Amazon Web Services ブログ

Contact Lens for Amazon Connect (Preview)

12月3日、AWS は Contact Lens for Amazon Connect を発表しました。これは、機械学習(ML)によって実現される Amazon Connect の機能セットであり、重要な顧客フィードバックを特定し、顧客体験を改善するために、顧客との会話の内容、感情、傾向を理解する手段をコンタクトセンターのスーパーバイザとアナリストにもたらします。Amazon Connect は、Amazon の受賞歴のあるカスタマーサービスを支えるのと同じテクノロジーが用いられたオムニチャネルクラウドコンタクトセンターサービスです。 Intuit、GEアプライアンス、Capital One、Dow Jonesなどの企業は、Amazon Connectを使用して数千のエージェントを容易にスケーリングしながらコンタクトセンターを低コストで運営しています。

 

コンタクトセンターは毎日大量の顧客との会話を行うため、何百万時間もの通話が記録されます。企業は、これらのコールの正確なトランスクリプト(会話の文字起こし)を取得し、すべてのコールを検索して、問題、共通のテーマ、エージェント・コーチングの機会を特定できるようにしたいと考えています。既存のコンタクトセンター分析サービスを使用できますが、これらのツールはコストが高く、トランスクリプトの提供に時間がかかり、必要な精度が不足しています。そのため、顧客の問題を迅速に検出し、エージェントに実用的なパフォーマンスフィードバックを提供することが困難になります。また、既存のツールがリアルタイム分析を提供できないため、通話中に不満を感じた顧客が電話を切る前にそのようなコールをスーパーバイザが特定して支援することができなくなります。このような課題に対して、企業の中には時間をかけてデータサイエンティストやプログラマを雇い、機械学習技術を適用してカスタムアプリケーションを管理していくところもあります。

 

Contact Lens for Amazon Connectは、これらの課題に対処し、コンタクトセンターのスタッフが数クリックで機械学習のパワーを簡単に利用できるような従来の枠を超えるエクスペリエンスの一部として、機械学習の分析セットを簡単に有効にできる機能を提供します。Contact Lens for Amazon Connectの使用は簡単です。問い合わせフロー設定で分析するコールを設定するには、「通話記録動作の設定」ブロックの「Contact Lens for Amazon Connect」オプションをチェックします。設定が完了すると、Contact Lens for Amazon Connectは指定されたコールの分析を自動的に開始します。ここをクリックして、プレビューにサインアップできます。

 

それでは、顧客との会話の分析にContact Lens for Amazon Connectがどのように役立つのかを見てみましょう。

 

1. 問い合わせ検索の強化:

 

Amazon Connectの問い合わせの検索ページでは、日付範囲、エージェントのログイン、電話番号、キューなどの条件に基づいて履歴の問い合わせを検索できるようになりました。Contact Lens for Amazon Connect では、指定されたすべてのコールは、最先端の機械学習技術を使用して自動的に文字起こしされ、自然言語処理エンジンを使用して感情を抽出し、検索用にインデックス化されます。したがって、コンタクトセンターのスーパーバイザおよびアナリストは、問い合わせの検索ページから、コール中に顧客やエージェントが言及した単語やフレーズに基づいて問い合わせが特定できるエクスペリエンスをすぐに使用できるようになります。コールで話された内容に基づいて問い合わせを検索できるため、組織は顧客に影響を与えている問題を深く掘り下げることができます。たとえば、ある組織は、自社製品の1つに対して最近発売されたプロモーションコードが機能していないことに気付きました。顧客がこの問題について問い合わせのどの部分で言及したかを検索することで、問題の重大度を把握し、プロモーションコードが失敗した状況を正確に診断することができました。

 

組織は、会話の内容に基づいて検索できるだけでなく、顧客との応対品質を容易に理解できる方法を求めています。Contact Lens for Amazon Connectは、顧客が話している言葉の感情を分析し、通話のさまざまな部分(開始、終了、および通話時間全体)について、-5(最も否定的)から+5(最も肯定的)のスコアを生成します。 問い合わせの検索ページを使用すると、組織はこれらのスコアに基づいて問い合わせを簡単に検索できるため、より良いカスタマーケアエクスペリエンスを提供するためのステップを見極めていくことができるようになります。同様に、ユーザは、通話以外の時間(無音および保留時間として定義)に基づいて問い合わせを検索することもできます。これは、多くの場合、新しい顧客の問題やエージェントのトレーニングのギャップを特定するのに役立ちます。Amazon Connectの問い合わせの検索ページでは、通話以外の時間の絶対値(秒単位)または相対(合計通話時間の%として指定)に基づいてコールをフィルタリングできます。新しい問い合わせの検索エクスペリエンスの外観は以下を参照してください。

 

2. 拡張問い合わせトレースレコード (CTR) の詳細ページ:

 

