AWS Startup ブログ

【連載】今年re:Inventに初参戦!英語を理由にしない ―― ファインディCEOが語る決め手になった3つの理由

AWS Startup ブログでは、AWS re:Invent に実際に参加されたスタートアップのリアルな声をお届けするシリーズを掲載しています。今回は、今年初めてre:Inventへの参加を決めたファインディCEO山田裕一朗氏に、参加を決めた3つの動機とグローバル展開に向けた思いを、AWSスタートアップチームの坂井とイネが伺いました。

*本記事は、2026年7月に実施したインタビューをもとに構成しています。

 

会社紹介 ― ファインディ株式会社

ファインディ株式会社は、2016年創業、東京・品川に本社を置くスタートアップです。「挑戦するエンジニアのためのプラットフォームを作る」をスローガンに、エンジニア転職サービス「Findy」、フリーランス紹介「Findy Freelance」、開発組織の生産性を可視化するSaaS「Findy Team+」、ツールレビュー「Findy Tools」、テックイベント基盤「Findy Conference」の5つのサービスを展開しています。全サービス累計で約29万人約5,400社(※)が利用。2025年にはシリーズDで累計20.5億円規模の資金調達を実施し、韓国・台湾・インドへとアジア展開を加速しています。

(※)Findy 転職、Findy Freelance、Findy Team+、Findy Tools、Findy Conference の5サービス累計での登録企業数及び会員登録数です。なお、1社又は1名の方が複数のサービスに登録している場合は、そのサービスの数に応じて複数のカウントをしており、Findy Team+のトライアル導入企業数も含まれます。

 

話し手プロフィール

  • 山田 裕一朗 氏:代表取締役CEO兼共同創業者。「つくる人がもっとかがやけば、世界はきっと豊かになる。」という経営理念のもと事業を牽引。今回が初のre:Invent参加。「エンジニアをエンパワーすることが、より明るく創造的な世界をつくる」という思いのもと、日本を再び技術大国へ、そしてファインディをグローバルカンパニーへと導くべく事業を牽引しています。
ファインディ株式会社 山田 裕一朗 氏(代表取締役CEO兼共同創業者)
ファインディ株式会社 山田 裕一朗 氏(代表取締役CEO兼共同創業者)

今回は、初参加となる AWS re:Invent への参加動機や狙い、グローバル展開に向けた思いをAWSスタートアップチームの坂井とイネが伺いました。

 

参加を決めた3つの動機 ―― 最新動向、エグゼクティブ、アメリカ市場

坂井・イネ: 今年、AWS re:Invent への参加を決めた一番の動機はどこにありましたか。

山田: そうですね、大きく分けると3つあるかなと思っています。

まず1つ目が、最新動向のキャッチアップですね。ちょうど先々週も、AIエンジニアリング系のイベントでアメリカに行ってきたんですけど、やっぱり現地に行くと最新の動向がわかるし、そこで得た学びを会社に持ち帰って反映していきたいなと。これまで海外というと、韓国とかインドみたいに「マーケットを攻めに行く」ことが多くて、最新情報のほうはむしろ日本でカンファレンスを開いて来ていただく、という形が多かったんです。ただ今は本当に変化が激しいので、自分たちから取りに行かないと、と。そこが一番大きいですね。

2つ目は、エグゼクティブとの交流への期待です。日本だとなかなかそういう方とお会いする機会がないんですけど、海外だと意外と気軽に話せるんですよね。それで「実際どんな課題があるんですか」「どんなニーズがあるんですか」というのが直接聞ける。re:Invent にもそういう方がたくさん来られると聞いたので、スタートアップにとってはすごくいいオポチュニティだなと。きっかけは、去年スペインの MWC(モバイルワールドコングレス)に参加したときに、まさにそういう機会があったことですね。

そして3つ目が、アメリカ市場の可能性を探るということです。やっぱり海外市場を考えたときに、アメリカで何かできることはないかな、というのを探りに行きたくて。エキシビジョンでどんなプロダクトが出ているのかを実際に見られるのは、すごくいい機会になるんじゃないかなと思っています。

 

投資対効果への確信 ―― 質の高いエグゼクティブとの出会い

坂井・イネ: re:Invent は決して安くない投資です。それでも「払う価値がある」と判断した後押しは何でしたか。

山田: そうですね……ひとつは、最近、日本の AWS Summit にエグゼクティブとして参加させてもらう機会があったんです。それの拡張版が海外にあるんだ、と考えると、これは行かない手はないなと思ったのが一つですね。

もう一つは、仲のいい経営者とランチをしていたときに、「re:Invent は毎年行ってるけど、本当にいいオポチュニティになるよ」という話を聞いていて。それが結構大きな後押しになりました。

