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[開催報告] 金融若手エンジニア向け AWS JumpStart Zero For FSI を開催しました
2025 年 8 月 22 日、AWS Startup Loft Tokyo にて「AWS JumpStart Zero For FSI」を開催いたしました。本イベントは、金融業界の若手エンジニアの方に AWS JumpStart 本編への準備を含めてクラウド利活用のはじめの一歩を踏み出していただくことを目標に開催し、20社を超える金融機関から 80 名以上の方にご参加いただきました。本記事では、イベントのハイライトと参加されたエンジニアの皆様の声をお届けします。
本イベントは、AWS JumpStart への参加を検討中の金融エンジニアの方を対象に、AWS JumpStart へのステップとなる知識を獲得できる準備イベントとして開催しました。AWS JumpStart にご興味のある方はこちらのブログよりお申し込みください。
イベント概要
開催日時: 2025 年 8 月 22 日(木) 14:00–18:00
会場: AWS Startup Loft Tokyo
参加者数: 84 名(金融機関の若手エンジニア)
参加企業: 銀行、証券会社、保険会社、信用金庫、フィンテック企業など 20 社以上
プログラム実施報告
① クラウド基礎概念の理解
イベントの冒頭では、フィナンシャルサービスインダストリ技術本部のソリューションアーキテクト、菅原太樹がクラウドコンピューティングの基本概念について解説いたしました。基本的なサービスである Amazon EC2 と Amazon RDS を中心に、クラウドサービスのメリットをご紹介しました。
次に、このイベント以後どのように AWS を学べば良いかをお伝えするセッションを行いました。実際に AWS の新卒社員が実際に用いている AWS 学習方法を参考に、実践的かつ身に付く知識の身につけ方をお伝えしました。本イベントや AWS JumpStart に参加いただいた後も、自主的にクラウドサービスを学ぶための道筋になったと考えています。
グループワークでは、6–7 名のテーブルに分かれて自己紹介、アイスブレイクと共にクラウドへの期待や不安を共有していただきました。他社ではありながらも同じ業界の仲間同士ということもあり、規制要件への対応や既存システムとの連携など、共通の課題について活発な議論が行われました。
参加された方からは、「AWS の初回無料枠について初めて知ることができた。テーブルで話した皆様が資格を取ろうとしていることがわかり、私もクラウドプラクティショナーを取ろうと思った。AWS 無料枠とハンズオン資料をもとに、手を動かして開発したい。」といったお声をいただきました。
② アーキテクチャホワイトボーディング
本セッションでは、AWS JumpStart 本編で実際に行うホワイトボーディングの入門編を体験していただきました。まずは、広域事業統括本部ソリューションアーキテクトの深澤真愛が、基礎的なシステムを題材に、アークテクティングのコツからグループワークにおける活動方法をご紹介しました。
セッション内では、Amazon EC2 で構成される基本的な Web 三層構造のアーキテクチャを改善するワークショップを行いました。参加された方は会社を超えてグループワークで協力し、分担して調べながらアーキテクティングを行いました。
グループワークの開始前には、アーキテクティングのコツをご紹介しました。アーキテクティングのコツに興味がございましたら、下記ブログをご参照ください。
AWS のアーキテクチャ図を描きたい ! でもどうすれば良いの ?
