Zalando が Amazon CloudFront を利用してカスタマーエクスペリエンスを改善

大きな成長を遂げた Zalando では、以前の画像管理ソリューションが力不足となりました。これは、Zalando のエンジニアリングチームと製品チーム向けの設定機能の柔軟性が十分でなかったためです。さらに、運用に関するインサイトが少なく、サービスがどの程度効率的に機能しているか、どのような最適化が可能かについての可視性にも欠けていました。このことは、デジタルストアフロントを適応および最適化する Zalando の能力に影響を及ぼすものでした。画像の変換に関する詳細なレポートが欠如しているため、季節的なイベントのピーク時に一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供する際に課題が生じていました。

これらの課題に対処するために、Zalando のチームは、Amazon CloudFront を利用して新しいメディア管理ソリューションを構築することにしました。「当社は既存の AWS 製品ポートフォリオの拡張として Amazon CloudFront を検討しました」と Zalando の Software Engineering 担当 Vice President である Przemek Czarnecki 氏は述べています。「AWS への移行により、製品の開発と統合の方法が簡素化しました」。 Zalando は、運用のスケールと顧客需要の増加に不可欠なプログラマビリティと柔軟性を実現するため、CloudFront を利用しました。

Zalando は迅速かつ柔軟に移行しました。Zalando は、AWS のエンタープライズサポート、サービススペシャリスト、サービスチームと協力して、顧客向けのキャンペーンや市場イベントと重複しないよう、移行スケジュールを計画しました。2020 年 8 月、Zalando は CloudFront への移行を開始し、オンライン小売業者にとって一年で最も忙しい時期であるサイバーウィークの準備のための中断を挟みながら、4 か月間にわたって行いました。移行の最初の段階は、Zalando の顧客に大きな影響を及ぼすことなく、同社が移行による改善の機会を見つけることができるように、小規模な顧客グループで開始しました。Zalando は、このプロセス中に 20 を超えるウェブサイトとアプリケーションを移行し、データ量は合計で 26.93 PB になりました。CloudFront が処理するピーク時のトラフィックは通常、1 秒あたり 100,000 件のリクエストを超えます。

Zalando は初め、Lambda@Edge を利用することにしました。これは、顧客がアプリケーションのユーザーの近くでコードを実行し、パフォーマンスを向上させ、レイテンシーを削減できるようにする CloudFront の機能です。Lambda@Edge を利用して、画像幅の正規化を実行したり、ビューワーのデバイスタイプに基づいて URL を書き換えたりしていました。CloudFront エッジロケーション内にデプロイされ、実行時間が短くレイテンシーが重要となる JavaScript コード用に構築された補完的なエッジコンピューティングランタイム環境である CloudFront Functions をリリース後、コストをさらに削減し、ソリューションのパフォーマンスを最適化するために CloudFront Functions に切り替えました。Zalando と CloudFront サービスチームが直接連携し合い、Zalando はウェブサイトとモバイルアプリの動作をカスタマイズしました。Zalando は、前もって CloudFront Functions にハンズオンでアクセスできるようにしたおかげで、開発チームは画像配信ソリューションをさらに最適化することができました。「複数のステージにおいて、複数のレベルでサポートしてもらえたのはとても助かりました」と Zalando の Lead Software Engineer である Emil Varga 氏は述べています。「概念実証を調査していた非常に早い段階から、定期的なコミュニケーションがありました。コードを送信して、有効性や障害のチェックを行っていました」。

2021 年 5 月に、Zalando は本番環境で CloudFront Functions の利用を開始しました。「CloudFront Functions の大きな変更点は、設定がスムーズになったことです」と Varga 氏は述べています。「オンデマンドでスケールするため、運用レベルや日常の開発でのタスクをデプロイしたり、確実に元に戻したりすることがより容易になります」。 Zalando は新しいソリューションを自社のウェブプロパティ全体で展開し始めると、すぐに障害を克服することができました。「調整が必要な場合には非常に迅速にロールバックでき、実際のダウンタイムが発生する前に変更を加えることができたのですが、これが重要でした」と Varga 氏は述べています。今日、Zalando はさまざまなユースケースに CloudFront Functions と Lambda@Edge の両方を利用しています。エッジコンピューティングの複数のレイヤーを持つことで、デベロッパーの視点からは柔軟性や可視性の向上と制御性の強化が実現し、顧客の視点からは全体的なエクスペリエンスの改善につながります。これは、Zalando が俊敏に対応し、顧客とビジネスの両方により優れたサービスを提供するのに役立っています。

移行後、Zalando は 99.5% のキャッシュヒット率を達成しており、新しい画像配信ソリューションは毎日約 50 億の画像を提供しています。CloudFront と CloudFront Functions を、2021 年のサイバーウィーク前に完全実装しました。「私は 2021 年のサイバーウィークのエンジニアリングを担当していましたが、Amazon CloudFront に関連した問題は 1 つも発生しませんでした」と Czarnecki 氏は述べています。2021 年のオンライン注文は約 2 億 5,000 万件に上り、CloudFront 上の Zalando ソリューションの規模と効率性が、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する上で重要な役割を果たしました。Zalando はさらなる最適化を実装し、同社のモバイルアプリとウェブアプリケーションの両方のホーム画面で最適化されていない画像に対するリクエストを 3 分の 1 に削減しました。パフォーマンスと利用の柔軟性が向上するという理由から、Zalando 全体で複数のチームが、他のタイプのコンテンツに CloudFront 上に構築されたパイプラインを利用するよう切り替えました。

Zalando は、AWS を利用してリッチメディアコンテンツの管理と操作にイノベーションを起こし続けたいと考えています。同社は、ブロードキャストグレードの機能を備えたファイルベースの動画トランスコーディングサービスである AWS Elemental MediaConvert を利用してインタラクティブな e コマースソリューションを構築することで、カスタマーエンゲージメントを強化することを計画しています。

Zalando は CloudFront に移行し、買物客のエクスペリエンスを改善するメディア管理および配信アーキテクチャを向上し、顧客により優れたサービスを提供できるようになりました。AWS のチームのサポートにより、Zalando はスムーズに移行でき、大きなメリットにつながりました。「Amazon CloudFront を利用するビジネス上の利点には、運用の柔軟性に加えて、ソリューションの健全性をモニタリングし、変更を迅速に実験して元に戻すことができるという点にあります」と Czarnecki 氏は述べています。「当社は、サポートを要請することなく、ほぼリアルタイムでインシデントに対応できます。この運用上の柔軟性は、当社にとって非常に大きなメリットです」。