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【開催報告 & 資料公開】お試しから卒業!Kiro の仕様駆動開発を本格活用 in 大阪
こんにちは。アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの伊藤です。2026 年 3 月 17 日に、大阪オフィスにて「AWS Business Innovation Series – West Japan」の第 1 回を開催いたしました。本シリーズは、西日本のお客様のデジタル変革を加速することを目的に、生成 AI を活用した実践的なプログラムを約 3 ヶ月に 1 回のペースでお届けしていくものです。ご参加いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。
本ブログでは、イベントの背景や当日の様子、参加者の皆様からいただいた声をお届けいたします。
はじめに
2025 年は、関西を中心に流通・小売業界のお客様向けワークショップを 4 回開催し、生成 AI を活用したビジネス変革の実践機会を提供してまいりました。ありがたいことに非常に高い満足度をいただけたことから、2026 年も「AWS Business Innovation Series – West Japan」として継続開催しています。
継続にあたって大事にしたのは、参加者の皆様からいただいた声です。中でも「普段、他社の方と話せる機会が少ないので、こうした場はとても嬉しい」という声が想定以上に多くありました。技術を学ぶだけでなく、異なる企業の方々と課題や知見を共有できる場そのものに価値を感じていただいていました。
この声を受けて、2026 年は業界を特に問わず、幅広い企業の皆様にご参加いただける形に拡大しました。約 3 ヶ月に 1 回のペースで年 4 回の開催を予定しており、今回がその第 1 回です。
第 1 回のテーマには Kiro を選びました。Kiro は AWS が提供する IDE で、「仕様駆動開発(Spec-driven Development)」という独自のアプローチを備えています。詳しくは後述しますが、「AI コーディングツールは気になるけれど、何から始めればいいかわからない」「試してみたけれど、実務にどう活かせるかイメージが湧かない」――そんな方々に、半日で動くプロトタイプを作り上げる体験を通じて、最初の一歩を踏み出していただくことが今回のイベントの狙いでした。
イベント概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| テーマ | お試しから卒業!Kiro の仕様駆動開発を本格活用 |
| 日時 | 2026 年 3 月 17 日(火)13:00〜18:00(懇親会 18:00〜) |
| 場所 | アマゾン ウェブ サービス ジャパン 大阪オフィス(中之島三井ビルディング 26F) |
| 参加者 | 18 社 37 名 |
| 満足度 | 4.66 / 5 |
参加者の内訳は IT 部門の方が約 85%、事業部門の方が約 15% でした。開発者の方は全体の約 10% と少数で、多くの方が普段はコードを書かない立場からのご参加でした。
タイムテーブル
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 13:00 – 13:10 | オープニング |
| 13:10 – 13:30 | 座学:Kiro — 信頼できる AI 開発パートナー |
| 13:30 – 15:00 | Kiro IDE ハンズオン(休憩込み) |
| 15:00 – 17:00 | Kiro ワークショップ / ハッカソン(休憩込み) |
| 17:00 – 17:40 | 全体発表・投票・表彰 |
| 17:40 – 17:50 | LT「Kiro ともっと仲良くなろう」 |
| 17:50 – 18:00 | クロージング |
| 18:05 – 19:30 | 懇親会 |
当日の様子
Kiro — AI と共に考え、共に作る。信頼できる開発パートナー
発表資料:Kiro — AI と共に考え、共に作る。信頼できる開発パートナー
最初のセッションは、ソリューションアーキテクトの濱上より「Kiro — AI と共に考え、共に作る。信頼できる開発パートナー」と題して、Kiro の仕様駆動開発について座学形式でご紹介しました。
セッションの中で特に反響が大きかったのは、Kiro が生まれた背景の話です。AI コーディングツールに「ログイン画面を作って」と指示すればコードは出てくる。しかし、既存環境との統合やセキュリティ要件を満たすコードにはならない。いわゆる Vibe Coding の限界です。AWS のエンジニアたちも同じ壁にぶつかり、プロンプトを何度も書き直すうちに「これは仕様書だ」と気づいたことが、仕様駆動開発の出発点でした。
仕様駆動開発では、まず自然言語でやりたいことを伝えると、Kiro が要件を Spec(Requirement)として構造化します。次に、その Spec に基づいて設計ドキュメント(Design)を生成し、実装すべきタスク(Task)に分解します。開発者は各ステップでレビューと修正を行いながら進めるため、「AI が何をしているかわからない」という不安なく開発を進められます。
このセッションは当日のアンケートで最も高い満足度を記録しました。参加者の方からは「Kiro を使うと、要件から設計に落とし込むフローが可視化されるので、AI コーディングに慣れていない人にも理解しやすい」という声をいただいています。
ハンズオン — Vibe Coding から仕様駆動開発へ
座学の後は、実際に Kiro を使ったハンズオンです。参加者の皆様には事前に Kiro のサブスクリプションをご準備いただき、約 90 分かけて段階的に Kiro の機能を体験していただきました。
まず最初に体験したのは Vibe Coding です。Kiro の Vibe モードで「ゲーム作って」と一言入力するだけで、スネークゲームが動き始めます。会場からは「えっ、これだけで?」という驚きの声が上がりました。
