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【開催報告】AI ペルソナワークショップ — 自社だけの AI ペルソナを作って、試してみよう
こんにちは。アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの辻林です。2026 年 9 月 15 日に、「AI ペルソナワークショップ — 自社だけの AI ペルソナを作って、試してみよう」を開催しました。マーケティングや事業企画、DX推進に携わる皆様と、自社のデータから AI ペルソナを作り、実際のビジネス課題をぶつけてみる半日のワークショップです。ご参加くださった皆様に、改めて御礼申し上げます。
本ブログでは、ワークショップと当日の様子、参加者の皆様の声をお届けします。
はじめに
新商品のコンセプトは刺さるのか、どのチャネルで届けるべきか、このサービスを続けるべきか。マーケティングの現場では、顧客の反応を確かめたい問いが次々に生まれます。一方で、インタビューやアンケートを毎回実施するには時間もコストもかかり、「聞いてみたいけれど、そこまでの予算はない」という問いも少なくありません。
そこで注目されているのが、1 人の仮想的な顧客を再現する 「AI ペルソナ」です。年齢や職業といった属性に加えて、自社のインタビュー、アンケートや購買データなどをもとに AI ペルソナを構築することで、汎用の LLM にはない「自社顧客のコンテキスト」を持ったペルソナと対話したり、複数のペルソナ同士で議論させたりできます。
AWS では、この AI ペルソナをすぐに試せるサンプル実装 aws-samples/sample-ai-persona を GitHub で公開しています。今回のワークショップは、このサンプルソリューションを使って「デモを見る」のではなく「自社のデータで作って、自社の問いで試す」ところまでを体験していただきました。
イベント概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日時 | 2026 年 9 月 15 日(火)14:00〜18:00 |
| 場所 | アマゾン ウェブ サービス ジャパン 東京オフィス |
| 参加者 | 7 社 19 名 |
| 満足度 | 4.69 / 5 |
タイムテーブル
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 14:00〜14:05 | オープニング |
| 14:05〜14:25 | Agentic AI 時代のマーケティング |
| 14:25〜15:25 | ワークショップ ハンズオン編 |
| 15:25〜15:40 | 休憩 |
| 15:40〜17:40 | ワークショップ 実践編 |
| 17:40〜17:55 | AI ペルソナを活用するために 〜ペルソナの育て方〜 |
| 17:55〜18:00 | クロージング |
当日の様子
Agentic AI 時代のマーケティング
最初のセッションは、アマゾン ウェブサービス ジャパン合同会社 戦略事業開発本部 プリンシパル事業開発マネジャーの松本より、AI によってマーケティングの前提がどう変わりつつあるかを、Amazon の事例を交えてお話ししました。
Alexa for Shopping(旧称 Rufus)のように、AI が候補を絞って商品を勧める買い方が広がり、ブランドはお客様だけでなく「AI にどう認識されるか」も意識する必要が出てきています。広告の分野においては、Amazon の広告事業を担う Amazon Ads が、会話するだけで広告を作れる Amazon Ads Creative Agent や、画像と見出しの組み合わせから AI が一番合うものを選んで出す Amazon Ads Responsive eCommerce Creative を発表しました。米国では、小売企業が自社の EC サイトにメーカーの商品広告を載せられる Amazon Retail Ad Service も始まっており、その裏側では、生データを共有せずに企業同士のデータをつなぐ AWS Clean Rooms が使われています。
こうした変化の中で、今回焦点を当てたのが「AI による顧客理解の変化」です。これまで消費者の声を聞くには、フォーカスグループインタビューのように数週間の準備とまとまった費用をかけ、限られた人数から意見を集める必要がありました。AI ペルソナを使えば、「なぜこの商品を選ぶのか」を問いかけて初期のインサイトを数時間で得たり、新商品のアイデアやパッケージデザインを評価させたり、異なるペルソナの反応を比べてターゲット別の戦略を考えたりできます。
一方で、AI ペルソナは実際のお客様への調査を置き換えるものではありません。AI ペルソナで仮説を素早く幅広く検証し、絞り込んだ論点を少数の実際のお客様で確かめる — この組み合わせが、これからの顧客理解のかたちです。
セッションの最後には、AI 活用を進めるステップとして「知る・試す・実装する」の 3 つを紹介しました。今回のワークショップは、このうち「試す」にあたります。ワークショップで使う AI ペルソナも Amazon Bedrock 上で動いていることに触れ、「次は自社のデータで実際に体験してみましょう」とワークショップへ進みます。
ワークショップ ハンズオン編
ワークショップはハンズオン編と実践編の2部構成で実施しました。ハンズオン編では 今回活用する AI ペルソナ のサンプルソリューションの概要を紹介した後、「Z 世代向けサステナブルコスメの新商品企画」という模擬シナリオで AI ペルソナを体験していただきました。
