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AWS 認定を通してクラウドの基礎知識を身につけよう

クラウドコンピューティングの基本について学びたいと思ってはいるものの、何から手を付ければよいのか分からない。という方はいらっしゃいませんか?そのような方には、AWS 認定の中でも Foundational カテゴリ(基礎レベル)に分類される AWS Certified Cloud Practitioner (CLF: 以下、クラウドプラクティショナー) 認定の取得がお勧めです。AWS の認定資格なのだから、AWS を利用する人にしか関係ないのでは?と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。この認定は、クラウドコンピューティングの基本的な概念を学ぶのにもご活用いただけます。

クラウドに関する知識の重要性

クラウドプラクティショナー認定の概要をご紹介する前に、クラウドコンピューティングへの注目の高まりについて確認してみましょう。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発行した『DX 白書 2023』によると、IT システムの開発技術としてパブリッククラウドを活用している・活用を検討していると回答した企業の割合は、合わせて 51.5% となっています(図表 5-22)。これは、SaaS(56.5%)やアジャイル開発(41.5%)などとともに活用の割合の高い開発技術となっています。また、第 5 部の第 2 章 2 節において、クラウド導入を進めるためには、まずは社内で方針をまとめて合意をとり、クラウドを利用する側(ビジネス部門)にも特定のスキルが求められることが説明されています。

これらから、DX を推進していく中で、クラウドというコンセプトは非常に身近な存在になっていくと言えます。また、IT 部門だけではなく、ビジネス部門も含めてクラウドを理解し、合意を得ながら活用を進める必要があります。そのため、クラウドに関する知識は、経営層なども含めた非技術者の方にも一般教養として求められ、DX の推進に伴ってその重要性も高まっていくでしょう。

Foundational カテゴリのクラウドプラクティショナー認定

それでは、クラウドに関する知識を学ぶにはどうすればよいでしょうか。

そのような方には、Foundational カテゴリ(基礎レベル)の AWS 認定がお勧めです。AWS 認定は複数のカテゴリに分かれているのですが、そのうち Foundational カテゴリは、AWS クラウドに関する事前の経験は不要であり、AWS やクラウドそのものの基本的な理解を問う知識ベースの認定となっています。そして、現在 Foundational カテゴリとして提供されている AWS 認定が、クラウドプラクティショナー認定です。

参照 : https://aws.amazon.com/jp/certification/

このような認定資格では、対象となる技術領域に関する知識が広く問われ、学習コンテンツも充実しているので、短期間で体系的に知識を習得できます。もちろん、実業務ではこれらの知識に加えて実践形式でも学びを深めていく必要がありますが、まずは一般教養としてクラウドのコンセプトを理解し、クラウド活用のスタート地点に立ちたい場合は、目標が明確で学習コンテンツが豊富な認定資格の取得は有力な選択肢となります。そして、AWS クラウドの事前の経験が不要で、AWS やクラウドの基本が学べるクラウドプラクティショナー認定は、クラウド未経験者を含むあらゆる方にお勧めです。

クラウドプラクティショナー認定の概要

それでは、クラウドプラクティショナー認定の概要について、試験ガイド の内容を確認していきましょう。

まず、「受験対象者について」を見てみると、AWS クラウドの経験が 0~6 ヶ月までで、IT 以外のバックグラウンドを持つ方も対象としていることがわかります。そして、受験までに推奨される AWS の知識としては、AWS クラウドのコンセプトやセキュリティ、コンプライアンス、コスト、そして主要な AWS サービスが挙げられています。また、範囲外のトピックとしては、システムの設計や実装、トラブルシューティングなどが挙げられています。これらのことから、IT システムの設計や実装に関わる具体的な知識・経験が問われるというよりは、そもそものコンセプトやセキュリティ、コストの考え方が中心に問われることが読み取れます。これが Foundational カテゴリの特徴です。

続いて、「試験内容」について見てみると、選択形式の問題が 65 問出題されることがわかります。そして、大切なのは、その後に記載されている試験範囲とその割合です。本ブログの執筆時点では以下のようになっています(括弧内は出題割合)。

  • 第 1 分野:クラウドのコンセプト(24%)
  • 第 2 分野:セキュリティとコンプライアンス(30%)
  • 第 3 分野:クラウドテクノロジーとサービス(34%)
  • 第 4 分野:請求、料金、およびサポート(12%)

ここから、技術面に主にフォーカスがあてられているのが第 3 分野のみで、その出題割合は 34% となっていることが読み取れます。言い換えると、もちろん AWS に関連した出題というところは変わらないのですが、残りの 66% はクラウドのコンセプトやセキュリティ、コストといったトピックに主にフォーカスがあてられた出題となるということです。

もう少し詳細に出題範囲を確認してみると、第 1 分野では、AWS クラウドの利点や設計原則などに関する知識が問われます。これに正解するには、そもそもクラウドとは何か、を理解している必要があるでしょう。第 2 分野では、AWS におけるセキュリティやコンプライアンスといったコンセプトや、セキュリティに関する AWS サービスの概要が問われます。セキュリティやコンプライアンスの考え方は、AWS に限らずクラウド全般に適用できる部分も多いでしょう。第 3 分野は AWS 特有の知識について問われる部分が多いですが、代表的な AWS サービスの名前と概要を把握することは、特にこれから AWS を活用する予定がある方にとっては有益なものとなるでしょう。そして、最後の第 4 分野では、コストや請求、見積もりの考え方、ドキュメントや AWS サポートといったリソースについて問われます。こちらも第 2 分野と同様に、AWS に限らずクラウド全般に適用できる知識を多く得られることでしょう。

AWS でしか通用しないような、AWS 特有の設問ばかりというわけではなさそうだな。というイメージを持っていただけましたでしょうか。

クラウドプラクティショナー認定に向けた学習コンテンツ

最後に、クラウドの基礎や AWS の基礎を学ぶために AWS が公開している無料の学習コンテンツをいくつかご紹介します。

AWS 基礎(動画・テキスト形式の学習コンテンツ)

クラウドプラクティショナー認定の受験準備

学習コンテンツに関してはこの他にも多数ありますので、ぜひご自身に合ったものを探してみていただければと思います。また、今後の業務での AWS 活用を見据えて、実際に AWS 環境をハンズオン形式で触りながら学習を進めたいという方には、AWS Cloud Quest という学習コンテンツがお勧めです。こちらについては 紹介記事 が公開されておりますので、ご興味をお持ちの方はそちらもご一読ください。

本ブログでは、今後、あらゆる方にとってクラウドのコンセプトを理解しておくことが重要になっていくことをお話しし、効率的に体系的な知識を得るための手段として、AWS 認定の Foundational カテゴリをご紹介しました。その後、当該カテゴリであるクラウドプラクティショナー認定について、その概要と試験範囲について確認し、最後に AWS で公開している無料の学習コンテンツをご紹介しました。この記事をお読みいただいた方がひとりでも、AWS 認定の Foundational カテゴリでは AWS だけでなくクラウド全般の知識を習得できるんだな、であれば自分もチャレンジしてみようかな。と思っていただければ幸いです。

本ブログは、Sr. Technical Instructor の生出が執筆し、Certification BDM の両角が監修しました。