坂井・イネ: グローバルイベントで出会うエグゼクティブは、やはり質の高い方が多いのでしょうか。

山田: そうなんですよ。MWC で出会った方が、1年経ったら役員になっていた、みたいなケースも結構多くて。やっぱり海外まで来られる方って、会社がちゃんと出張費を出して視察に送り出しているので、大きい会社の中でも本当に選りすぐりの方が来ているんですよね。だから話していてすごく面白いですし、それがそのまま将来のビジネスにつながっていく感覚があります。

実際、そこで出会った方とはその後もやりとりを続けていて。自社イベントのカンファレンスに登壇をお願いしたり、逆に海外の登壇者を呼んでくることもあるんですよ。

坂井・イネ: 御社のイベントにも関わってくるのですね。基調講演クラスの方にも、気軽に連絡が取れるものですか。

山田: 取れるんですよ、意外と(笑)。この前も「AI エンジニアリング ワールドフェア」の基調講演者の方に LinkedIn で連絡してみたら、普通にお返事が返ってきて。「講演がすごく面白かったので、日本でもいつかお話しいただける可能性ってありますか」と聞いてみたら、すぐにとはいかないにしても「機会があればぜひ」みたいな感じで、ちゃんとやりとりが続くんです。そういうのは面白いですよね。

海外で面白い話をしている人に、いかに日本まで来てもらうか。やっぱり生で聞いたほうが、誰がどんな話をしているのかがよくわかるんですよ。もちろん英語が全部わかるわけじゃないので、後から録音を振り返って確認したりもするんですけど、そこも含めて面白いなと思っています。

 

参加メンバーの役割分担

坂井・イネ: 今回は3名での参加とうかがいました。それぞれの役割を教えてください。

山田: はい、私だけじゃなくて、CTO の佐藤と、執行役員の西澤の3人で行く予定です。

佐藤は、新しいトレンドを追いに行く、いわばエンジニアとしての参加ですね。一方の西澤はビジネスサイドの役員で、Team+ 事業の責任者をやっているんですけど、彼には2つ狙いがあって。一つは私と同じくエグゼクティブとの関係づくり、もう一つは、グローバルの Dev 系 SaaS 企業とたくさん出会えるので、そこでプロダクトの目線とか経営の目線を吸収してきてほしいなと。役員自身の成長の機会にもなればいいなと思っています。

それぞれに「これを追ってきてね」「これを期待してるよ」というのを伝えたうえで送り出す感じですね。もちろん、それなりの費用はかかるんですけど(笑)。

 

持ち帰りたいテーマ ―― エンジニアの働き方の変化

坂井・イネ: 今回の re:Invent で「これだけは絶対に持ち帰りたい」ものを一つ挙げるなら?

山田: やっぱり 「エンジニアの働き方がこれからどう変わっていくのか」 ですね。ここが我々のビジネスに一番直結する部分なんです。面白いもので、アメリカで起きたことって、少し時間差で日本にもやってくるんですよ。前回はたまたま AI に特化したイベントだったんですけど、re:Invent ならもっと全体感がつかめるかなと。AI もクラウドもデータインフラも含めて、そこに関わるエンジニアの働き方がどう変わって、どんな新しいニーズが生まれてくるのか。そこをしっかりキャッチアップしたいですね。

この前のイベントですごく面白かった話があって。あるスピーカーが「エンジニアの変化って、フォトグラファーの変化にすごく似てるよね」と言っていたんです。iPhone が登場して、誰でも写真が撮れるようになって、写真の量って何十倍にも増えましたよね。でも、フォトグラファーの仕事はなくなっていない。結婚式とか社内イベントに出向いて撮る、みたいな仕事はちゃんと残っていて、「どういう構図で撮るか」という撮り方の専門性のほうに、仕事がシフトしているんです。

エンジニアの世界も同じで、ソースコードが爆発的に増えることで、きっと似たような状況になるんじゃないかと。これって FD(フィールド/ドメイン)でいう「顧客の近くに行く」という話にも近いと思うんですよね。もちろん日本でも同じような議論はされているんですけど、アメリカのほうがより早く、しかもいろんな人の思考を経たうえでアウトプットが出てくる。それをウォッチして、「向こうではこう言われてたよ」と社内に持ち帰ってくるのが、すごく面白いなと思っています。

坂井・イネ: フォトグラファーの例えは分かりやすいですね。むしろ専門性が強くなるという。

山田: そうなんですよ。写真の量自体は増えても、専門性はむしろ強くなっているんです。昔って、結婚式撮影に特化したカメラマンなんて、そんなにいなかったと思うんですよね。でも今は、きちんと構図を合わせられるとか、七五三でも着物を着せるだけじゃなくて専用のスタジオがあるとか。「誰に撮ってほしいか」「ちゃんと笑わせられるか」みたいな方向に、どんどん移っていっている。

エンジニアも一緒で、課題のより近くに行って、実際にそれを解いて、クライアントやユーザーに価値を届けていく。そういう変化に近いよね、という話で、すごく腑に落ちたというか、わかりやすかったですね。ああいう話を生で聞けるのが、やっぱり面白いなと思います。

