医療テックスタートアップの事業成長に向けて AWS のマネージドサービスを活用し
セキュリティとアジリティの高い開発を推進

2022

オンライン診療サービス『curon(クロン)』の開発、運営を手がける株式会社 MICIN(マイシン)は、2015 年の創業時からアマゾン ウェブ サービス(AWS)を活用。医療テックスタートアップとして各種情報の保護や安全な管理が求められる中、AWS Well-Architected Framework Review による継続的なセキュリティ改善や、AWS Control Tower を用いたアカウント一元管理による統制強化などに取り組んでいます。さらに、マネージドサービスの Amazon Sagemaker や AWS Amplify を用いてアジリティの高い開発を進め、短サイクルでサービスを改善しながら成長を続けています。

AWS 導入事例  | 株式会社 MICIN
kr_quotemark

プロダクトを短期間で世の中に送り出していくうえで、アジャイルで開発できる AWS は欠かせません。患者さんの疾患等、機密性の高い情報を扱うことにおいても、信頼性の高い AWS は頼りになる存在です

原 聖吾 氏
株式会社 MICIN
代表取締役 CEO

サービスの高速リリースに向けてスケーラビリティが高い AWS を採用

「すべての人が、納得して生きて、最期を迎えられる世界を。」をビジョンに、テクノロジーによる医療変革を目指す MICIN。オンライン医療事業を軸に、製薬企業の医薬品開発支援、デジタル治療に向けたアプリケーション開発などデータを駆使したビジネスを手がけています。

同社が 2016 年にリリースしたオンライン診療サービス『curon』は、コロナ禍の規制緩和を受けて急速に導入が進み、2021 年 2 月時点で採用クリニックの数は国内トップクラスの 5,000 件を突破。2021 年 9 月には、東京都医師会が改良型の『curon』を活用したコロナ陽性自宅療養者のオンライン診療を開始し、その後も複数の医師会・自治体の採用が続いています。「多くの医療機関から『curon』が選ばれる理由は、豊富な導入実績と、誰でも手軽に利用できる完成度の高いプロダクトにあります」と語るのは、代表取締役 CEO の原聖吾氏です。

MICIN では 2015 年の設立以来、『curon』のアプリケーション・データ基盤の他、サービスや事業の IT インフラに AWS を利用しています。その理由は技術者の確保のしやすさと、豊富なマネージドサービスにありました。Head of Engineering and Design を務める塩浜龍志氏は「スピード感を持って高品質のサービスをリリースしていくことを考えた時、選択肢は AWS 一択でした。サービスや事業が急成長していく中、スケーラビリティが高く、ロードバランサーが充実していることも魅力でした」と語ります。

AWS Well-Architected Framework Review により

セキュリティリスクを可視化

医療事業者である MICIN が、IT システムにおいて最も重視しているのがセキュリティです。創業 3 年目の 2018 年にはセキュリティの包括的な強化に向けて専門部署を組織し、ISMS 認証の取得やゼロトラストネットワークの構築などに取り組んできました。セキュリティを事業成長の要と位置付け、ガイドラインへの提言、世間への情報発信、医療機関への啓発活動等、“攻めのセキュリティ”を推進しています。

こうした中、IT インフラにおいてもベストプラクティスを通してセキュリティ対策を評価することが重要と考えた同社は、AWS Well-Architected Framework に基づきセキュリティリスクを可視化し、改善策としてロギング監視の強化、アクセス制御の強化等を実施してきました。

「AWS のソリューションアーキテクトとの議論を経て、具体的なアクションまで落とし込むことができました。AWS Well-Architected Framework の活用で、セキュリティ対策を一過性で終わらせるのではなく、今後の事業フェーズに合わせて継続的に向き合う体制が構築できたことが最大の成果です。スピード優先のエンジニアチームと、守りを固めるセキュリティチーム間の落としどころが把握できることもメリットです」(塩浜氏)

セキュリティ対策のもう 1 つのポイントは、AWS のマルチアカウント環境を管理する AWS Control Tower の活用です。同社ではサービスや事業ごとに複数の AWS アカウントを利用しているものの、アカウント管理は属人化されていました。そこで、各アカウントのセキュリティベースラインを担保しながらスピーディにセットアップすることを目的に AWS Control Tower を導入し、SRE チームのレビューを経て自動的に払い出すプロセスを構築しています。

