられます。本調査によると、日本の企業・団体の 61%が、今後 5 年のビジネスでデジタル人材が極めて重要になると回答する一方、45% が必要な人材を見つけるのは困難だと回答しています。この背景として、追加のデジタルトレーニングを希望する日本の労働者の 94%が、スキルを身につける上での課題として、時間不足(49%)、予算不足(36%)、キャリア向上に必要なスキルやトレーニングがわからない(32%)と回答していることも関係している可能性があります。
本調査では、労働者が追加のデジタルスキルトレーニングを希望する声は性別や業種を問わないこともわかりました。日本の労働者(男性全体の 54%、女性全体の 49%)が、少なくとも 1 つのデジタルスキルの習得に興味を示しています。業界別では、金融、小売、ヘルスケア、公共機関の労働者の約半数がデジタルスキルのトレーニングに関心を持ち、製造業では関心が最も高く 57%でした。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 代表執行役員社長 長崎 忠雄は次のように述べています。「今回のギャラップによる調査を通じて、日本には大きな経済効果をつかむチャンスがあることがわかりました。そのカギは、デジタル人材の層をより厚くすることです。AWS は、多様な AWS トレーニングパートナーと連携して日本のデジタルスキル格差解消に向けて取り組み、2017 年から現在までに、50 万人以上にクラウドスキルトレーニングを提供しています。しかし、我々の活動はここで終わりではありません。デジタルスキルは、個人、組織、経済に多大な価値をもたらすものであり、AWS がスキルトレーニングプログラムの拡大に取り組む理由でもあります。AWS は、日本の官民のお客様が従業員の皆様のアップスキリングとリスキリングを支援し、クラウドを最大限に活用してイノベーションとビジネスの成長を加速できるよう、引き続き支援してまいります」
AWS は、このデジタル時代において個々人が活躍するために、日本で多彩な AWS トレーニングや認定プログラムを提供しています。例えば、300 以上の日本語でのコースを含む、600 以上のオンデマンドで利用可能な無料のクラウドスキルコースにアクセス可能な AWS Skill Builder、AWS Awesome Day、クラスルームトレーニング、AWS Skills Guild、AWS Academy、AWS Educate、などです。
AWS はまた、ビジネスリーダーが顧客起点で自社の真の価値を再発見するために設計された AWS Digital Innovation Program や、グローバルな技術専門家チームである AWS プロフェッショナルサービスの専門的なアドバイザリーを通じて、AWS を活用してお客様にとって望ましいビジネス成果の実現を支援し、クラウドジャーニーの最適化を支援しています。これらの実績を活かし、多様な業界の企業・団体がAWS上でビジネスを成長させ、デジタル人材を育成し、AWS クラウド導入フレームワークを通じてクラウド導入を推進し、自らのお客様のために真の価値を再構築できるよう、DX 支援サービスも提供しています。
日本航空(JAL)株式会社は 2018 年にクラウドシフトを開始以来、継続的なクラウド人材育成への投資を通じて DX を推進し、顧客体験と従業員体験を最適化してきました。同社は 2021 年には経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「DX 銘柄」に選定されました。株式会社 JAL インフォテック 執行役員 技術品質戦略本部長 小山田 千里氏は次のように述べています。「JAL グループはコロナ禍の 2021 年、多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来に向けての JAL Vision 2030 を発表しました。このビジョンの実現をデジタル技術で支えるのが我々のミッションです。2018 年のクラウドシフト開始と同時に、クラウドリテラシーの全社的な底上げに向け、社員が自由に技術的試行錯誤ができるサンドボックスを開設、さらに AWS トレーニングに力を入れ、過去 3 年間で延べ約 840 人が何れかのトレーニングを受講し、約 80 名がAWS 認定資格を取得しました。現在、日本航空では AWS を活用して構築したクラウド基盤『CIEL/S』上に 130 を超えるアプリケーションが稼働していますが、空港の WEB カメラを活用し 2 週間で開発した『空港混雑度の可視化アプリ』など、クラウドのスピードと柔軟性を活かしたアプリ作りにも挑戦しています。今後も人への投資を通じて、IT は楽しいというマインドセットを醸成しながら、高度なクラウド知見を有する人材をさらに育成していきます」
