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AWS上でのSIOS Protection Suiteを使用した高可用性SAPシステムの実装

Amazon Web Services (AWS)でシニアソリューションアーキテクトを務めるSantosh Choudharyによる記事です。

AWSは、クラウド環境として信頼性、耐障害性があり、可用性の高いシステムを構築するためのサービスとインフラストラクチャを提供しています。SAPシステムはビジネスにとって非常に重要であるため、高可用性は不可欠です。

SAPアプリケーションの高可用性は、使用するオペレーティングシステムとデータベースに応じて、AWS上で様々な方法で実現できます。例えば、SUSE High Availability Extensions (SUSE HAE)、Red Hat Enterprise Linux for SAP with High Availability and Update Services (RHEL for SAP with HA and US)、Veritas InfoScale Enterprise for AWS、SIOS Protection Suiteなどです。

この記事では、SIOS Protection Suiteを使用して、WindowsおよびLinux環境で可用性の高いSAP on AWS環境を実装する方法について説明します。また、Windows環境とLinux環境でのSIOS製品の設定の違いについても説明します。

SIOS Protection Suite ソフトウェアは、高可用性フェイルオーバークラスタリング、継続的なアプリケーション監視、データの複製、および構成可能なリカバリーポリシーなどの機能を密に連携して、ビジネスに不可欠なアプリケーションやデータをダウンタイムや災害から保護するクラスタリングソリューションです。

まず最初に、AWSでは複数のアベイラビリティゾーンにまたがってワークロードを展開することをお勧めしています。それぞれのアベイラビリティゾーンは分離されていますが、AWSリージョン内のアベイラビリティゾーンは低レイテンシーなリンクを介して接続されています。あるインスタンスに障害が発生した場合でも、別のアベイラビリティゾーンのインスタンスがリクエストを処理できます。

diagram with three availability zones in a region

それでは、SAP NetWeaver システムにおけるアーキテクチャー層、そのアーキテクチャー内の単一障害点 (SPOF)、およびSIOS Protection Suiteを使用してこれらのコンポーネントを高可用にする方法を見ていきましょう。

SAP NetWeaver アーキテクチャーについて

SAP NetWeaver スタックは、主に一連のABAP SAP Central Services (ASCS) サーバー、プライマリーアプリケーションサーバー (PAS)、1つ以上のアディショナルアプリケーションサーバー (AAS)、およびデータベースで構成されています。

ASCSは、メッセージサーバーとエンキューサーバーで構成されています。メッセージサーバーは、アプリケーションサーバー間の通信チャネルとして機能し、またアプリケーションサーバー間の負荷分散を行います。エンキューサーバーはデータベースのテーブルロックを格納し、データベースの一貫性を確保するために必要なASCSの重要なコンポーネントを形成します。

SAPアーキテクチャーでは、ASCSとデータベースがSPOFであり、高可用性と耐障害性を実現する必要があります。

高可用性を実現するために、ASCSインスタンスは、Windows Server Failover Clustering (WSFC)やLinux クラスタなどのクラスタ環境に配置します。クラスタ環境の要件の1つは、共有ファイルシステムです。AWSクラウドでは、SIOS DataKeeperを使用することで、アベイラビリティゾーンをまたがった共通のファイル共有の複製ができます。

Windows環境用の設定

SIOS Protection SuiteのSIOS DataKeeperは、アベイラビリティゾーンをまたがってブロックレベルのレプリケーションを実行し、Server Message Block (SMB) ファイル共有を模倣することで高可用な構成および管理ができる、SAP認定され、最適化された、ホストベースのレプリケーションソリューションです。

同期モードでコンテンツを複製できるため、/<sapmnt>を高可用性ファイルシステムにするのに利用します。 また、/usr/sap/transを共有ファイルシステムにするのにも利用できます。SIOS DataKeeper Clusterを使用すると、ブロックレベルの同期型のデータ複製により、ASCSインスタンス、バックエンドのデータベース (Oracle、DB2、MaxDB、MySQL、PostgreSQL)、さらにSAP Central Services (SCS) インスタンスを含む重要なSAPコンポーネントの高可用性保護を実現できます。Windows環境では、DataKeeper ClusterはWindows Server Failover Clustering (WSFC)とシームレスに統合されます。クロスサブネットフェイルオーバーやチューニング可能なハートビートパラメーターといったWSFCの機能により、管理者は地理的に分散したクラスタ構成を展開できます。

