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AWSのデジタル統制に関するお客様との約束

AWS セールス、マーケティングおよびグローバルサービス担当シニアバイスプレジデント マット・ガーマン(Matt Garman)

クラウドの可能性を最大限に引き出すためには、お客様が自らデータを管理することが不可欠であると、私たちは常に考えてきました。アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS) は、お客様がデータの保管場所の管理とデータの移動を統制できる唯一の大手クラウドプロバイダーであった当初から、お客様にこれらの統制を実施していただくことを最優先事項としていました。クラウドが主流になり、政府機関及び標準化団体がセキュリティ、データ保護、プライバシーに関する規制を策定し続ける中で、お客様による統制の重要性は過去 16 年間にわたって一貫して高まっています。

今日、デジタル資産を管理すること、つまりデジタル統制は、かつてないほど重要になっています。

私たちは、世界で最も高性能で、スケーラビリティと信頼性の高いクラウドを提供するために、イノベーションとサービスの拡大を実現してきました。その中でお客様が、どの地域でも継続して管理し、規制要件を満たせるようにすることを最優先してきました。この状況は、業界や国によって大きく異なります。ヨーロッパなど世界中の多くの地域で、デジタル統制に関する政策が急速に発展しています。お客様は非常に複雑な状況に直面しています。過去 18 か月間にわたり、私たちは、お客様から、AWSの全ての機能を使うか、またはイノベーション・変革・成長を妨げてでも機能が限定されたクラウドソリューションを使うかを選択しなければいけない、という懸念の声を多く聞いてきました。私たちは、お客様がこのような選択を迫られるべきではないと考えています。

本日、私たちは、「AWS Digital Sovereignty Pledge(AWSのデジタル統制に関するお客様との約束)」を発表いたします。クラウドで利用できる最も高度な一連の統制管理と機能とを、すべての AWS のお客様に提供します。

AWS は既に、データの保存場所、アクセスできるユーザー、データの使用方法をお客様が管理できるようにする、さまざまなデータ保護機能、認定、契約上の責任を提供しています。私たちは、世界中のお客様が AWS クラウドの機能、パフォーマンス、イノベーション、スケールを犠牲にすることなく、デジタル統制の要件を満たすことができるよう、これらの機能を拡張することを約束いたします。同時に、お客様と規制当局双方の進化するニーズと要件を深く理解し、迅速な導入とイノベーションにより、デジタル統制のニーズと要件を満たすよう継続的に努力していきます。

企画・設計段階からの統制 (sovereign-by-design)

この約束を果たすための私たちのアプローチは、創業初日からそうであったように、AWS クラウドにおいて企画・設計段階からの統制を維持し続けることです。私たちのこれまでの取組の初期段階で、金融サービスやヘルスケアなどの業界のお客様 (世界で最もセキュリティとデータのプライバシーを重視する組織であるお客様) から、クラウドを使うために必要なデータ保護機能や管理について多くのご意見をいただきました。そして、私たちは AWS の暗号化とキー管理機能を開発し、コンプライアンス認定を取得して、お客様のニーズを満たすための契約を締結してきました。お客様の要件の進化に応じて、AWS クラウドも進化、拡張しています。最近の例としては、昨年末に AWS Control Tower (AWS 環境を管理するサービス) に追加したデータレジデンシーガードレールがあります。これにより、お客様のデータが保存および処理される物理的な場所をさらに詳細に管理できるようになりました。2022 年 2 月に、Cloud Infrastructure Services In Europe (CISPE) のデータ保護行動規範に準拠した AWS のサービスを発表しました。これにより、お客様は独立した検証と、当社のサービスがEUの一般データ保護規則 (GDPR) に準拠して使用できるという追加の保証を得ることができます。これらの機能と保証は、すべての AWS のお客様にご利用いただけます。

私たちは、データ保管、きめ細かなアクセス制限、暗号化、耐障害性に関する機能の展開・拡大に引き続き投資することを約束します。

1. データの保管場所の管理

お客様は、AWS を使用して常にデータの保管場所を制御できます。例えば、現在ヨーロッパでは、8 つある既存のリージョンのいずれにもデータを保管できます。私たちは、お客様のデータを保護するために、さらに多くのサービスと機能を提供するよう努めています。さらに、よりきめ細かなデータの保管・管理と透明性を提供するため、既存の機能を拡張することにも取り組んでいます。また、ID や請求情報などの運用データのデータ保管・管理も拡大していきます。

