機械学習を活用した全自動マーケティングプラットフォーム UNICORN のプラットフォームとして、AWS は欠かせない存在です。

顧客の成長が自らの成長につながるという AWS のビジネス戦略は、当社の戦略にも影響を与えています。

 

山田 翔 氏 Bulbit株式会社 代表取締役

Bulbit は、アプリデベロッパー向けの最先端の全自動マーケティングプラットフォーム『UNICORN』を展開しています。機械学習技術を用い、最適なアプリ広告を自動的に配信するサービスを小規模組織ですばやく作り、効率よく運用するため、AWS を採用。日本国内すべてのモバイルトラフィックを対象に、月間 4,000 億インプレッション、1 日 7TB ものデータをリアルタイムに処理しています。


   

Bulbit は、インターネット広告ビジネスで知られるアドウェイズの子会社として 2013 年に設立されました。スマートデバイスの普及に伴いインターネットの利用シーンやサービスが大きく変化してきたことを受け、まったく新しい発想やビジネスを生み出すスタートアップ組織として活動。アドウェイズ内外から、技術力を活かした事業開発に関心のあるメンバーが揃えられ、先進的なサービスを生み出しています。Bulbit が現在最も注力しているサービスは、アプリ開発事業者向けに提供されている全自動マーケティングプラットフォーム『UNICORN』です。

モバイル広告の分野で一般的なのは、広告主が広告枠を購入する場面において、リアルタイムに 1 インプレッション単位で入札を行う RTB(Real Time Bidding)です。RTB では、ユーザーがサイトやアプリにアクセスすると、広告枠を管理する SSP(Supply Side Platform)がインプレッション情報を受け取り、広告配信を管理する DSP(Demand Side Platform)に入札リクエストを送り、DSP は最適な広告と単価を決めて入札します。最も単価の高い広告が、ユーザーが閲覧している広告面に表示されるという仕組みです。広告主は DSP を用いて、どの広告枠にどのような広告を、どのようなユーザーの場合にいくらの単価で配信するかを設定します。広告出稿の効果を最大化するには、これらの情報を最適化する必要がありますが、従来はある程度の統計のほかは、人の経験や勘を駆使して行われてきました。

「デジタル広告枠は、日本国内のモバイルトラフィック上でデータ上は 1 億以上存在しています。利益を見越して出稿を人手でチューニングすることは、もはや不可能です。最適化ツールなどもありますが、人海戦術でまかなわれる部分も多く、小規模な広告主にとっては負担が大きい。そこで UNICORN は、機械学習技術を応用した最適化により、効果の高い広告運用を実現できるようにするプラットフォームとして開発しました。」と、Bulbit 株式会社 代表取締役の山田翔氏は語ります。

UNICORN では、国内すべてのトラフィックを対象に秒間 20 万~30 万/月間 3,000 億~4,000 億ものインプレッションを処理して最適な価格を予測し、最も効果の高い広告を自動的に選択します。「自動化、AI 活用と謳うサービスはあっても、機械学習を最大限に活用して DSP の機能をすべて提供しているモデルはほかには存在しないと自負しています。」(山田氏)

 

Bulbit は UNICORN を提供するサービスプラットフォームとして、市場シェアや機能の充実などの理由から AWS を採用しました。以前にも広告効果測定ツールの開発に AWS を活用した経験があったためです。「Bulbit はわずか 3 名の小規模な組織としてスタートし、インフラの整備に人員を割くことは困難で、当時すでに経験のあった AWS を採用することは当然の判断でした。Amazon DynamoDB などの優良なサービスにも満足していたため、UNICORN のプラットフォームとして最有力候補と考えました。」と、同社で Top Platform Architect を務める璩暁毅氏は振り返ります。アプリケーションの開発に集中して早く成果を生み出すためにも、すでにノウハウを蓄積していた AWS を使い続けることが最良という判断でした。

AWS のようなクラウドサービスは、インフラの運用をすべて任せられ、少人数でも自社サービス開発に集中できるというのが最大の魅力です。また柔軟性・拡張性が高く、例えばトラフィックが急に増大しても、リソースを増加することでパフォーマンスを維持できます。
「クラウドサービスで DSP を稼働させた実績はなく、高コストになってしまうのではという懸念はありました。しかし AWS ならサービスの利用方法を調整することでコストを抑えられるため、予算の範囲内で運用できています。」と、Top Platform Architect の胡海麟氏は語ります。

スモールスタートを目的としてパブリッククラウドを活用するケースは多いものです。しかし Bulbit は、はじめに集中的に投資をしてサービスを開発し、運用フェーズで最適化を図ってコストを下げるという手法を採りました。「オンプレミスではこのような柔軟な戦略は採れませんから、クラウドならではの活用方法ともいえます。」(山田氏)

25 万 QPS/秒を処理可能という UNICORN ですが、AWS アーキテクチャ自体はオーソドックスな構成となっています。リアルタイム性の求められる RTB の中核は、メモリに展開して高速化。国内のすべてのリクエストを処理するため、ペタバイト級のデータを高速に処理できるストレージとしてAmazon S3 が配置されています。分析の領域では、1 日で 7 TB にもなるデータを遅延なく効率よく抽出するため、Amazon Athena、AWS Glue、Amazon Machine Learning を活用しています。多種多様なデータを扱うために、データベースもバラエティに富んでいます。

「Amazon EC2 は、用途に合わせて最適なインスタンスタイプを選んでいます。この柔軟性は魅力的で、新しいインスタンスタイプが登場することを心待ちにするほどです。ほかにも新しいサービスが出たら、すぐに試しています。」(璩氏)

いまや UNICORN にとって、AWS はなくてはならないサービスとなっています。「ソフトウェアの進化に合わせて、ハードウェア(クラウド)側も進化しますし、1 人でも管理することができます。インターフェースの変更などに慣れは必要ですが、恩恵の大きさに比べれば問題ではありません。」(胡氏)

セキュリティについても満足度が高く、監査担当者に AWS のデータベースの安全性が広く認知されていることも円滑な運用に貢献しています。

山田氏は、AWS の活用によって大きな問題なく、UNICORN の運用を継続できていると評価します。
「私たちは、AWS をビジネスパートナーとして捉えています。コストを最適化できたのも、そのためのノウハウを惜しみなく提供してくれたためです。顧客が成長することが AWS の成長につながるという考え方は、Bulbit の戦略にも大きく影響しています。UNICORN の効果を明確にして、顧客満足度を高めるように務めていきます。」

今後同社では UNICORN の精度をいっそう高めると共に、広告枠や広告主のカテゴリを拡大していくよう進化させたいと考えています。例えば、既存のゲームアプリ以外のアプリを対象にして、いわゆるナショナルクライアントも取り込み、いずれはグローバル展開も図っていく方針です。

Bulbit の先駆的なチャレンジがアドウェイズグループをリードする形で、クラウドの活用も広がっていく見込みです。「UNICORN と AWS をベースとして、共に新しい世界を創り上げていきたいですね」(山田氏)

山田 翔 氏

璩 暁毅 氏

胡 海麟 氏


AWS が提供する機械学習および AI サービスに関する詳細は、AWS の Machine Learning ページを御覧ください。