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AI オートメーションとは?

AI オートメーションとは、人工知能を使用してビジネスワークフローを自動化するプロセスです。ツール、コード、設定を使用して手動の手順に取って代わり、特定の成果が得られるようにします。

フォーム入力などのバックオフィスタスクを自動化するロボティックプロセスオートメーション (RPA) ツールから、さまざまな企業システム間で情報を送受信する SaaS 統合まで、ソフトウェアベースの自動化は数十年にわたって広がり続けてきました。しかし、従来のビジネスの自動化は、常に特殊な事前プログラミングを必要とするものであったため、その機能には限界がありました。自動化を設定するには、人間がアプリのインタラクションを画面録画したり、ソフトウェアシステムをコーディングしたりする必要がありました。状況は常に変化しているため、自動化は頻繁に「壊れ」、運用を継続するためにはやり直しや、途切れることのない更新をし続ける必要がありました。このため、特に大企業では、自動化がビジネスに与える影響は最小限に抑えられてきました。

AI オートメーションは、人工知能を既存のエンタープライズオートメーションツールおよびナレッジリポジトリと組み合わせることにより、これらの課題を解決しようとしています。生成 AI のアルゴリズムと予測 AI のアルゴリズムを組み合わせることで、最も複雑なワークフローにおける人間の介入を減らせるように、データの並べ替え、フィルタリング、分類、作成を行います。また、AI は人間と協力してバックグラウンドで管理タスクを扱い、全従業員の認知的負担を軽減することもできます。

AI オートメーションの例

あらゆる業界、あらゆるビジネスに、AI を活用したスマートオペレーションの場があります。以下は、業界内で成長し始めている AI オートメーションのほんの数例です。

人事

AI オートメーションにより、志願者の選抜、フォームの提出と処理、研修、知識の共有、継続的な休暇と給与の管理など、時間のかかる人事管理 (HR) のタスクを自動化できます。

たとえば、オンラインブローカーの Deriv は、GitHub、クラウドストレージ、社内の Wiki ページ、Slack のディスカッションなど、トレーニングコンテンツをさまざまな場所でホストしていました。そのため、情報を見つけるのが難しく、新入社員がスピードに乗るまでの時間が長くなりがちでした。Deriv の人事チームは、AI を利用してすべてのカスタマーサポート資料のインデックスを作成することで、さまざまな部門の従業員に適したトレーニング資料をすばやく見つけて共有できるようになりました。Deriv は、オンボーディング時間を 45% 短縮し、採用タスクにかけていた時間を 50% 短縮できました。

メディア管理

組織はすべて、マーケティング、教育、オンボーディング、さらに場合によってはコアビジネスプロセスに使用される画像や動画を保存、処理、公開する必要があります。AI オートメーションによって、メディアの編集と処理を迅速化し、面倒な作業にかかる時間を短縮することができます。AI はメディアコンテンツの生成、統合、フィルタリング、推敲を必要に応じて行うことができます。たとえば、ストックフォトのエージェンシーである 123RF は、AI を使用して、著作権の問題や適合性に応じて画像を自動的に選別しています。AI はアップロードから数秒以内に不適切なコンテンツにフラグを立てるので、123RF は不適切な画像に関する苦情をなくすことができます。AI オートメーションで、手作業でのレビューに振り向けられていたリソースを事業開発に振り分けなおすことができました。 

カスタマーサービス

AI チャットボットは顧客のセルフサービスをサポートし、問題解決を自動化して、コンタクトセンターのワークロードを軽減します。さらに、AI チャットボットはカスタマーサービススタッフを支援し、プロセスをさらに自動化することもできます。たとえば、決済ソリューションの世界的リーダーである BPC は、クライアントとカスタマーサポートチームの両方が使用できるチャットボットを開発しました。このヒューマンエージェントはクライアントのリクエストをチャットボットに入力し、レビュー後に生成された応答を顧客に渡すことができます。チャットボットは、検索拡張生成を使用して BPC の社内ナレッジソースからデータを取得し、人間によるプロンプトを自動的に充実させて、適切性が高く正確な応答を提供します。

営業とマーケティング

AI オートメーションは、キャンペーンや広告コンテンツの作成から、個々の顧客向けにパーソナライズされたおすすめやオファーによる営業チームのサポートまで、あらゆるマーケティングおよび営業のワークフローの一部として使用できます。たとえば、マネージドサービスプロバイダーの Trek10 は、AI を活用して、購入プロセスの加速に必要なナレッジを営業チームに提供しています。同社の AI システムは、顧客の信頼を得るためのデータに基づいた推奨事項と、製品の価値を顧客に具体的に例示して取引の成立をサポートするレポートを提供します。

AI オートメーションと導入の対応状況を評価するには?