https://aws.amazon.com/jp/builders-flash/202204/way-to-draw-architecture/
また、新卒の方も多くいらっしゃったため、AWS JumpStart はもちろん普段の業務にも活せる、グループワークそのもののコツについてもお伝えしました。AWS の経験の有無や業務の内容など、さまざまな方がいる中で、スムーズに安心してディスカッションができました。
各グループの発表では、AWS よりご提示したお題を超えて、可観測性や開発環境などの観点を盛り込んだ設計が多く見られ、参加者の皆様の高い意識を感じることができました。アーキテクチャを書き終えた後は、グループ同士で発表とレビューを行い、知見の輪を広げることができました。
最後に AWS 社員の考えたアーキテクチャの一例を解説し、振り返りを行いました。クラウドの設計方針として押さえるべきポイントをお伝えし、参加された方にお考えいただいたアーキテクチャと比較をしていただきました。
本ホワイトボーディングをご体験いただいた方から、多くのお声を頂戴しました。
AWS を普段から業務でご利用されている方からは、「AWS には本当にたくさんのサービスがあって、どれを選べばいいのか迷っていました。今回のワークショップで、各サービスをどうつなぎ合わせてアーキテクチャを構成するかがよく理解できました。特にグループワークで他の参加者の方々と議論しながら進められたのが良かったです。」というお声をいただきました。
また、AWS 未経験のお客様からは、「正直、難しい部分もあり、理解できなかったところもありました。でも、今まで点でしか見えていなかった AWS のサービスが、今回のセッションを通じて少しずつ線でつながってきた感覚があります。これからも学習を続けて、点と点をつなげていきたいと思います。」というお声もいただいています。
③ 金融業界でのクラウド活用実践
金融業界の IT の未来を担う参加者に向け、現状のクラウド活用事例と、AWS のサービスを紹介させていただきました。前半のセッションでクラウドの基礎を学習した後で、金融業界に特化したお話をさせていただきました。
クラウド活用事例紹介のトピックでは、金融で求められるセキュリティと可用性に関するベストプラクティスを提供するフレームワーク、「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」をもとに、勘定系のシステムやコンタクトセンターのシステムのアーキテクチャをご紹介しました。
参加した方からは、「実際に案件で AWS を触っているので深掘りするきっかけができた。前半のセッションでアーキテクチャ図の見方がわかるようになったので嬉しい」というお声をいただいています。
サービス紹介のトピックでは、メインフレームで動くシステムをモダナイズすることができる AWS Transform for Mainflame を説明いたしました。Transform for Mainframe はメインフレームワークロードを大規模にモダナイズするためのエージェント型 AI サービスとなっています。
こちらのセッションは予想以上に新卒の参加者からも高評価をいただきました。ある新卒の参加者の方は、「現在自社のシステムをメインフレームからモダナイズする案件が動いている。これを使えば自分の知らない COBOL プログラムを簡単にリファクタリングできそうなので、ぜひ活用したい」と嬉しそうに語っていました。
④ 懇親会・ネットワーキング
イベント終了後の懇親会では、軽食を囲みながら参加者同士の交流が深まりました。名刺交換も活発に行われ、業界を超えた人脈形成の場となりました。学びの共有も行うことができ、その後参加者同士で二次会に行かれる方もいらっしゃいました。
まとめ
今回のイベントでは、金融業界の若手エンジニアの方の学習意欲の高さと、業界特有の課題に対する真摯な取り組み姿勢を強く感じることができました。参加者のうちアンケートにお答えいただいた 76 人中 75 名の方に、イベントに対して満足しているとお答えいただきました。
アンケートでは「AWSについて学びたいけどよくわからない…という状態からなんとなくわかる状態になることができました。グループワークも積極的に話し合えてよかったです」「知り合いにインフラ系エンジニアが少なかったため、他社の若手社員と知り合うことができありがたかったです。」といった声を多数いただき、イベントの目的を達成できたと考えております。
本イベントは、AWS が日本社会・経済の安定した基盤を提供するための取り組み「Vison 2030」に定義されている、イノベーション人財の育成の一環として行われました。これからも様々な形でイベントを開催いたしますので、ご参加いただけますと幸いです。
今後の展開
AWS JumpStart 本編への参加
今回の参加者のうち、89% の方が AWS JumpStart 本編への参加を予定されています。AWS JumpStart Zero For FSI で築いた知見を活かして、より実践的な学習を進めていただけることを期待しております。
AWS JumpStart 本編についてはこちらからお申し込みください。
継続的なコミュニティ活動
参加者された方からのご要望を受け、金融業界向けの若手 AWS ユーザーコミュニティの立ち上げを検討しております。定期的な勉強会や情報交換の場を提供し、金融業界で働く次世代クラウド人財のコミュニティ活動を始動していきます。