Amazon Web Services ブログ
メック株式会社の事例:Amazon Bedrock AgentCore で研究業務を効率化 – AI エージェントによる情報検索と更新の自動化
本ブログは、メック株式会社 様と Amazon Web Services Japan が共同で執筆いたしました。
みなさま、こんにちは。AWSアカウントマネージャーの尾田です。
生成 AI が注目されてから数年が経ち、多くの活用事例が生まれています。特に最近では「エージェント」というキーワードも⾮常に注⽬されており、今まで以上に、複雑な業務に AI を活⽤できるようになってきています。
本ブログでは、AI エージェントを活⽤して研究業務の効率化や品質の底上げに取り組まれたメック株式会社様の事例についてご紹介いたします。同社は、AWS 主催のハッカソンイベントへの参加をきっかけに、わずか約3 週間という短期間でソリューションを構築しており、どの程度の効果が出るか検証を進めていく PoC フェーズにおいて、スモールスタートで素早く取り組まれた事例となっております。また、アーキテクチャの中には、Amazon Bedrock AgentCore や、Amazon S3 Vectors を利⽤しており、技術的にも先進的な取り組みとなっております。
お客様の取り組みの背景と目指す姿
企業の研究開発部門において、蓄積された専門知識や技術情報を組織全体の資産として最大限に活用し、全メンバーが高いレベルで業務を遂行できる環境を構築することは、競争力強化の鍵となります。同社では、生成 AI とエージェント技術の進化を好機と捉え、研究業務における次世代の働き方の実現に向けて、先進的な取り組みに挑戦しました。
組織全体の研究力の底上げと標準化
同社が目指したのは、ベテラン社員が持つ高度な検索スキルや情報収集のノウハウを AI エージェントとして実装し、組織全体で共有できる仕組みの構築です。経験年数に関わらず、すべての研究開発メンバーが高品質な情報へアクセスし、迅速な判断を行える環境の実現を目指しました。
複雑な専⾨領域における情報アクセスの革新
研究業務では、専門用語と関連技術が複雑に絡み合っており、適切なアプローチで情報にアクセスすることが重要です。同社は、AI エージェントが自律的に最適な検索クエリを生成し、ユーザーの真の目的に沿った情報を提供する仕組みの構築に取り組みました。これにより、複雑な専門領域においても直感的に情報へアクセスできる環境の実現を目指しています。
知的資産の戦略的活用基盤の構築
日々蓄積される研究データや新規情報、更新される技術情報を、単なるデータとして保管するのではなく、戦略的な知的資産として最大限活用できる基盤の構築を目指しました。AI エージェントによって、情報に適切なコンテキストやメタデータを自動付与し、組織の知見を継続的に進化させる仕組みの実現に取り組まれました。
ソリューション・構成内容
同社の目指す姿を実現するため、単純な RAG アーキテクチャや情報更新の⾃動化ではなく、検索と情報更新の 2 つの領域で AI エージェントを活用したソリューションを構築しました。
情報検索エージェント
ユーザーからの質問を受け取り、最適な情報を提供します。特徴的なのは、ユーザーの質問⽂をそのまま検索クエリとして使⽤するのではなく、専⾨技術のバックグラウンド知識をもとに、ユーザーの真の⽬的に沿った情報を取得できるよう、裏側で最適なクエリを⾃動⽣成します。また、得られた結果がユーザーの⽬的に沿わない場合は、必要に応じて複数回の検索を⾏います。これにより、すべてのメンバーがベテラン社員と同等レベルの情報アクセスが可能になります。
情報更新エージェント
新規情報の追加時に、単に⽂書をそのまま登録するのではなく、コンテキスト情報を付与します。具体的には、「どのような案件の、どのような相談をもとに必要となった情報なのか」という追加に至る背景情報などを付与します。また、情報の中⾝を確認した上で、メタデータを⾃動⽣成し、検索性を高めた形で情報更新を⾏います。これにより、組織の知的資産が体系的に蓄積され、継続的に価値を生み出す仕組みとなります。
アーキテクチャ図
特に注⽬すべき点は、AI エージェントが動く基盤として、Bedrock AgentCore Runtime を利⽤されている点です。Bedrock AgentCore Runtime は、AI エージェントとツールのデプロイおよびスケーリング専⽤に構築された、セキュアでサーバーレスなランタイム環境です。Bedrock AgentCore Runtimeを利⽤することで、AI エージェントが動くインフラストラクチャの構築・管理をサービス側にまかせることができる点や、将来的な本番運⽤を⾒越し、セキュリティや認証・認可、運⽤性の観点から、採⽤をいただいております。同社はStrands Agents で作成した AI エージェント及び RAG を利⽤するためのツールを Runtime 上にデプロイされています。また、RAG アーキテクチャは、利⽤形態を加味して、S3 Vectors を利⽤してコストを最適化されております。
本ソリューションでは、RAG が AI エージェントが利⽤できるツールの⼀つとなっており、単純な検索システムではなく、ユーザーの意図を理解し、最適な情報取得に向けて⾃律的に動作する仕組みとなっております。開発中に Bedrock AgentCore が一般提供を開始するというタイミングで、Bedrock AgentCore をご利⽤いただいておりましたが、 Amazon Bedrock AgentCore starter toolkitをはじめとしたリソースを活⽤することで⾮常に⾼速に AI エージェントのデプロイができたというお⾔葉もいただいております。
導⼊効果
本ソリューションにより、以下の効果が期待されます。
- 情報検索時間の短縮:すべてのメンバーが迅速かつ的確に必要な情報へアクセスでき、組織全体の生産性向上が見込まれます
- 研究業務レベルの底上げ:検索エージェントが適切なクエリを自動生成することで、経験年数に関わらず高品質な情報収集が可能になります
- 知的資産の継続的な進化:情報更新エージェントにより、調査結果や研究知見、最新情報が体系的に整備・自動更新され、戦略的に活用できる基盤が構築されます
まとめ
本ブログでは、メック株式会社様の先進的な取り組みをご紹介しました。AI エージェントを活⽤することで、複雑な業務の効率化だけでなく、組織全体の能力向上につながることがイメージいただけたのではないでしょうか。ユーザーの⽬的を理解して、⽬的達成に向けて⾃律的に動く点が、エージェントの⼀番のポイントになってくるかと思います。
同社は、AI エージェントの活⽤を更にブラッシュアップしていき、より多くの業務での活⽤を進めることで、研究開発における競争力をさらに強化していくとのことです。
本事例が、生成 AI やエージェント技術を活用した業務効率化をご検討中のお客様の参考になれば幸いです。Amazon Bedrock AgentCore を活用したソリューション構築にご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
メック株式会社(左から):
古川 智大 様
岸本 宗真 様
足立 優司 様
Amazon Web Services Japan 合同会社:
ソリューションアーキテクト 上野 涼平(左端)
アカウントマネージャー尾田 美菜(右端)