坂井・イネ: サイドイベントやネットワーキングも重視されていますか。

山田: はい、重視しています。サイドイベントっていろいろあると思うので、そういう場に顔を出して、他の国の人と「今そっちどんな感じ?」みたいな話をする。それがすごく大事なんですよね。ネットワーキングの一つとして、結構重要だと思っています。

 

英語の壁とどう向き合うか

坂井・イネ: 参加にあたって、言語の壁など不安な部分はありますか。

山田: いやもう、全然ありますよ(笑)。やっぱりネイティブの英語って難しくて、正直、全部聞き取れるかというと、わからないときもあるんです。ただ、12月まではまだ時間があるので、今まさに必死に勉強しているところですね。

これまでも韓国に行ったときは通訳さんに頼れましたし、インドでも私自身が営業するわけじゃなくて、社内のメンバーと話すことが多かったので、そこまで英語力を問われなかったんですよね。私自身、留学の経験もないので……。この前久しぶりにアメリカのイベントに行ったら、もうネイティブの英会話に完全に打ちのめされてしまって(笑)。今はシャドーイングとかオンライン英会話で、一生懸命がんばっています!

社内でも、開発部隊を中心に英語しか話せないメンバーが少しずつ増えてきているんです。あえてそういう採用もしたので、もう覚悟を決めてやろう、と。日本のスタートアップ経営者って、英語力が足りないことって結構あると思うんですけど、そこを、今回行くメンバーも含めてみんなで埋めに行こうとしているところですね。

坂井・イネ: グローバルイベントでの英語力は、主にどの場面で使われますか。

山田: セッションに関しては、最悪、録音して後から日本語化できる時代になったので、だいぶ楽になりました。聞いている最中も、文字起こしツールがある程度テキストにしてくれるので、理解できるようになってきているんですよね。

私、ブースを回るのが好きなんですけど、ここは本当に、わかるときと全然わからないときがあって(笑)。わからない人に当たると、もうさっぱりなんです。ここがもっとわかるといいなあ、と。ただ、そこで出会ったサービスを実際に自社で使うことになったケースもありますし、開発チームに「こんなの見つけたよ」って投げることもあります。あとはやっぱり、ネットワーキングの場での語学力ですね。

坂井・イネ: ネットワーキングでは、言語の壁はどの程度感じますか。

山田: ネットワーキングで話すエンジニアって、移民の方が結構多いんじゃないかと思うんですよ。もともとネイティブじゃない人たちなので、こっちとしては比較的話しやすい感じがしますね。

一番難しいのは、ブースにいるネイティブの営業の方なんです(笑)。ガッと勢いよく来られて、質問に答えられないと「あ、じゃあいいや」って行かれちゃう。「ごめんなさい……」みたいな(笑)。でも、めげずにしつこく聞き返していると、なんとなく意味がわかってくるんですよ。

あと、すでに自分たちが使っているサービスのブースは、すごく行きやすいですね。「これ使ってるんですけど、最新のアップデートってどうなってます?」とか「どういうコンセプトでやってるんですか?」って、話を引き出しやすい。あれは面白いです。とはいえ私もネイティブじゃないので、結構撃沈しながらやってます。何度もチャレンジを重ねている、という感じですね(笑)。

 

re:Inventへの準備と最後のメッセージ

坂井・イネ: re:Inventに参加するにあたって、準備や作戦は考えていますか。

山田: そうですね、一般的な基調講演みたいなところは、キャッチアップのためにちゃんと聞きたいなと。あとはブースがたくさんあると思うので、どこを回ろうかは事前に調べておこうと思っています。ワークショップは、私自身がエンジニアじゃないので、ちょっと向いてないかなと(笑)。ブースについては、事前に調べたり、社内から情報をもらったりして準備していくつもりです。

そして何より一番は、やっぱり 「英語力をもっと身につけること」 ですね。毎日勉強していても、まだまだ全然足りないなと痛感しています。

坂井・イネ: 最後に、re:Invent やグローバルイベントへの参加を悩んでいるスタートアップの方へ、メッセージをお願いします。

山田: そうですね……英語が苦手でも、私自身がわからないなりに飛び込んでいるので、まずはとにかく行ってみる、というのが一つですね。

もう一つは、こういうグローバルイベントって、いろんな国の人が、いろんな場所で夜な夜な集まってイベントをやってるんですよ。この前も、韓国の知人が各国の CTO を集めて会を開いていたりして。日本ではまだそういう動きが少ないので、ぜひ日本発でも、こういう取り組みをみんなで一緒にやれたらいいなと思っています。なので、ぜひ皆さんにも参加していただいて、一緒に盛り上げていけたら嬉しいですね。re:Invent の会場で、ぜひお会いしましょう!

 

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