問い合わせの検索ページでは、ユーザーは関心のある通話を特定できます。ユーザは検索結果をクリックして Contact Trace Record(CTR; 問い合わせ追跡レコード)詳細ページにアクセスします。このページでは、コンタクト ID、キュー名、エージェント名、電話番号、関連するコールレコーディングなど、個々の問い合わせの特定の詳細を表示できます。Contact Lens for Amazon Connectを使用すると、ユーザーは通話内容や通話中の感情の流れなど、さまざまな会話特性に関連した新しい詳細を表示できます。次のスクリーンショットに示すように、ページ上部のトレンド曲線は、通話中に顧客感情がどのように進行したかを示しています。同様に、顧客感情およびエージェントと顧客の会話への参加状況をブレークダウンすることによって、コンタクトセンターのスーパーバイザとアナリストは、特定の顧客とのやり取りをより深く理解できます。 ターンバイターンのトランスクリプトと感情表示により、スーパーバイザは顧客のやり取り全体をすばやく確認し、通話録音の特定の部分だけを聞き、会話のニュアンスを把握することができます。 これにより、通話の録音全体を聞く必要がなく、重要な部分だけに集中できるため、貴重な時間を節約できます。

 

3. 問い合わせの自動分類:

 

問い合わせの検索を使用すると、ユーザーは最近発見された問題についてより深く分析したり、過去の通話を探索したりできます。ただし、組織は、社内ポリシーに準拠しているかまたは顧客体験の問題がないかに対して、進行中の顧客とのやりとりの 100% を自動的に監視できるようにすることも必要です。たとえば、ある組織は、顧客が競合他社の 1 つを言及したすべての問い合わせを追跡したい場合があります。 別の例として、組織は、顧客とのやりとりに関するガイドラインやベストプラクティスに従っているかを測定したいと考えています。Contact Lens for Amazon Connectを使用すると、コンタクトセンターのスーパーバイザとアナリストは、Amazon Connectの新しい分類UIを使用して、さらなる分析のためにすべての問い合わせを整理するためのキーワードやフレーズに基づいてカスタム基準を定義できます。新しいカテゴリが定義されると、すべての新しい顧客コールは、指定された基準に対して自動的に評価され、基準が満たされると関連する分類ラベルが割り当てられます。分類ラベルは、Contact Lens for Amazon Connectによってすべてのコンタクトに対して生成されるすべての豊富な新しいメタデータの一部として使用できます。 問い合わせの分類に関する新しい UI については、以下を参照してください。

 

4. テーマ検出(2020年初旬に利用可能):

 

問い合わせ検索は、詳細な掘り下げを行うための効果的なツールです。一方、分類機能は、会話を自動的に監視して、顧客がすでに認識している問題を特定するのに役立ちます。 ただし、組織は、コンタクトセンターで何が起こっているかに基づいて、以前は認識できなかった問題を自動的に検出したいと考えています。 Contact Lens for Amazon Connectには、機械学習を適用して複数の顧客との会話(事前に設定された期間について)を分析し、顧客が問い合わせをしてきた理由の上位を示す頻出度と共に話題の傾向を自動的に提示する新しいテーマ検出機能があります。Amazon Connectでこの機能がどのように表示されるかについては、以下をご覧ください。

 

5. リアルタイムのスーパーバイザ分析とアラート(2020年中旬に利用可能):

 

現在、コンタクトセンターのスーパーバイザは、実際の顧客のコールの進行状況をリアルタイムで把握する手法に事欠いています。即時に気づくことが必要な状況があるかもしれません。たとえば、スーパーバイザと話すことを求めている顧客、「私は知らない」と繰り返し発言するエージェント、またはサブスクリプションをキャンセルしたいと怒っている顧客、などが挙げられます。多くの場合、顧客が電話を切った後にこれらの問題を理解しても、組織は貴重な顧客を維持し、犠牲を伴う対話状態を解消することには役立ちません。2020 年中旬、Contact Lens for Amazon Connect によって、スーパーバイザは、リアルタイムの顧客感情の進行や、事前定義された単語やフレーズに基づくアラートなど、顧客インタラクションのリアルタイムビューを取得できます。Amazon Connectでこの機能がどのように表示されるかについては、以下をご覧ください。

 

6. オープンで柔軟なデータ:

 

Contact Lens for Amazon Connectは、Amazon Connect コンソールの上記の機能を使用して、組織がコンタクトセンター分析のユースケースに対処するのに役立ちます。しかし、私たちは、お客様がこれらを超えた更なるユースケースに取り組みたい、そのために基盤となるデータが必要であることを理解しています。 Contact Lens for Amazon Connectは、メタデータ(トランスクリプト、感情、分類ラベル、通話速度、中断など)を含む出力ファイルを顧客の S3 バケットに生成します。組織はこのデータを既存のさまざまなシステムで活用でき、新しいツールに投資する必要はありません。たとえば、Amazon QuickSightやTableauなどのビジネスインテリジェンスツールでこのデータをCRMデータと共に使用して、顧客エンゲージメントに関する洞察を得ることができます。データサイエンスチームはこのデータを使用して、Amazon SageMaker でカスタム機械学習モデルを作成することもできます。

 

ここをクリックしてプレビューにサインアップするか、AWS セールスパートナーに連絡してください。お客様のアカウントで Contact Lens for Amazon Connectが有効になり、これらの機能の使用を開始できます。

 

原文はこちらからご覧いただけます。

 

翻訳:ソリューションアーキテクト 清水 正直