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データ損失防止 (DLP) とは

データ損失防止 (DLP) は、機密データを不正アクセスから保護するプロセスです。組織は、プライバシー規制を遵守し、顧客の信頼を高めるために、知的財産、個人を特定できる情報 (PII)、健康記録、口座番号などの機密情報を保護する必要があります。データ損失防止には、データアクセスを事前に制限し、偶発的なデータ漏洩と悪意のあるデータ漏洩の両方を防止するテクノロジーとプロセスが含まれます。これには、組織のリスクを軽減するためにデータライフサイクル全体に適用できる対策が含まれています。

データ損失防止のメリットとは

データ損失防止は、組織のデータセキュリティ戦略の重要な部分です。次のメリットがあります。

規制コンプライアンス

組織は業界を問わず、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律 (HIPAA)、一般データ保護規則 (GDPR) などのデータ保護法を遵守する必要があります。DLP ソリューションは、データフローを継続的に監視し、不正な共有を防止することにより、規制上のデータ保護要件を適用します。また、個人を特定できる情報 (PII) やその他の機密データの取り扱いにおいて、組織が求められる規制当局に完全に準拠している証拠として、監査証跡も生成されます。

より迅速なインシデント対応

データ損失防止テクノロジーは、ネットワークの異常や通常とは異なるユーザーアクティビティを自動的に検出してアラートを発生させ、さらに自動対応を実行します。積極的なアプローチにより、セキュリティインシデントの検出から解決までの時間を短縮し、影響を限定し、事業の中断を最小限に抑えます。インシデント対応時間が短縮され、セキュリティポリシーの遵守が強化されます。

データフローの可視性の向上

データ損失防止ツールは、データセキュリティリスクの可視性を高め、それらのリスクに対する自動保護を可能にします。データパイプライン全体のデータ変換とリネージ追跡を可視化できます。自動モニタリングとアラートにより、分析セットアップ全体のデータの安全性が確保されます。

機密データの分類

DLP ソリューションは、機密データを大規模に検出するのに役立ちます。システム全体をスキャンしてデータを分析し、クリティカル、PII、またはその他のあらかじめ決められたカテゴリに分類できます。データの可視性を高め、既存の企業データとインフラストラクチャに取り込まれた新しいデータの両方を継続的に自動的に監視します。 

データ損失防止の仕組み

データ損失防止は、機密情報を特定し、さまざまな環境にわたってそれを保護し、潜在的なリスクにリアルタイムで対応することで機能します。さまざまなプロセスとテクノロジーを組み合わせて、リスクの最小化という最終目標を達成します。

機密データの識別

機密情報の保護における DLP システムの有効性は、主に組織のデータ保護ポリシーによって変わります。DLP をデプロイする前に、あらゆるデータを「機密」として分類するための条件を定義する必要があります。 

DLP ツールは次に、コンテンツ検査とコンテキスト分析を利用して、あらかじめ決められたポリシーに従ってデータにタグを付けることができます。データの保存場所とデータへのアクセス者を分析して、適切な分類を見つけます。

予防的データ保護

機密データを特定すると、DLP システムは、その共有方法やアクセス方法を制限するルールを事前に適用します。データライフサイクルのさまざまな段階にわたって、カスタマイズされたデータ保護アプローチを採用します。

保管中のデータ

DLP システムは、保存されたデータを保護するためのアクセス制御に重点を置いています。きめ細かなアクセス制御が可能なため、管理者は誰がどのデータにどの程度アクセスできるかについて詳細なポリシーを設定できます。データ損失防止には次も含まれます。

  • 許可なくアクセスされた場合にデータを読み取ることができないようにするための暗号化
  • リスクを最小限に抑え、インシデントが発生した場合の迅速な復旧を可能にするバックアップ

移動中のデータ

データ損失防止には、ネットワーク間またはシステム間でアクティブに移動しているデータの保護が含まれます。ファイアウォールや侵入防止システムなどのネットワークセキュリティツールは、ネットワークトラフィックを監視し、データ損失防止に重要な役割を果たします。信頼できるモバイルデバイスでもデータセキュリティポリシーに反して使用される可能性があるため、リモートデバイスのデータアクセス制御も重要です。移動中のデータを暗号化すると、傍受されたデータはネットワーク上のどのリスナーも読み取ることができず、使用できなくなります。

