Daryl Hammett
Amazon Web Services (AWS)、Artificial Intelligence/Machine Learning & Operations、Global Demand、ゼネラルマネージャー
テクノロジー業界の黒人幹部として、私はインクルージョンの力と必要性を個人的に理解しています。約 3 年前に AWS に入社する前に、私はあるテクノロジースタートアップを共同所有し、その会社を別の大規模なテクノロジー企業に売却しました。その会社に在職している間、私が会議での唯一の黒人幹部であることがほとんどでした。「唯一の」存在であると、特にその場で共通している意見に異議を唱えるときは、安心して発言することが難しくなり、私はしばしば「みんなと同調」していることに気づきました。 ある会議の後、上司は私を脇に引っ張って、私を採用したのは現状に同意するためではなく、自分の正直な見方を会社に伝えるためだと言ってくれました。それ以来、私は本当の自分を出してもよいのだと感じました。そして、会議で「唯一の」存在であることで苦労している他の黒人幹部を助けたいと思いました。これがきっかけで、私は AWS に入社してから、Empowering Network of Amazon Black Executives (ENABLE) を開始しました。
ENABLEは、AWS と Amazon の黒人幹部をつなぎ、お互いから学び、力を与えることを目的としています。私たちは、黒人の従業員体験を向上させることで黒人の人材の定着、採用、昇進を促進することを目標に、年間を通じて数回会合を開いています。
調査によると、成熟したダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンプログラムを実施している企業は、市場で競合他社に打ち勝ち、より優れたイノベーションを実現し、市場シェアを拡大し、会計年度の収益目標を 10% 以上向上させる傾向があります。これらのプログラムはまた、過小評価されている従業員のエンゲージメントを高め、モチベーションやインスピレーション、敬意や帰属感を高め、公平な待遇への信頼を高めることにもつながります。実際、同じ調査によると、DEI プログラムの成熟度が優れている組織で過小評価されている人は、DEI プログラムが始まったばかりの組織の人よりも、組織にはインクルージョンの感覚があると回答する確率が 2 倍高いことが示されています。
調査によると、成熟したダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンのプログラムを実施している企業は、市場で競合他社に打ち勝ち、より優れたイノベーションを実現し、市場シェアを拡大し、会計年度の収益目標を 10% 以上向上させる傾向があります。
自分とは異なる課題に直面している従業員から学ぶ
ENABLE の設立のきっかけは、私が大学にいたときでした。私は歴史的に黒人の多いカレッジまたは大学 (HBCU) であるアルコーン州立大学に通っていました。私は非常にインクルーシブで多様性のあるコミュニティで育ちましたが、HBCU に行くことは私にとって成長の機会でした。なぜなら、私と似ていても、私が大学に入る前に持っていたような機会がなかった人々の苦しみを知る必要があると思ったからです。高校を卒業する前に、私は男子合唱団で世界中を旅していました。私の母と父が毎年小切手を切ってくれている間、大学の学費を払うのに苦労する人々もいました。私たちは他の人が経験したような困難を経験していない場合、悪いところに目をつぶっていることがあると思います。しかし、共感によって、つまり他者のニーズを理解できるようになることで、私は周りの人々のニーズを特定することができました。大学では、人を育てる手助けをする立場になったときは、そうする必要があることを教わりました。研究によると、共感的なリーダーシップは心理的な安全を促進し、次にそれは学習や新しいアイデアを生み出す環境を促進し、より良いイノベーションにつながることがわかっています。共感とは、マネージャーにハイブリッド勤務スケジュールの採用を実施する、親が産休や育児休暇などの重要な福利厚生を受けられるようにする、過小評価されている従業員のためのアフィニティーグループを援助し、職場をより良くする方法について相談するようなことです。つまり、これらのサブグループに対応することで、すべての従業員に役立つ改善につながる可能性があるからです。
従業員が自分らしくいられるようにする
ENABLE は、黒人の従業員体験を向上させながら、お客様により良いサービスを提供するために、黒人の人材の維持、採用、昇進を促進することを目的としています。イノベーションの拡大を望む企業は、ダイバーシティの拡大だけを行うことはできません。つまり、インクルージョンを優先する必要があります。DEI はダンスのゲストのようだという格言があります。「ダイバーシティとはパーティーに招待されることで、インクルージョンとはダンスをするよう求められることです」。 ダイバーシティは、企業が有色人種、退役軍人、障がいのある人などの雇用を拡大し、さらに昇進させたりして、過小評価されているグループの人の場所を確保しそこに招待するときに生まれます。インクルージョンは、そういった人が自分の文化にある固有の考えや経験を共有することで、参加することを歓迎されていると感じ、さらに進んでいきます。
