Amazon Web Services ブログ
ニフティ株式会社、Amazon RDS for Oracle への移行によりシステム環境のランニングコストを77%削減
ニフティ株式会社では、ネットワークサービス事業と Web サービス事業の 2 軸でビジネスを展開しています。
@nifty光など、各種サービスの申込みや開通状況の確認など接続サービスで使用しているデータベースを 2024 年 5月に Amazon RDS for Oracle へ移行しました。本ブログでは、 Amazon RDS for Oracle への移行検討から移行後の効果について、お客様の声を紹介いたします。
移行検討の背景と課題
同社は、長年利用していたレガシーシステムに課題を抱えており、これらを解決するためにアマゾン ウェブ サービス (AWS) への移行を進めています。Web サービスを提供している約 800 台のサーバーの移行を終え、現在はネットワークサービス事業用の基幹システムの移行を進めています。その中の 1 つの接続サービスで使用しているデータベースが稼働しているサーバーのハードウェア老朽化と保守期限が迫ってきていたため、早期の移行が必要でした。また、高額なランニングコストや、そのコストに見合う機能を使い切れていないという課題を抱えていました。運用面では、データベースのメンテナンスタイミングをサービス都合で選択できず、ベンダーの指定タイミングに従わざるを得ない制約があり、さらにメモリ不足による予期せぬフェイルオーバーが発生するなど、安定性にも問題を抱えていました。
AWS での構築システムが多く、親和性が高かったため、Amazon RDS for Oracle を選択しました。また、同種エンジンの Amazon RDS for Oracle の最適なライセンスモデルを移行先とすることで、コスト最適化を目指すとともに、クラウドの弾力性を活かし、適切なサイジングにより、更なるコスト最適化を目指しました。ライセンスやサイジングの最適化を行えた理由としては、移行後、万が一性能要件を満たせないことが判明した場合でも、直ぐにスペックアップにより対応できることも判断理由の一つです。また、課題となっていたメンテナンスタイミングは、メンテナンスウィンドウの調整により実現しました。
アーキテクチャと移行プロセス
ニフティの回線サービスに関するデータ ( 顧客の申込情報や契約進捗状況など ) は、統合データベースで一元管理されています。このデータベースには、各回線サービスシステムからアクセスが可能です。システムは AWS だけでなく、他のクラウド環境にも構築されているため、VPN 経由でアクセスが行われます。
2022 年 から移行検討を開始し、AWS のデータベース移行支援プログラムを活用し、Statspack レポート分析や AWS Schema Conversion Tool レポート分析を AWS の Solutions Architect とともに実施し、移行難易度の調査やサイジングを行い、事前に移行難易度が低いことを確認しました。
2023 年 6 月から移行の本格検討を開始し、2023 年 9 月から 3 か月間 PoC を実施し、2023 年 12 月から 2024 年 2 月にかけて、データベースの設計、構築、データ移行の準備を進めました。そして、 2024 年 2 月から 5 月にかけて、段階的に移行を進めました。データベース移行のデータ移行では、約 4000 のオブジェクト ( 内 プロシージャ 150 ) 、約 1 TB のデータを、マテリアライズドビューを使用して、Amazon RDS へ移行しました。
移行方式採用の理由としては、データサイズが大きいため、ダウンタイムが長くなる懸念がありました。差分移行を行う上で、ネイティブ機能を利用した移行のほうが、安全性が高いと判断し、マテリアライズドビューを使用して、高速リフレッシュにより差分データを移行し、移行当日にマテリアライズドビューをテーブルに切り替えて行う移行方式を採用しました。この移行方式により、本番データベースの CPU 使用率が通常時から比べ 30% ほど上昇しましたが、業務処理への影響はありませんでした。
また、移行時の課題として、サービス影響を最小限にするため、アプリケーション移行対象スキーマが約 50 あり、スキーマ間で参照権限が設定されている箇所が多数あったため、移行順序を精査しながら、移行計画を作成しました。また、移行完了後、移行元環境に残っているアプリケーションとデータベース間のネットワークレイテンシーの増加により、処理時間が延びる事象は発生しましたが、PoC で予め検知できていたため、今後、AWS 環境に移行することで改善される事象として、課題管理できており、大きな問題にはなりませんでした。
Amazon RDS への移行の効果
2023 年 6 月 から、今回のシステムのデータベースの移行を検討し始め、約 1 年で移行を完了しました。移行した結果、ライセンス最適化によるライセンスコストの削減だけでなく、スペック最適化により、ランニングコストの削減に成功しました。
また、マネージドサービスを活用することで、運用・保守作業の大幅な効率化ができ、バックアップ運用やパッチ準備などの運用負荷が下がっただけでなく、ベンダー都合によるメンテナンス対応に追われることがなくなり、任意のスケジュールでメンテナンスが可能になりました。また、最適なサイジングの結果、移行前のような予期せぬフェイルオーバーも発生しなくなり、安定性も向上しました。マネージドサービスの活用により、サーバーへ直接ログインした不正アクセスの防止など潜在的に潜んでいたセキュリティリスクの低減だけでなく、データベースの構築・運用作業が簡素化されたことにより、これまでベテランエンジニアの専任領域となっていたデータベース関連の作業に、若手エンジニアも積極的に携われるようになりました。結果として、エンジニアのスキル育成にも良い影響を与えています。その流れに合わせて、運用手順の整備や業務効率化をする機会にでき、クラウド移行を前向きな良い機会とすることができています。
コスト面では、Amazon RDS 移行によりシステム環境のランニングコストを 77 % 削減という効果を出せています。
今後に向けて
ニフティ株式会社 基幹システムグループ 中廣 可奈子氏からのコメント:
まだ、他にも WEB やバッチなどのアプリケーション環境が旧環境に残っているため、引き続き移行を推進していきます。
AWS への移行完了後、マイクロサービス化など、更なるアーキテクチャ最適化を目指していきます。
まとめ
ニフティ株式会社では、Amazon RDS に移行することで、システム環境のコストを77%削減しました。また、運用・保守作業の効率化、メンテナンス時期の柔軟な選択が可能になり、システムの安定性とセキュリティも向上しました。さらに、若手エンジニアの育成機会の創出にもつながっています。