設定は、ASCSの両ノード (例えば、次のスクリーンショットに示すようにASCS-AとASCS-B)、およびクラスタ内のウィットネスとして機能するファイルサーバーについて、Windows フェイルオーバークラスタマネージャーで構成します。ファイルサーバーは別の3番目のアベイラビリティゾーンに展開することをお勧めします。

failover cluster manager nodes

いつでもクラスタは1つのアクティブノードを指しています。

failover cluster manager

次の図は、AWS上の高可用性SAPシステムのアーキテクチャーを示しています。

high availability s a p architecture diagram

お客様は、データベース固有の方法 (SQL Server AlwaysOn 可用性グループなど)を使用してデータベースの複製を実行するか、データベースとASCSインスタンスの両方にSIOSを使用してブロックレベルの複製を実行するかを選択できます。SIOS Protection Suiteの一部であるSAPリカバリーキットは、種々のSAPインスタンスの監視とスイッチオーバーを提供します。他のSIOS Protection Suite リカバリーキット (IPリカバリーキット、NFSサーバリカバリーキット、NASリカバリーキット、データベースリカバリーキットなど)と連携して、包括的なフェイルオーバー保護を提供します。

次の図は、クラスタ環境でASCS用のファイル共有を作成し、ネイティブなSQLレプリケーション (AlwaysOn 可用性グループの使用)を活用するために使用されるSIOS Datakeeperのハイレベルなアーキテクチャーを示しています。

h a sap with m s sql server

次の図は、SIOSを使用した高可用性SAPシステム (AnyDB上で実行)の一般的なアーキテクチャーを示しています。

diagram for generic h a architecture

Linux環境用の設定

Linux環境の場合は、SIOS Protection SuiteのDataKeeperコンポーネントとLifeKeeperコンポーネントの両方を使用します。DataKeeperはデータ複製のメカニズムを提供し、LifeKeeperはアベイラビリティゾーンにまたがるSAP ASCSとデータベース (SAP HANA、DB2、Oracleなど)のフェイルオーバーの自動オーケストレーションを担当します。LifeKeeperのSAP HANAリカバリーキットは、すべてのノードでSAP HANAシステムを起動し、システムレプリケーションのテイクオーバー処理を実行します。

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンス上のSAP ASCSと裏にあるデータベースの実際のIPアドレスは、オーバーレイIPアドレス (フローティングIPアドレスとも呼ばれます)を使用して抽象化されます。オーバーレイIPアドレスは、特定のアベイラビリティゾーン内のインスタンスにネットワークトラフィックを送信するAWS固有のルーティングエントリーです。フェイルオーバーオーケストレーションの一部として、LifeKeeperはフェイルオーバー中にルートテーブル内のエントリーを変更してトラフィックをアクティブノード (プライマリーノード)にリダイレクトする担当もします。

architecture diagram with route tables

詳細なSIOSのガイドでは、SIOS Protection Suiteを使用してAWS上に高可用性を備えたSAP NetWeaverを実装する方法について説明しています。このホワイトペーパーでは、設定の一環としてNFSを使用しています。しかし、代わりにAmazon Elastic File System (Amazon EFS)を使用することで簡単に設定することができます。

Amazon EFSは、AWSクラウドサービスとオンプレミスリソースで稼働しているLinuxベースのワークロード用にシンプルでスケーラブルなファイルシステムを提供します。これは、何千ものAmazon EC2インスタンスに対して大規模で並列の共有アクセスを提供するように設計されているため、アプリケーションは一貫した低レイテンシーで高いレベルの総スループットとIOPSを実現できます。

もし質問がありましたら、お気軽にお問合せください。

翻訳はPartner SA 河原が担当しました。原文はこちらです。