『G-SHOCK』に代表される腕時計をはじめ、電子辞書や電子楽器など、独自性の高い製品を世に送り出すカシオ計算機株式会社は、2030 年に向けた成長戦略において、事業のリカーリング(循環型)ビジネスへの転換を進めています。そうしたなか、AWS を採用した同社のオンライン学習ツール『ClassPad.net』は、日本全国の高校 約 600 校で採用され、通算 100 回以上に及ぶバージョンアップを通じて、現在も日本全国の教員・生徒さんのニーズに応えています。同社開発本部 第二開発統轄部長 目木 正治氏は次のように述べています。「従来の製品売り切り型でなく、お客様とつながりながら、新たな価値や体験を提供する“コト売りのビジネス”を強化するなか、内製化、アジャイル開発にシフトし、2021 年に『ClassPad.net』をリリースしました。AWS プロフェッショナルサービスの支援を得て、サーバーレスサービスを採用したモダンアプリを 4 か月で開発した経験は、エンジニアのモチベーションを高め、開発部全体に意識変革をもたらしました。エンジニアが自らスキルを身に付け、より良いサービスを持続的に開発できる体制を構築できたことが、今回のプロジェクトで得られた最大の成果です」
日立建機株式会社は、社会インフラ整備に不可欠な建設機械を通じて、世界の街づくりに貢献するグローバル企業です。AWS をはじめとするデジタルテクノロジーを活用し、製品ライフサイクル全般を通じて利用するお客様を支援するため、DX を加速させています。日立建機株式会社 執行役 CDIO、新事業創生ユニット長 遠西 清明氏は次のように述べています。「昨年のデジタルチャレンジでは、AWS とタッグを組み Amazon の Working Backwards 文化に根差すことで、多様な部門から選抜された 16 名の社員が徹底的にお客さま目線で構想し、素早くカタチにできる実践型の DX 人財として成長してくれたと感じています。今後はこの体験を生かし、自部門の周囲にも影響を与える DX 人財としての活躍を願っています。次回はさらに対象部門を拡げ、DX 人財の育成に取り組んでいきます」
三菱 UFJ ニコス株式会社は、多様な“決済”ニーズに応える、三菱 UFJ フィナンシャル・グループの中核企業です。同社は中長期的な組織変革に向けた独自の DX コア人材育成プログラム「DRIVE NEO」を 2022 年度より開始するにあたり、AWS プロフェッショナルサービスの DX 支援サービスを採用しました。三菱 UFJ ニコス株式会社 執行役員 人事部長 小林 智康氏は次のように述べています。「当社は『信頼』をお客さまにお届けしながら、ボトムアップでカード会員さまや加盟店さま、提携先さまなどにとっての新しい価値を発見・創出するとともに、社内のオペレーション改革を主導する人材育成に取り組んでいます。昨年は公募で選抜された 23 名の社員が、全社視点で俯瞰しての顧客課題解決・新サービス創出に向けた方法論の理解と活用、マインドセットの変革に取り組み、DX に向けた実践的な取り組みに手応えを感じています。2023 年 4 月からは、さらに実践的な研修プログラムへとパワーアップして実施予定です」
2025 年までに世界中で 2,900 万人に無償のクラウドスキルトレーニングを提供するために数億ドルを投資するというグローバルコミットメントを発表して以来、AWS は 1,300 万人以上にデジタル スキルトレーニングを提供してきました。この取り組みの最新状況については aboutamazon.com/29million をご覧ください。
調査レポート「APACデジタルスキル調査:テクノロジー人材がもたらす経済効果とは」は、 こちらよりダウンロードください。