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【開催報告】AWS Resilience Day (個社向け)を開催しました!!(2026年7月3日)
はじめに
AWS Resilience Day は、ワークロードの回復力向上に役立つアーキテクチャのベストプラクティスや AWS サービスを学べる無料のワークショップです。座学とハンズオンを通じて、高可用性ワークロード、災害復旧の設計、エラー修正プロセスの実装について学んでいただけます。重要なアプリケーションの回復力を IT 運用のライフサイクルの中で継続的に改善したい開発者様、運用者様に特に役立つ内容です。
過去の開催状況は以下の Blog をご参照下さい。
【開催報告】AWS Resilience Day in Tokyo を開催しました!!(2024年10月24日)
【開催報告】AWS Resilience Day in Osaka を開催しました!!(2025年3月17日)
レジリエンスについて
レジリエンス(Resilience)とは、回復力・抵抗力・弾力性を意味する言葉です。IT 分野におけるレジリエンスとは、IT システムが障害や災害によってサービスの停止・劣化に至った際、迅速に正常な状態へ復旧する能力のことです。昨今、FISC 安全対策基準や金融庁ガイドラインでもレジリエンスに関する指針が示されており、その重要性の認知が広がっています。
レジリエンスにおける課題
しかしながら、レジリエンスの重要性は認識しつつも、いざ自社のシステムに実装するとなると何からどう手を付ければよいのか分からない、という声を多く聞きます。AWS Resilience Day では、Resilience Lifecycle というフレームワークに沿って進めます。Resilience を引き上げるには、目標設定、設計と実装、評価とテスト、運用、対応と学習といったライフサイクルの各項目において、各フェーズで求められる施策を確実に実行することが重要です。本ワークショップでは、そのノウハウを座学とハンズオンで段階的に学び、現場ですぐ活かせる構成としています。
ワークショップのご提供
クレディセゾン様では、クレジットカードをはじめ、ファイナンス・デジタル・グローバルへと多角的に事業を展開される中で、複数のサービス基盤として AWS をご活用いただいています。レジリエンスについても前述の通りの課題感をお持ちでした。また、レジリエンス関連の AWS サービスについても理解を深めたいというご意向があり、本ワークショップ開催の運びとなりました。ワークショップは半日の構成で、クレディセゾン様のオフィスにて個社向けに実施しました。
アジェンダ
本セミナーはレジリエンスライフサイクルからピックアップしたトピックを座学のコンテンツとして共有し、ハンズオンを交互に織り交ぜて進行しました。
| 形式 | セッション | 担当 |
|---|---|---|
| 座学 | AWS におけるレジリエンス入門、レジリエンスの目標を設定する | 中戸川 浩 |
| ハンズオン | RPO / RTOの目標設定、高可用性のための設計と実装、評価とテスト | 中戸川 浩 |
| 座学 | レジリエンスの設計と実装 | 石倉 徹 |
| ハンズオン | ディザスタリカバリに備えた設計と実装 | 石倉 徹 |
| 座学 | レジリエンスの評価とテスト | Yun Suwon |
| ハンズオン | AWS Fault Injection Service を用いたレジリエンス評価とテスト | Yun Suwon |
【座学】AWS におけるレジリエンス入門、レジリエンスの目標を設定する
最初のセッションでは、事例紹介、レジリエンスの基礎、レジリエンスライフサイクルにおける目標設定について説明いたしました。
事例としては、金融業界においてレジリエンスの重要性を理解し、その実践に取り組まれている企業様の事例を紹介しました。
レジリエンスの基礎としては、メンタルモデルおよびレジリエンスの責任共有モデルについてお伝えしました。AWS の責任範囲については、クラウド基盤のレジリエンスを支えるサービスオーナーシップモデルや CoE プロセスなどの取り組みを紹介しました。お客様の責任範囲については、レジリエンスライフサイクルフレームワークを用いた実践方法をご説明しました。
レジリエンスライフサイクルの説明では、はじめの第一歩となる目標設定についてご説明しました。目標がなく測定もできなければ、何をどこまで改善すべきか判断できません。ここではアプリケーションの重要度に応じてどの程度の回復力が必要かを見極め、RTO / RPO として測定可能な形で定めることを推奨しました。RTO / RPO は長く設定するほどシステム障害時のビジネス影響が大きくなり、短くするほどコストと実装難易度が上がるというトレードオフがあります。そのため、エンジニア部門だけで決めるのではなく、ビジネス部門を含めて利用者目線で適切な水準を選ぶことが重要であるという点を強調しました。
