Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2025/11/17週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの古屋です。今週も 週刊AWS を皆様へお届けします!

いよいよ来週 12 月 1 日からは、AWS re:Invent 2025 がラスベガスで開幕しますね!最新サービスの発表から技術セッションまで、AWSの最前線が一堂に会するこの一大イベントで、どんな革新的な新機能やエキサイティングなアナウンスが飛び出すのか、今から胸が高鳴ります。また、「AWS Black Belt Online Seminar 2025 年 AWS re:Invent 速報 を今年も開催いたします。 現地参加・オンライン参加を問わず、最新のクラウド技術トレンドを一緒にキャッチアップしていきましょう!

そして年末に向けてアップデートがますます活発になる中、見逃せないのが AWS 認定試験の受験支援キャンペーン です。現在、受験料 25% 割引と同じ試験の再受験無料特典を提供するキャンペーンが実施されています。初回受験は2月15日 (PST)、再受験は3月31日 (PST) までが期限となっています。他特典との併用はできませんが、新年向けてスキルアップを目指すチャンスなので、ぜひこの機会をお見逃しなく!

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう!

2025年11月17日週の主要なアップデート

  • 11/17(月)
    • AWS Marketplace で推定税額と請求エンティティ情報を表示開始
      AWS Marketplace で購入時に推定税額情報と請求エンティティが表示されるようになりました。これまでは購入完了後に税額が確定していましたが、今回のアップデートにより取引完了前に総費用を把握でき、調達承認と予算編成の透明性が向上します。AWS 請求コンソールの設定に基づいて推定税額、税率、請求エンティティを確認でき、PDF でダウンロードも可能です。税の種類(付加価値税、商品サービス税、米国売上税など)や前払い料金の推定税額も表示されます。詳細はこちらの参考資料をご参照ください。
    • Amazon MWAA が Apache Airflow ワークフロー向けサーバーレスデプロイメントオプションを導入
      Amazon MWAA で Apache Airflow のサーバーレスデプロイメントオプションが提供開始されました。従来は Apache Airflow 環境の管理運用が必要でしたが、今回のアップデートにより基盤となるインフラのプロビジョニングやスケーリングなどをサービス側が自動で行うため、運用負荷が大幅に削減されます。サーバーレスアーキテクチャと自動スケーリングにより、タスク実行時に使用された実際のコンピュート時間に対してのみ課金され、コスト最適化が実現できます。データエンジニアは YAML や Python DAG でワークフローを定義でき、Amazon Provider Package に含まれる 80 以上の AWS Operators を利用できます。東京リージョンを含む 15 の AWS リージョンで利用開始できます。詳細は こちらの Blog 記事をご参照ください。
    • Amazon EC2 で Microsoft SQL Server 高可用性デプロイメントのコストを削減
      Amazon EC2 で SQL Server の High-Availability (HA) 構成時のライセンス費用を大幅に削減できるようになりました。従来はプライマリとセカンダリの両ノードで SQL Server ライセンス費用が発生していましたが、数クリックで新機能を有効化することで、セカンダリノードの SQL Server ライセンス費用が免除され、最大 40% のコスト削減が可能です。Always On 可用性グループや Always On フェイルオーバー クラスター インスタンスを使用する企業のミッションクリティカルなデータベースで特に効果的で、パフォーマンスを犠牲にすることなく運用コストを抑制できます。詳細は こちらの Blog 記事をご参照ください。
  • 11/18(火)
  • 11/19(水)
    • 複数組織の請求とコスト管理のための Billing Transfer を開始
      AWS Billing Transfer という新機能がリリースされました。これまで複数の AWS Organizations を運用している場合は、それぞれの組織で個別に請求管理を行う必要がありましたが、今回の機能により単一の管理アカウントから複数組織の請求を一元管理できるようになります。請求書の収集、支払い処理、詳細なコスト分析を集約して実行できるため、大規模な環境での運用効率が大幅に向上します。2026 年 5 月 31 日まで無料トライアルを提供しており、AWS GovCloud (US) と中国リージョンを除く全てのパブリックリージョンで利用可能です。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
    • AWS Lambda がテナント対応アプリケーションの構築を簡素化する新しいテナント分離モードを発表
      AWS Lambda で新しいテナント分離モードが利用可能になりました。これまで SaaS プラットフォームなどのマルチテナントアプリケーションを構築する際、テナントごとに専用の Lambda 関数を作成するなど複雑な独自ソリューションが必要でした。新機能では、Lambda 関数を呼び出す際にテナント ID を指定するだけで、各テナントの実行環境を完全に分離できます。これにより開発・運用の負担を大幅に軽減し、セキュリティ要件の厳しいマルチテナントアプリケーションを簡単に構築できるようになりました。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
    • 開発者に AWS CLI と SDK 認証でのコンソール認証情報の使用を可能に
      AWS CLI や SDK での認証が大幅に簡単になりました。従来はプログラムからの AWS サービス利用時に別途アクセスキーを作成・管理する必要がありましたが、今回のアップデートで AWS コンソールのサインイン認証情報をそのまま利用できるようになりました。新しい aws login コマンドを実行するだけで、ブラウザ認証を経て一時的な認証情報が自動生成され、ローカル開発環境ですぐに AWS サービスを利用開始できます。認証情報は短期間で自動ローテーションされるため、セキュリティリスクも軽減されます。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
