Amazon Web Services ブログ
週刊AWS – 2025/8/25週
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの西村です。
今週も 週刊AWS をお届けします。
2025 年 9 月 18 日(木) に AWS Innovate: Migrate and Modernize というオンラインイベントが開催されます。今回の AWS Innovate は、AI やデータを活用できる基盤を整えるために、さまざまなシステムのクラウドへのマイグレーションとモダナイゼーションにフォーカスした内容となっており、約 30 のセッションを、AWS のエキスパートが実践手法とベストプラクティスをデモを交え解説します。また、クラウドの活用によりビジネス価値の創出に取り組まれているお客様より事例もご紹介いただきます。ぜひ、こちらからご登録ください。
それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。
2025年8月25日週の主要なアップデート
- 8/25(月)
- Amazon RDS for MariaDB が MariaDB Vector サポートを含む MariaDB 11.8 をサポート開始
Amazon RDS for MariaDB 11.8 がリリースされ、新機能 MariaDB Vector がサポートされました。この機能により、データベースにベクトル埋め込みを保存し、AI アプリケーションで検索拡張生成 (RAG) を活用できます。EC サイトやメディアアプリで類似商品検索などの生成 AI 機能をより容易に構築可能になりました。また、一時ファイルやテーブルの最大サイズ制限機能も追加され、ストレージ管理がより効率的になります。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - Amazon Neptune が BYOKG – RAG (GA) をオープンソース GraphRAG ツールキットでサポート開始
Amazon Neptune で BYOKG-RAG (Bring Your Own Knowledge Graph for RAG) がサポート開始されました。これまでは独自のナレッジグラフを生成 AI と連携するには複雑なカスタムパイプラインが必要でしたが、GraphRAG Toolkit を使うことで既存のグラフデータベースを直接 LLM と組み合わせられるようになりました。詐欺調査での不審な取引パターン発見や通信ネットワーク障害の原因特定など、構造化されたデータを活用してより正確で説明可能な AI 応答が実現できます。詳細はこちらの GitHub をご参照ください。 - Amazon Connect Contact Lens が 5 つの追加 AWS リージョンで外部音声をサポート開始
Amazon Connect Contact Lens の外部音声システム連携が、シドニー、東京、カナダ中部、フランクフルト、ロンドンリージョンで新たに利用可能になりました。これにより既存のコールセンターシステムを使いながら Contact Lens の AI 分析機能(通話録音、感情分析、リアルタイム分析など)が既存システムでも使えるため、段階的な Amazon Connect 移行や複数システムでの一元的な分析が実現します。
- Amazon RDS for MariaDB が MariaDB Vector サポートを含む MariaDB 11.8 をサポート開始
- 8/26(火)
- Aurora DSQL が AWS Fault Injection Service による耐障害性テストをサポート
Amazon Aurora DSQL が AWS Fault Injection Service (FIS) との連携を開始しました。これにより、データベース接続の障害をシミュレーションして、アプリケーションの復旧力をテストできるようになりました。従来は本番環境で実際に障害が発生するまで、Aurora DSQLを含めたアプリケーションの復旧挙動を確認できませんでしたが、今回のアップデートにより、安全な環境で事前にテストが可能です。リージョン障害時の接続断絶などを模擬して、アプリケーションが適切に復旧するかを検証できます。東京リージョンを含む 8 つのリージョンで利用可能です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - Amazon Polly がより多くの合成生成音声を提供開始
Amazon Polly で 7 つの新しい生成音声が利用可能になりました。英語、フランス語、ポーランド語、オランダ語に対応し、合計 27 種類の多様な音声から選択できます。注目すべきは、同じ音声で複数言語を話せる polyglot 機能です。これにより企業のブランドアイデンティティを保ちながら、異なる地域向けのコンテンツを作成できます。チャットボットや音声コンテンツ制作において、より自然で表現豊かな音声体験を提供できるでしょう。バージニア北部、フランクフルト、オレゴンリージョンで利用可能です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - Amazon RDS for Oracle が Redo Transport Compression をサポート開始
Amazon RDS for Oracle で Redo Transport Compression 機能が利用可能になりました。この機能は redo データを圧縮してからスタンバイデータベースに送信することで、ネットワーク転送量を削減し redo transport のパフォーマンスを向上させます。結果として、より低い RPO (Recovery Point Objective) を実現でき、プライマリインスタンスに障害が発生した際のデータ損失を最小限に抑えられます。ただし圧縮処理で CPU リソースを消費するため、十分な CPU 容量の確保が必要となります。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - AWS Client VPN が IPv6 リソースへの接続をサポート
AWS Client VPN が IPv6 リソースへの接続に対応しました。これまでは IPv4 のみサポートでしたが、今回のアップデートで IPv6 や IPv4/IPv6 デュアルスタック接続が可能になりました。リモートワーカーが IPv6 対応デバイスから VPC 内の IPv6 リソースに直接アクセスでき、エンドツーエンドで IPv6 接続を維持できるため、IPv6 移行を進める組織にとって、ネットワーク構成がシンプルになる大きなメリットがあります。中東 (バーレーン) リージョンを除く全リージョンで追加料金なしで利用できます。
- Aurora DSQL が AWS Fault Injection Service による耐障害性テストをサポート
