Amazon Web Services ブログ
【開催報告】9/29 Smart Product/SaaSセミナー
こんにちは!アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 シニア事業開発マネージャーの和田です。
2022年9月29日にオンラインで「スマートプロダクト推進セミナー~AWS を活用したモノ売りからコト売りへの変革~」を開催いたしました。セミナーの開催報告として、ご紹介した内容や、当日の資料・収録動画などを公開いたします。
はじめに
製造業のお客様にとって、自社製品をスマート化し、モノ売りからコト売りへ変革していくことが求められています。第一段階として、IoTで自社製品をコネクティッド化し、状態を監視することに取り組まれているお客様も多くいらっしゃいますが、さらに段階を進めて、データ分析による価値向上や、ビジネスモデルの変革に取り組まれているお客様も存在します。
当セミナーでは、自社製品やソリューションのサービタイゼーションを検討/実施されているお客様に、実現するために課題となる部分のご説明や解決のための方法、お客様事例のご紹介を致しました。
どうぞ皆様の事業のご参考に、各講演者の録画/資料をご活用下さい。
セッション1: つながる製品の継続的改善に向けて
登壇者: アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 シニアソリューションアーキテクト 高野 秀樹
本セッションでは、昨今製造業の皆様が直面している環境変化要因とその中でのコト売りへの変化の必要性を見た上で、つながる製品には、「素早い立ち上げ」と「継続的な改善」が必要なことを確認しました。これらの実現のためには、Amazonのイノベーションの方程式に示される、「組織」「アーキテクチャー」「メカニズム」「企業文化」の改革が必要であり、それぞれの要素がつながる製品の継続的改善にどのような効果をもたらすかご説明しました。このように変革にはシステム(アーキテクチャー)以外の要素も非常に重要ですが、これらの変革を実現されたお客様事例をご紹介するとともに、AWSの包括的なご支援プログラムについても説明させて頂きました。
動画
セッション2: AWSで実現!社会インフラ保守業務のデジタル化
登壇者: 株式会社 日立製作所 技師 石川 直史 様
本セッションでは日立製作所様より「社会インフラ保守業務のデジタル化」につき、当ソリューションが必要な背景や解くべき顧客課題、具体的な2つのソリューションの概要、ソリューションを実現する上での工夫や課題について、ご紹介頂きました。
社会インフラの老朽化や熟練作業員の不足・高齢化が社会課題となる中で、今まで取得されていなかったデータを収集、分析し、価値あるデータに変換して提供することにより、業務のDXを実現されています。
具体的なソリューションとしては「漏水検知サービス」と「 地中可視化サービス」についてご紹介頂きましたが、自社開発の振動センサーなどハードウェアと、それを活用して取得したデータを独自のアルゴリズムで価値あるデータに変換して提供するサービスを組み合わせた、SaaS plus a Boxともいえるソリューションになります。
これらのサービスはいずれもAWSのクラウドを活用して構築頂いておりますが、「スモールスタートで始め徐々に拡大していくことが多い社会インフラ業務のソリューションに、初期コストやランニングコストが最適化できるクラウドは親和性が高かった」というポイントをご指摘頂きました。また、インフラ部分のPaaSをサービス間で流用することによりコスト削減も実現されています。
これらのサービスの実現には、自分たちのDX、顧客経営層のDX、現場のDXという3つの課題がありましたが、実フィールドでの仮説検証や効果シミュレーション/PoV、事例紹介などの工夫で乗り切られたとのことです。コト売りへの変革をめざす製造業のお客様にとって大変示唆に富むお話を様々な観点でご紹介頂くセッションとなりました。
セッション3: 顧客視点DXを実現する建設向けソリューション、スマートコンストラクションの取り組み
登壇者: 株式会社EARTHBRAIN CTO兼CIO 井川 甲作 様
EARTHBRAIN 様は、コマツ様のスマートコンストラクションの開発組織や、プラットフォームを開発するLANDLOG社を母体とし、コマツ様、NTTコミュニケーションズ様、SONY様、NRI様の合弁会社で、プラットフォーム、アプリケーションの提供を通じて建設業の飛躍的な生産性・安全性・環境適応性の向上を目指しておられます。
ICT建機などの取り組みによる生産性の向上は、一部の工程や一部の機械のみに限定され、施工全体に及んでいません。こうした単体のプロセスではなく全体を3次元データでつなぐことで、デジタイゼーションからデジタルトランスフォーメーションを実現するのがスマートコンストラクション(スマコン)です。
たとえば、写真から2,30分で数億の点群を生成するEdge Boxにより測量結果を3D化し、それを元に現状把握と土の移動量のシミュレーションを行うことができます。従来2ヶ月以上かかっていた計画行程を大幅に効率化すると共に、実際の稼働状況を計測し、計画が正しかったのかのPDCAを廻すことができます。
現場の情報をデジタル化し、クラウドでより高度な処理を行い、現場にフィードバックすることでサイバー/フィジカル間をうまく回していくのがスマコンにおけるデータ活用の考え方です。
スマコンでは、CESIUM社とのパートナーシップによる3Dによる可視化や計測などの機能と、安価な後付けのハードウェアにより既存建機のICT化を実現するレトロフィットキットなどを組み合わせて価値提供のためのソリューションを構築しています。
EARTHBRAIN 様はスマコンなどのサービスをグローバルへ展開し、サービスの魅力をさらに高め素早い立ち上げや頻繁な更新を必要としています。また、プラットフォームを支える人材の調達・育成も必要です。AWSを選択されたことで、AWSのグローバルなインフラストラクチャ、強固なセキュリティ、マネージドサービスを活用し、また豊富な技術情報を活用していらっしゃいます。分社化により、これまでと違った人材を引きつけ、確保することにもチャレンジしておられます。
3Dデータを元にプロセス全体をつないでいく、センサーデータからスタートして現場にフィードバックしていく、コトのためのモノとして安価なハードウェアを活用するといった、モノからコトへのビジョンを具体化する戦略とその実践をご紹介頂くセッションとなりました。
動画
セッション4: モノ売りからコト売りへの変革をご支援するAWSクラウド
登壇者: アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 シニアソリューションアーキテクト 森實 裕司
本セッションでは、モノ売りからコト売りへの変革に寄与するIoT、機械学習、アナリティクスの様々なAWSのサービスの最新情報をお伝えし、ユーザーエクスペリエンスやデータ分析の改善に役立つ情報やお客さまの事例について紹介させていただきました。
動画
おわりに
本セミナーでは、製造業のお客様が自社製品をスマート化し、モノ売りからコト売りへ変革していくために必要な考え方やポイントについて紹介し、実際にサービタイゼーションをされたお客様の事例と体験談を共有いただきました。
本ブログは、ビジネス開発マネージャーの和田健太郎、ソリューションアーキテクトの山本直志が執筆しました。