Amazon Prime Air のドローンは AWS と Siemens で空を行く

Siemens は、AWS アドバンストテクノロジーパートナーです

エグゼクティブサマリー

Amazon Prime Air は、Amazon Web Services (AWS) のハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) を利用する Siemens の Simcenter STAR-CCM+ でシミュレーションを実行することで、実用的なドローン設計を開発しました。AWS のスケーラブルな HPC でほぼ無制限のインフラストラクチャと高速なネットワークにオンデマンドでアクセスできるため、プロジェクトはスケジュールを守ることができました。AWS 上の Simcenter STAR-CCM+ は Prime Air のおかげでエンジニアリングワークフローを合理化し、その結果効率性がさらに上がりました。

課題

Amazon Prime Air は、無人配送用のドローンを設計および制作する必要がありました。空気力学のシミュレーションには、2 つの主要コンポーネントが必要でした。まず必要なのは、シミュレーションを個別および一括で実行できる数値流体力学 (CFD) ソリューションでした。次に、ワークストリームをサポートするには、大容量でオンデマンドのインスタンス容量があり、高速で広帯域のネットワークで実行される HPC インフラストラクチャも必要でした。

ソリューション

Prime Air は、Simcenter ポートフォリオの一部である Siemens の Simcenter STAR-CCM+ を、空気力学設計用のマルチフィジックス CFD ソリューションとして選択しました。Simcenter STAR-CCM+ は並列効率向けに構築されているため、多数のコア上で実行することで、Prime Air は CFD シミュレーションをスピードアップできました。さらに、Simcenter STAR-CCM+ によって、Prime Air はエンジニアリングシミュレーションワークフローを合理化できました。 AWS で使用できる HPC ソリューションの幅広さのおかげで、厳しい納期での納品に必要な柔軟性が得られました。同社は、AWS がサポートするオープンソースクラスター管理ツールである AWS ParallelCluster を、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) コンピューティング最適化インスタンスのデプロイ管理に使用しました。

利点

AWS 上で Simcenter STAR-CCM+ を使用することで、Prime Air のエンジニアは、航空機の飛行エンベロープ全体で空気力学の特徴をつかむことができました。一連のシミュレーションはさまざまな運用条件で数千回にも及び、さらに 3,000 万時間超に及ぶ AWS のコンピューティング時間が積み重ねられました。更なる分析で飛行条件の必須事項が特定され、その後リモート可視化や後処理を通じてリアルタイムでさらに検討が行われました。大規模なデータセットの転送や、高価な専用ワークステーションの用意は不要でした。

AWS 上の HPC サービスでは、多数のコアにスケールすることも、分析のために処理能力にオンデマンドでアクセスすることも容易でした。そのため、キューが長時間滞ることもありませんでした。また、シミュレーションの実行後はインスタンスをスケールダウンすることもできました。この結果 Prime Air は厳しいスケジュールでも確信をもって実用性のあるドローン設計に移ることができました。

Prime Air は AWS 上で CFD を用いて課題に立ち向かう

Prime Air の目標は、ドローンを使用して、5 ポンド (約 2.2 キロ) 以下の商品を 30 分以下で顧客に届けることでした。 Prime Air チームは CFD を使用して独自のドローンを設計および構築しました。CFD とは、流体力学の一分野で、数値分析とデータを使用し、さまざまな条件下で空気のような流体が航空機の周囲をどのように動くかの問題を解決するものです。

Prime Air は CFD の完全なマルチフィジックスソリューションとして、Siemens の Simcenter STAR-CCM+ を選択しました。Simcenter STAR-CCM+ は並列効率向けに構築されているため、多数のコア上で実行することで、Prime Air はシミュレーションをスピードアップできました。さらに、Simcenter STAR-CCM+ Application Programming Interfaces (API) のおかげで、Prime Air はエンジニアリングワークフローを自動化および合理化できました。

CFD を使用した航空機の構築には、空気力学的特性をデジタルで予測することも含まれています。このような CFD シミュレーションを数千回行うには、通常は空気力学データベース (ADB) を生成する必要があります。あらゆる飛行条件で特性を確認し、航空機の制御システムを開発するためです。このようなシミュレーションのスケールと速度には、HPC リソースが不可欠です。しかし、多くのオンプレミスデータセンターでは HPC リソースにキャパシティと可用性の制限があり、その結果長時間のキューが発生します。エンジニアたちは自分の順番を待たなければならず、割り当てられたリソースしか使用できないため、シミュレーションが起動した後にテスト計画を修正する余裕があまりありません。

「当社の焦点は、HPC インフラストラクチャの設計と開発ではなく、航空機の設計と開発にあるべきです。ワークフローに AWS 上の Simcenter STAR-CCM+ を選択することで、あるべき領域に焦点を置くことができました」

