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【開催報告】AWS Support の事例Webinar (金融編)を実施しました
はじめに
2022年4月14日にAWS Support の事例Webinar (金融編)を実施しました。本イベントでは、金融分野で事業を展開されているお客様3社をゲストスピーカーにお招きして、AWS Support の最上位プランであるEnterprise Support を導入した背景や効果を発表していただきました。金融分野に限らず幅広い業界のお客様が参加され、各社がミッションクリティカルなシステムの運用にどのようにEnterprise Support を活用しているか多数の質問が寄せられました。本ブログでは、3社からのプレゼンテーションのサマリーをご紹介します。
セッション1:JCB における AWS エンタープライズサポートの活用状況と活用メリットについて
株式会社ジェーシービー システム本部 システム企画部 企画グループ 主任 澤幡 祐貴 氏より導入事例を紹介いただきました。日本発の国際カードブランドを運営する唯一のカード会社である株式会社ジェーシービー(以下、JCB )は、「クラウドを活用したシステム基盤の最適化」を中期経営計画の戦略の1つとして掲げています。Enterprise Support はAWS 上で稼働するシステムが本格的に増加し始めた2019年度から利用されています。Enterprise Support のメリットとして、JCB のビジネス背景を理解したテクニカルアカウントマネジャー(以下、TAM )による支援を紹介いただきました。1つめの事例は、Amazon RDS for Oracle のサポート終了に伴い発生した、システム構築の計画変更の支援です。当時はアップデート作業に不慣れなご担当者も多かったそうですが、TAM がプロジェクト計画を踏まえてチェックポイントをご説明することで、対応期限内にお客様に作業を完了いただくことができました。澤幡氏は、このような「顧客アジャスト型の情報提供」が良いとお話されました。次の事例は、障害発生時のサポートケースのフォローです。コロナ禍でAmazon WorkSpaces の利用が急拡大した際にログインしにくい事象が発生しましたが、サポートケースの調査状況に基づき暫定的な対応方法を提示するなど、安定的な利用までTAM が支援しました。最後の事例は、AWS Security Hub のご紹介です。Security HUB はクレジットカード業界のセキュリティ基準であるPCI DSS に関するチェックも一部含まれるため、決済を取り扱うJCB にとって親和性が高いと感じられるサービスです。このようにお客様の事業を踏まえた提案がTAM からもらえるのが嬉しい仰っていただきました。プレゼンの総括として「TAM が、豊富な知見と心遣いと情熱をもってフォローしてくれるため、パブリッククラウドはむしろオンプレミス以上に身近な存在にも感じられる」とお話いただきました。
[プレゼンテーション資料DL JCB]
セッション2:AWS エンタープライズサポートの活用と効果(三井住友信託銀行)
三井住友信託銀行株式会社 IT基盤運営部 分散技術チーム長 鈴木 孝尚 氏より導入事例を紹介いただきました。約100年の歴史を持つ信託銀行グループである三井住友信託銀行株式会社(以下、SuMiTB )は、クラウドファーストを掲げ、分散系システムの7割をクラウド化する方針としています。2017年にAWS を採用してから、AWS の利用が本格化する2018年にEnterprise Support に加入、2020年からは大規模なAWS への移行に取り組んでいます。事例の1つ目として、アーキテクチャ最適化の支援を紹介いただきました。システムご担当者とTAM との定期的なオフィスアワーを通じて、「絶対に障害を起こさない・落ちない」ではなく「ビジネスの継続」のためにアーキテクチャで何ができるか、という視点で、クラウドへの理解を深めていただきました。2つ目は、データベースのAWS への移行支援です。「大量データの移行に時間がかかる」、「パフォーマンス分析とコスト最適化」のような課題を1つずつ解決することで、SuMiTB として最初のAWS への本格的なマイグレーションを支援しました。3つ目の事例は、Amazon Relational Database Service の利用拡大の支援です。当時、SuMiTB ではオンプレミスの運用に近いAmazon Elastic Compute Cloud でデータベースサーバー構築することが多く、運用変更への懸念からAmazon RDS の利用が進んでいませんでした。そこでAmazon RDS を安心してご利用いただくため、システムのご担当者向けにTAM やデータベースの専門家からベストプラクティスやデータベース移行ツール等をご説明することで、徐々にAmazon RDS を採用いただけるようになりました。最後にまとめとして、「最初は迅速な障害対応とコスト最適化を期待していたが、実際にはSuMiTB の状況を踏まえた親身なサポートと、中長期目線での支援が受けられている」と総括いただきました。また、現在、グループ会社も含めてEnterprise Support の利用を拡大していただいています。
[プレゼンテーション資料DL SuMiTB]
セッション3:ビットバンクにおけるエンタープライズサポートの活用
ビットバンク株式会社 Platform部 インフラチームマネージャー 石川 将吾 氏より導入事例を紹介いただきました。ビットバンク株式会社(以下、bitbank )は2017年3月にサービスを開始し、今では国内の暗号資産(仮想通貨)取引所としては最大級の規模まで発展しています。ミッションクリティカルなサービスを提供するために、迅速な障害対応やアーキテクチャ設計支援が必要なことから、2018年にEnterprise Support に加入しました。石川氏からはTAM 以外のEnterprise Support の活用事例もご紹介いただきました。例えば、サポートケース(チケット)の活用です。緊急事態に最短15以内に技術サポートを受けられることはbitbank のサービス提供に必要不可欠なものになっています。また、請求関連の問い合わせはコンシェルジュが対応しますが、AWS Shield Advanced の初回請求がbitbank の想定と異なっていたときにはコンシェルジュの支援によって素早く疑問を解消できたそうです。次に、TAM の支援の中から月次定例会での取り組みをお話しいただきました。例えば、Amazon Relational Database Service for MySQL 5.6 のサポート終了のような重要なメンテナンス情報をTAM から共有されるのが良いとのことです。また、AWS Trusted Advisor を活用したセキュリティレビューについてもお話しいただきました。具体的には、IAM ユーザーを棚卸することで退職した従業員のIAM ユーザーの消し忘れがないか確認したり、検証用アカウントでセキュリティグループが必要以上に広く設定されたままになっていないか確認しています。このようにEnterprise Support ではTAM が定期的にお客様の利用状況をレビューすることで、課題の発見や解決を支援します。最後にプレゼンのまとめとして、障害対応だけでなくコスト最適化やアーキテクチャレビューまで幅広く活用しており、Enterprise Support は「AWS の活用にあたって無くてはならない存在」とお話しいただきました。
[プレゼンテーション資料DL bitbank]
さいごに
本Webinar ではゲストスピーカーの皆様から具体的なエピソードを交えてEnterprise Support の活用方法を共有いただきました。Enterprise Support のご利用を検討中のお客様が「自社にとっての活用方法」をイメージしていただく一助になると幸いです。ミッションクリティカルなシステムの運用にEnterprise Support の活用をご検討のお客様はAWS の営業担当までお問い合わせください。
本ブログは、技術支援本部 シニア事業開発マネージャー 庄司が担当しました。