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消費財 ( CPG ) パートナー対談 : Infor は AI/ML で食品・飲料業界を変革する

COVID-19 パンデミックは、ビジネスと世界市場にかつてない混乱をもたらしました。現在、世界の大半はパンデミックによる不安と混乱は脱したように見えます。しかし、特に消費財企業は、サプライチェーンの混乱や労働力不足といった大きな課題に対処し続けています。同時に、パンデミック中に変化した消費者の購買パターンや期待も、今や当たり前のものとなっています。消費財業界のリーダーは、市場の変動や消費者の嗜好の変化に対応するため、イノベーションと俊敏性を念頭に置きながら、戦略的に物事を考えなければなりません。そこで、洞察と着想を得るために、Amazon Web Services, Inc.( AWS )パートナーのエグゼクティブと対談し、困難な時代における彼らのリーダーシップと専門知識をご紹介します。

消費財パートナー対談ブログシリーズの最新回では、AWS パートナーであり、特定業界の企業向けビジネスクラウドソフトウェア製品のグローバルリーダーである Infor の、食品・飲料業界担当 シニア インダストリー&ソリューション ストラテジー ディレクターの Marcel Koks 氏と、食品・飲料業界担当 インダストリー&ソリューション ストラテジー ディレクターの Mikael Bengtsson 氏にお話を伺いました。このブログでは、クラウドプラットフォームと AI/ML (人工知能/機械学習)テクノロジーが、食品・飲料企業のオペレーションの創造的な最適化、無駄の削減、生産性の向上にどのように役立つのかについて、お二人の見解をご紹介します。

AWS: 読者に、 Infor の視点を理解してもらうためにお聞かせください。Infor はどのような分野で活躍されていますか?また、どのような消費財企業のエグゼクティブと交流があるのでしょうか?

Marcel Koks:  Infor は、消費財分野のサプライチェーン全体、製品の製造・流通を含む食品・飲料業界を専門としています。食品・飲料業界には、乳製品、食品材料、タンパク質など、多くのミクロ分野があることに注意することが重要です。ミクロ分野によって、課題やニーズは大きく異なります。 Infor は、最高経営責任者( CEO )、最高情報責任者( CIO )、サプライチェーンリーダーなど、C-Suite や VP 層のエグゼクティブと連携し、最終損益に影響を与え、事業運営を改善する IT の意思決定を支援します。

AWS: 消費財企業は前例のない混乱を乗り越えてきました。お客様にとって最大の課題は何でしたか?

Mikael Bengtsson: 最近まで、食品・飲料業界のお客様が経験してきた最大の課題は、サプライチェーンの混乱に集中していました。しかし、ここ数カ月、サプライチェーンはそれほど不安定ではなく、現時点ではそれほど切迫した問題ではありません。現在の最大の課題は、全面的な物価の上昇です。ウクライナ戦争、インフレ、さらなる持続可能性対策など、多くの要因がコスト上昇の原因となっています。もうひとつの継続的な課題は労働力不足であり、企業は、より少ない従業員で、より高まる消費者の需要に対応する必要があります。

AWS: 市場ダイナミクスや消費者の期待の変化に対して、消費財企業は現在の事業運営環境をどのように調整しているとお考えですか?

Marcel Koks: 業界が経験したさまざまな混乱は、需要と供給の変化に対応する俊敏性のニーズを浮き彫りにしましたが、需要と供給への対応以上に、新たな販売チャネルや、事業買収、国際的な事業展開など、新たなビジネス戦略を迅速に実行し、収益性の高い成長を維持するための俊敏性が求められています。Infor の食品・飲料業界特化型のクラウド統合基幹業務 ( ERP ) プラットフォームはまさしくその俊敏性を提供しています。サプライチェーンの面では、 需要、供給、生産計画、そして生産スケジュール管理を行う Infor の製品が、需要、供給、生産能力のバランスをとりながら最も収益性の高い方法で、ビジネス変化への迅速な対応を支援します。物価の上昇に伴い、食品・飲料企業は製品ポートフォリオを分析し、どの製品がビジネスや市場にとって最も有効かを判断する必要があります。この場合も、 Infor の製品ライフサイクル管理ソリューションにより、食品・飲料企業は、適切な新製品のアイデアに優先順位をつけることで、より迅速に、より成功率を高めて新製品を市場へ投入することができます。

AWS: 消費財業界は驚くほどの回復力があります。新しい生活様式に目を向けた時、テクノロジーとクラウドは消費財業界にとってどのような役割を果たすとお考えですか? また、テクノロジーは消費財業界における製品の生産プロセス、サプライチェーン、そして消費者接点をどのように強化するとお考えですか?

Mikael Bengtsson: Infor のクラウドプラットフォームは、消費財業界のビジネスに可視性を提供するだけでなく、ハイパーオートメーションによる効率性を提供し、AI や ML を活用することによる、さらなる効率性と俊敏性も実現します。この最新テクノロジーを活用することで、大量のデータを消費・分析し、製造現場から ERP プラットフォームに至るまで、より良い意思決定を支援することができます。これにより、全体的な効率の向上、コスト削減、時間の節約、最終的には無駄の削減につながります。

AWS: 現在の消費財業界の混乱に伴い、貴社は変化に対応するためにどのような改革を進めていますか?

