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【開催報告&資料公開】生成 AI と AWS Ad/Marketing Tech Services で実現する広告・マーケティングイノベーション

広告やマーケティングに携わる方々を主な対象として、2024 年 10 月 17 日に「生成 AI と AWS Ad/Marketing Tech Services で実現する広告・マーケティングイノベーション」のオンラインセミナーを開催しました。ご参加いただきました皆さまには、この場を借りて御礼申し上げます。本ブログではセミナーの内容を簡単にご紹介します。

見所としては以下3点です。

  • 【いまさら聞けない!?】AWS の Ad/Mktg Tech サービスの効果的な活用方法
  • 生成 AI やデータクリーンルーム等、AWS の Ad/Mktg Tech サービスの最新アップデート(2024年10月時点)
  • データコラボレーションサービスである AWS Clean Rooms のお客様事例

Session 1. オープニング

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部 シニア事業開発マネジャー
松本 鋼治

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オープニングでは、本イベントの開催目的や、Amazon グループにおける広告マーケティングテクノロジーの位置付け、AWSとしてどのようなコンセプトでソリューション開発や支援を行っているかについて、全体概要をご説明いたしました。
広告・マーケティングテクノロジーの分野は Amazon グループ全体においても重要な位置づけを持ち、AWS の技術がその基盤を支えています。Amazon が提供する多様なサービス(eコマース、リテールメディアなど)は、AWSを活用した適切なマーケティングの仕組みとともに進化を続けています。特に、AWSの広告・マーケティングソリューションは以下の3つを重要なコンセプトとして展開されています:

  • イノベーションの加速
  • コストパフォーマンスの最適化
  • データ連携の強化

また、生成 AI の活用にはデータが不可欠です。AWS のデータ管理技術は、プライバシーやセキュリティを確保しながら、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援します。また、個人情報保護規制が強化される中、ファーストパーティデータを適切に管理し、ビジネスパートナーと連携して活用する仕組み作りが不可欠です。企業が競争力を高めるには、顧客やパートナーと共にデータや技術を活用し、安心・安全なイノベーションを推進することが求められていると考えます。

Session 2. 顧客の行動の理解促進と最適なキャンペーン展開

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ストラテジックインダストリ技術本部 デジタルソリューション部 ソリューションアーキテクト 関藤 寛喜

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本セッションでは、デジタルマーケティングの課題と、AWS が提供する広告・マーケティングテクノロジーの最新ソリューション(2024年10月時点)について解説いたしました。
デジタルマーケティングの課題として、昨今の 3rd Party Cookie に関する規制の影響もあり、顧客行動の理解を深めて特定のセグメントに対して的確にキャンペーン情報を送信する上で、ターゲティングの精度やプライバシーへの配慮の難しさが挙げられます。それらの課題を解決するソリューションとして、Amazon Ads が提供するAmazon Marketing Cloud、そして AWS が提供する AWS Clean Rooms と AWS Entity Resolution について、それらの違いやサービス概要について解説いたしました。特に、AWS Clean Rooms と AWS Entity Resolution のサービスを組み合わせて実現する具体的なユースケースと、各サービスの最新アップデート(2024年10月時点)についてご紹介いたしました。
また、生成 AI を活用してユーザープロファイルを作成するユースケースや、実運用で課題になりがちな日本語データの突合のための前処理(ID マッチング)を AWS Entity Resolution で実現する方法についてもご紹介しています。

Session 3. AWS で実現するクッキーレス時代のマーケティング変革

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 技術統括本部 ストラテジックインダストリー技術本部 通信グループ 通信第三ソリューション部 部長/シニアソリューションアーキテクト 鈴木 浩之

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本セッションでは、お客様からよく伺う広告マーケティングに関する課題をもとにした以下の3つのユースケースを取り上げ、生成 AI 機能を含む様々な AWS サービスを活用したマーケティング変革のためのアプローチについてご紹介いたしました。

  • 他社データとのコラボレーションで顧客プロファイル拡充
  • パーソナライズしたセグメントにキャンペーン送信
  • Web サイトのユーザ行動分析

ユースケース 1 では、AWS Clean Rooms と AWS Entity Resolutions を利用した Customer 360 強化のためのデータコラボレーションや、生成 AI 機能によって進化した BI サービス Amazon QuickSight による可視化についてデモを交えてご紹介しました。ユースケース 2 では、マーケティングコミュニケーションサービス Amazon Pinpointと、Amazon Bedrock の生成 AI 機能を組み合わせ、顧客離反予測からパーソナライズされたオファー生成と提案の自動化のユースケースをご紹介しました。また、ユースケース 3 では、Google Analytics や Amplitude などの 3rd Party ツールと連携した WEB サイトのユーザー行動分析およびレコメンド生成の実現方法について解説しています。