使用中のデータ

DLP は、アプリケーションやユーザーがアクティブにアクセスしているデータにまで保護を拡大します。戦略には以下が含まれます。

  • ユーザーの役割やアクセスレベルに基づいて、重要なデータに対するユーザーアクションを制限する詳細なアクセス制御
  • タスクの実行に必要な最低レベルのアクセス権のみをユーザーに付与する最小特権のアクセス権
  • 適切な場合は読み取り専用アクセス
  • リモートモバイルデバイスの監視と管理

リアルタイムの検出と対応

最新の DLP ソリューションでは、ポリシーに準拠していないデータアクセスをリアルタイムで検出して対応できます。目標は、データ損失の発生前またはセキュリティインシデント中にデータ損失を防ぐことです。DLP ツールでは次のことができます。

  • ソフトウェアの脆弱性、誤って構成されたクラウドリポジトリ、公開された認証情報を継続的に監視します
  • 監視と警告を一元化して、データセキュリティを全体的な視点から提供します
  • リアルタイムの分析と洞察を活用して、データ保護ポリシーと運用を監視、監査、報告します
  • アラートの優先順位付け、根本原因分析の実施、またはトリアージの整理を行って改善を高速化します

迅速な対応機能により、リスクにさらされる時間を短縮し、リスクをより効果的に軽減するのに役立ちます。

データ損失防止のベストプラクティスとは

データ損失防止には、長期的な成功のための戦略とツールの両方が必要です。

DLP を組織全体の取り組みにする

DLP はセキュリティや IT だけの問題ではなく、組織全体のサポートが必要です。DLP ポリシーに対してトップリーダーからの支持を得ましょう。DLP をビジネス価値の観点から捉えることで、CSO、CDO (最高データ責任者)、CFO、CEO などの経営幹部を引き込みましょう。例えば、マネージド DLP サービスでは、インフラストラクチャのコストを削減し、社内リソースの必要性を最小限に抑えることで、CFO の優先事項に対処できます。

DLP 戦略には、組織の構造と文化を反映させる必要があります。ビジネスユニットのリーダーと協力して DLP ポリシーを策定します。これにより、ポリシーが実用的になり、周知され、部門間のデータの使用方法に沿ったものになります。

ロールと責任を定義する

DLP の主な利害関係者が誰なのかを把握し、システムでの権限と責任がそれぞれのロールと一致するようにしてください。職務に基づいて責任を割り当て、ロールベースのアクセスを確立して説明責任を維持します。データ保護ポリシーがどのように適用され、実施されるかを確実に確認するには、構造化されたアプローチが必要です。

包括的なドキュメントを維持する

詳細なドキュメントを維持することで、ポリシーの適用方法の一貫性を確保できます。監査、レビュー、オンボーディング、オフボーディングの信頼できる基準点にもなります。明確なドキュメントにより、より円滑なコラボレーションと長期にわたる運用の継続が可能になります。

指標で成功を追跡する

DLP の選択がデータ保護の主な目的を果たしていることを確認します。ビジネス目標に沿った KPI を特定して、成功とはどのようなものかを開始時から定義します。指標を綿密に追跡して改善すべき領域を明らかにし、DLP がビジネス成果に貢献していることを示します。

DLP を継続的なプログラムとして扱う

DLP は市販のソリューションでも単純なアクセス制御ツールでもなく、ご自身で管理しているプログラムです。DLP は、組織内のデータフローを理解し、管理するための継続的な取り組みでなければなりません。これには、ビジネスニーズとリスクの変化に応じて、ポリシーを定期的に更新し、ユーザーを教育し、統制を改善することが含まれます。

AWS でのデータ損失防止戦略のサポート

AWS クラウドセキュリティは、AWS クラウドでデータを保護し、データ損失防止を実装するのに役立つサービス、ツール、専門知識の最も包括的なパッケージのひとつを提供します。主な機能は次のとおりです。

  • Amazon Macie は機械学習を使用して、大規模な機密データの検出、分類、保護を自動的に行います。
  • AWS Identity and Access Management (IAM) は、役割と条件に基づいてきめ細かなアクセスポリシーを作成することができ、機密情報への不正アクセスのリスクを軽減するのに役立ちます。
  • AWS CloudTrail は AWS 環境全体のすべての API アクティビティを記録し、誰がどのデータに、いつ、どこからアクセスしたかを示す完全なコンプライアンス監査証跡を提供します。
  • Amazon CloudWatch はリソースの使用状況と動作をモニタリングし、異常や通常とは異なるパターンを警告します。
  • AWS Security Hub は、複数のサービスのセキュリティ検出結果を 1 つのダッシュボードに統合するため、設定ミスやその他のセキュリティリスクを検出するのに役立ちます。

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