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デベロッパーのためのクラウド活用方法

Kiro Powers であなたにパワーを授けよう

2026-02-03 | Author : 稲田 大陸 (いなりく)

はじめに

こんにちは ! ソリューションアーキテクトといなりくです!

新年、みなさんいかがお過ごしでしょうか?私は、新居に引っ越し、ついに自分専用の部屋を手に入れることができたので、いまさらですが、デスク環境を整えて、快適な Kiro ライフを過ごしています。

昨年 11 月に開催した Kiroweeeeeeek in Japan では Kiro の Tips や導入するまでの検討ポイントなどが書いてあるので、ぜひ読んでいただければと思います。

みなさんは、AI コーディングエージェントを使っていて、「このフレームワークのベストプラクティスを知らないな...」と感じたことはありませんか ? AI エージェントを構築するとき、Amazon Bedrock AgentCore の Memory や Gateway をどう設定すべきか、Strands SDK でツールをどう定義するか、ドキュメントを探し回った経験がある方も多いのではないでしょうか。

2025 年 12 月に発表された Kiro Powers は、まさにこの課題を解決します。新しいプログラミング言語やフレームワークを使うときに、経験豊富な先輩エンジニアが隣にいて「このケースではこうするのがベストプラクティスだよ」と教えてくれたら、どれだけ効率的でしょうか。Kiro Powers は、その「専門家の知識」を AI エージェントに瞬時に付与する機能です。

本記事では、Kiro Powers の仕組みと、Amazon Bedrock AgentCore Power を例にした実践的な使い方を紹介します !

 

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この記事で得られること

この記事を読むことで、次のことができるようになります。

  1. Kiro Powers の仕組みと、従来の MCP サーバーとの違いを理解する
  2. Powers のインストール方法と使い方を習得する
  3. AgentCore Power を使った AI エージェント開発の流れを体験する
  4. 独自の Power を作成して共有する方法を学ぶ

 

従来の課題:コンテキスト過負荷

AI 開発ツールは急速に進化していますが、いくつかの根本的な問題を抱えています。

MCP サーバーのコンテキスト問題

従来の MCP(Model Context Protocol)サーバーは、すべてのツール定義を事前にロードする必要がありました。

  • Figma MCP サーバー :
    8 つのツールで約 12K トークンを消費
  • Postman サーバー :
    122 のツールを追加
  • 5 つのサーバーに接続すると、コードを書く前にコンテキストウィンドウの 40% 以上を消費

より多くのツールはより良い結果を意味するはずですが、構造化されていないコンテキストはエージェントを圧倒し、応答の遅延と品質の低下につながります。これは「コンテキストの劣化」と呼ばれる現象です。まだ AI エージェントとの会話をはじめてもいないのに、かなりのトークンが消費されており、すぐ次の会話に切り替わってイライラする経験はみなさんもあるのではないでしょうか。(自分はしょっちゅうありました)

機能の断片化

現在の AI 開発ツールは、それぞれ独立したシステムとして存在しています。

  • ツールアクセスのための MCP サーバー (各クライアントで設定)
  • 振る舞いのためのルールとカスタム命令 (.cursorrules のようなクライアントごとの設定)

 

Kiro Powers の解決策

Kiro Powers は、これらの課題に対して統一されたソリューションを提供します。

動的コンテキスト読み込み

Powers はツールをオンデマンドで読み込みます。5 つの Powers をインストールしても、ベースラインのコンテキスト使用量はほぼゼロです。

  • 「agent」と言及すると、AgentCore Power がアクティブ化
  • 「strands」と言及すると、Strands Power がアクティブ化され、AgentCore は非アクティブ化
  • エージェントは現在のタスクに関連するツールのみを読み込む

開発者が望むのは「AgentCore Power をインストールすれば、エージェントは Memory や Gateway の使い方を知っている」ことです。Powers がその体験を実現します。


 