- Amazon Prime Air の上級応用サイエンティスト、Vedran Coralic 氏

エンジニアは AWS クラウドサービスで HPC リソースにオンデマンドでアクセス

Prime Air は、必要に応じて処理能力をスケールアップおよびスケールダウンできるように、AWS に Simcenter STAR-CCM+ をデプロイすることにしました。AWS を使用すれば、エンジニアはキューで待機したり余分なキャパシティに料金を支払ったりすることなく、シミュレーションを実行できます。AWS では、アプリケーションを最適にサポートしエンジニアが必要とする時間内に結果が出るようにお客様が柔軟に選択できる、幅広い HPC サービスをご用意しています。Prime Air は、すばやく開始して得意分野に注力できるよう、そのまま使えてほぼ制限なしでスケール可能な、これら AWS 上の HPC サービスを選択しました。

クラウド上で実行することで、エンジニアは必要なときに必要な数だけコアを使用して、望みどおりの速度で作業を行うことができます。余分なコストを発生させたり、同時にアクセスする必要がある他の人を待たせることはありません。

「AWS では、必要なときに、必要なだけコアを使用して、その日のうちに結果を得ることができます。「キャパシティがボトルネックになることはありません」と、Prime Air の上級応用サイエンティスト、Vedran Coralic は言います。「また、シミュレーションで取得すべきものすべてを、実行前に考える必要はありません。シミュレーションが終わってからいつでも AWS から取得できますし、フローをリアルタイムでクエリできます。Simcenter STAR-CCM+ を AWS 上で実行することで、チームはプログラムで必要とされる速度で進捗することができます」。

改善された HPC 管理とパフォーマンスでイノベーションを強化

Prime Air は、CFD を実行する環境の設計に AWS ParallelCluster を使用しました。これは、オープンソースのクラスター管理ツールです。AWS ParallelCluster は、構成ファイルを使用して HPC 環境にすべてのリソース (仮想プライベートクラウドや共有ファイルシステムなど) をプロビジョニングすることで、AWS 上での Siemens の Simcenter STAR-CCM+ 環境の起動デプロイを簡素化します。Slurm などのよく使われるさまざまな HPC ジョブスケジューラがサポートされており、ジョブを管理し、ワークロードに応じてクラスターをスケールアップおよびスケールダウンします。

CFD シミュレーションに必要な速度を得るために、Prime Air は Amazon EC2 コンピューティング最適化インスタンスでクラスターをプロビジョニングしました。HPC ワークロードを最適にサポートするために、当時の市場で最新のものを使用したのです。AWS を通じて利用できるボリュームキャパシティだけを考えた場合、Coralic の仮説では、すべての ADB シミュレーションを AWS 上で 1 回で実行できた可能性もあります。「Simcenter STAR-CCM+ を AWS 上で実行することで、新しいアイデアをすばやく評価できるようになり、結果の検討により多くの時間をかけ、待つ時間は減りました」と Coralic は言います。

最近 Amazon EC2 C5n インスタンスがリリースされたため、Prime Air チームは AWS ParallelCluster のデプロイメントを C5n 18xlarge Intel インスタンスで、Elastic Fabric Adapter (EFA) を使用してテストしました。EFA は、AWS がお客様に合わせて構築したネットワークインターフェイスです。Amazon EC2 インスタンスへのオペレーションシステム (OS) バイパス機能を提供するもので、お客様は低レイテンシー、高スループットな大規模ノード間通信を使用してアプリケーションを実行できます。

「初期ベンチマークに基づくと、次の ADB で EFA を備えた C5n インスタンスに移行することで、2 倍早くシミュレーションが完了することになります」と Coralic は説明しています。「計算効率を落としたり、実質的にコンピューティングコストが増加したりすることなく、2 倍の数のコアにスケールアウトできるためです」。

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図 1: このプロットによると、Prime Air は今後の CFD シミュレーションを 50,000 セル/コア以上にスケールすることが可能で、計算効率のロスはほんのわずかです。緑の線で示されているとおり、これは EFA を使用することで可能になり、EFA はより新しい世代のコンピューティングインスタンスである C5n でサポートされています。EFA を使用しない場合、青およびオレンジの線で示されているように、Prime Air は 100,000 セル/コアにスケールダウンすることのみ可能でした。

Prime Air

Prime Air について

Prime Air は Amazon の一部門であり、ドローンと呼ばれる無人航空機を使用して、商品を 30 分以内にお客様に届ける配送システムを開発しています。Prime Air は迅速な配達を通じてお客様へのサービスを強化し、またプロセス全体の安全性と効率性も向上させています。

Siemens について

Siemens Digital Industries Software は、未来志向のエンジニアリング、製造、エレクトロニクス設計を実現できるよう企業の変革を促進しています。同社のソリューションはあらゆる規模の企業のデジタルツインの作成と活用を支援しています。デジタルツインは、組織に新しいインサイト、機会、オートメーションレベルを提供し、イノベーションを促進します。Siemens Digital Industries Software の製品とサービスについて詳しくは、www.sw.siemens.com/plm をご覧ください。

2020 年 11 月発行