【ハンズオン】AWS Resilience Hub を活用した RPO / RTO の設定
AWS 上で稼働するアプリケーションのレジリエンシーを、具体的にどう高めていくか。ハンズオンでは、アプリケーションの回復力を分析・管理・改善できる AWS Resilience Hub の使い方を学びました。
※ 本ワークショップで利用している AWS Resilience Hub は旧バージョンとなります。現在の最新バージョンは「次世代の AWS Resilience Hub 」です。
まずは AWS Resilience Hub にアプリケーションの目標 RTO / RPO を登録します。
【座学】レジリエンスの設計と実装
次のセッションでは、レジリエンスの設計原則を踏まえ、AWS におけるレジリエンスアーキテクチャのベストプラクティスと実装パターンをお伝えしました。
まず AWS の障害分離境界として、AWS サービスにおけるコントロールプレーンとデータプレーンの動作、静的安定性の重要性について、ベストプラクティスとバッドプラクティスの両面を交えて説明いたしました。続いて、セルベースアーキテクチャ、グレースフルデグラデーション、バイモーダル動作など、回復力を高めるアーキテクチャとソフトウェアデザインパターンを具体例とともに解説しました。あわせて、アーキテクチャの選択には要件とコストのトレードオフが伴うことも、重要な観点としてお伝えしました。
【ハンズオン】高可用性とディザスタリカバリのための設計と実装
続くハンズオンでは、AWS Resilience Hub を使ってアプリケーションのレジリエンシーを評価しました。
アプリケーションが目標 RTO / RPO を満たしているかが可視化されます。この時点では、リージョン障害時の RTO / RPO がいずれも目標値(2 時間 / 1 時間)に届かず、Unrecoverable と判定されました。また、判定理由についても確認が可能です。
AWS Resilience Hub が提示する改善案に沿ってアプリケーションを修正した結果、目標 RTO / RPO を満たす状態になったことを確認できました。
【座学】レジリエンスの評価とテスト
設計と実装の次は、評価とテストです。このセッションでは、カオスエンジニアリングを用いてシステムの弱点・脆弱性・障害モードを特定する方法を紹介しました。
システムが分散し規模が大きくなるほど、起こりうる障害の予測は難しくなります。カオスエンジニアリングは、想定外の状況でも回復力を発揮するアプリケーションを構築するために欠かせない手法です。本番で問題が顕在化する前に、さまざまな障害シナリオへ意図的にさらして潜在的な弱点を洗い出す進め方と、その意義について理解を深めていただきました。
【ハンズオン】AWS Fault Injection Service を用いたレジリエンス評価とテスト
AWS Resilience Hub は、目標 RTO / RPO を満たすアーキテクチャを提案するだけでなく、障害注入実験用の AWS CloudFormation テンプレートも提供します。ここでは AWS Fault Injection Service が利用されます。
推奨テンプレートから必要なものを選び、「RDS インスタンスがフェイルオーバーしても、フロントエンドとバックエンドは2分以上オフラインにならない」という仮説を検証しました。
お客様の声
今回はテクノロジーセンターとエンタープライズ開発センター部門の 26 名の方にご参加いただきました。ご参加いただいたお客様からは、座学で学んだ後にハンズオンへ進む構成だったので分かりやすかった、AWS Resilience Hub や AWS Fault Injection Service に実際に触れて理解が深まった、といった声をいただきました。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
おわりに
AWS Resilience Day は、レジリエンスの実践を体系的に学ぶことができるワークショップです。レジリエンスの取り組みを始めたい、チームの理解を底上げしたいといったご要望がございましたら、ぜひ担当のアカウントチームへお気軽にお声がけください。本記事の内容が、みなさまの業務のお役に立てば幸いです。
著者について
中戸川 浩(Nakatogawa Hiroshi)
Technical Account Manager
テクニカルアカウントマネージャーとして Enterprise Support にご加入頂いている金融業のお客様を担当しております。コスト最適化、運用効率化、セキュリティ改善など AWS の運用面での課題に対しての支援を行っています。