Power の構成要素

各 Power は以下の要素を含むバンドルです。

必須要素

  • POWER.md :
    メタデータとドキュメント

オプション要素

  • mcp.json :
    MCP サーバー設定 (MCP ツールを使用する場合)
  • steering/ :
    ワークフロー固有のガイダンスファイル

POWER.md の構造

POWER.md ファイルは 2 つの部分で構成されます:フロントマターとエージェントへの指示です。

xml
name: "aws-agentcore"
displayName: "Build an agent with Amazon Bedrock AgentCore"
description: "Build, test, and deploy AI agents using AWS Bedrock AgentCore with local development workflow."
keywords: ["agentcore", "bedrock", "aws", "agents", "ai", "development", "agent"]
author: "AWS"

「AgentCore でエージェントを作りたい」と言うと、Kiro はキーワードの「agentcore」「agent」を検出し、AgentCore Power をアクティブ化します。

ステアリング指示

シンプルな Power の場合、すべてのガイダンスを POWER.md に直接含めます。AgentCore Power のように複雑なツールの場合は、ワークフローごとにステアリングファイルを分割します。

xml
## Integration Guides
**AgentCore Gateway:**
- For creating and managing Gateway resources, use the `manage_agentcore_gateway` MCP tool- For fully integrating Gateway with a Strands agent, use `readPowerSteering("agentcore", "agentcore-gateway-integration.md")`
**AgentCore Memory:**
- For creating and managing Memory resources, use the `manage_agentcore_memory` MCP tool- For fully integrating Memory with a Strands agent, use `readPowerSteering("agentcore", "agentcore-memory-integration.md")`

Memory の統合に取り組んでいるときは agentcore-memory-integration.md を、Gateway の実装に切り替えると agentcore-gateway-integration.md を読み込みます。すべてのパターンを事前に読み込んでコンテキストを圧倒することを防ぎます。

Powers のインストール方法

Powers は簡単にインストールできます。

kiro.dev からのインストール

  1. kiro.dev/powers で Power を閲覧
  2. Power を選択して Install をクリック
  3. Kiro IDE が開き、ワンクリックでインストール完了
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IDE からのインストール

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1. Powers パネルを開く → Kiro アイコン  (稲妻付き)  👻⚡ をクリック

※ 表示されない場合は、Kiro を最新版にアップデートしてください

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2. Power を選択して詳細を表示

3. Install → Confirm を選択

GitHub からのインストール

  1. Powers パネル → Add Custom Power → Add power from GitHub
  2. リポジトリ URL を入力
  3. Install をクリック

MCP 統合を含む Power をインストールすると、Kiro は MCP サーバーを ~/.kiro/settings/mcp.json に自動的に登録します。

AgentCore Power を使ってみよう

ここからは、Amazon Bedrock AgentCore Power を例に、実際の使い方を見ていきましょう。

AgentCore Power とは

AgentCore Power は、「agent」や「agentcore」というキーワードを含む会話を開始すると自動的にアクティベートされ、次のような MCP ツールが利用可能になります。

  • search_agentcore_docs : AgentCore ドキュメントの検索
  • fetch_agentcore_doc : 特定のドキュメントページの取得
  • manage_agentcore_runtime : エージェントランタイム設定の管理
  • manage_agentcore_memory : エージェントメモリ操作の処理
  • manage_agentcore_gateway : エージェントゲートウェイ設定の構成

実際に使ってみる

AgentCore Power をインストールした後、Kiro に以下のように話しかけてみましょう。

xml
エージェントに会話の記憶を持たせたいです。AgentCore Memory について教えてください。

適切なガイダンスを提供

Kiro は「agent」「agentcore」というキーワードを検出し、AgentCore Power を自動的にアクティベートします。そして、search_agentcore_docs ツールを使ってドキュメントを検索し、適切なガイダンスを提供します。

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Memory について質問する

xml
新しい AI エージェントを作成したいです。AgentCore を使って始めるにはどうすればいいですか ?