ハンズオンでは EC の購買ログと SNS アンケートの 2 つのサンプルデータをアップロードし、サステナ志向・コスパ重視・トレンド志向などの価値観の異なる 3 体のペルソナを生成しました。そして、その AI ペルソナを活用して 1 対 1 のインタビューで購買のきっかけを深掘りしたり、 異なる価値観のAI ペルソナ同士で新商品のコンセプト評価や購入チャネルと情報接点などをテーマに議論をさせ、セグメント毎にペルソナの意見が割れる様子も確認いただきました。議論のあとには自動抽出された顧客ニーズやマーケティングに関するインサイトの確認および推奨アクションを含むレポート生成機能を試し、ペルソナ生成から施策やアクションへの転換までを体験していただきました。
あわせて次の実践編への評価観点として AI ペルソナやインサイトを「具体性」「差別化」「予測力」「施策接続性」の 4 つの軸で評価する考え方を紹介しました。
ワークショップ 実践編
実践編は ご参加頂いた各社が自社のデータと自社のビジネスの問いで AI ペルソナを実際に試す時間です。上記のワークシートに沿って、次の 3 ステップで進めました。
- STEP 1 — ユースケース設計:何の意思決定に使うか(何を問うか)、誰に問うか、そのために今使えるデータは何か
- STEP 2 — 検証と評価:ペルソナを生成し、インタビューや議論で問いを投げ、4 つの軸で評価する
- STEP 3 — ネクストアクション:いつまでに、誰が、何を、どのデータを足して試すかを決める
ユースケースは、新規サービスの概念実証に進むかどうかの判断、広告クリエイティブや CRM 配信の設計、LP や価格の見せ方の改善、既存サービスを続けるかどうかの判断など、実に多様でした。中には、顧客ではなく社内の意思決定者のペルソナを作り、提案前の壁打ち相手にするという使い方もありました。
各チームでは、生成されたペルソナの発言を見ながら「この答えは自社の顧客らしいか」「このデータだけでは足りないのでは」といった議論が活発に交わされていました。評価の結果、共通して見えてきたのは、ペルソナの出来を左右するのはデータの量ではなく、検証の目的に合ったデータかどうかという点です。顧客の生の声や行動データを入れ、問いを具体的に立てるほど、「次に何をすべきか」につながるアウトプットが得られていました。最後は各社で、次に与えるデータと再検証の段取りをネクストアクションとして書き出していただきました。
AI ペルソナを活用するために 〜ペルソナの育て方〜
発表資料:AI ペルソナを活用するために 〜ペルソナの育て方〜 
最後のセッションでは、ソリューションアーキテクトの髙橋より、実践編で見えた課題を次の一手につなげる「ペルソナの育て方」を紹介しました。
実践編で「弱い」と感じた評価軸が、そのまま次のアクションのヒントになります。たとえば具体性が足りなければ行動の詳細データを、予測力を上げたければ施策と反応のデータを追加し、施策接続性に課題があればプロンプトで目的を明確にする、といった具合です。そのうえで、ペルソナを育てるステップを 3 段階で整理しました。
- データを足す — 購買データや閲覧ログなど自社の 1st Party Data を追加する。Clickstream Analytics on AWS や、自然言語で自社データに問い合わせる Discovery 360 も活用できる
- データを広げる — 市場調査レポートなどの公開データや、AWS Clean Rooms を使ったパートナーとのデータ連携に加え、Amazon 上の購買・広告シグナルも取り込み、自社の外の行動を補う
- ソリューションを使い倒す — データセット連携、ナレッジベース、長期記憶を活用し、アウトプットを広告・企画・調査の業務フローに乗せる
ペルソナは一度作って終わりではなく、「評価する → 育てる → 使い倒す」のサイクルで精度が上がっていくものです。この日作ったペルソナは、各社にとってのスタート地点になりました。
参加者の声
アンケートでは、特に手を動かす実践編とハンズオン編を有益だったと挙げる方が多く、参加者の方からは次のような声が寄せられました。
- 「マーケティングの観点において、時間・費用の面で効率が非常に上がると感じる」
- 「実際のインタビューとあわせながら、難しいシチュエーションなどは AI ペルソナを活用したり、使い分けしたい」
- 「データを使って育てながら仮説を深めたい」
- 「実際に使う際の課題や注意点も色々とイメージできてよかった」
また、「様々に議論できたことが大変有意義であった」という声もありました。AI ペルソナを囲んで、自社のお客様について改めて議論する時間そのものにも価値を感じていただけたようです。
まとめ
今回のワークショップでは、自社のデータで AI ペルソナを作り、自社の問いで試し、次に足すデータを決めるところまでを半日で体験していただきました。AI ペルソナは、データを足しながら育てていくことで、仮説検証や意思決定の心強いパートナーになります。
今回使用したサンプル実装は aws-samples/sample-ai-persona でGithub上に公開しており、自社の AWS 環境に展開してすぐに試すことができます。AI ペルソナの活用や、次の一手となるデータの整備にご関心のある方は、ぜひ担当のアカウントチームまでお気軽にご相談ください。
本ブログは、ソリューションアーキテクトの辻林、小川、髙橋、平本が執筆いたしました。



