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AWS 金融リファレンスアーキテクチャ日本版 2025 (v1.6) アップデート
「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」は、金融システムで求められるセキュリティと可用性に関するベストプラクティスを提供するフレームワークとして 2022 年 10 月に正式版として発表し、多くのお客様にご利用いただいております。この度、皆様からいただいたご意見およびクラウド活用の広がりを踏まえて新たなコンテンツを追加した 2025版 (Version 1.6) を公開しました。
2025版(v1.6)の全体像
AWS 金融リファレンスアーキテクチャ日本版の最新フレームワークは下図の通りです。
新たにサイバーレジリエンスとマイクロサービスアプリケーションに関するワークロードを追加しました。既存コンテンツについては、勘定系ワークロードのレジリエンス機能の強化やコンタクトセンター(顧客チャネル)ワークロードへの生成 AI 機能の追加を行っています。加えて、特定の金融ユースケースでのアーキテクチャ上の重要ポイントを詳細解説する“ユーザ事例”コンテンツを新設しました。2025年中にさらに生成AI ワークロードの追加、Well-Architected Framework の FSI Lens for FISC の更改、保険ユーザ事例の追加を予定しています。ご期待ください。
以下はアップデートの概要です。詳細は各ワークロードの解説ブログをご確認ください。
2025版(v1.6)のアップデート詳細
サイバーレジリエンスワークロードを新規公開
サイバー攻撃に対しては、攻撃を受けても迅速にシステムを復旧し事業を継続する ”サイバーイベントリカバリ” が重要です。そのために準備しておくためのリファレンスアーキテクチャーを公開しました。詳細は解説ブログ: サイバーレジリエンス:サイバーイベントリカバリの実装 をご覧ください。
イベントドリブンな金融モダンアプリケーション実装を公開
高い可用性とスケーラビリティを求められるミッションクリティカルなアプリケーションをモダンなマイクロサービスアーキテクチャで実装する事例が増えています。今回、モバイルバンキング題材にしたリファレンスアーキテクチャーとサンプルアプリケーションを公開しました。詳細は解説ブログ: イベントドリブンな金融モダンアプリケーション実装を公開 をご覧ください。
ミッションクリティカルワークロード(勘定系) でマルチリージョンの回復力と可観測性を強化
ミッションクリティカルなオンライントランザクションシステムのリファレンスである勘定系システムに大きく3つの Update を行いました。
- 外形監視と組み合わせたリージョン切り替え/切り戻しの完全自動化
- Amazon CloudWatch Application Signals によるマイクロサービスのオブザーバビリティ強化
- Amazon Aurora DSQL による ディザスタリカバリ における RTO を短縮する実装例
詳細は解説ブログ: レジリエンスライフサイクルで進化する – ミッションクリティカル[勘定系] ワークロード をご覧ください。
コンタクトセンター (顧客チャネル) ワークロードに生成 AI 機能を追加
Amazon Connect によるコンタクトセンターのリファレンスアーキテクチャに、通話のライブ文字起こし機能、生成 AI を利用した通話チェックと要約機能を追加しました。他にも、ウェブ通話、Amazon Q in Connect の AI アシスタント (下図参照)を追加し、あらゆるチャネルでのカスタマーエクスペリエンスを向上策として使っていただく事ができます。こちらからすぐにデプロイして試していただく事が出来ます。
金融ユーザ事例の解説コンテンツを新設
AWS を実際にご利用いただいている国内外の金融機関のお客様事例をベースに、より具体的なシステムアーキテクチャを紹介しています。こちらでは、業務およびシステム特性に最適化したアーキテクチャとその考慮ポイントに重点をおいて解説しています。
- [証券] 資本市場 Order Management System (OMS)
- [決済] クレジットカード イシュアシステム
おわりに
金融リファレンスアーキテクチャ日本版の全てのコンテンツは GitHub リポジトリから利用できます。フィードバックや質問については Issue として GitHub サイト上に登録いただけますし、執筆者に直接ご連絡頂いても構いません。ご利用される皆様からのニーズや意見に基づいて今後の改善方針を決めていきたいと考えておりますので、ご質問やフィードバックをお待ちしております。
本ブログ記事は、AWS のソリューションアーキテクトである 深森 広英 が執筆いたしました。






