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【開催報告】Amazon Quick ではじめるデータドリブン実践ワークショップ in 大阪
こんにちは。アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの辻林です。2026 年 7 月 29 日に、大阪オフィスにて「AWS Business Innovation Series – West Japan」の第 3 回を開催いたしました。本シリーズは、西日本のお客様のデジタル変革を加速することを目的に、生成 AI を活用した実践的なプログラムを約 3 ヶ月に 1 回のペースでお届けしているものです。ご参加いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。
本ブログでは、イベントの背景や当日の様子、参加者の皆様からいただいた声をお届けいたします。
はじめに
本シリーズは 2025 年に関西を中心に開催したワークショップの高い満足度を受けて、2026 年は業界を問わず幅広い企業の皆様にご参加いただける形で継続しています。今回がその第 3 回です。
第 3 回のテーマは、第 2 回に続いて Amazon Quick です。ただし切り口を変えました。第 2 回はメール・ファイル・社内システムといった多様なデータソースへの接続と、チャットエージェントの構築が主題でした。今回はもう一つの入口、つまり BI とダッシュボードを起点に据えています。
データを可視化するところまでは、多くの企業がすでに到達しています。難しいのはその先です。ダッシュボードを前にしても「で、次に何をすればいいのか」が決まらない。決まっても、社内を動かす提案の形にならない。今回のプログラムは、この「見えている」と「動ける」の間にある溝を、半日で越えていただくことを狙いました。データを見渡し、AI と対話して深掘りし、外部の事例を集めて、最後にアクションプランと提案資料に落とし込む。そこまでを一気に体験する構成です。
過去開催分についてはこちらをご覧ください。
- 第 1 回:お試しから卒業!Kiro の仕様駆動開発を本格活用(2026/3/17)
- 第 2 回:データから業務アクション、展開まで繋げる Amazon Quick ワークショップ(2026/5/29)
イベント概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| テーマ | Amazon Quick ではじめるデータドリブン実践ワークショップ |
| 日時 | 2026 年 7 月 29 日(水)13:00〜18:00 |
| 場所 | アマゾン ウェブ サービス ジャパン 大阪オフィス(中之島三井ビルディング 26F) |
| 参加者 | 10 社 25 名 |
| 満足度 | 4.13 / 5 |
タイムテーブル
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 13:00 – 13:10 | オープニング |
| 13:10 – 13:30 | Amazon Quick 座学 〜 最新のアップデートをお届け |
| 13:30 – 14:50 | Amazon Quick ハンズオン 〜 データドリブンな意思決定体験ハンズオン |
| 14:50 – 15:00 | 休憩 |
| 15:00 – 17:35 | Amazon Quick ハッカソン 〜 Quick ではじめるデータドリブン実践ハッカソン |
| 17:35 – 17:50 | LT:数字は正しい。でも提案が通らない理由 |
| 17:50 – 18:00 | クロージング |
当日の様子
Amazon Quick 座学 〜 最新のアップデートをお届け
発表資料:Amazon Quick 座学 〜 最新のアップデートをお届け
最初のセッションは、ソリューションアーキテクトの大内より、Amazon Quick の全体像と最新アップデートをご紹介しました。
出発点は「なぜデータ分析をするのか」という問いかけから、勘や思い込みではなくデータに裏付けされた事実で判断する、施策の効果を検証する、次の一手を決めるためにまず現状を把握する — こうした目的のために BI があります。
そしていま多くの BI ツールで起きている「後付け AI」の限界について説明しました。既存の BI 基盤の上に AI 機能を足していくアプローチは、たしかにアナリストの作業を効率化します。しかしその AI が動く土俵は、あくまで BI のパラダイムの中 — データベースやデータウェアハウスといった構造化データに最適化された世界です。ドキュメント、メール、顧客フィードバック、市場調査といった非構造化データは、依然として届きにくいままです。結果として、従来の BI が扱ってきたデータの範囲でしか AI を活用できず、AI 起点の新たなサイロが生まれてしまいます。
この課題に対する答えが、AI を中心に据えた統合プラットフォームという設計です。2025 年 10 月、Amazon QuickSight は Amazon Quick(旧称 Amazon Quick Suite)としてリブランディングされ、これまでの QuickSight は Quick を構成する一機能(Quick Sight)という位置づけになりました。Quick は次の 5 つを軸に構成されています。
- BI — 可視化・分析ツールでデータを探索し、インサイトを明らかにするチャートやグラフを作成する
- スペース — ファイルやデータなど特定の情報を集積し、チームで共有する場をつくる
- チャットエージェント — データを分析・計画・操作してタスク完了を支援する AI エージェントを構築する
- フロー — 目標を迅速かつ予測可能に達成するワークフローを作成・共有する
- リサーチ — 企業内外のデータソースを横断した包括的な分析で、複雑なインサイトや関係性を発見する
BI についてはGenerate Analysis による自然言語からのダッシュボード生成、ダッシュボードの内容を理解した状態で質問できるダッシュボード Q&A、SQL を書かずに自然言語で分析クエリを実行できるデータセット Q&A(Text-to-SQL)、そしてダッシュボードを離れることなくチケット作成や通知を実行できるアクション機能をご紹介しました。数日かかっていたダッシュボード構築を数分に短縮できること、そして普段ダッシュボードを見慣れていない方でも自然言語で問いを立てられること — つまりデータの民主化が、この座学の中心的なメッセージでした。