しかし、ここで終わりではありません。座学で学んだ通り、Vibe Coding だけでは実務で使えるソフトウェアにはなりません。そこでハンズオンでは、Kiro をより実践的に活用するためのカスタマイズ要素も体験していきます。
- Steering(ステアリング) ― 開発ルールや命名規則を Kiro に覚えさせる
- カスタムエージェント ― 「AWS SA の分身」を作り、特定の役割を持たせる
こうした機能に触れながら、最後に到達するのが Spec モード です。同じスネークゲームを、今度は要件定義(Requirement)→ 設計(Design)→ タスク分解(Task)→ 実装という仕様駆動開発の流れで作り直します。
「一言で作る Vibe Coding」と「仕様を積み上げて作る Spec モード」の両方を体験することで、その違いと仕様駆動開発の価値を実感していただく構成です。参加者の方からは「Steering について学べてよかった」「ユースケースの手順を Kiro は迷わずに進めてくれるので良かった」といった声をいただきました。
ハッカソン — チームで作る、発表する
後半のメインイベントはハッカソンです。異なる企業の参加者同士でチームを組み、アプリケーション開発に挑戦していただきました。
テーマは AWS 側で 3 つの候補を用意しました。
- クレーム / レビュー / VoC 分析
- 施設・設備の予約(社外向け来店予約など)
- 顧客向け説明資料の作成支援(営業提案資料など)
この中から 1 つを選んでいただく形ですが、「自分の業務課題で試したい」という方は持ち込みテーマでの参加も OK としました。実際、独自テーマに果敢に挑戦するチャレンジャーも何組かいらっしゃいました。
ハッカソンでも仕様駆動開発の流れに沿って進めます。まず、今回ハッカソン用に壁打ち支援アシスタント(サブエージェント)をKiroに組み込み対話しながら、選んだテーマの 5W1H を整理し、要件を具体化していきます。「自社の XX さんが使うなら、こういう機能は必須だな」と、実際のユーザーを思い浮かべながら要件を詰めていく過程は、ハンズオンの決められたユースケースとは異なる難しさと面白さがあります。要件が固まったら Spec モードで Requirement → Design → Task → 実装と進め、最後にグループ内で発表し、代表者を選出して全体発表に臨みます。
限られた時間の中で、業務課題を解決するツールから遊び心のあるアプリまで、バラエティに富んだ作品が生まれました。特に印象的だったのは、普段コードを書かない事業部門の方が Kiro を使ってアプリケーションを作り上げ、グループの代表として全体発表に選ばれたことです。「やりたいことを書いていったら、本当に動くものができた!」という言葉が、Kiro の仕様駆動開発の可能性を端的に表していると感じました。
各チームの発表後には投票を行い、会場全体で盛り上がりました。最も多くの票を集めた方には「ベスト Kiro アイデア賞」として粗品を進呈し、拍手喝采で称えました。
LT「Kiro ともっと仲良くなろう」
発表資料:Kiro ともっと仲良くなろう ― Kiro カスタマイズのすすめ
クロージング前の LT セッションでは、Kiro をもっと自分好みにカスタマイズする方法をご紹介しました。
Kiro には Steering、Skills、Powers、Agent など様々なカスタマイズ要素がありますが、正直なところ一度に説明されると「多すぎてわからない…」となりがちです。そこで本 LT では、これらを RPG の冒険者 に例えて整理しました。
- Steering = 冒険者の人となり(性格・こだわり・ギルドのルール)
- Skills = 依頼の手順書(特定の任務のときだけ開く)
- MCP = 常備装備(常に身につけている武器・道具)
- Powers = 召喚獣(呼べば装備・知識・仕掛けを丸ごと持って現れる)
- Agent = ジョブ / クラス(装備・手順書をまとめた役割定義)
「Kiro は “あらゆる訓練を受けた冒険者”。能力はあるけれど、あなたのギルドのやり方はまだ知らない」――だからこそ、まずは Steering で “人となり” を教えてあげるところから始めましょう、というメッセージです。
ハンズオンとハッカソンで仕様駆動開発を体験した直後だったこともあり、「触ってないけど、なんとなくわかった!触ってみたい!」という反応をいただきました。
参加者の声
イベント後のアンケートでは、多くの方から前向きなフィードバックをいただきました。一部をご紹介します。
「IT 部門ではない人間でもとてもわかりやすかったです」
「普段ベンダーに委託している業務の裏側の一部を見ることができ、今後進める際に構造を理解する手助けになりました」
「Kiro を使うともっともっと色々な物を考えて作成できるなと。色々試したくなりました」
「こういうイベントをもっと若手に参加させたい。みんな興味あるだろうし、飲み込みも早いから」
IT 部門の方だけでなく、事業部門の方からも「わかりやすかった」「自分でも作れた」という声をいただけたことは、このイベントが目指していた「最初の一歩」を実現できた証だと感じています。
まとめ
今回のイベントでは、Kiro の仕様駆動開発を座学・ハンズオン・ハッカソンの 3 ステップで体験していただきました。「AI コーディングツールは気になるけれど、何から始めればいいかわからない」という方々が、わずか半日で動くプロトタイプを作り上げ、「すぐに社内で試してみたい」と感じていただけたことを大変嬉しく思います。
「AWS Business Innovation Series – West Japan」は、2026 年も継続開催いたします。第 2 回以降も、生成 AI を活用した実践的なテーマをご用意してお届けする予定です。各回でテーマが異なりますので、リピーターの方にも新しい学びがあります。
ご興味のある方は、担当のアカウントチームまでお気軽にお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。
本ブログは、ソリューションアーキテクトの伊藤 一成が執筆いたしました。