- 8/27(水)
- AWS Management Console で AWS アカウントに色を割り当てて識別を容易にする機能をサポート開始
AWS マネジメントコンソール で、アカウントに色を設定できる機能が全パブリックリージョンで利用開始されました。複数の AWS アカウントを運用している場合、これまではアカウント番号でしか識別できませんでしたが、この機能により、管理者がアカウントごとに色を設定することで視覚的に区別できるようになります。例えば本番環境は赤色、開発環境は青色といった運用が可能です。ナビゲーションバーに設定した色が表示され、誤操作防止にも効果的です。 - AWS Transfer Family が SFTP コネクタのデプロイメント向け Terraform サポートを導入
AWS Transfer Family の Terraform モジュールが SFTP コネクタのデプロイに対応しました。これまでは SFTP サーバーエンドポイントのみサポートしていましたが、Amazon S3 とリモート SFTP サーバー間のファイル転送を自動化できるようになりました。Infrastructure as Code (IaC) でファイル転送リソースの一元管理が可能となり、手動設定によるミスを防ぎ、スケーラブルで再現性の高いデプロイが実現できます。 - Amazon EC2 C7i インスタンスが大阪リージョンで利用可能に
Amazon EC2 C7i インスタンスが大阪リージョンで利用開始されました。第 4 世代 Intel Xeon プロセッサを搭載し、C6i インスタンスと比較して最大 15% のコストパフォーマンス向上を実現可能です。バッチ処理や動画エンコーディングなどの計算集約的なワークロードに最適で、EBS ボリュームも従来の 28 個から 128 個まで接続可能になり、より大規模なデータ処理が行えます。 - Amazon EKS がオンデマンドインサイト更新機能を導入
Amazon EKS でクラスターインサイトのオンデマンド更新機能が利用可能になりました。従来は定期的な自動チェックのみでしたが、今回のアップデートにより設定変更やアップグレード後すぐに最新の推奨事項や警告を確認できます。Kubernetes バージョンアップグレード前の準備不足などの問題を即座に検出し、迅速な検証とテストが可能です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
- AWS Management Console で AWS アカウントに色を割り当てて識別を容易にする機能をサポート開始
- 8/28(木)
- 新しい汎用インスタンス Amazon EC2 M8i および M8i-flex の提供開始
Amazon EC2 で新しい M8i と M8i-flex インスタンスの提供が開始されました。AWS 専用の Intel Xeon 6 プロセッサを搭載し、前世代と比較してコスト効率が最大 15% 向上、メモリ帯域幅が 2.5 倍になります。PostgreSQL では 30%、Web アプリケーションでは 60% の性能向上を実現します。M8i-flex は Web サーバーやマイクロサービスなど一般的なワークロードに最適で、M8i は大規模アプリケーションや継続的な高 CPU 使用に適しています。詳細はこちらの サービスページをご参照ください。 - Amazon Connect が生成 AI テキスト読み上げ音声を提供開始
Amazon Connect で新しい生成 AI テキスト読み上げ音声が利用可能になりました。従来の機械的な音声と異なり、自然で人間らしい表現豊かな音声で顧客との会話を実現できます。英語やフランス語など 5 言語で計 20 種類の音声が用意され、ウェルカムメッセージやポリシー案内、動的な会話 AI 体験に活用できます。フロー設計画面の「Set Voice」ブロックや API で簡単に設定でき、バージニア北部、フランクフルト、オレゴンリージョンで提供中です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 - Amazon Q Developer が MCP 管理者制御をサポート
Amazon Q Developer で、管理者が AWS コンソールから Model Context Protocol (MCP) サーバーを直接制御できるようになりました。これまで個別に管理していた外部リソースを、組織レベルで一括制御できます。管理者が MCP 機能を無効にすると、ユーザーは新しい MCP サーバーを追加できず、既存サーバーも動作しません。セキュリティポリシーに応じて柔軟に制御でき、CLI や VSCode などの各プラグインで統一的な管理が実現します。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
- 新しい汎用インスタンス Amazon EC2 M8i および M8i-flex の提供開始
- 8/29(金)
- AWS IAM がネットワーク境界制御のための新しい VPC エンドポイント条件キーを開始
AWS IAM で新しい VPC エンドポイント条件キー 3 つ (aws:VpceAccount、aws:VpceOrgPaths、aws:VpceOrgID) が提供開始されました。これまで VPC エンドポイントを個別に列挙してポリシーを更新する必要がありましたが、今回のアップデートでアカウント、組織パス、組織全体レベルでのネットワーク境界制御が自動的にスケールするようになりました。既存の SCP や RCP、リソースベースポリシーなどで利用でき、AWS PrivateLink 対応の全商用リージョンで使用可能です。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。 - Amazon QuickSight が Google Sheets への接続をサポート
Amazon QuickSight で Google Sheets への直接接続が可能になりました。これまで Google Sheets のデータを分析するには CSV エクスポートなどの手間が必要でしたが、今回のアップデートで Google アカウントでログインするだけで、スプレッドシートを直接 QuickSight に取り込んで分析できます。営業チームが管理する顧客データや、マーケティング部門の広告効果データなど、Google Sheets で管理している情報をリアルタイムでダッシュボード化できるため、データドリブンな意思決定がより迅速に行えるようになります。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
- AWS IAM がネットワーク境界制御のための新しい VPC エンドポイント条件キーを開始
まだまだ残暑はつづいておりますので、体調管理に気をつけてお過ごしください。
それでは、また来週!