Marcel Koks: 一般的な業界では AI や ML の導入が遅れている企業が多い中、 AI や ML の機能を活用する Infor のお客様が増えてきています。これらの機能はすべてのテナントで利用可能であり、これがパブリッククラウドサービスの真の利点です。例えば、チーズのグローバルプロバイダである Amalthea 社は、 Infor の AI ソリューションを 90 日足らずで導入し、生産改善や無駄の削減のための洞察を毎日得られるようにすることで、歩留まりの見込みを最大化しました。 Infor は、データを収集・分析するためのプラットフォームを提供し、製造、サプライチェーン、さらには製品開発そのものに至るまで、自動化と効率化を実現します。 Infor のソリューションは、未曾有の世界経済情勢の中で、より少ないコストでより多くの成果を上げ、真の柔軟性と俊敏性を実現する手段を提供します。

AWS: これからの「新しい生活様式」についての話題が多くなっています。貴社にとって、この「新しい生活様式」とはどのようなものですか?また、 3 年後の消費財業界はどうなっていると思いますか?

Mikael Bengtsson: ほとんどの企業がクラウドへのデジタルトランスフォーメーションを行い、その結果、より良いビジネス上の意思決定とイノベーションを推進するために、統合された AI と ML を使用するようになるでしょう。この移行により、サプライチェーンはより効率的になり、無駄が減ることになります。その他の大きなトレンドとしては、持続可能性への注目が高まりや、消費者の需要が高まる中で、消費者への影響を最小限に抑える方法を決定することが挙げられます。食品・飲料業界では、今後 3 年間で、代替タンパク質と新しい農業手法が目立つようになるでしょう。そして、今後さらに多くの混乱が予想されます。変化のスピードはますます速くなり、パンデミックやウクライナ戦争のような世界規模の出来事の中で、企業は俊敏になり、利益を維持するために適応する必要があります。

AWS: 消費財業界の未来で楽しみなことは何ですか?

Marcel Koks: 食品・飲料企業がクラウドを活かし、AI や ML を駆使することで、オペレーションを創造的に最適化し、無駄を省き、生産量を増加させることを楽しみにしています。まだ活用の初期段階とはいえ、食品・飲料業界の製造領域が次の段階を迎えるために、 AI と ML を活かせる場所はたくさんあります。例えば、 Infor はベーカリー材料ビジネスをグローバルに展開する Zeelandia と連携し、AI ソリューションを導入することで、顧客ごとの製品レコメンドにかかる準備が 83% 高速化されて、全体的な顧客体験の向上を実現しています。さらに、多くの企業が先進的な工場や自動化に投資する中、 Infor はインダストリー 4.0 を支える技術の開発に取り組んでいます。 Infor は The Smart Factory @ Wichita のスポンサーを務めており、 The Smart Factory @ Wichita では、製造業の皆様が自身のビジネスをデジタルトランスフォームする方法を調査することや、最新技術を体験することができます。

AWS: Marcel 氏 と Mikael 氏、私たちと対談していただきありがとうございます。あなた方の洞察と専門知識に感謝します。

このブログシリーズをお楽しみいただければ幸いです。 Infor の Marcel 氏 と Mikael 氏、またはAWSに質問がある場合は、このブログにコメントを残してください。 Infor の詳細については、Infor のコンタクトページからお問い合わせください。

AWSパートナースポットライト

Infor は、業種別に特化したビジネスクラウドソフトウェアのグローバルリーダーであり、世界中の 67,000 社のお客様にミッションクリティカルなエンタープライズアプリケーションを提供しています。 Infor は、AWS を活用して最新のツールを構築・導入し、お客様のビジネスの変革とイノベーションの加速を支援しています。
AWS における Infor についてはこちらから詳細をご覧ください。

著者について

Marcel Koks

Marcel Koks は、 Infor の食品・飲料市場における戦略を策定しています。そのためには、業界のトレンドを分析し、 Infor のエンタープライズアプリケーションプラットフォームにどの業界向けの機能が必要かを判断します。そして、食品・飲料企業と緊密に連携し、ニーズを把握します。食品・飲料企業のニーズと機械学習、ブロックチェーン、IoT などの実用的なユースケースと結びつけることで、顧客を支援し、周囲に刺激を与えています。

Kevin McCurdy

Kevin E. McCurdy は、AWS のグローバル 消費財 セグメントリード( APN )であり、戦略的な ISV および SI パートナーの発掘と関係構築を担当です。それ以前は、E2open のデマンドシグナルマネジメント担当 VP 、後に E2open に買収された Orchestro の共同創業者兼戦略アカウント担当 VP 、Mercari Technologies の共同創業者兼事業開発・サービス担当 VP でした。Coca-Cola 、 General Mills 、Kellogg’s 、PepsiCo 、Unilever 、Kraft-Heinz など、世界的な消費財企業や小売企業において、サプライチェーンマネジメント、カテゴリーマネジメント、デマンドシグナルマネジメントの分野で 25 年以上の経験があります。Pennsylvania State University でビジネスロジスティクスと国際ビジネスの理学士号を取得しました。

Mikael Bengtsson

Mikael Bengtsson は、ビジネスおよびテクノロジーのコンサルティングにおいて 20 年以上の経験があり、食品・飲料業界に特に重点を置き、社内業務およびサプライチェーン(戦略的調達、調達、企業間電子商取引ネットワークなど)の上流から下流まで、世界有数のメーカーをサポートしています。Mikael は、ビジネス価値をもたらす、より良いプロセスと効率性を実現するために、テクノロジーを活用したグローバルな変革プロジェクトを統括してきました。また、測定可能なビジネス価値を提供することを主な目的として、テクノロジー導入手法の開発を主導してきました。

翻訳は Solutions Architect 金成が担当しました。原文はこちらです。