Session 4. AWS で拓く地方都市における地域共創プラットフォームの未来

株式会社中国新聞社 メディア開発局 メディア開発部長 石井 将文様

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株式会社中国新聞社様は、従来の強みを活かしながら新たな価値提供へのチャレンジを進められており、デジタル領域のプレゼンスを高めるビジネスドメインとして開始した新サービスである地域IDプラットホーム「たるポ」と、関連する取り組みについてご紹介頂きました。
「たるポ」は B2C と B2B それぞれの領域に様々な価値を提供するプラットフォームです。例として B2C 領域では、一つの ID で様々なサービスと幅広く連携可能になります。B2B 領域では、たるポのプラットフォームをそのまま導入することで、早く安く会員基盤を構築できる点や、個人情報と興味関心・行動などのデータを掛け合わせたデータ分析が可能となります。

たるポの特徴

AWS採用の理由と技術的背景について、複数ある中から以下3点を取り挙げられています

  • スケーラビリティと可用性: 利用者の増加や外部システムとの連携を見据えた柔軟性確保、サービスの継続性担保。
  • マネージドサービスの活用: 運用コストを低減し、セキュリティを担保しながらも効率的な拡張を可能に
  • エコシステムの充実: 外部連携も容易にする多種多様なサービス、ユーザーコミュニティの強さ、ドキュメントの豊富さ

システム構成はサーバーレスを採用し、運用負荷を軽減されています。さらに、データ分析機能としてサーバーレス BI の Amazon QuickSight と Amazon Redshift Serverless を採用しています。
また、「たるポ」ではオンライン・オフラインのデータを幅広く収集・活用されており、AWS Clean Rooms を活用したデータコラボレーションを進行中で、他企業との連携による新たな価値創出を目指されています。個人を特定しないセキュアな環境で、自社と連携企業のデータをコラボレーションさせて新しい気づきを得るデータクリーンルームの概念が「たるポ」のビジョンにマッチしていると考えられています。同社では AWS と連携し、データ利活用体験を地域に広げるため、広島にて複数の企業を招き、データクリーンルームによるデータコラボレーションワークショップも開催されました。

参考)【開催報告】中国新聞社/ AWS 共催 データコラボレーションワークショップ in 広島

Session 5. クロージング

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部 シニア事業開発マネジャー
松本 鋼治

クロージングでは、本イベント各セッションの振り返りのほか、AWS がご提供する各種支援プログラムについてご紹介しました。例えば、AWS の専門人材と先端テクノロジー・業界先進事例・Amazon のビジネスノウハウをもとに、お客様の経営層や次世代リーダーの方と議論を行う Executive Briefing Center (EBC)があります。また、ワークショップを通じて Amazon の顧客視点でのプロダクト企画手法である Working Backwards を体験・実践するプログラムである Digital Innovation Program (DIP) があります。さらに、サービス開発のコンサルティング支援を行う AWS Professional Services など、お客様のビジネスを加速・具体化する様々な支援プログラムをご紹介しています。

まとめ

今回のセミナーでは、広告マーケティング領域における市場動向や、Amazon および AWS の取り組み、生成 AI を含む各種 AWS 関連サービスやユースケースに加え、中国新聞社様にデータコラボレーションに関する事例をご紹介頂きました。
AWS は広告マーケティング業界において、広告主、マーケティング担当者、パブリッシャー、代理店、テクノロジーリーダー向けに様々なサービスやソリューションを提供し、お客様のイノベーションの実現に貢献を続けています。昨今注目される 生成 AI やデータクリーンルームなどの技術によって、その進化は加速していると言えます。
本イベントの各セッションが、皆様 1人1人の学びの一助となり、皆様ご自身や企業、組織のITのみならず経営や事業課題解決に貢献できれ ば幸いです。今後も広告やマーケティングに携わる皆さまに向けたイベントを企画し、情報発信を継続していきます。ブログやコンテンツも公開しておりますので是非ご覧ください。

広告マーケティング業界参考情報

[1] 広告とマーケティングのための AWS
[2] AWS Blog Marketing & Advertising
[3] AWS Black Belt Online Seminar AWS Clean Rooms

著者

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 技術統括本部 ストラテジックインダストリー技術本部 通信グループ 通信第三ソリューション部 部長/シニアソリューションアーキテクト 鈴木 浩之