2.検証可能なデータアクセスの管理

私たちは、お客様のデータへのアクセスを制限する、他に類を見ないイノベーションを設計し、実現してきました。AWS のコンピューティングサービスの基盤である AWS Nitro System は、専用のハードウェアとソフトウェアを使用して、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) での処理中に外部アクセスからデータを保護します。Nitro は、物理的にも論理的にも強固なセキュリティ境界を設けることで、AWS の従業員を含め、誰も Amazon EC2 上のお客様のワークロードにアクセスできないように制限を行います。私たちは、お客様またはお客様が信頼しているパートナーからの要求がない限り、お客様のデータへのすべてのアクセスを制限できるよう、さらなるアクセス管理の構築に継続的に取り組んでいきます。

3.あらゆる場所ですべてを暗号化する機能

現在私たちは、転送中、保存中、メモリ内にあるかを問わず、データを暗号化する機能と管理をお客様に提供しています。すべての AWS のサービスは既に暗号化をサポートしており、そのほとんどのサービスでは、AWSからもアクセスできないお客様が管理するキーによる暗号化もサポートしています。私たちは、お客様が AWS クラウドの内部または外部で管理されている暗号化キーを使用して、あらゆる場所ですべてを暗号化できるように、統制と暗号化機能のさらなる管理に向けたイノベーションと投資を続けていきます。

4. クラウドの耐障害性

可用性と強靭性なくしてデジタル統制を実現することは不可能です。サプライチェーンの中断、ネットワークの中断、自然災害などの事象が発生した場合、ワークロードの管理と高可用性が重要になります。現在、AWS はどのクラウドプロバイダーよりも高いネットワーク可用性を実現しています。各 AWS リージョンは、完全に分離されたインフラストラクチャパーティションである複数のアベイラビリティーゾーン (AZ) で構成されています。生じうる事象をより適切に分離して高可用性を実現するために、お客様は同じ AWS リージョン内の複数の AZ にアプリケーションを分割できます。ワークロードをオンプレミスで実行しているお客様、または断続的な接続やリモートのユースケースには、オフラインデータおよびリモートコンピューティングとストレージに関する特定の機能を備えたサービスを提供しています。私たちは、中断や切断が発生してもお客様が業務を継続できるように、統制と回復力のある選択肢を継続的に拡大していきます。

透明性と保証による信頼の獲得

AWS では、お客様の信頼を得ることはビジネスの根幹です。そのためには、お客様のデータの保護が不可欠であると考えています。また、信頼を継続的に得るには、透明性が必要であることも理解しています。私たちは、当社のサービスによるデータの処理および転送方法に関して、透明性を確保しています。法執行機関や政府機関からのお客様のデータの要求に対しては、引き続き異議申し立てを行っていきます。お客様が AWS のサービスを利用してコンプライアンスや規制の要件を満たすことができるように、ガイダンス、コンプライアンスの証拠、契約責任を提供します。私たちは、進化するプライバシーおよび統制に関する法律に対応するために必要な透明性とビジネスの柔軟性を引き続き提供していきます。

チームとしての変化への対応

規制、テクノロジー、リスクが変化する世界において、お客様によるデータの保護を支援するためには、チームワークが必要です。私たちは、お客様だけで対応することを期待するようなことは決してありません。AWS の信頼できるパートナーが、お客様にソリューションを提供するうえで顕著な役割を果たします。例えば、ドイツでは、T-Systems (ドイツテレコムグループ) が AWS のマネージドサービスとしてデータ保護を提供しています。同社は、データ保護・管理が適切に設定されていることを確認するためのガイダンスを提供し、暗号化キーの設定と管理に関するサービスと専門知識を提供して、顧客が AWS クラウドでデジタル統制要件に対応できるよう支援しています。私たちは、デジタル統制要件への対応を支援するために、お客様が信頼するローカルパートナーとの連携を強化しています。

私たちは、お客様がデジタル統制要件を満たすことができるよう、支援を行うことを約束しています。私たちは引き続き、グローバルな AWS クラウドにおける統制機能、管理、保証を革新し、それらを AWS の全ての機能において妥協することなく提供していきます。

原文はこちらです。