最後に活用イメージとして、路線ごとの遅延傾向をその場で分析して会議中の問い合わせに答える例、AWS 利用料の上位項目を探索してベストプラクティスを調べ、Jira にタスク化して Slack に通知する例などを共有し、後半のハンズオンへ繋ぎました。
Amazon Quick ハンズオン 〜 データドリブンな意思決定体験ハンズオン
続いてソリューションアーキテクトの伊藤より、実際に手を動かすハンズオンです。このハンズオンではダッシュボード × AI × 追加情報の組み合わせでデータの理解を深め、データドリブンな意思決定を体験します。
最初にデータ活用を 4 つの段階で捉えるフレームで示しました。
- 探せる(Search) — 最低限必要な情報から始める起点
- 見渡せる(Visibility) — 何がどこにあるかを広げ、関連情報を含む広い範囲が見える
- わかる(Insight) — 何が起きているか、なぜかを深掘りし、深い考察ができる
- 動ける(Action) — 伝える / 決める / 作る / 記録する。データで判断し、次の一手を打てる
多くの現場は「探せる」「見渡せる」で止まりがちです。今回のハンズオンは、ダッシュボード × AI × 意思決定のための追加情報の組み合わせによって「動ける」まで到達させることを体験することに目標に置きました。
ハンズオンの流れは次の通りです。サンプルデータから自然言語でダッシュボードを生成する。(見渡せる)ダッシュボードのデータを自然言語で深掘りする。(わかる)リサーチ機能で業界事例やベストプラクティスといった外部データを集め、そこで得た事実と外部情報を合わせて、アクション・改善提案を検討、提案書の作成まで進む。(動ける)
「見渡せる → わかる → 動ける」を、Amazon Quick の中で一続きの操作として体験できる構成です。ここで基本の型を身につけたうえで、後半のハッカソンに臨みます。
Amazon Quick ハッカソン 〜 Quick ではじめるデータドリブン実践
続いてハッカソンでは題材として、あらかじめ用意したユースケースカタログから自業界・業務に近いユースケースを選んでいただきました。ハンズオンで型を覚えたうえで、今度は自分の業務に引き寄せて進める。ここが難所であり、同時に面白さでもあります。用意されたサンプルデータを自社の実態に近づけて調整し、自然言語で要件を伝えダッシュボードを生成し、必要な情報を考え、リサーチで外部の事例やプラクティスを集め、生成されたダッシュボードを起点にAI と対話して深掘りし、収集したリサーチ情報も加えて、アクションプランと提案資料まで仕上げることにチャレンジ頂きました。
終盤は成果をグループ内・全体共有をする場を設けました。選んだテーマとカスタマイズしたポイント、ダッシュボードやリサーチから得た発見とアクションプランを共有します。同じテーマを選んだ方同士では、出発点が同じでも自社の事情を反映させた結果が違ってくる — その差分がそのまま学びになります。
需要予測に踏み込んだ方、経理部門の課題を題材にした方など、業界も切り口も多彩な発表が並びました。
LT:数字は正しい。でも提案が通らない理由 〜 BI が知らない、現場の秘密
発表資料:数字は正しい。でも提案が通らない理由 — BI が知らない、現場の秘密
最後に 、ソリューションアーキテクトの多田より「数字は正しい。でも提案が通らない理由」というタイトルでLTセッションを行いました。
データを分析したAIからこんな提案が返ってきました。「スーパーのお弁当コーナー、廃棄が多いので仕入れを減らしましょう」 — コスト削減の観点では正しそうですが、実際のスーパーは仕入れを減らしませんでした。なぜなら品揃えの豊富さそのものが集客装置だから。廃棄はその戦略のコストであり、数字だけ見れば「無駄」に見えるものが、実は意図的な投資だったりします。
このように提案が通らない理由は、こうしたビジネスコンテキストがデータに落ちていないことにあります。同じ「未使用の SaaS ライセンスが 63 件」というデータでも、コンテキストを持たない AI は全件の解約を勧めます。一方コンテキストを持つ AI は例えば「1 件は育休中のため未ログインで、9 月に復帰予定。今解約すると違約金が発生するため継続を推奨」と、例外まで教えてくれます。ただ、コンテキストは毎日現場で生まれるものです。都度拾い上げて反映するのは現実的ではありません。
そこで Amazon Quick です。チャット機能とMCP統合を通じて、現場の担当者が自分でビジネスコンテキストを記録できる。現場が主役のまま知識が積み上がっていく。デモでは 記録したコンテキストを踏まえてAIの回答が変わる様子を実際にご覧いただきました。
「数字 + 現場のコンテキスト = 同じ的外れを繰り返さない AI」。ハンズオンとハッカソンでデータと向き合った直後だったこともあり、多くの方に印象的なセッションでした。
参加者の声
イベント後のアンケートから、いくつかの声をご紹介します。
「Amazon Quick が 2 回目だったのでより理解が深まり、さまざまな使い方を学べたので良かったです。毎回テーマが違ってももちろん学びになりますが、複数回触ることで身についた実感がありました。」
「テストデータも準備していただいて、ハッカソンの時間に注力できて、いい体験ができたと感じました。この形式で Quick を社内に紹介するのも良いのかなと思いました。」
学びを今後の業務に活用できそうかという問いには、回答者全員から「活用できそう」との回答が寄せられました。「今回使いきれなかった機能もぜひ学びたい」という声もあり、次回以降のテーマ設計に活かしてまいります。
まとめ
第 3 回「AWS Business Innovation Series – West Japan」では、BI の側面からデータドリブンな意思決定を支援するためのAmazon Quick 活用プログラムをお届けしました。座学で「後付け AI」の限界と AI 中心のプラットフォームという設計思想を押さえ、ハンズオンで型を身につけ、ハッカソンで自社のユースケースでデータドリブンなアクション設計にチャレンジしました。参加者の皆様が、ご自身の業界のデータと格闘しながら提案の形まで作り上げていく姿は、印象的でした。
ご興味のある方は、担当のアカウントチームまでお気軽にお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。
本ブログは、ソリューションアーキテクトの辻林 侑が執筆いたしました。