生成 AI テクノロジーの実装により自動化を進めるには、ビジネスでの対応準備が必要です。ほとんどの組織は、成熟度モデルを使用して自動化の現状を評価しています。成熟度モデルでは、自動化目標の設定、投資の優先順位付け、自動化ロードマップの策定に関するガイドラインが得られます。

ガバナンスとセキュリティフレームワークの実装

戦略を立てる前に、AI オートメーションのガバナンスとセキュリティを実務で機能させる方法に関するガイドラインを組織内に導入する必要があります。次の例に挙げるようなガイドラインを策定します。

  • 組織内のロールと責任の概要
  • 主要な利害関係者を含めた AI オートメーションの支持者
  • データ使用制限、ID 管理ポリシー、その他のガードレールを特定するセキュリティポリシー
  • 従業員のスキルアップと変更管理に関するガイド

これが AI オートメーションのプログラムの基礎となります。

自動化とインフラストラクチャ戦略の確認 

エンドツーエンドの自動化とインフラストラクチャ戦略を使用することで、組織をプログラムの成功に導くことができ、ROI 達成に失敗する確率を下げることができます。戦略で考慮すべき点は以下のとおりです。

  • 強力なビジネスユースケース
  • モデムのデータパイプライン
  • データレジデンシーとトレーニングデータルールの設定
  • プロセスを強化する AI ツールとテクノロジー
  • 継続的改善のための実務手順

また、自動化の取り組みの成果を確実に測定することも不可欠です。自動化が本格的に開始される前に適切な指標を特定して追跡し、ベースラインを確立してから、データを長期にわたって追跡します。このデータを使用することで、情報に基づいた意思決定を行い、以降の自動化の取り組みの効果を高めることができます。

スキルのあるチームを構成する

強固な AI 文化を構築することは、テクノロジーを正しく構築することに匹敵するほどの重要事項です。

新しいインフラストラクチャと AI を活用した自動化を構築するチームには、システム管理者、クラウドエンジニア、ソフトウェア開発者、AI の専門家を含める必要があります。チームには、テクノロジー以外に、自動化を要求するビジネスユーザー、法定代理人、セキュリティ専門家も含めます。 

自動化のチームは、2 とおりの方法で編成されます。

  1. 自動化チームを一元化して、組織全体の自動化ニーズに対応します。
  2. 自動化チームが小規模で分散されている場合は、特定の部門内の特定のモダナイゼーションイニシアチブに向けた自動化が構築されます。 

チームが一元化されている場合は、ツールの使用、データ管理、その他の AI 関連のタスクを組織全体で一貫して行うというメリットが得られます。ただし、分散型のチームでは、短期間で結果が得られ、自動化の取り組みでボトルネックが生じることもありません。

AI オートメーションの導入に重要な戦略

必要な結果が得られるとは限らないテクノロジーの専門家、ソフトウェアのライセンス、デプロイ、およびその他の高価なソリューションに多額の投資をすることは、最善の自動化戦略とは言えません。大量の新しいツールを一度にデプロイすると、チームに負担がかかり、スキルや採用率を把握できなくなる場合があります。

ユースケースにもよりますが、人工知能の自動化に最適な導入方法は段階的に実施することです。AWS のツールとフルマネージドサービスは、迅速なプラグアンドプレイを可能にするビルディングブロックを提供します。先行投資は不要です。料金は従量制で、必要に応じて規模を拡大できます。 

ここでは、社内の開発者の専門知識が限られていても、自動化の成熟度をコスト効率よく高めるための戦略とサポートする AWS ツールをいくつか紹介します。

検索エクスペリエンスを統一します。

組織全体で、データはアプリ、リポジトリ、ファイル、およびさまざまなサーバーに保存されます。従業員のすべてに重要な課題は、適切なデータを適切なタイミングでどこで見つけるかを知ることです。AI を利用すると、複数のデータソースにわたる統合検索が可能になり、従業員は利用可能なリソースの全範囲を一度に検索できるようになります。たとえば、マーケティング担当者が統合検索を実行して、公開されたキャンペーンを含め、過去 1 年間に主要製品に関する社内外のリソースのすべてを検索できます。

Amazon Q Business は、社内のあらゆるデータソースや複数のサードパーティアプリと一体となって、複雑な質問に対する回答をまとめて提供するエンタープライズ AI アシスタントです。ソースから引用し、カスタムプラグインの使用が可能であり、これらをすべて安全に管理された環境内で実行できます。自動化を導入し、従業員が情報を検索する時間を短縮することで生産性が向上します。

従業員に力を与える

組織内のチームや個人はすべて、AI がどのようにして作業を効率化するかを理解するうえで最適な立場にあります。たとえば、コミュニケーションを担当する従業員は、業界のニュースコンテンツを取得して要約するためにAIを必要とし、給与管理を担当する従業員は、請負業者が記録した時間の月次レポートの生成に AI を必要とします。