しかし、パーティーのメタファーで言えば、意味のあるインクルージョンを実現するために、組織は、従業員が言われなくても自分からフロアに出てダンスを始めれるようにならなければなりません。これは、従業員が促されることなく、自発的に自分のアイデア、視点、イノベーションを発言できる環境を作ることを意味します。
このように従業員に力を与えることは、Amazon のリーダーシッププリンシパルの 1 つである「信念を持つ。賛成できない場合には異議を唱えるが、決定されたらコミットして取り組む」という意味になります。Amazon の社員は、意見に賛成できない場合、気まずさを感じ、労力を要することであっても、敬意を持って異議を唱えることが期待されています。マネージャーと幹部は、異なる意見を聞くだけでなく、それについて検討するチーム文化を築くことが重要です。Merriam-Webster は、イノベーションを「変化を起こし、新しい方法で何かをする」ことと定義しています。 イノベーションにおいて、すでに確立されたものを変えなければならない場合、いつもの人以外の視点が必要です。
双方向のコミュニケーションは非常に役立ちます
インクルーシブなリーダーのもう 1 つの特徴は、特に、助言を求めている人に対して、そばにいて関わることです。インクルーシブリーダーは、常に「私はそばにいるか?」と自問する必要があります。つまり、自分と関わっている人に焦点を当てていますか? 人はあなたのところに来やすいと感じていますか? Amazon のリーダーシッププリンシパルの 1 つである「信頼を得る」には、「リーダーは注意深く耳を傾け、率直に発言し、他の人を尊重して扱う」と書かれています。 エグゼクティブリーダーは、定期的に従業員とコミュニケーションを取り、仕事や組織に対する正直な気持ちを共有する仕組みを提供し、従業員の懸念に対処することで、帰属意識を高めることができます。ENABLE Leadership Retreats を通じて、私たちは皆、さまざまな事業部門の従業員の成功と苦境を分かち合い、ジャッジされたり報復におそれたりすることなく、多くのサポートや信頼がある中で知恵とアドバイスを提供することができます。
従業員に共感を示し、独自の視点を仕事に取り入れるように促し、定期的に彼らに関わることで、組織におけるインクルージョンの文化を高めることができます。これにより、従業員の満足度が高まり、定着率が高まるだけでなく、より良いイノベーションへの意欲が高まり、市場投入までの時間の短縮、競争力の強化、組織の市場シェアの拡大につながります。そして最も重要なことは、それがただグッドビジネスであるということです。
インクルーシブリーダーは、常に「私はそばにいるか?」と自問する必要があります。つまり、あなたは自分と関わっている人に焦点を当てていますか?
重要なポイント
従業員のダイバーシティから積極的に学んでください。自分とは異なる人生経験を持つ人からの課題に共感を示すことで、従業員の満足度を高め、過小評価されているグループの従業員の離職率を減らすことができます。
過小評価されている従業員が、自分の意見を広められるようにします。 過小評価されている従業員を招待するだけでなく、彼らのアイデアや視点を歓迎する環境を作ることは、従業員を最大限に活用し、組織のイノベーションを実現するために不可欠です。また、定着率も高まります。
従業員との関わりを深めます。 経営幹部と従業員の間で頻繁に双方向のコミュニケーションをとることで、従業員は帰属意識を持ち、自由に自分を表現できるようになったと感じることができます。これは従業員の満足度にとって重要です。
AWS では、インクルーシブに指導することが正しいだけではなく、結果をもたらすということも理解しています。グローバル組織として、私たちは従業員およびそれ以外でもテクノロジーにおけるインクルージョン、ダイバーシティ、エクイティを推進する責任があります。この Inclusive Mental Models キャンペーンで、テクノロジーにおけるインクルージョンの文化水準を引き上げようとしている AWS のプログラム創設者の話をお聞きください。
著者について
Daryl Hammett、Amazon Web Services (AWS)、Artificial Intelligence/Machine Learning & Operations、Global Demand、ゼネラルマネージャー
Daryl Hammett は、Amazon Web Services (AWS)、Artificial Intelligence/Machine Learning & Operations、Global Demand のゼネラルマネージャーで、Certified Business and Executive Coach (CEC) として他のリーダーをサポートしています。Daryl は、AWS と Amazon の黒人幹部のために、Empowering Network of Amazon Black Executives (ENABLE) を設立しました。ENABLE メンバーは四半期ごとの会議やリージョンごとの会合でつながり、互いに指導して学んだり、経験を共有して絆を深めたりすることで、インクルージョンと帰属意識を強めることができます。