キーワードを検出

「memory」というキーワードを検出すると、Kiro は manage_agentcore_memory MCP ツールを使用して、メモリリソースの作成方法と CLI コマンドの完全なドキュメントを提供します。

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Gateway について質問する

xml
エージェントから外部 API を呼び出したいです。Gateway の設定方法を教えてください。

「gateway」というキーワードを検出すると、Kiro は manage_agentcore_gateway MCP ツールを使用して、ゲートウェイの作成と設定の完全なドキュメントを提供します。

独自の Power を作成する

自分のチームやプロジェクト向けに独自の Power を作成することもできます。

最小構成

bash
my-custom-power/
├── POWER.md          # 必須
└── mcp.json          # MCP ツールを使用する場合

POWER.md の例

xml
---
name: "my-team-standards"
displayName: "My Team Coding Standards"
description: "チームのコーディング規約とベストプラクティス"
keywords: ["coding", "standards", "review", "best-practices"]
---
# My Team Coding Standards
## コーディング規約
- 変数名はキャメルケースを使用
- 関数は単一責任の原則に従う
- エラーハンドリングは必ず実装する
## レビューチェックリスト
- [ ] テストが書かれているか
- [ ] ドキュメントが更新されているか
- [ ] セキュリティ上の問題がないか

ローカルでテスト

  1. Power ディレクトリを作成
  2. Kiro を開く → Powers パネル → Add Custom Power → Add power from Local Path
  3. Power ディレクトリを選択
  4. 会話で Power のキーワードを使用してアクティベーションをテスト

共有する

bash
git init
git add POWER.md mcp.json steering/
git commit -m "Initial release"
git push origin main

他のユーザーは、リポジトリ URL を使用して Add power from GitHub からインストールできます。

利用可能なパートナー Power

Kiro Powers は、多くのパートナーと提携しています。

カテゴリー
Power
説明
開発・設計

Figma

デザインからコードへの自動変換

開発・設計

Postman

API 開発とテスト

バックエンド

Stripe

決済処理と API 統合

バックエンド

Supabase

PostgreSQL、認証、ストレージ

バックエンド

Neon

サーバーレス、PostgreSQL

インフラ

Netlify

モダンウェブアプリのデプロイ

インフラ

Terraform

Infrastructure as Code

可観測性

Datadog

ログ、メトリクス、トレース

可観測性

Dynatrace

DQL を使用した可観測性

AI

Strands

AI エージェント構築

AI

AgentCore

エージェントの構築、デプロイ

キュレートされた Powers は github.com/kirodotdev/powers で確認できます。

よくある質問

A: いいえ、Kiro Powers の使用に追加料金はかかりません。すべての Kiro ユーザーが Powers にアクセスして使用できます。

A: Kiro Powers は現在 IDE で利用可能です(Kiro IDE 0.7 以降)。今後、CLI にも導入する予定です。

A: Kiro Powers はサードパーティツールであり、個別の利用規約の対象となる場合があります。信頼できるソースからのサーバーのみをインストールし、ドキュメントとライセンスを確認してください。

まとめ

Kiro Powers は、AI コーディングエージェントの「コンテキスト過負荷」という根本的な問題を解決します。

  • 動的な専門知識ロード :
    必要な時に必要なツールのみをロード
  • ワンクリックインストール :
    複雑な設定不要
  • オープンエコシステム :
    パートナー、コミュニティ、プライベート Power の統一プラットフォーム
     

開発チームに新しいメンバーが加わったとき、先輩エンジニアがオンボーディングを行い、チームのベストプラクティスやツールの使い方を教えます。Kiro Powers は、その「チームの知恵」をパッケージ化し、誰でも即座にアクセスできるようにします。

ぜひ、Kiro Powers を試してみてください ! 実際に使ってみた感想を X などでシェアいただけると嬉しいです !

筆者プロフィール

稲田 大陸 (いなりく / @inada_riku)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 
ソリューションアーキテクト

AWS Japan で働く筋トレが趣味のソリューションアーキテクト。製造業のお客様を支援させていただいています。最近は AI 駆動開発ライフサイクル (AI-DLC) の日本のお客様への布教活動もしつつ、Kiro のブログなどを執筆しています。

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