自然言語処理と AI を活用したオートメーション機能により、従業員は自然言語チャットを使用して必要な AI 自動化ワークフローを構築し、自己管理できるようになります。たとえば、Amazon Q Business の軽量アプリ作成機能である Amazon Q Apps を使用すると、ユーザーはワークフロー内のプロンプト作成、コンテンツ作成、タスクを自動化できます。ユーザーは自然言語で要件を記述してアプリを生成できます。また、アプリを共有して、他のユーザーが使用、複製、カスタマイズできるようにすることもできます。

ソフトウェア開発と運用への AI の導入

ソフトウェア開発は AI オートメーションに本質的に適合します。AI を活用した自動化は、次のようなタスクに使用できます。

  • レガシーソフトウェアシステムの更新
  • コードのリファクタリング
  • 複雑なモジュールの開発 
  • テストケースとユーザードキュメントの生成
  • サードパーティのデータの拡充
  • バグハンティングとトラブルシューティング 

人間と AI がチームのように協力して、ML モデルの設計、最適なデプロイパイプラインの構築、クラウドインフラストラクチャの最適化を行うことで、クラウド支出の最小化などを行うことができます。

Amazon Q Developer は、セットアップと使用が非常に簡単なソフトウェア開発用の AI アシスタントです。開発者の環境内で動作し、豊富な知識に基づくコーディングやインフラストラクチャの提案、最初のコードの下書き、自動コードレビュー、アップグレードなどを提供します。Amazon Q Developer は IDE、CLI、AWS コンソール、GitLab と統合されているため、開発者の作業場所にかかわりなくサポートできます。

分析への AI の導入

AI を活用した自動化では、レポート作成とダッシュボーディングのインサイトも強化できます。アナリストは AI オートメーションを活用することで、混合レポート生成のスピードアップ、データの組み合わせ、市場との比較、俊敏な意思決定の支援を実現できます。 

Amazon Q in QuickSight を使用することで、ユーザーは視覚的に説得力のあるドキュメントの生成、カスタムダッシュボードの作成、提案される質問を使用したデータの探索、データのプレビュー、あいまいなクエリへの対応が可能になります。従来のダッシュボードの制限を超えるマルチビジュアルなインサイトをビジネスユーザーに提供することで、データ探索に革命をもたらします。

カスタマーサービスの自動化

カスタマーサービスが自動化されると、人間の労働力が強化されます。カスタマーサービス担当者は、顧客情報や製品情報に即座にアクセスし、問題の解決策を見つけることができます。その際に別途の通話を開始する必要はありません。顧客は、パーソナライズされたオンラインセルフサービスヘルプにアクセスしたり、購入に関する多段階の意思決定を行ったり、AI と人間のやりとりを融合させたりすることができます。

Amazon Q in Connect は、生成 AI 搭載のカスタマーサービスアシスタントとして、エンドカスタマーとエージェントに問題の解決に必要な情報とアクションをリアルタイムで提供します。これにより、より迅速な解決とカスタマーエクスペリエンスの向上が可能になります。

サプライチェーン管理の自動化

サプライチェーン管理は予測がすべてであるとも言えます。AI を活用した自動化により、アナリストはほぼあらゆる what-if シナリオを実行して、予測やリスク解決活動を行い、上流のサプライヤーのジョブを最適化し、データに隠れたパターンを発見することができます。

AWS Supply Chain はサプライチェーンデータを統合し、機械学習を活用した実用的なインサイト、組み込みのコンテキストコラボレーション、Demand Planning を提供します。 

AWS Supply Chain の Amazon Q は、サプライチェーンの業務を効率化を実現するインタラクティブな生成 AI アシスタントとして、AWS Supply Chain のデータを分析し、業務および財務に関する重要なインサイトを提供し、サプライチェーンの緊急の質問に答えることができます。答えを見つけるプロセスを簡素化し、サプライチェーン管理の学習、デプロイ、設定、トラブルシューティングに必要な時間を最小限に抑えます。

AWS はお客様の AI オートメーションのニーズをどのようにサポートできますか?

多くの場合、AI を活用した自動化は自然言語でのチャットによる全社的な検索から始まり、ロールやドメイン全体を対象とする全面的にカスタマイズされた複合的な複数ステップのタスクへと展開します。この新しい形態のビジネス自動化の可能性は計り知れません。適切な基盤を築くことで、組織は生産性レベルの向上、従業員と顧客の満足度の上昇、意思決定の強化、製品、サービス、資材の構築のスピードアップなどを期待できます。このガイドは、AI オートメーションの行程の出発点に過ぎません。AWS の 生成 AI ツールとサービスを使用することで、さらなるビジネスプロセスの合理化を図ることができます。