マネージドサービスの組み合わせにより処方箋の FAX 送受信機能を 2 日でリリース

スタートアップの MICIN では、セキュリティと並んで開発のアジリティを重視しています。それを象徴する 1 つの事例が、コロナ禍においてオンライン診療サービス『curon』に実装した FAX 処方箋送付機能です。2020 年 2 月 28 日に厚生労働省が出した「事務連絡」により、これまで原本を薬局に持ち込む必要があった処方箋が、医療機関から FAX 送信することが可能になりました。同社は即座に社内 Slack を立ち上げ、開発、デザイン、事業、サポートなどから総勢 20 名が参加して、わずか 2 日で FAX 処方箋送付機能をリリースしました。短期開発には AWS のマネージドサービスを組み合わせ、メモリーを大量に消費する画像のトリミング処理には Amazon SageMaker を適用して安定稼働を実現しています。FAX 処方箋送付機能は大きな反響を呼び、リリースから 1 か月間で 2,000 件を超える薬局店舗に採用されました。
「医療従事者が困難な状況にある中で生まれたこのプロジェクトでは、社員に内在するエネルギーが発揮され、MICIN のビジョンを象徴するできごととなりました」(原氏)

アジリティの高い開発に向けたもう 1 つのチャレンジは、Web アプリケーション開発プラットフォームの AWS Amplify の活用です。日々新規サービスの開発や既存サービスの機能改善を続ける同社では、迅速なプロトタイプ開発が求められます。そこでさまざまなサービスやツールが提供される AWS Amplify を採用し、ユーザー管理の仕組みや GraphQL の API 等を開発しています。
「PoC 用のプロトタイプ開発や、サービス化したプロダクトの管理画面の開発には、AWS のマネージドサービスを設定 1 つで利用できる AWS Amplify は有効です。ユーザー認証や、煩雑な管理が必要な新規プロジェクトにおいて、Amazon Cognito を使ったユーザー管理との連携、AWS Lambda を使った Serverless API の構築、CI/CD のデプロイフローなどはコマンド 1 つで構築できるので、アプリケーションのロジックの実装に集中でき、工数を 30%程度削減できました」(塩浜氏)

サービス基盤をプラットフォーム化しデータを活用した複合型サービスの提供へ

これらのように MICIN のビジネスに AWS は随所で用いられています。原氏は「プロダクトを短期間で世の中に送り出していくうえで、アジャイルで開発できる AWS は欠かせません。患者さんの疾患等、機密性の高い情報を扱うことにおいても、信頼性の高い AWS は頼りになる存在です」と語ります。

サービス開発の現場では、次々と登場する新たなマネージドサービスを評価すると同時に、AWS の担当者やソリューションアーキテクトの支援体制にも信頼を寄せています。
「新たに登場するマネージドサービスはどれも秀逸で、いつもワクワクしながら期待しています。AWS の担当者からは当社の事業特性を理解したうえで、常に新たなサービスを紹介していただいていますので、引き続き AWS の活用レベルを高めていきたいと思います」(塩浜氏)

今後は、継続的に機能を強化しながらさまざまなサービスや事業と連携するプラットフォームを構築する構想を描いています。そのために、各サービスの機能を分解し、疎結合で連携するマイクロサービス化を進めていく方針です。
「MICIN のビジョンの実現に向けてそれぞれのサービス基盤を統合し、蓄積したデータを分析しながら、オンライン診療の利用者にデジタル治療を提案したり、保険サービスの利用者にオンライン診療を促したりと、利用者のニーズに沿ったきめ細かなサービスを提供していきます」(原氏)

原 聖吾 氏

塩浜 龍志 氏


カスタマープロフィール:株式会社 MICIN

  • 設立: 2015 年 11 月 26 日
  • 資本金: 1 億円(2021 年 12 月末現在)
  • 従業員数: 120 名(2021 年 12 月時点)
  • 事業内容:オンライン医療事業、臨床開発デジタルソリューション事業、デジタルセラピューティクス事業、保険事業等

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • AWS Well-Architected Framework Review による事業フェーズに合わせた継続的なセキュリティ体制の構築
  • AWS Control Tower によるアカウント管理の属人化の排除とスピーディなアカウントの払い出し
  • マネージドサービスを活用した新規機能の短期リリース(FAX 処方箋送付機能を 2 日で開発)
  • AWS Amplify によるプロトタイプ開発の最大 30% の工数削減

ご利用中の主なサービス

AWS Control Tower

AWS Control Tower は、ランディングゾーンと呼ばれる安全なマルチアカウント AWS 環境をセットアップおよび管理するための最も簡単な方法を提供します。

詳細はこちら »

Amazon SageMaker

Amazon SageMaker は、すべての開発者やデータサイエンティストが機械学習 (ML) モデルを迅速に構築、トレーニング、デプロイできるようにする完全マネージド型サービスです。

詳細はこちら »

AWS Amplify

AWS Amplify は、それぞれを連携させたり個別で使用したりできる、ツールとサービスのセットです。これらの機能により、フロントエンドウェブおよびモバイルのデベロッパーが、AWS によるスケーラブルなフルスタックアプリケーションをビルドできるようにします。

詳細はこちら »

AWS Security Hub

AWS Security Hub は、セキュリティのベストプラクティスのチェックを行い、アラートを集約し、自動修復を可能にするクラウドセキュリティ体制管理サービスです。

詳細はこちら »