    • Savings Plans と Reserved Instances のグループ共有が一般提供開始
      AWS で Savings Plans と Reserved Instances のグループ共有が一般提供開始されました。これにより、お客様は Cost Categories で定義した組織内のグループ単位でコミットメントの適用範囲を制御できるようになります。特定グループ内に割引を限定する「制限共有」と、まずグループ内に優先適用したうえで余剰分を組織全体に共有する「優先共有」を選択可能です。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
  • 11/20(木)
    • Amazon S3 が属性ベースアクセス制御をサポート
      Amazon S3 で属性ベースアクセス制御 (ABAC) がサポートされました。これまでバケットのタグはコスト配分にのみ使われていましたが、今回のアップデートでアクセス制御にも活用できます。組織の成長に伴う頻繁な IAM ポリシーやバケットポリシーの更新作業を大幅に削減し、大規模なアクセス管理を簡素化できます。タグを参照する IAM ポリシーを作成すれば、バケットにタグを追加するだけで自動的にアクセス権限が適用される仕組みです。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
    • Amazon CloudFront がオリジン接続で TLS 1.3 をサポート開始
      Amazon CloudFront がオリジン接続で TLS 1.3 をサポート開始しました。これにより、従来の TLS バージョンと比べて、より強力な暗号化とハンドシェイクの高速化によってオリジンサーバーとの通信性能が最大 30% 向上します。設定変更は不要で、S3 や ALB などすべてのオリジンタイプで自動的に利用でき、従来バージョンとの後方互換性も維持されます。金融や医療、EC サイトなど機密データを扱うアプリケーションでより安全な通信が可能になり、追加料金なしで全エッジロケーションで提供されます。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
    • Amazon EC2 での Microsoft SQL Server 2025 イメージの提供開始を発表
      Amazon EC2 で Microsoft SQL Server 2025 の License-Included AMI が利用可能になりました。最新の SQL Server を手軽に起動でき、TLS 1.3 をデフォルトでサポートするため、従来よりもセキュリティとパフォーマンスが向上します。AWS Tools for Windows PowerShell や Systems Manager などが事前にインストール済みなので、サーバー構築の手間が大幅に削減されます。データベースサーバーを素早く立ち上げたい企業にとって便利なアップデートです。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
  • 11/21(金)
    • Amazon WorkSpaces Applications が Internet Protocol Version 6 (IPv6) をサポート開始
      Amazon WorkSpaces Applications で Internet Protocol Version 6 (IPv6) のサポートが開始されました。これまで IPv4 のみでの接続でしたが、IPv6 対応デバイスからも直接 WorkSpaces Applications ドメインおよび外部エンドポイントへ接続できるようになります。IPv4 と IPv6 間のアドレス変換が不要になるため、高価なネットワーク機器のコストを削減でき、より大きなアドレス空間を活用できます。東京リージョンなど 16 のリージョンで追加料金なしで利用可能です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
    • 分析と AI/ML 開発のための Amazon SageMaker Data Agent の紹介
      Amazon SageMaker Data Agent が新登場しました。自然言語でやりたいことを説明するだけで、データ分析や機械学習に必要な SQL や Python コードを自動生成してくれる AI エージェントです。これまでデータエンジニアやアナリストが手作業で行っていたコード作成や実行計画の策定を大幅に効率化できます。SageMaker Unified Studio の新しいノートブック機能で利用でき、東京リージョンを含む 9 つのリージョンで提供開始されています。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
    • AWS Transit Gateway で柔軟なコスト配分を発表
      AWS Transit Gateway で柔軟なコスト配分機能 (Flexible Cost Allocation) の一般提供が開始されました。従来は送信側のアカウントが全ての通信料金を負担する仕組みでしたが、新機能では送信側、受信側、または中央の Transit Gateway アカウントに料金を配分できるようになります。複数の部署や組織で Transit Gateway を共有している場合、実際のデータ利用に応じた課金や、部署ごとの予算管理が可能になります。追加料金なしで全ての商用リージョンで利用でき、コンソールや CLI から設定できます。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。

今週は「運用を軽くする、コストを見える化する、すぐ試せる」を後押しする発表が多く、現場での一歩目がさらに速くなる期待感がありますね。冒頭でお伝えした通り、来週はいよいよ年に一度の“最新クラウドテクノロジーが集まる場” である re:Invent です。素敵な re:Invent ウィークをお過ごしください!

それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

古屋 楓 (Kaede Koya) / @KaedeKoya35328

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、多種多様な業界のお客様をご支援しています。特定の技術やサービスに偏らず、幅広い分野のご相談に対応し、技術相談会や各種イベントにて登壇しています。好きな AWSサービスは Amazon Lightsail とAmazon Q Developer で、シンプルかつ柔軟にクラウドの力を活用できる点がお気に入りです。休日は愛犬 2 匹と静かに過ごしています。